2018年度入試
出題分析と入試対策
  一橋大学 世界史

過去の出題内容

2018年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
11~13世紀にかけてのヨーロッパでみられた「空間革命」の契機と影響
(400字)
歴史学派経済学と近代歴史学の相違とその背景
(400字)
戦間期の中国・朝鮮の民族運動
(400字)

2017年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
価格革命がスペインとヨーロッパ経済に与えた影響
(400字)
問1 
トルデシリャス条約
11~13世紀の泉州を取り巻く国際関係
(400字)
問2 
ハイチとアメリカ合衆国の奴隷解放の特徴
(100字)
問3 
19世紀のラテンアメリカの独立運動の契機と独立後の経済政策およびブラジルの独立の特徴
(275字)

2016年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
聖トマスとアリストテレスの「都市国家」論の相違
(400字)
プロイセンの発展と宗教政策
(400字)
1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響
(400字)
 

出題分析と入試対策

論述の字数と出題テーマ

大問3題は例年通り。総字数も例年通り1200字である。

【Ⅰの特徴】

例年、ヨーロッパ中世~近代史が出題されるⅠでは「11~13世紀にかけてのヨーロッパでみられた『空間革命』の契機と影響」が出題された。2013年の「東方植民」が直近の類題だが、それ以前になると2001年の10~11世紀をテーマとした「三分された地中海世界」や、1996年の「中世農業革命」にまで遡る。十字軍やレコンキスタ(国土回復運動)について、正面から取り上げた出題は意外と少ないが、一橋大入試対策で学んだ内容を組み合わせて解答することは、それほど難しくないだろう。
Ⅰの史(資)料の著者カール=シュミット(1888~1985)はドイツの公法学および政治学の学者。第一次世界大戦後のヴァイマル体制やヴェルサイユ体制を批判して強力な国家を支持した。そのため一時期はナチ党を支持し、戦後には戦争責任を問われたが、国際法や政治史の論文を多く発表し、高い評価を得ている。なお一橋大学の第16代学長の山内進名誉教授(1949~)が、師の勝田有恒元一橋大学名誉教授(1931~2005)との共編著で『近世・近代ヨーロッパの法学者たち―グラティアヌスからカール・シュミットまで』(2008年、ミネルヴァ書房)という著作を出版している。出典の『陸と海と―世界史的一考察』(1954年)はカール=シュミットが発表した一般向けの世界史的な物語で、「娘に語る」という形でまとめられている。陸と海との対抗という視点による世界史的考察であり、日本語訳は1971年にはじめて出版された。著者はこの中で大航海時代以前のヨーロッパに大きな変質をもたらした出来事としてアレクサンドロスの東方遠征、ローマによる地中海世界統一、そして十字軍遠征の3点を挙げている。本問では、そのうちの十字軍を中心とした時代がテーマとなった。
以下に本誌掲載年度以前を含めた出題リストを示しておく。

Ⅰ型 中世から近世(16・17世紀)にかけてのヨーロッパ史の主要テーマ
年度 分野 時代 テーマ
89年 政治史 5~10世紀 「中世のローマ帝国理念」
16世紀 「宗教改革時のドイツ」
90年 社会史 13世紀 「キリスト教と科学・技術の発展」
「聖フランチェスコの思想」
91年 政治史 9~10世紀 「マジャール人の活動」
「神聖ローマ帝国の成立」
92年 政治史 5~8世紀 「民族移動後の地中海世界の変容」
93年 政治史 12~13世紀 「アルビジョワ十字軍」
94年 社会史 12~13世紀 「中世都市の自由」
「中世都市の自治権獲得の経緯」
95年 政治史 17世紀 「ドイツ三十年戦争」
96年 経済史 11・18世紀 「中世の農業革命と近世の農業革命の比較」
97年 政治史 4~5世紀 「ローマ帝国末期における教会と国家の関係」
98年 政治・社会・経済史 16~17世紀 「イギリスとドイツの人口変動の政治・社会状況」
「16世紀西欧の人口増加の経済的原因」
99年 政治史 9~14世紀 「イギリス史上のノルマン・コンクエストの意義」
00年 政治史 16~18世紀 「オーストリア=ハプスブルク家の中欧進出」
01年 政治史 10~11世紀 「三分された地中海世界の状況」
02年 政治史 11~12世紀 「叙任権闘争」
03年 政治史 15世紀 「オスマン帝国とルネサンス期のイタリア」
04年 社会史 16世紀 「宗教改革」
05年 政治史 14世紀 「ヨーロッパ大陸の議会制度」
06年 政治史 10世紀 「オットー1世」
07年 政治史 10世紀 「ハインリヒ1世」
08年 社会史 13~17世紀 「ハンザ同盟の盛衰」
09年 政治史 6~8世紀 「ピレンヌ・セオリー」
10年 社会史 11~13世紀 「叙任権闘争とその影響」
11年 政治史 14~17世紀 「フス戦争とその歴史的意義」
12年 政治史 16世紀 「ユグノー戦争とナントの王令公布に至る経緯」
13年 社会史 11~16世紀 「中世ドイツの東方植民の経緯と社会・経済史的意義」
14年 社会史 14世紀 「ワット=タイラーの乱の政治的・社会的背景」
15年 政治史 8世紀以降 「カール戴冠の経緯と、戴冠がヨーロッパ史に与えた影響」
16年 社会史 13世紀 「聖トマスとアリストテレスの『都市国家』論の相違」
17年 経済史 16~17世紀 「価格革命がスペインとヨーロッパ経済に与えた影響」
18年 社会史 11~13世紀 「11~13世紀のヨーロッパでみられた『空間革命』の契機と影響」
【Ⅱの特徴】

例年、欧米近現代史が出題されるⅡでは、19世紀ドイツで成立したランケの「近代歴史学」とリストの「歴史学派経済学」の相違を指摘し、それがどのように生まれたのか、コンテクスト(歴史的文脈)=経緯を対比させつつ考察せよという、教科書レベルを遥かに超えた難問。しかも史(資)料と問いの内容自体を読み取ることが難しい。それでもリストの学説成立の背景となった、イギリス自由貿易主義への対抗とドイツの経済的統一についてはなんとか言及できても、ランケとの比較については受験生としてはお手上げだったろう。受験生を預かる側としては、同様の「受験生が何を書いてよいか分からない」難解な比較型の出題である1999年の「ドイツ民法典が編纂された際の政治・社会・経済的状況(フランス民法典制定時との比較)」を想起させられた。
Ⅱの史(資)料は『上原專祿著作集3 ドイツ近代歴史学研究 新版』に掲載された「第二 歴史的経済学派の古代経済史研究(1942年、p.37~p.61)」の末尾(p.58~p.59)を抜粋、引用したものである。著者の上原專祿氏(1899~1975)は一橋大学の初代社会学部長で、専攻は中世ヨーロッパ史。ドイツ中世史の阿部謹也、東ローマ帝国史を専攻した渡辺金一(いずれも一橋大学名誉教授)らの師である。
一橋大学・世界史のⅡでは2014年に元一橋大学社会学部長・良知力氏の著作からの引用文が出題されている。18年のⅡも一橋大学にゆかりの深い人物に関連した出題となった。400字1問の論述問題はほぼ例年通り(17年は単答問題と2設問・計375字)。問題の内容としては2006年・Ⅱ-問2で19世紀前半のドイツにおけるナショナリズムやロマン主義の高揚について問われたのと類似している。近現代のドイツ史関連の出題は頻繁になされており、2009年の「18世紀のグローバルな紛争」、11年「19世紀後半のヨーロッパの国際関係の変化」、14年「エンゲルスの歴史観とポーランド人をのぞく西スラヴ人の歴史(17~21世紀)」、16年「プロイセンの発展と宗教政策」などがある。指定語句は12年を最後に使用されていない。
Ⅱの問題では史(資)料文やリード文を使用した出題が15年を除き最近の定番となっている。しかし史(資)料文の詳細な読解が求められた問題としては13年の「フランス革命の意義」以来となる。13年も読解に時間がかかる難解な問題であったが、18年の問題はそれ以上の難問といえよう。まず史(資)料の内容は解答作成に必要であるが、史(資)料は1942年に執筆された古い文章であるため言い回しが難しく、受験生は読解に時間を要したであろう。読解→考察→清書というプロセスを考えると、この問題を40分前後で解答することは現役の大学生でも難しいのではないか。正直な感想を言えば、この問題は講義を前提とした大学の定期試験で出題するレベルではないか。
問いの内容自体も、歴史学派経済学や近代歴史学を生み出したドイツの政治・経済・社会の変化をテーマとしており、受験生には厳しいものとなっている。
本問のテーマは、教科書では「文化史」ジャンルとして扱われている事項をベースとしているが、受験生は、知識偏重に陥りがちな文化史の学習を敬遠する傾向があり、また文化史関連事項は教科書の記載自体が少ない。歴史学派経済学(フリードリヒ=リスト)が古典派経済学(自由貿易主義)を批判し、産業革命が進んだ先進国イギリスに対抗して発展段階が遅れたドイツの国民経済を成長させようとしたこと、そのために関税政策などによる国民経済の保護を求め、ドイツの経済的統一を主張したことなどは、教科書にも記載されているが、近代歴史学については教科書にランケが厳密な史料批判に基づいて歴史学を確立したこと程度の記載しかなく、しかもこのことが問いへの解答とは直結しないことから、問いの指示通りに近代歴史学について論じることは相当に難しかっただろう。山川出版社『詳説世界史B』でのランケに関する記載は「ロマン主義とナショナリズムの影響のもとで、歴史への関心も高まった。ドイツのランケは、厳密な史料批判に基づく近代史学の基礎をつくり、以後19世紀をつうじ、人文・社会科学の分野で歴史学や歴史的考察が重要な位置を占めた」とあるのみで、史(資)料文を参照したとしてもここから、近代歴史学発展の背景にあるドイツの政治・社会の変化について、約200字分を論じていくのは、高校世界史レベルでは無理というもので、本問に充当できる40分ほどの試験時間内で、納得のいく答案を作成できた受験生はほぼいないのではないだろうか。折角、一橋大学の碩学の研究成果を引用した出題をするならば、史(資)料を活かすためにも、せめて解答へと導く「誘導」に工夫を凝らしてほしいものだ。鋭い視点で出題しながら、「誘導」不足のために受験生の手も足も出ないような難解な「捨て問」にしてしまうことは、受験生に欧米近現代史を頻出テーマとするⅡ型問題への取り組みを諦めさせることにもつながりかねないように思われる。

Ⅱ型 近世(18世紀)~近現代の欧米史の主要テーマ
年度 地域・分野 時代 テーマ
89年 政治史 20世紀 「第一次世界大戦前後の日本をめぐる国際状況」
90年 経済史 17~19世紀 「砂糖・茶の消費習慣とヨーロッパ諸国の対外関係」
91年 政治史 19~20世紀 「アルザス・ロレーヌをめぐる独仏関係」
92年 政治史 19~20世紀 「ポーランドあるいはチェコの独立過程」
93年 社会史 19~20世紀 「アメリカ史上における黒人の地位」
94年 政治史 14~19世紀 「14~19世紀のネーデルラント」
95年 科学技術史 19~20世紀 「第二次産業革命と『第三次』産業革命の関係」
96年 政治史 20世紀 「冷戦初期(朝鮮戦争期)のアメリカ外交史」
97年 政治史 20世紀 「ヴァイマル憲法の特徴」
「ヴァイマル共和国初期の混乱」
98年 政治史 19世紀後半 「フランス第三共和政前期の政治状況」
99年 政治・社会・経済史 19世紀後半 「ドイツ民法典が編纂された際の政治・社会・経済的状況(フランス民法典制定時との比較)」
00年 政治・社会・経済史 20世紀 「アメリカ合衆国のベトナム介入の歴史」
「ベトナム戦争が合衆国の社会経済に与えた影響」
01年 フランス 17~18世紀 「ヨーロッパの絶対王政はどの程度、絶対的か」
02年 フランス 19世紀 「フランス二月革命の成果と限界」
03年 アメリカ 19~20世紀 「共和党・奴隷制」
04年 ロシア 16~18世紀 「絶対主義・ピョートル1世の改革」
05年 現代史 20世紀 「核軍縮」
06年 ドイツ 中世・19世紀 「中世ヨーロッパ都市」
「近代ドイツの政治と文化」
07年 フランス 18世紀 「ルイ16世」
08年 アメリカ 19~20世紀 「米西戦争とアメリカ帝国主義」
09年 普墺・英仏 18世紀 「18世紀のグローバルな紛争」
10年 社会史 19~20世紀 「女性参政権実現の歴史的背景」
11年 政治史 19世紀 「19世紀後半のヨーロッパの国際関係の変化」
12年 政治史 20世紀 「モスクワ宣言、国際連盟・国際連合の設立と問題点」
13年 政治史 17~18世紀 「フランス革命の意義」
14年 政治史 17~21世紀 「エンゲルスの歴史観とポーランド人をのぞく西スラヴ人の歴史」
15年 政治史 20世紀 「ヨーロッパ共同体と東南アジア諸国連合の歴史的役割の共通点と相違点」
16年 政治史 17~18世紀 「プロイセンの発展と宗教政策」
17年 政治経済史 18~19世紀 「トルデシリャス条約」
「ハイチとアメリカ合衆国の奴隷解放の特徴」
「19世紀のラテンアメリカの独立運動の契機と独立後の経済政策およびブラジルの独立の特徴」
18年 社会経済史 19世紀 歴史学派経済学と近代歴史学の相違とその背景
【Ⅲの特徴】

例年、アジア近現代史が出題されるⅢでは「戦間期の中国・朝鮮の民族運動」をテーマに三・一独立運動と五・四運動が取り上げられ、出題形式は合計400字の論述問題である。三・一独立運動前後については2002年・ⅢBで、また五・四運動は04年・ⅢB-問2で出題されているので、過去問対策をしていた受験生には書きやすいテーマであろう。
Ⅲの史料の出典『アリランの歌』(1941年、ニム=ウェールズ著、松平いを子訳、岩波書店)は1999年の大問Ⅲで「北伐の展開」が問われた際にも引用された。
一橋大世界史のⅢは、14年以前は2題に分かれることが多かったが(ほぼ200字×2題)、15年以降18年まで4年連続で400字論述1題であり、ほぼ400字が定着した形である。18年のテーマ「戦間期の中国・朝鮮の民族運動」は、一橋大では定番のアジア近現代史で、真面目に一橋大対策をしていた受験生にとっては、確実に得点出来る出題だったに違いない。しかも04年・ⅢB-問2の「新文化運動と五・四運動」や02年・ⅢBの「日本の朝鮮植民地支配政策の変化」に取り組んでいれば、6割近くは解答できる。ここ数年、一橋大の大問Ⅲは定番の出題からやや遠ざかっており、17年の「11~13世紀の泉州を取り巻く国際関係」は宋・元、16年の「1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響」は戦後史と、時代も含めて多様化し始めていたが、やはり定番の出題についての学習を疎かにしてはいけないことがわかるだろう。本問は史料から「三・一独立運動と五・四運動」というテーマさえ読み取れれば、教科書レベルの知識の深い理解で解答できるという点でも、受験生の実力と学習量がそのまま得点に現れた点で、良問だったと言えるのではないか。
このようにⅢでは似たようなテーマが頻繁に出題されており、特に中国史では、過去問を使って明清交代(17世紀)以降を網羅的に学習することができる。詳しくは次の表を参照してほしい。

Ⅲ型 アジア史の主要テーマ
年度 時代 テーマ
89年 19世紀末~20世紀初め 「義和団事件」
「8ヵ国連合軍の構成とその時代背景」
「マフディーの乱」
90年 17世紀~20世紀 「清とモンゴル(征服の経緯・支配の特徴)」
「清の滅亡からモンゴル人民共和国成立までの外モンゴル」
91年 19世紀末~20世紀 「東学党の乱」
「皇民化政策」
92年 10~13世紀 「10世紀以降のイスラーム世界(マムルーク・スーフィズム)」
20世紀 「日露戦争から日韓併合までの経緯」
93年 9~12世紀 「9~12世紀のイスラーム世界(トルコ人の移動)」
19世紀 「ベトナムをめぐる清仏戦争」
94年 19~20世紀 「上海の歴史」
17~20世紀 「カルカッタの歴史」
95年 16世紀以降 「西欧諸国の東南アジア進出の経済的影響」
10世紀以降 「華僑・印僑の東南アジア進出」
8or12世紀 「ボロブドゥールあるいはアンコール=ワットについて」
96年 17~19世紀 「ロシアと清の間の国境画定条約」
19~20世紀 「東清鉄道をめぐる日露の対立」
97年 20世紀 「孫文と中国同盟会」
「袁世凱政権の内政・外交」
98年 17世紀 「清朝の中国支配」
17~19世紀 「17~19世紀の朝鮮半島をめぐる日清の関係」
99年 20世紀 「北伐の展開」
19~20世紀 「両大戦期のホー=チ=ミンの活動」
00年 16~18世紀 「メキシコ銀・日本銀の流入」
18~19世紀 「19世紀イギリスによるアジアの三角貿易」
19~20世紀 「香港の歴史」
01年 前15~3世紀 「インド古代の社会・宗教・文化体系の形成過程」
4~7世紀 「4~7世紀の朝鮮半島の情勢の推移」
02年 20世紀 「北京議定書」
「日本の朝鮮植民地支配政策の変化」
03年 19~20世紀 「洋務運動」
「パレスチナ問題」
04年 16・20世紀 「16世紀のイスラーム世界」「新文化運動と五・四運動」
05年 19世紀 「印僑と華僑」
06年 16~18世紀 「ムガル朝の宗教・政治・財政」「清朝の軍事・社会・典礼問題」
07年 19世紀 「太平天国・洋務運動・イリ事件と清仏戦争」
08年 19~20世紀 「日韓協約~韓国併合」「光緒新政」
09年 20世紀 「世界恐慌と英領インド」「戦間期の朝鮮植民地の経済」
10年 19~20世紀 「アジア・アフリカ会議」「ネルーと国民会議派」「西安事件」
11年 17世紀 「鄭成功一族の活動と17世紀オランダのアジア交易」
「三藩の乱とその歴史的意義」
12年 19世紀 「ラッフルズとイギリスの東南アジア進出」
「19世紀前半の清朝の交易体制の変化」
13年 19世紀 東アジアの近代化をめぐる論争
「清末の革命派と立憲派の論争」「甲申政変と甲午改革」
14年 16~17世紀 16世紀末~17世紀末にかけての東アジアの情勢
「明清交代の経緯と要因」
「16世紀末から17世紀末の朝鮮・明朝・女真・清朝の関係」
15年 18世紀末~ 19世紀 「清朝の対外関係の特徴とその崩壊過程」
16年 20世紀 「1945年以降の朝鮮半島情勢と,朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響」
17年 11~13世紀 「11~13世紀の泉州を取り巻く国際関係」
18年 20世紀 戦間期の中国・朝鮮の民族運動

18年度の難易度と論述対策

18年のⅡだけを見ると受験生に厳しい出題と言わざるを得ないが、Ⅰの中世ヨーロッパの社会経済史、Ⅲのアジア現代政治史は、教科書レベルの学習を深めれば、受験生にも十分対応可能な問題であるので、ⅠとⅢでしっかり得点できれば、18年は前年並の難易度になると思われる。本年に限って言えば、受験生としては、Ⅱに時間を取られないようにして、Ⅰ、Ⅲでしっかりと点を取っていくべきであった。試験が始まった段階でⅠ、Ⅱ、Ⅲをひと通り見て、解く順番や時間配分を決めたうえで解答に取り組む姿勢が、受験生には必要となろう。

・出題傾向を把握しよう

前述したように、Ⅰはヨーロッパ前近代史、Ⅱは19世紀以降の欧米近現代史、Ⅲはアジア史というのが一橋大学の基本的な出題パターン。出題傾向が明解で、過去問の類題も多いので、過去問にしっかり取り組むことと、頻出分野である中世ヨーロッパ史、近現代欧米史、近現代アジア史、これに前近代アジア史の社会経済史を加えて、これらの分野に対する理解を深めることが、一橋大学世界史攻略の必須条件である。これを指針としたうえで、類似した出題テーマの「切り口」の変化にも対応できる学力を養っておくことだ。

・指定語句に頼らず、史(資)料・図版を分析して論述答案を作成しよう

過去の指定語句については、10年・11年ではⅡの問2で指定語句がそれぞれ五つ出され、12年のⅡでは指定語句が三つ、14年はⅢの問2で指定語句が三つ提示されているが、15年以降、18年まで指定語句は与えられず、代わって史(資)料やリード文を読み込んで出題者の意図をつかませるパターンが増えた。史(資)料やリード文からキーワードを想定して論述答案を書き上げることが求められている。特にⅢでは、02年から18年まで毎年、史(資)料もしくは書籍の引用から出題されている(史〔資〕料は02、05、06、08、09、10、12、13、15、16、17年、書籍からの引用は03、04、07、11、14、18年)が、史(資)料を読み取らないと解答できない場合(13年・ⅢBなど)と、ほとんど使用しない(使えない)場合に明確に分かれる。受験生としては過去問に取り組みながら、史(資)料から世界史の授業で学習した歴史的な経緯を想起する練習をしておくことと、問題文から「何が問われているか」を正確に読み取り、提示された史(資)料が答案作成に活用できるか、出題者のフェイントか、を見抜く力を養うことも重要になろう。

・論旨の組立を考えよう

計1200字で、中世史から近現代史まで、三~四つのテーマについて論じるのであるから、受験学年になった時点ですぐに論述訓練に取り組むことが不可欠である。受験生は、「学校で習っている、いない」で難易度を云々するのではなく、一橋大学の出題者側の「問いかけ」に応えられるよう、教科書や授業を「先取り」していくことだ。その際、駿台の「青本」を活用して大問ごとの解説をよく読み、歴史の流れや出題者の意図を理解し、「組立メモ」を参考に自分で論旨を整理し、答案を作成してみるとよい。高校や予備校で論述添削をしてもらうことも重要だ。一橋大学の出題者と「キャッチボール」するくらいの気持ちで、出題者の意図を考えながら、論述答案作成に努めることが合格への最短コースになる。

・講習会を活用しよう

駿台の夏期・冬期講習の『一橋大世界史』をはじめとして、『欧米近現代史徹底整理』、冬期講習『欧米近現代史徹底整理・戦後編』アジア近現代史徹底整理』、直前講習『アジア近現代史論述対策』では、本大学の出題テーマを全てにわたって授業で取り上げ、丁寧に解説をしている。こうした講座を十分に活用して、一橋大世界史の論述を書き上げる取り組みをしていこう。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。