2017年度入試
出題分析と入試対策
  一橋大学 世界史

過去の出題内容

2017年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
価格革命がスペインとヨーロッパ経済に与えた影響
(400字)
問1 
トルデシリャス条約
11~13世紀の泉州を取り巻く国際関係
(400字)
問2 
ハイチとアメリカ合衆国の奴隷解放の特徴
(100字)
問3 
19世紀のラテンアメリカの独立運動の契機と独立後の経済政策およびブラジルの独立の特徴
(275字)

2016年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
聖トマスとアリストテレスの「都市国家」論の相違
(400字)
プロイセンの発展と宗教政策
(400字)
1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響
(400字)
 

2015年度

Ⅰ ヨーロッパ中世~近世史 Ⅱ 欧米近現代史 Ⅲ アジア史
カール戴冠の経緯と、戴冠がヨーロッパ史に与えた影響
(400字)
ヨーロッパ共同体と東南アジア諸国連合の歴史的役割の共通点と相違点
(400字)
清朝の対外関係の特徴とその崩壊過程
(400字)

出題分析

論述の字数

大問3題は例年通り。字数は、Ⅰが400字、Ⅱは論述2題(100字、275字)と単答式が出題された。08年のⅡ以来の3題出題で、例年は400字(25字×16行)の枠だが、論述が100字(25字×4行)と275字(25字×11行)との指定になったのは「単答式で1行分を取り、以下改行せよ」という意味なのだろうが、それなら問題に明記した方が受験生にとって分かりやすいだろう。以前にも歴史用語(例えば「モスクワ宣言」)を答えさせた上で論述させる出題があったが、このときも受験生から「字数に含まれたのか?」と訊ねられたことがある。字数に含むのか、1行取るのかは問題文に明記すれば済むことなので、出題者には受験生への配慮をお願いしたい。Ⅲは例年、2題で400字だったが、17年は15年、16年と同様に3年連続1題で400字の出題となった。語句を答える単答式は14年、15年に出題され、16年は出題されなかったが、17年は先に述べた通り、Ⅱで出題された。総字数は例年通り1200字である。
形式の変化に注意すべきなのはⅢである。Ⅲの出題形式は合計400字の論述問題で、すでに述べたように14年以前は2題に分けることが多かったが(ほぼ200字×2題)、17年は15年、16年に引き続き400字論述1題で、受験生により深い内容理解を求める出題者の姿勢がうかがえる。Ⅲで400字の問題が出題されたのは、05年の「印僑と華僑」くらいで出題例は少なかったが、今後は400字を前提に対策を練る必要があろう。

17年度の出題の特徴

【Ⅰの特徴】例年、Ⅰではヨーロッパ中世~近世史が出題される。
年度 分野 時代 テーマ
03年度 政治史 15世紀 「オスマン帝国とルネサンス期のイタリア」
04年度 社会史 16世紀 「宗教改革」
05年度 政治史 14世紀 「ヨーロッパ大陸の議会制度」
06年度 政治史 10世紀 「オットー1世」
07年度 政治史 10世紀 「ハインリヒ1世」
08年度 社会史 13~17世紀 「ハンザ同盟の盛衰」
09年度 政治史 6~8世紀 「ピレンヌ・セオリー」
10年度 社会史 11~13世紀 「叙任権闘争とその影響」
11年度 政治史 14~17世紀 「フス戦争とその歴史的意義」
12年度 政治史 16世紀 「ユグノー戦争とナントの王令公布に至る経緯」
13年度 社会史 11~16世紀 「中世ドイツの東方植民の経緯と社会・経済史的意義」
14年度 社会史 14世紀 「ワット=タイラーの乱の政治的・社会的背景」
15年度 政治史 8世紀以降 「カール戴冠の経緯と、戴冠がヨーロッパ史に与えた影響」
16年度 社会史 13世紀 「聖トマスとアリストテレスの「都市国家」論の相違」
17年度 経済史 16~17世紀 「価格革命がスペインとヨーロッパ経済に与えた影響」

例年、ヨーロッパ中世~近世史が出題されるⅠでは、17年は「価格革命がスペインとヨーロッパ経済に与えた影響」が出題された。14年以来、史料を読ませた上で問いが提示されているが、17年もその方式は踏襲された。史料として引用されたのは、フランシスコ=ザビエルの従兄弟であるスペインの神学者マルティン=デ=アスピルクエタが、スペイン王フェリペ2世即位の年に著した『徴利明解論』で、同書の中で価格革命の構造について明らかにしている。Ⅰは価格革命がヨーロッパに及ぼした影響に留意しながら、16~17世紀にかけてのスペイン(ハプスブルク家)政治史を論ずるオーソドックスな論述問題である。

【Ⅱの特徴】例年、Ⅱでは欧米近現代史が出題される。
年度 分野 時代 テーマ
03年度 アメリカ 19~20世紀 「共和党・奴隷制」
04年度 ロシア 16~18世紀 「絶対主義・ピョートル1世の改革」
05年度 現代史 20世紀 「核軍縮」
06年度 ドイツ 中世・19世紀 「中世ヨーロッパ都市」「近代ドイツの政治と文化」
07年度 フランス 18世紀 「ルイ16世」
08年度 アメリカ 19~20世紀 「米西戦争とアメリカ帝国主義」
09年度 普墺・英仏 18世紀 「18世紀のグローバルな紛争」
10年度 社会史 19~20世紀 「女性参政権(ジェンダー)とナショナリズム」
11年度 政治史 19世紀 「19世紀後半のヨーロッパの国際関係の変化」
12年度 政治史 20世紀 「モスクワ宣言、国際連盟・国際連合の設立と問題点」
13年度 政治史 17~18世紀 「フランス革命の意義」
14年度 政治史 17~21世紀 「エンゲルスの歴史観とポーランドをのぞく西スラヴ人の歴史」
15年度 政治史 20世紀 「ヨーロッパ共同体と東南アジア諸国連合の歴史的役割の共通点と相違点」
16年度 政治史 17~18世紀 「プロイセンの発展と宗教政策」
17年度 政治経済史 18~19世紀 「トルデシリャス条約」
「ハイチとアメリカ合衆国の奴隷解放の特徴」
「19世紀のラテンアメリカの独立運動の契機と独立後の経済政策およびブラジルの独立の特徴」

例年、欧米近現代史が出題されるⅡでは、08年のように総字数400字の枠内で複数の設問に答えさせるパターンがある。17年は単答式で基本事項である「トルデシリャス条約」を問い(これで1行=25字を使う)、100字論述(4行)は、「ハイチと合衆国の奴隷解放の特徴」を論述させ、275字(残り11行)の論述は、アメリカ独立に始まる「環大西洋革命」の仕上げとなる「ラテンアメリカの独立運動の契機」「担い手」「独立後のラテンアメリカ諸国の経済政策」と、「ブラジルの独立の特徴」が問われた。字数も半端なので字数配分と構成に注意したい。奴隷制についての類題としては03年のⅡがある。併せて復習してほしい。
史料の代わりに黒人奴隷制に関する表が提示されたが、答案作成上は参考程度にしかならない。解答に必須の史料とそうでないものとが混在して出題されるので、注意が必要だ。
問2は字数が少ないので、歴史用語を簡潔に説明するよう気をつけたい。問題にある「他のアメリカ大陸における奴隷解放」とは、主にスペイン植民地でのクリオーリョらの独立運動の過程で、黒人奴隷の協力を得るため奴隷解放が進展したことを指す。ハイチについては「トゥサン=ルヴェルチュール」が指導する「黒人奴隷反乱」を経て、史上初の「黒人共和国」が成立したことを論じる。アメリカ合衆国では「南北戦争」での「北部の勝利」を経て奴隷解放が達成されたことを中心にまとめる。アメリカ合衆国の場合は「リンカン」「奴隷解放宣言」「憲法修正第13条」などのキーワードを加えて論じる。

【Ⅲの特徴】例年、Ⅲではアジア史が出題される。
年度 時代 テーマ
03年度 19~20世紀 「洋務運動と変法運動」「パレスチナ」
04年度 16・20世紀 「16世紀のイスラーム」「新文化運動と五・四運動」
05年度 19世紀 「印僑と華僑」
06年度 16~18世紀 「ムガル朝の宗教・政治・財政」「清朝の軍事・社会・典礼問題」
07年度 19世紀 「太平天国・洋務運動・イリ事件と清仏戦争」
08年度 19~20世紀 「日韓協約~韓国併合」「光緒新政」
09年度 20世紀 「世界恐慌と英領インド」「戦間期の植民地・朝鮮の経済」
10年度 19~20世紀 「アジア・アフリカ会議」「ネルーと国民会議派」「西安事件」
11年度 17世紀 「鄭成功一族の活動と17世紀オランダのアジア交易」
「三藩の乱とその歴史的意義」
12年度 19世紀 「ラッフルズとイギリスの東南アジア進出」
「19世紀前半の清朝の交易体制の変化」
13年度 19世紀 東アジアの近代化をめぐる論争
「清末の革命派と立憲派の論争」「甲申政変と甲午改革」
14年度 16~17世紀 16世紀末~17世紀末にかけての東アジアの情勢
「明清交代の経緯と要因」
「16世紀末から17世紀末の朝鮮・明朝・女真・清朝の関係」
15年度 18世紀末~19世紀 「清朝の対外関係の特徴とその崩壊過程」
16年度 20世紀 「1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響」
17年度 11~13世紀 「11~13世紀の泉州を取り巻く国際関係」

・出題テーマに大きな変化が見られたⅢ
例年、アジア史が出題されるⅢでは、17年は1984年以来、久しぶりに北宋・南宋から元代が取り上げられ、この時代に全盛を極めた港市・泉州(ザイトゥーン)をめぐる国際関係が問われた。いわゆる「中国史」的な視点ではなく、海上交易を軸に社会・経済と政治史とのかかわりや、内陸交易、東シナ海・南シナ海の海上交易などを総合的に考察するネットワーク論的な視点「海の道」の重要な拠点となった泉州の歴史的役割を答えさせるのが主旨だ。400字を埋めるためには南宋・元代の泉州の全盛期だけではなく、北宋・南宋を取り巻く国際関係(政治史)宋代の経済・財政をめぐる諸問題にも言及する必要があるだろう。「北宋⇒南宋⇒元」という推移を軸に泉州「海上交易繁栄の象徴」と考え、南海諸国との関係(朝貢・冊封)東アジア交易の展開などに論じる範囲を広げることが求められる。宋代の交易は近年、教科書の記述も増えており、東京書籍の教科書には「平氏政権がすすめた日宋貿易」「朝貢貿易とは別に民間の私貿易がさかんになり、多くの宋船や新羅船(のちに高麗船)が往来した」という記述がある。宋代史を遼・西夏・金・モンゴルなど北方民族との対立(政治史)のみで考えずに、南シナ海を舞台とする海からの視点で経済史・社会史などから多角的に考察することが求められている。このように17年のⅢは社会科学系大学の雄である一橋大本来の面目躍如といったテーマであり、また、教科書レベルの知識の深い理解があれば解答できるという点で、受験生の思考力と論述力がそのまま得点に現れる良問であった。

・Ⅲの出題の特色
上記の表をみれば分かるように、Ⅲでは過去問で類似のテーマが頻繁に出題されており、特に中国史では、過去問を使って17世紀(明清交代)以降を網羅的に学習することができる。それらを時代順にテーマを並べると、

出題年度 問題番号 出題テーマ
14年度 Ⅲ・問1 「明清交代の経緯と要因」
11年度 Ⅲ・問2 「三藩の乱の経緯とその歴史的意義」
06年度 Ⅲ2・問3 「清の軍事・社会制度」
06年度 Ⅲ2・問4 「典礼問題」
12年度 Ⅲ・問2 「19世紀前半の清朝の貿易体制の変化」
15年度 「清朝の対外関係の特徴とその崩壊過程」
07年度 Ⅲ・問1 「洋務運動」
03年度 Ⅲ・A 「洋務運動と変法運動」
96年度 Ⅲ・ア 「ロシアと清の国境問題」
07年度 Ⅲ・問3 「太平天国の乱、洋務運動、イリ事件と清仏戦争」
02年度 Ⅲ・A 「義和団事件」
13年度 Ⅲ・A 「清末の革命派と立憲派の論争」
97年度 Ⅲ・問1 「孫文と中国同盟会」
08年度 Ⅲ・問2 「光緒新政」
97年度 Ⅲ・問2 「袁世凱政権の内政・外交」
04年度 ⅢB・問2 「新文化運動と五・四運動」
99年度 Ⅲ・問1 「北伐の展開」
10年度 Ⅲ・問2 「西安事件」
16年度 「1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国および台湾の政治に与えた影響」

となる。16年では中国・台湾の分断に触れる必要があり、出題の一部ではあるものの、過年度のテーマとの連続性が見られる。

・一橋大が出題の多様性を考慮し始めた
17年のように明代以前のアジア史の出題は、00年のⅢ「16~18世紀のヨーロッパ諸国が銀を獲得した方法」や01年のⅢ「朝鮮の古三国時代と唐」以来で、宋代ということになると、実に1984年の「『清明上河図』に見られる中国都市の変貌」の出題以来ということになる。16年も「1945年以降の朝鮮半島情勢と、朝鮮戦争が中国・台湾の政治に与えた影響」という久々の戦後史であり、一橋大が出題の多様性を考慮し始めたとも考えられる。

17年度の難易度

論述問題では各時代を比較してその特徴を理解しているかどうかを試すことが多い。論述については(1)事項の説明、(2)歴史的経緯、(3)各時代の比較という3つの出題パターンがあることに注意して対策を立てることが望ましい。17年のⅠは歴史的経緯と16世紀から17世紀の間に生じた変化を比較するパターン、Ⅱはラテンアメリカの独立運動の歴史的経緯で、ラテンアメリカの奴隷制の盛衰については過去に類題も出されている。Ⅲは泉州という海港都市をめぐる政治的変遷と経済発展の関連を論述させるテーマで、教科書レベルの学習を深めれば、受験生にも十分対応可能な問題となった。17年はⅠ・Ⅱ・Ⅲとも東大論述を連想させる、一橋大学としては異色の社会経済史メインの出題テーマといえよう。社会経済の変化が政治に影響を及ぼすことを理解するという、世界史学習の基本的取り組みに、受験生がどの程度、習熟しているかが得点を左右しただろう。試験後の受験生の声を聞いた限りでは、Ⅰ・Ⅱはかなりアプローチ出来たが、Ⅲは、今までにない視点での出題で苦戦したとのことだ。今後もⅢの新傾向には注意を払って十分、対応出来るようにしたい。Ⅰ・Ⅱでしっかり得点出来れば、前年並の難易度になると思われる。

入試対策

・傾向を把握する

Ⅰはヨーロッパ中世~近世史、Ⅱは19世紀以降の欧米近現代史、Ⅲはアジア史というのが一橋大学の基本的な出題パターン。一橋大世界史は傾向が明解なので、過去の問題にしっかり取り組むこと。過去に出題された問題と類似した問題が出題されるケースが多く見られるので、過去問を研究し、「類題」にも対応できる学力を養うと有利である。具体的には頻出分野である中世ヨーロッパ史、近現代欧米史、近現代アジア史、これに17年の新傾向として、前近代アジア史の社会経済史を加えて、これらの分野に対する理解を深めることが現役・既卒を問わず、合格への必須条件となる。

・Ⅲの新傾向への対策を立てる

17年のⅢの解答・解説を参考に、まずは過去問を丁寧に学習して地域ごとの頻出テーマの理解に努め、さらに15年「清朝の対外関係(冊封体制)の特徴とその崩壊過程」や12年「ラッフルズとイギリスの東南アジア進出」のような欧米諸国とのつながりを主旨とする出題についても、対策を進めておくべきだ。地域的には中国史、およびその周辺諸国(朝鮮・日本・ロシアなど)、東南アジア、インドなど、広くアジア全体をカバーすること、テーマ的には欧米諸国も含めた国際関係史や社会経済史(発展の因果関係)などを丁寧に学習することが、一橋大のⅢ型論述攻略の道である。

・指定語句に頼らず、史料・図版を分析する練習に取り組む

15年以降、16年、17年も指定語句は与えられなかった。過去の指定語句については、14年はⅢの問2で3つ提示され、大問全てで史料が提示された。13年は09年以来、全問を通して指定語句を使用する設問はなし。12年のⅠは例年どおり指定語句がなく、Ⅱでは指定語句が3つ出されている。10年・11年も同様にⅡの問2で指定語句がそれぞれ5つ出されている。指定語句がなくとも、問題からキーワードを想定して論述答案を書き上げられるようにすることが求められる。一方で一橋大世界史では指定語句の代わりに史料やリード文を読み込んで出題者の意図をつかませるパターンがある。15年、16年の史料・リード文はある程度、答案作成に資する内容のものであったが、17年は「価格革命」を読み取らせるⅠの史料以外はあまり役に立たない。Ⅱは奴隷貿易の統計は参考程度、Ⅲの『大旅行記(三大陸周遊記)』は14世紀の史料であり、史料以前の11~13世紀の段階の泉州を論述しなければならない点に注意する必要がある。Ⅲでは、02年から17年まで毎年、史料もしくは書籍の引用から出題されている(史料は02、05、06、08、09、10、12、13、15、16、17年、書籍からの引用は03、04、07、11、14年)が、史料を読み取らないと解答できない場合(13年Ⅲ-Bなど)と、ほとんど使用しない(使えない)場合に明確に分かれるので、ここでも受験生の判断力が問われる。

・思考力で勝負する

大学側が受験生の思考力を問う入試問題を出題してくる意味を考え、受験生としては抽象的な文で内容の乏しさを誤魔化すようなテクニックに走らず、問われてもいないマニアックな知識を書き連ねることや一問一答的な安易な学習をせず、大学側の出題に応える正攻法の学習を進めてほしい。まずは過去問に真っ向勝負で取り組み、じっくり考えて問題と格闘し、丁寧に論述解答を作成しよう。こうした当たり前の学習を進めていくことが、遠回りに思えるかもしれないが、合格への一番の近道である。

・論旨の「組み立て」をしっかり考えよう

字数の多い論述は、何段かに分けて構成を考えるのが鉄則だが、16年のように「1945年以降の朝鮮半島情勢」と「朝鮮戦争が中国・台湾に与えた影響」の2段で明快に分かれる場合ばかりとは限らない。17年は「11~13世紀の泉州をめぐる国際関係」について、北宋・南宋・元という政治的変遷と、海のネットワーク上の拠点となった泉州の発展の経緯をどのように絡めて論述すればよいか、悩んだ受験生もいると思われる。

・論述答案作成に早くから取り組む

計1200字で3~4つのテーマについて論じるのであるから、受験学年になった時点ですぐに論述訓練に取り組むことが不可欠である。受験生は、「学校で習っている、いない」で難易度を云々するのではなく、一橋大の出題者側の「問いかけ」に応えられるよう、授業を「先取り」して、出題者と「キャッチボール」するくらいの気持ちで努力することだ。

・講習会を積極的に活用しよう

駿台の夏期・冬期講習の『一橋大世界史』をはじめとして、『欧米近現代史徹底整理』、『欧米近現代史徹底整理・戦後編』、『アジア近現代史徹底整理』『世界史周辺地域史・近現代編』などでは、過年度の一橋大の出題テーマを授業で取り上げ、丁寧に解説をしている。こうした講座を十分に活用することが、一橋大世界史の論述を書き上げる上で、必要かつ重要な取り組みとなろう。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。