2017年度入試
出題分析と入試対策
  東京工業大学 数学

過去の出題内容

2017年度

番号 内容
1 約数についてのある条件を満たす正の整数
2 定積分で表された関数の最大値と最小値
3 長方形をある直線で折り返したとき、もとの長方形からはみ出る部分の面積、およびその面積が最大となる条件
4 確率漸化式、条件付き確率とその極限
5 4次方程式のすべての解が複素数平面内のある図形上にあるための必要十分条件

2016年度

番号 内容
1 定点と放物線上を動く点との距離の最小値
2 正三角形の各辺上に頂点をもつ三角形の面積の最小値
3 平面上に置かれた2球に外接する球の平面との接点の軌跡
4 (n-1)! がnで割り切れるようなnに関する証明問題
5 三角関数で媒介変数表示された曲線と座標軸の囲む面積

2015年度

番号 内容
1 1次分数漸化式とそれに関連する不等式、極限
2 四面体の体積の最大値を求める問題
3 ガウス関数をy軸のまわりに回転した回転体の体積と不等式
4 らせん運動をしている点の速度ベクトルの問題
5 2つの整数の最大公約数、最小公倍数に関する問題

出題分析

分量

2011年度までは150分で4題の出題が続いたが、2012年度は180分で6題であり、2013年度からは180分で5題という出題が続いている。180分で5題ということは、1題あたり36分の時間がかけられることになる。他の主な大学は1題あたり20~30分であるから、試験時間にはかなり余裕があると言えるだろう。

パターン

全問が記述式である。以前は、(1)、(2)などの小設問に分かれていない問題文の短い出題が東工大数学の特徴の1つであった。2012年の6、2013年の34にこのような出題がある。2014年から2016年は小設問に分かれている問題だけになり、傾向が大きく変わったように見えたが、今年は小設問に分かれていない問題が復活し、12で出題された。

内容

東工大の入試選抜要項によると、『数学』の試験内容は以下の通りである。

◎「数学Ⅰ」、「数学A」、「数学Ⅱ」、「数学B(数列、ベクトル)」、「数学Ⅲ」を、その総合問題や応用問題を含めて、『数学』として出題する。

試験時間が180分になり、配点が300点に変更となった2012年以降の出題傾向について記しておく。

①数学Ⅲ、特に極限、微分、積分の出題が多い。今年も2で積分、3で微分、4で極限が出題された。2016年は数学Ⅲが5のみという異例の出題であったが、 それ以前は今年と同様、極限、微分、積分の問題が1題ずつ出題されている。
難易度は易しいもの(例えば2016年5)から難しいもの(例えば2012年3)まで、様々である。
②整数も2012年以降、毎年出題されている。極端な難問はないが、典型問題はなく、毎年、目新しい問題が出題される。その場で考える力が要求されている。
③確率は2015年を除いて毎年出題されている。自然数nに関する確率だけでなく、さいころを3個投げる(2012年1(2))、6個投げる(2013年1(2))、3回投げる(2016年2)といった具体的な出題も多い。
④他の理系大学と比べると、3次関数や4次関数などの微分積分(2012年3、2014年5、2016年1)、すなわち数学Ⅱの微分積分のような出題が多いことにも注意しておきたい。
⑤新課程3年目となる今年は、初めて条件付き確率と複素数平面が出題された。
今後、頻出分野になる可能性もあるので、こちらも注意が必要である。
⑥2016年4と2017年2の類似問題が、2007年と2011年のAO試験(当時のAO試験は数学だけで合否を決めるものであった。)にある。

難易度

2012年以降、年々易しくなっている印象であったが、2017年は質、量ともに難化した。難問という程の問題はないが、典型問題が少なく、すべてやや難レベルの問題で構成されている。易しい問題が多く出題されたときは、それらの問題でミスをしないことが大事である。なぜなら、多くの受験生が得点しているところで、自分だけ失点することになるからである。一方、難しい問題が多く出題されたときは、たとえ完答できる問題がなかったとしても、少しでも点になりそうな所を探して、より正解に近づくことが大事である。
2017年の5題を見ると、24は0点になる学生が多かっただろう。2では周期性、4では漸化式の立て方が分からなければ、何もできないからである。(ただし、2で周期性に気付かなくてもの原始関数を正しく求めてあったり、4で漸化式が立たなくてもP(1)、P(2)を正しく求めてあったりしていれば、部分点が入るかもしれない。)一方、1であれば、あれこれ考えているうちに4つの答えのうち、1つ、2つは見つけられるかもしれない。3であれば、(1)は場合分けがあるので難しいが、(2)はa=1で考えるので難しくない。(2)だけを解くのもありだろう。5は必要十分性に気を付けて論証しなければいけない問題だが、多少論理が甘くても部分点は狙えるだろう。このように少しずつでも点を拾っていけば、たとえ完答できた問題がなくても、他の教科の出来次第で合格できる可能性も残る。2017年のような場合は、180分間、最後まで諦めず、そして泥臭く点をとることに集中することが大事である。

入試対策

内容のところで述べたように、出題範囲は偏っているように感じるかもしれない。
もちろん、実際に偏りはあり、頻出分野の対策は大事である。しかし、2015年のように、確率の代わりにベクトルが出題されたこともある。数列のように極限、微分、積分、整数、確率などと融合されて出題される分野もある。さらに、2016年のように、数学Ⅲの出題が極端に少ないこともある。このような例を見れば、分野を絞った学習が危険であることはわかるだろう。まずは、全分野を基本から満遍なく学習し、その後、頻出分野を中心とした演習をしていくのがよいだろう。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。