2017年度入試
出題分析と入試対策
  北海道大学 日本史

過去の出題内容

2017年度

番号 時代 テーマ 形式
1 原始~明治 日本列島における農耕の歴史に関する問題 記述・論述
2 平安~室町 院政期および守護に関する問題 記述・論述
3 江戸 近世日本の国際関係をテーマとした問題 記述・論述
4 明治~昭和 明治憲法体制と戦後民主主義に関する問題 記述・論述

2016年度

番号 時代 テーマ 形式
1 大和~平安 文化財の保存および武士の成長に関する問題 記述・論述
2 鎌倉~江戸 貴金属をテーマとした問題 記述・論述
3 江戸~明治 中村正直をテーマとした問題 記述・論述
4 昭和~平成 国家総動員法および憲法9条・自衛隊に関する史料問題 記述・論述

2015年度

番号 時代 テーマ 形式
1 大和~平安 古代の総合問題 記述・論述
2 鎌倉~室町 資・史料を利用した中世の総合問題 記述・論述
3 原始~江戸 江戸時代までの「三つの文化圏」に関する問題・石高制と農民の負担に関する史料問題 記述・論述
4 明治~昭和 山県有朋および近現代の沖縄に関する問題 記述・論述

出題分析

分量

ここ3年間の問題量を整理すると次のようになる。
〔2017年度〕 
小問数57問、内12題が論述、その総字数495~535字+4行
〔2016年度〕 
小問数64問、内12題が論述、その総字数390字+7行
〔2015年度〕 
小問数55問、内11題が論述、その総字数520字
例年大問4問という構成である。また、論述の総字数は2014年度以降500~600字前後となっている。題意がとりにくい設問が含まれることも多く、90分という試験時間はかなり厳しいものと思われる。

パターン

北大日本史では記述形式と論述形式の問題が出題される。また、史料問題が必ず出題されるという点も大きな特徴である。特に中・近世と近現代の出題では、史料が用いられる確率が高い。

内容Ⅰ 時代・分野別

北大日本史の場合、原始時代から戦後史まで、まんべんなく出題されると考えてよい。特徴としては、前近代では文化史や対外関係史、社会経済史が頻出であること、近現代では幕末・維新期からの出題が多いことや戦後史が必須であること、時事的な内容にかかわるテーマが取り上げられることなどがあげられよう。また、全時代を通じて蝦夷地・北海道史がよく出題されることも特記すべきことである。続縄文文化や擦文文化など北海道特有の文化、中・近世におけるアイヌと和人の攻防、明治政府による開拓の歴史などは必須事項である。

内容Ⅱ 論述問題

過去3年間、論述形式の問題は以下のような内容・字数で出題されている。
〔2017度〕
1 問8 (2) 場所請負制度の浸透とアイヌによる農耕の衰退との関係(30字)
問9 近代的な農業技術の導入にあたり、アメリカ合衆国が手本とされた理由(60字)
2 問2 保元の乱の頃に摂関家の実権が低下していた理由(40字)
問4 (2) 保元の乱の歴史的意義(50字)
問5 (1) 大犯三カ条の内容(各1行、計3行)
問7 観応の半済令の内容(40字)
3 問3 (2) 琉球国王から謝恩使が派遣される際の名目(40字)
問6 (2) 豊臣政権期の対外政策(45字)
4 問3 福岡孝弟の草案が由利公正の草案とは別個の案と言える理由(1行)
問4 帝国憲法制定の経緯について、尾崎行雄が示した歴史認識が現在の歴史教科書とは異なる点(80~100字)
問5 帝国憲法で定められた臣民の権利について、尾崎行雄の評価が現在とは異なる点(80~100 字)
問8 1920年に普通選挙が実現するとの予想が外れた理由(30字)
〔2016年度〕
1 問5 建造物や遺跡が世界文化遺産として登録されることで生じる利点・欠点(各2行)
問6 平将門の一族が関東で勢力を振るっていた理由(60字)
問8 (2) 瀬戸内海で海賊が横行した理由(30字)
2 問3 代銭納が発達する条件(40字)
問4 (2) 日本を「黄金の国」としてとらえていたイベリア半島勢力が、現実の日本を「発見」した経緯(40字)
(3) 「大航海時代」という表現に投影されている歴史観(40字)
問5 天正大判などの大判のおもな使用目的(1行)
3 問3 (3) 朱子学が幕府公認の教学とされた理由(50字)
問4 (2) 徳川家茂が1865年に上方へ赴いた目的(80字)
4 問2 国家総動員法が政府に与えた強大な権力の内容(50字)
問11 村山富市首相の自衛隊容認に関する発言以前の、日米安保体制および自衛隊に対する社会党の立場(2行)
〔2015年度〕
1 問1 藤原不比等の娘宮子が文武天皇の皇后とならなかった(もしくはなれなかった)理由(60字)
問4 (1) 郷戸と房戸についての説明(80字)
問5 8世紀半ば以降に班田の手続きが煩雑になった理由(30字)
2 問1 (3) 引用された「一遍上人絵伝」に描かれている舟橋が設けられた理由(40字)
問6 小早川氏が自身の家臣らを、交通・流通の拠点である市場に居住させなかった理由(60字)
3 問4 幕藩体制が確立した17世紀における、アイヌの人々や南西諸島の人々に対する支配体制の説明(50字)
問5 (2) ひとつの墳墓から和同開珎と須恵器が出土した場合、その墳墓の推定成立年代とその理由(40字)
問7 高と石盛・反別の関係についての説明(30字)
4 問2 1873年の徴兵令における兵役免除の対象についての説明(40字)
問3 「利益線」の意味と山県が想定していた地域についての説明(60字)
問5 沖縄から九州へ向かった対馬丸に沖縄住民が多数乗船していた理由(30字)

入試対策

対策Ⅰ すべての基本は教科書!

例年記述形式の問題では、教科書を中心とした勉強で十分な合格点が得られる基本事項が問われていた。これに対して2010年度以降、教科書での掲載頻度が非常に低い用語や、知っていたとしても果たして記述することができるのだろうかと思われる用語なども問われるようになってきている。しかし、論述対策も必要となることを考えると、やはり教科書が学習の基本であることに変わりはない。詳しい内容まで掲載されている参考書を読み進めて高得点をめざしたいという気持ちはわかるが、教科書レベルの内容も頭に入っていない段階で参考書を読んでも、結果的にはたいした得点につながらない。まずは教科書(脚注も含む)に掲載されている歴史事項や流れを確実にすることである。そして、それは同時に、センター試験対策を怠らないようにすることでもある。

対策Ⅱ 参考書で知識の補強・拡張を!

教科書に掲載されている内容が理解できたら、参考書を読んで知識を補強・拡張するとよい。ここ数年の問題をみると、一般的な教科書には掲載されていないが、『詳説日本史研究』(山川出版社)を参照すれば解ける問題なども少なからず出題されている。いつも使用しているものとは別の教科書を読んでみるというのもよい。同じ山川出版社のものでも、『詳説日本史B』に対して『新日本史B』を読んでみるといったやり方である。教科書によって解説の方法や取り上げるテーマが異なっているので、知識の補強・拡張に役立つ。
ただし、これはあくまでも難問対策である。難解な用語が複数問われるとはいえ、教科書レベルの記述・論述形式の問題が依然半数以上を占めることを忘れないでほしい。

対策Ⅲ 史料対策は必須!

北大日本史の場合、史料対策は必須である。日常的に史料集を手元におき、頻出史料は一つ一つ確認しながら学習を進めるという方法が望ましい。未見史料も出題されるが、史料に読み慣れていれば手がかりが見つけやすくなるので、やはり頻出史料の確認を怠らないことである。その上で、未見史料を多く出題する大学の過去問(早稲田大学、中央大学、日本女子大学など)を解いてみるのもよい。また、『日本史史料問題集』(駿台文庫)には未見史料の考え方も掲載されているので、史料を読解する上でのよい指針となるだろう。

対策Ⅳ 論述対策には教科書の読み込みを!

10~30字から80~100字程度の論述形式の問題が複数出題されるので、日頃から書きまとめる訓練を積んでおく必要がある。
論述対策には歴史事項の正確な把握が欠かせないため、教科書のように流れを重視したものをくり返し読み込むとよい。過去問を実際に解く場合には、もちろん自分で考えることが大切だが、論述の手本ともいうべき教科書の記述を参考にしてもかまわない。書きまとめた答案は、できれば第三者に添削してもらうとよい。友人と同じ問題を解き、答案を交換して互いの解答に対して意見を述べ合うというのもよいだろう。また、北大日本史の場合、史料を読解した上で論述させるものや題意のつかみにくいものが出題されることもあるが、過去問にあたって具体的にどのようなものであるかを知っておくことで心構えができるだろう。

対策Ⅴ 模擬試験で実力試しを!

駿台で実施する北大入試実戦模試では、実際の入試と同じように、限られた時間の中で、同じ出題形式により、しかも出題の可能性が高い時代・テーマの問題にあたることができる。頻出テーマが確実におさえられているか、未見史料への対策は十分できているか、制限時間内で的確な論述ができるようになっているかなど、日頃の学習の成果を確認できる機会として最適である。また、駿台全国模試も論述形式の問題が含まれ、記述形式の問題でも難度の高い用語などが問われるので、よい訓練の場となるだろう。
"努力に勝る天才なし"
労を惜しまず、着実に前進していこう。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。