2017年度入試
出題分析と入試対策
  北海道大学 地理

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容 形式
1 地図・地形図の読図 統計地図(流線図、ドットマップ)、愛媛県「八幡浜」の地形図の読図、リアス海岸の形成要因、養殖場が作られた理由、みかん栽培が盛んになった理由、地図記号、実際の距離と方位 選択・記述・論述
(8問 論述は1行×1、2行×3)
2 気候 地球上の大気現象、気候要素の定義、北緯50度付近にある都市、最暖月気温と最寒月気温のグラフからの都市の判別、ハイサーグラフ、赤道付近に降水量が多い理由 選択・記述・論述
(8問 論述は2行×2)
3 交通と貿易 運河と海峡の名称、モータリゼーションによる温室効果ガスの影響を少なくする方策、時間距離、貨物と旅客の輸送量の内訳からの国名判断、自由貿易に関する協定(GATT、WTO、AFTA、NAFTA)、保護貿易の定義、市場経済の導入を進めている国 選択・記述・論述
(7問 論述は2行×1、3行×1)
4 工業立地と工業集積 国際分業、多国籍企業の現地化、主要国の粗鋼生産業の推移、都市再開発、第三のイタリア、イタリア北中部の気候、知識産業 選択・論述・論述
(8問 論述は2行×2)

2016年度

番号 項目 内容 形式
1 地図・地形図の読図 北海道「帯広南部」、「尾瀬ヶ原周辺部」の地図・地形図の読図、緯度、防風林、面積計算、工芸作物、スキー場が作られた自然的条件 選択・記述・論述
(8問 論述は2行×2、3行×1)
2 農業 北アメリカとアジアの人口と食料生産の推移、雨温図の判別、ネリカ米、遺伝子組み換え作物、産業別人口構成の変化、三大穀物の世界の生産量と輸出量、日本の稲作農家の保護と関税 選択・記述・論述
(7問 論述は3行×2)
3 環太平洋地域の地誌 東北地方太平洋沖地震の発生メカニズム、空欄補充、海流とその特徴、時差の計算、ニュージーランドの先住民族、経済連携協定(EPA) 選択・記述・記述
(7問 論述は3行×2)
4 人口 人口ピラミッド、空欄補充、中東地域の難民、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、中国の地名、東アジア諸国の特徴、限界集落 選択・論述・記述
(8問 論述は2行×2)

2015年度

番号 項目 内容 形式
1 図法・地形図の読図 図法、三角点の説明、地形図の読図(土地利用:自然堤防・後背湿地、砂丘)、統計地図の読み取り、鳥瞰図 選択・記述・論述
(8問 論述は2行×2)
2 工業の立地 製造業種の判別、ハブ空港、マレーシアの貿易形態の変化、プライメートシティ、技術革新、日本からの留学生の推移 選択・記述・論述
(8問 論述は2行×3、4行×1)
3 極地(北極圏・南極圏)の地誌 北極地域の日照時間、ハイサーグラフ、永久凍土の南限、地球温暖化、排他的経済水域、ロシア極東地域(アムール川・カムチャツカ地方、サハリン州)の輸出額構成比、海峡・諸島名、オゾン層の破壊による健康への影響 選択・記述・記述
(8問 論述は3行×3)
4 教育(現代世界の課題) ユネスコ、サヘル周辺諸国、ストリートチルドレン、2004年以降のEU加盟国の特徴、東南アジア諸国、ドイツへのトルコ人留学の背景、学習到達度の高い国・都市 選択・論述・記述
(8問 論述は2行×2)

出題分析

出題形式(全体的な傾向)

問題4題での出題が定着している。各大問は、最初にリード文がある形式がほとんどであるが、大問1に関してはリード文に代わり地形図が示されることも少なくない。今年の大問1ではリード文と地形図の併用であった。各大問の中で、選択問題、リード文中の空欄補充や用語・地名などの記述式問題論述問題がバランスよく出題されている。大問によって多少ばらつきはあるものの、小問数で数えると、選択、記述、論述の各問題の比率はそれぞれ3分の1程度となる。因みに、解答欄の個数で数えた場合は、2017年度は選択26個、記述23個、論述10個となる。用語や地名など知識のみで答えられる問題もみられるが、地形図、ハイサーグラフや雨温図、統計地図や統計表を用いて地理的思考力を問う問題の比率が比較的高いのが特徴となっている。

分量

試験時間は60分なので、単純計算すると大問1題を15分以内で解答する必要がある。論述問題は、字数の指定がなく横幅が15cm程度の解答欄(2017年度は短い問題では1行、長い問題は3行)が与えられる形式となっている。1行当たり25~30字を目安に考えると、今年は総行数が20行で総字数は500~600字程度であった。論述問題の総字数は年々減少傾向にあるものの、論述対策もしっかりやっておかないと時間内で解答することは難しいだろう。知識問題は手際よく解き、思考力を要する地形図や図表の読み取り、論述問題には充分な時間をかけて取り組むようにしたい。

難易度

高校地理で学ぶ範囲を逸脱することはなく、教科書レベルの問題が大半である。難問や奇問もほとんどなく、学習の成果がそのまま得点に反映されやすい問題といえる。今年は出題されなかったが、かなり踏み込んだ内容の理解を問う時事問題(2012年、2013年、2015年など)や、道内出身者にやや有利とも思える北海道に関する細かい知識を必要とする問題(2014年、2016年など)も小問1問程度出題されることがある。さらに論述の分量や60分という試験時間を考えると難易度はやや難とも言えるが、2015年、2016年、2017年と連続して易化の傾向にあり、現在は教科書レベルと考えてよいだろう。

入試対策<内容分析と対策>

1.第1問では地形図の読図は必出、図法も頻出→多くの地形図に触れよう

第1問では地形図の読図が必出で、地図や図法も時として出題されるという傾向が2011年以降定着している。地図記号、方位の判断、距離や面積の計算、標高の読み取りなどの基本的な内容に加え、地形、土地利用、集落や産業の立地については理由や要因とともに論述問題で問われることが多い。北大の過去問はもちろんセンター試験の過去問などの地形図も、解説をじっくり読み込みながら研究してほしい。北大の過去問に取り組んでみると気づく人も多いと思われるが、2013~16年まで4年連続で北海道内の地形図を使った出題がみられた。北大だけあって、この地域の出題頻度が高いことがわかる。過去問で出題された場所以外でも、北海道で興味がある地域の地形図を購入し眺めたり、あるいは国土地理院のウェブサイト上で閲覧することも効果的であろう。地形図は慣れることが一番の対処法なので、できるだけ多くの地形図に触れるようにしたい。図法に関しても教科書をよく読んで理解を深めたい。

2.系統分野では各単元からバランスよく出題→教科書を熟読しよう

大問のタイトルだけを見ると、鉱工業、特に工業立地の出題頻度がやや高いようにも感じる。2017年度も第4問がそうであったが、2015年も工業立地が大問で出題されている。いずれの年度でも工業に関する統計表が使われたほか、ハイサーグラフや雨温図を使った気候の問題、さらに貿易、交通、都市、地誌など複数の単元にまたがった出題だった。農業、環境問題、人口などの大問の場合でも同様に、他の単元に関する内容を小問の中で問うており、各単元からバランスよく出題しようという意図が読み取れる。対策としては、まずはすべての基本である教科書をしっかり読みこなそう。また、掲載されている図や写真などにもしっかり目を通し、図や写真が意味することを自分の言葉で説明できるようにしたい。

3.地誌分野は全体の2割を超える→地図帳で常に確認しよう

2017年度は地誌の大問がなかったが、例年は大問4題中1~2題が地誌分野からの出題であった。しかし、上述のとおり系統分野の大問中で都市名や地名を問う小問が多くみられた(解答欄数では11箇所)。例年、地誌の問題中に系統分野の小問も多いことを考え合わせれば、地誌のウェイトは例年と大きく変わらず、全体の2割を超える地誌問題とも言える。また、地誌が大問として出題される場合は、2016年度の「環太平洋地域」や2015年の「極地」など、あまり馴染みがない地域区分から出題されることもある。対策としては、地名が出てきたら地図帳で必ず確認する習慣をつけよう。その際は、場所だけでなく周辺の国々との位置関係や地形なども併せて確認するようにしたい。それにより単元ごとの関連性が見えてくることも期待できる。

4.論述問題は10問前後出題される→教科書や統計集を使って論述練習をしよう

2011~17年の年度ごとの論述問題の総数は、2011年が12問、それ以降は8、12、13、9、9、10問となっている。上記「分量」の箇所で触れたとおり1行25~30字が目安となり、最大で約30字とした場合は2013年・2014年は約900字、2017年度は約600字と減少傾向にある。とはいっても、原稿用紙1枚半分の文章を書き上げ、さらに他の記述問題や選択問題を60分以内で解答することは容易ではない。論述問題の対策としては、やはり実際に文章を書いてみることである。基本的な理解がある程度できてきたら、教科書を使い、小項目ごとの要約、地理用語の説明、さまざまな地理的事象の理由や要因の説明、このようなことを自分で字数を設定し書いてみる練習が効果的である。また、統計集や図表集を使い、表や図から読み取れる内容を文章で説明するのもよいだろう。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。