2018年度入試
出題分析と入試対策
  東京大学 英語

過去の出題内容

2018年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「デマの拡散と人間の心理」〈標準〉
(B) 文・英文要約(客観・記述)
     「Verbal Overshadowing について」〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(記述)〈標準〉
(B) 英文和訳(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「マサイ族の相互扶助システムについて」(客観)〈やや難〉
(B) 「相互扶助社会と自立社会の長所と短所」(客観)〈やや難〉
(C) 「巨大波の仕組みとそれに対する備え」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「鳥の知力について」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述・客観)
「耳の不自由な女性とその母親」〈標準〉

2017年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「国際ビジネスで大切なこと」〈標準〉
(B) 文・単語補充(客観・記述)
     「経済的特権階級の利己的行動」〈やや易〉
2 英作文 (A) 自由英作文(記述)〈標準〉
(B) 自由英作文(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「コンピュータ・インテリジェンスの発達」(客観)〈やや易〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈やや易〉
(C) 「話者とその姉の関係」(客観)〈やや易〉
4 文法・語法 (A) 文法正誤(客観)「ドキュメンタリー映画とは」〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「一人でいること」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述・客観)
「ドリスと私の風変わりな関係」〈難〉

2016年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「社会の結束性を生み出す要因について」〈難〉
(B) 文補充(客観)「言論の自由はなぜ重要か」〈やや易〉
2 英作文 (A) 自由英作文(写真)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(空所補充)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「絵画のオークションと金銭的価値」(客観)〈標準〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈標準〉
(C) 「蚊に刺されやすい人と刺されにくい人」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 文法正誤(客観)「知識の重要性」〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「アフガニスタンの戦争報道とその実態」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「ホームレスの人々を排除しようとする社会環境」〈やや難〉

2015年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「危険察知における人間の非論理性」〈難〉
(B) 文・単語補充(客観・記述)
     「意思決定疲労で苦労していませんか?」〈やや難〉
2 英作文 (A) 自由英作文(イラスト)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「チリの砂漠に建設予定の天体観測施設について」(客観)〈やや難〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈やや難〉
(C) 「インターネット社会が人間の意識に及ぼす影響」(客観)〈やや難〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「暗号として用いられたナバホ語」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「母親と娘の間の複雑な愛情」〈やや難〉

2014年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)〈やや易〉
     「人間の活動が地球環境に及ぼす影響」について
(B) 文補充(客観)
     「機械化がさまざまな階層の労働に及ぼす影響」について〈やや難〉
2 英作文 (A) 自由英作文(会話文創作)(記述)〈やや易〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「今日の動物園の役割」(客観)〈標準〉
(B) 「万国博覧会の変遷に関するインタビュー」(客観)〈標準〉
(C) 「出世する上司の特徴に関する対話」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「福祉国家が与えるべき援助」について〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「子育てに悩む父親のつぶやき」〈やや難〉

2013年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「クモの巣の特徴とその応用可能性」について〈やや難〉
(B) 文補充(客観)
     「子供の時間認知能力の発達」について〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(会話文創作)(記述)〈標準〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「homeとは何か」(客観)〈やや易〉
(B) 「ある国の議会でなされた発言」(客観)〈やや易〉
(C) (B)に続く議論(客観)〈やや易〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳・内容説明問題(記述)
     「人間の思考の落とし穴」について〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「降霊術師にまつわる思い出」〈やや易〉

2012年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「現代社会における移民」について〈やや難〉
(B) 段落整序など(客観)
     「マナーのあり方」について〈やや易〉
2 英作文 (A) 空所補充(記述)〈やや易〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「『宇宙エレベーター』についての討論」(記述+客観)〈標準〉
(B) 「アメリカンフットボールについての文化人類学的考察」(客観)〈標準〉
(C) (B)に続く先生と学生二人による討論(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳「Kazuo Ishiguroとの対話」について(記述)〈標準~やや難〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「NYでサリーを着用した1ヵ月」〈やや易〉

2011年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「科学教育のあり方と展望」について〈難〉
(B) 段落整序問題(客観)
     “ Don’ t worry, Dad ”〈標準〉
(C) 不要文選択、文補充、趣旨選択問題(客観)
     「コーヒーハウス」について〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(空所補充)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「‘landscape ’という語の意味」(客観)〈標準〉
(B) 「Brook Farmという共同体についての講義」(客観)〈標準〉
(C) (B)に続く先生と学生二人による討論(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「クロスワードパズルの出現と影響」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「心の傷を負った少女と医師のやりとり」〈標準〉

2010年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「SFの存在意義」について〈やや難〉
(B) 読解(文補充・段落整序など)(客観)
     「小惑星帯から資源を獲得する可能性」について〈標準〉
2 英作文 (A) 空所補充(記述)〈標準〉
(B) 派生語補充問題(記述)〈易〉
3 リスニング (A) 「図書館と『書物』の変遷」(客観)〈標準〉
(B) 「同窓生たちの会話」(客観)〈標準〉
(C) 「ロールモデル」(記述)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「映画スターとは」〈やや難〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「William Porter(=O.Henry)の伝記」〈標準〉

2009年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 英文の趣旨をまとめる問題(記述)
     Annie Dillard: Seeing〈難〉
(B) 読解(文補充・段落整序など)(客観)
     「万年筆のコレクションについて」〈標準〉
2 英作文 (A) 空所補充(記述)〈標準〉
(B) 書き換え問題(記述)〈易〉
3 リスニング (A) 「超常現象に対する態度」(客観)〈やや易〉
(B) 「味覚」(客観)〈やや易〉
(C) 「石油を巡る情勢」(記述)〈やや難〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(客観)〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     Mary Gordon: Eleanor's Music〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
New York Times, February 5, 2006: Looking for the Lie〈標準〉

出題分析

分量

1.大問は5題であるが、1、2、4は(A)(B)の2題に、3は(A)(B)(C)の3題に分かれている。
2.制限時間を考えると量はかなり多く、すばやく問題の狙いをつかみ、設問を処理する力が必要である。

出題分野

「読む」「書く」「聴く」「話す」の4分野のうち、「話す」を除く3分野を網羅している。

全体を通じての特徴

東大の入試問題の最大の特徴は「オールラウンドな学力」が求められていることである。出題分野に関して言えば読解・作文はもちろんのこと、リスニング、さらには文法まで毎年出されている。
読解問題だけをとっても、4(B)のような英文和訳に限らず、1では「話の流れ」「論理の展開」を把握する能力が問われ、5では長文の読解力が求められている。また使用されている英文も論説文だけではなく、1題は小説・エッセイ等が出題されることが多い。
こうした出題を通じて、東大は受験生に「基礎を重視し、幅広くさまざまな分野を満遍なく学ぶことで真の英語力は身につく」ということを訴えたいのであろう。受験生としてはこうしたメッセージを真摯に受け止め、特定分野に偏らないオールラウンドな学習を心がけることが重要である。

本年度の特徴

1. (A)「デマの拡散と人間の心理」について述べた約350 語、3段落の文章。昨年に続き、設問の文言は「要旨をまとめよ」となっている。解答字数が70 ~ 80 字しかないので、第3段落を中心にまとめ、第1~2段落は簡潔に触れる程度にするしかない。
(B)「言語隠蔽効果」について述べられた、約800 語の文章。従来の文補充(空所5ヵ所、不要選択肢3文)に加え、文章で述べられている内容を「15~20語程度の英語で」要約するという設問が出題された。本文から必要な関連情報を拾い出すこと自体は難しくなかったはずだが、それを自分の言葉に置き換えてまとめることが出来たかどうかで差がついただろう。ちなみに、「できるだけ自分の英語で答えよ」という指示があるが、「できるだけ」と述べられていることから、単語は本文にあるものを使っても咎められることはなかっただろう。要約問題での負担増を考慮してか、文補充の方は例年よりずっと解きやすい問題であった。
2. (A)だが、Shakespeareの戯曲Julius Caesarからの抜粋を読み、それについて思ったことを書かせる。文学作品からの抜粋というのは新傾向である。Bは和文英訳で、1997年以来の復活であった。
3. (A)と(B)が内容的に連続しており、(C)は独立している。(A)(B)が共に対話・会話であることは非常に珍しい。2013 年や2008 年に近い形式が見受けられるが、それらも初めはほとんど1人が話しており、本年度のような本格的な対話ではない。全ての設問に5つずつ選択肢があり、特に(A)は選択肢が長いものもいくつかあったため、時間内に全ての情報を処理するだけでも相当大変だったはずである。加えて、選択肢の言い換えが巧妙で難しく、かなり細かな点まで聞き取ることが求められたり、設問の「キーワード」が該当箇所よりも「後に」登場するケースがあったり、相当難しかったと思われる。一方で(C)は、空所が文の途中にある設問が2つあったのが特徴的ではあったが、5題中3題は各選択肢が非常に短く、それ以外の2題も音声が十分聞き取れていれば容易に正解は選べるため、(A)(B)に比べ取り組みやすかったと思われる。
4. (A)本年度は文法問題ではなく整序英作文が出題されたが、これはマークシートが初めて導入された2015年以来のことである。マークシート導入以前の2003年~2014年における出題形は2種類で、「整序英作文」(2003、2004、2006、2013)、「不要な一語削除」(2005、2007、2008、2009、2010、2011、2012、2014)であった。
(B)例年通り下線部は3ヵ所であった。単語の意味や、英文の構造自体は捉えやすいものだが、自然な日本語にしづらい表現が多く含まれており、思ったほどは得点できなかったように思われる。
5. ここ数年、素材のジャンルは、物語文(2013年)→体験に基づくエッセイ(2014年)→物語文(2015年)→体験に基づくエッセイ(2016年)→体験に基づくエッセイ(2017年)と変化してきたが、本年度は3年ぶりに物語文からの出題となった。本文の長さは800語強(2013年)→1000語強(2014年)→1000語弱(2015年)→800語強(2016年)→ 900語強(2017年)→900語弱(2018年)と推移している。2018年度の英文は、登場人物の心理が読み取りづらい場面はいくつかあったものの、人物間の関係や物語の展開を把握するのが困難な箇所は少なかったので、ストーリー自体の理解に苦労した受験生はそれほど多くなかったと思われる。ただし、和訳問題や説明問題に関しては、文脈を正しく捉えたうえで適切な解答を作成するのは相当困難と思われる出題が見られた。久しぶりに出題された語句整序英作文も、前後の内容を踏まえて正しい英文を作るのに苦しんだ受験生が多かったのではないだろうか。一方、記号選択問題に関しては、注意を要する設問がいくつか含まれてはいたが、総じて取り組みやすいものが多かった。全体としての難易度は、昨年度よりやや易化したと言えるだろう。

入試対策

1.要約

過去の出題を見ると、年度によって設問の文言や字数に微妙な差はあっても、文章を理解した上で筆者の主張を中心に要点をまとめる力を試すという点では一貫している。東大に合格可能な学力があれば、どんな文章を読んでも「およそこんなことが書いてあるはずだ」というレベルの理解はできているはずである。したがって、「日本語の表現力」が勝敗の分かれ目になることも少なくない。「他人に向けた」「誰が読んでもわかりやすい」「明確で」「簡潔な」文章を書く訓練も積んでおかなければならない。
また、2016年以降3年連続で設問の指示書きが「要旨をまとめよ」になっている点に注意すること。この指示の場合は解答字数を考慮すると、「論点;筆者の主張」の部分を中心にまとめ、残りの部分は可能な限り言葉を圧縮して触れるのが常道であ り、どの部分に字数を費やすかの判断が求められていると言ってもよいだろう。

2.空所補充

2013年と2014年は動詞(助動詞)以下の部分が設問の対象だったが、2015年は文補充と単語補充、2016年は段落補充、2017年は文補充と単語補充となった。文補充問題は、「全体/この段落では、こういう話だから、これが内容上ふさわしい」という発想がまずあって、指示語・代名詞などは「裏付け」として利用しようという取り組み方が自然だと思われる。
もちろん、普段から論説文・解説文を読む際には、指示語・代名詞・名詞の言い換えなど「ローカル」な関係に意識を向けておかなければならないが、それだけではなく、パラグラフ/文章全体を俯瞰する読み方もしておかなければならない。

3.英作文

問題形式だが、過去5年間を見てみると、「写真を見て会話文作成」「ある格言に対する意見」(2014年)→「イラストを見て思ったこと」「相反する2つのことわざに対する説明と意見」(2015年)→「写真を見て思ったこと」「まとまったpassageの最終段落を書く」(2016年)→「与えられたテーマに対するコメント」「手紙文完成」(2017)であった。本年はこれが大きく変化している。まず、(B) が和文英訳に戻ったことが何よりも驚きだろう。次に、指定語数はここ数年増加傾向にあったが、40 ~ 60 語と減少している。最後に、1(B)で「15~20語程度の英語による要約」という設問が出題されているが、これも作文の1つである。つまり、Writing が1(B)・2(A)・2(B)と3分割され、「英文の要約」「自由英作文」「和文英訳」という異なるタイプの問題形式になったということだ。このスタイルが来年以降も踏襲されるかどうかはまだはっきりしない。
東大の入試問題はリスニング以外の問題にかけられる時間が実質80分強しかないことが最大の難関で(音声を聞きながら同時に設問を読んで解くのは至難の業で、事前に10分以内で設問を読んでおく必要がある。したがってリスニング全体に約40分かかることになるので、120-40=80ということ)、自由英作文は20~25分で書きこなさないと最後の問題5までたどりつくのが大変厳しくなる。本年は1(B)に5分、2(A)に10分強、2(B)に10分弱くらいの見当で問題を解くのがよいだろう。
自由英作文を書く上で重要なことは、基本的な語彙を使った基本的な英文をあっさりと書くことが大切。考えすぎるあまり複雑怪奇な内容を書こうとしたり、自分の語彙にない単語や熟語、構文を用いたりしないことだ。英作文は配点がにかなりのウェイトを占め(全体の4分の1)、受験生の間で点差のつきやすい分野であるから、作文での失敗は即不合格につながることをよく覚えておこう。

4.リスニング

リスニングの試験が始まる前に、可能な問題については設問・選択肢に目を通しておくことが必要である。そうすることで話のおおよその内容は予測できるものであり、内容理解に大きな差が出ることは言うまでもない。また、日頃から英文を耳にして、英語の音に慣れておくことも不可欠である。教材付録のCDや、過去のリスニング問題を収録したCDなどを活用し、さまざまな英語の音声に触れる機会をできるだけ多く作るようにしよう。

5.文法問題

マークシートが導入されて以来、整序英作文か私大型の「文法語法正誤」問題のいずれかとなっている。配点はそれほど高くはないと思われるので、時間をかけすぎないように注意すること。

6.英文和訳

英文和訳は、学生の学力がストレートに反映される出題形式である。東大に限らず他の大学でも以前ほど出題されてはいないが、だからといって準備段階で軽んじていいということにはならない。語彙力・熟語力を高める努力を日々重ねることはもちろんのこと、文構造の正確な把握抜きにしては英文の意味を正確につかむことは不可能であり、各文の意味が正確につかめないようでは、いわゆる「長文問題」に対処する力をつけることは不可能だからである。日々の学習の中で英文和訳に真剣に取り組むことこそ合格への必須の条件であることを肝に銘じてほしい。また東大では「全体から部分を考える力」を問う問題がよく出題されている。下線部だけで考えるのではなく、より広い文脈の中で単語の意味、英文の構造を考える姿勢を身につけてもらいたい。

7.長文読解問題

長文読解総合問題では、小説、エッセイ、論説文とさまざまな素材の英文が出題されてはいるが、実は出題の趣旨に大きな違いはない。いずれの素材にせよ、要求されているのは「必要な情報を的確に読み取ること」と「一見平易に思われるが、文脈を考慮しないと読み誤ってしまう表現を正しく理解すること」である。
したがって、本文の世界にできるだけすばやく入っていくための練習が不可欠となる。 そのためには、構文理解や段落理解とは異なる、「状況理解」を最優先するような英文読解体験をづるよう日頃から心がけることが重要である。具体的には、散在していることが多い「時・場所・人物描写」などに関する重要な記述を、表を使って整理するつもりで読むことになる。読解の素材は他大学の入試問題でもよいし、新聞記事やインターネット上の英文でもよい。そういう姿勢こそ、東大が求めている英語への姿勢の1つなのだから。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。