番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | 島と海 | A | 太平洋における島嶼 | 60字・60字・90字・記述・60字 |
B | カリマンタン島・マダガスカル島・バフィン島 | 選択・30字・90字 | ||
2 | 世界の水資源と環境問題 | A | 水資源 | 選択・30字・60字・60字 |
B | PM2.5 | 記述・60字・記述 | ||
3 | ヨーロッパと日本の産業・社会の変化 | A | ヨーロッパの人口構造変化 | 選択・60字・60字・60字 |
B | 日本の工業の変化 | 選択・60字・90字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | アメリカ合衆国とヨーロッパ諸国 | A | アメリカ合衆国の人口分布 | 30字・60字・90字 |
B | アメリカ合衆国北東部の都市群 | 60字・30字・90字 | ||
C | ヨーロッパ諸国の階級区分図 | 選択・30字 | ||
2 | 世界の農業 | A | 主要な食物油の世界生産量の推移 | 選択・選択・60字・60字 |
B | 主要農産物の自給率 | 選択・60字・60字 | ||
3 | 日本の都市、環境と災害 | A | 都市の環境と災害 | 記述・30字・60字・90字 |
B | 市町村合併 | 60字・60字・90字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | 自然環境と人間活動との関係 | A | 天竜川右岸の地形図読図 | 90字・60字・90字 |
B | 湿潤アジアにおける植生帯 | 選択・60字・60字・60字 | ||
2 | 世界の貿易 | A | アフリカ3か国の貿易 | 選択・60字・60字・60字 |
B | 日本の生鮮野菜輸入 | 選択・60字・60字 | ||
3 | 日本の都市と社会の変化 | A | 大都市内3区における人口密度と職業構成の変化 | 選択・90字・30字 |
B | 6つの人口関連データの判定 | 選択・30字 | ||
C | 3大都市圏の人口流動 | 60字・90字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | 世界と日本の化石燃料と再生可能エネルギー | A | 二酸化炭素排出上位国やバイオマス燃料の特徴 | 記述・60字・60字 |
B | 再生可能エネルギーの判定や推移理由 | 選択・60字・選択・30字 | ||
2 | ヒト・モノ・情報の流動 | A | アメリカ合衆国を中心とする音声通話の通信量 | 60字・60字・選択・60字 |
B | 主要都市圏の航空交通 | 60字・60字 | ||
3 | ヨーロッパの国々の産業と貿易 | A | ヨーロッパ4か国の輸出品構成と研究開発支出 | 選択・60字・60字 |
B | EUの貿易 | 60字・90字・60字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | 気候と地表環境 | A | 風化作用の強度分布 | 60字・60字・90字 |
B | 土砂崩れ前後の地形図読図 | 30字・60字・60字 | ||
2 | 世界の農業と水産業 | A | 低緯度沿岸の山岳地帯における自然環境 | 記述・90字・30字 |
B | 適地適作による大規模生産の問題点 | 90字 | ||
C | 世界の水産業 | 選択・60字・90字 | ||
3 | 経済・産業の変化と人口 | A | 世界の都市および農村の年齢階層別人口 | 選択・60字・60字 |
B | 日本の工業都市 | 選択・30字・60字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | ユーラシアとアメリカ合衆国の自然・産業・文化 | A | ユーラシアの自然・産業・文化 | 選択・記述・60字・60字 |
B | アメリカ合衆国の経済 | 選択・60字・90字 | ||
2 | 世界の農林業 | A | 世界の農業 | 選択・記述・60字・60字 |
B | 中国の農産物貿易 | 60字・60字 | ||
C | 炭素(森林)蓄積量 | 60字・30字 | ||
3 | 地図 | A | オルテリウスの世界地図 | 記述・60字・90字・60字 |
B | 数値地図(東京) | 90字・60字・60字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
---|---|---|---|---|
1 | 自然と人間 | A | 世界の自然災害 | 選択・60字・90字 |
B | 岐阜県南部の地形図読図 | 60字・60字・120字 | ||
2 | 資源と環境 | A | 世界の金属資源 | 選択・30字・30字 |
B | レアメタルの生産と資源政策 | 60字・60字 | ||
C | 硫黄の回収理由 | 記述・90字 | ||
3 | 日本の人口と人口移動 | A | 日本の出生数と死亡数 | 60字・30字・60字 |
B | 都道府県間の人口移動 | 選択・30字・90字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
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1 | 世界と日本のダムと環境 | ダムの目的・効果と問題点 | 60字・60字・90字・90字・90字 | |
2 | 地域間の交流と社会・経済の変動 | A | 日本への入国目的 | 選択・60字・60字・60字 |
B | 東アジア諸国内における地域格差と産業構造の変化 | 選択・90字・90字 | ||
3 | 交通と都市 | A | 日本の貨物輸送 | 90字・60字 |
B | 日本の主要港湾 | 60字・90字 | ||
C | ドイツと日本における都市の分布 | 記述・60字・90字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
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1 | 全球スケールおよび地球スケールの環境 | A | 森林と年平均流出量との関係 | 60字・60字・60字 |
B | 岩木山周辺の地形図読図 | 60字・30字・60字 | ||
2 | 世界と日本の食料 | A | ヨーロッパ各国と日本の食料自給率や農業の特徴 | 選択・90字・60字・60字・60字 |
B | 東南アジアにおける米の生産 | 選択・60字 | ||
C | 中国における大豆輸入 | 60字 | ||
3 | 日本の産業と人口の変化 | A | 産業別従業者数の変化 | 選択・60字 |
B | 市町村合併の理由 | 90字 | ||
C | 生産年齢人口と老年人口の変化理由 | 選択・120字 |
番号 | 項目 | 設問 | 内容 | 解答方式・論述字数 (下線は指定語句) |
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1 | 世界の主要な河川と海域 | A | 主要河川流域における自然災害、農業・環境問題 | 記述・選択・60字・90字 |
B | 海洋と排他的経済水域 | 記述・90字 | ||
2 | 鉄鋼業と環境問題 | A | 鉄鋼生産とエネルギー効率 | 選択・120字 |
B | ピッツバーグ都市圏の変化 | 30字・60字・90字 | ||
3 | 海外で生活する日本人と日本で生活する外国人 | A | 海外在留邦人 | 選択・60字 |
B | 在留外国人 | 90字 | ||
C | 海外長期滞在者 | 60字・60字 |
過去7年間の総字数の推移 | |
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年度 | 総字数 |
2017 | 930字(31行) |
2016 | 1020字(34行) |
2015 | 1020字(34行) |
2014 | 840字(28行) |
2013 | 930字(31行) |
2012 | 1020字(34行) |
2011 | 930字(31行) |
地理的な知識については、教科書レベルで対応可能である。ただし、大陸や主要国の自然環境、人口、産業、文化などの基本的事項を独立して把握するのではなく、相互に関連させて法則性を見出しながら理解する必要がある。たとえば、自然環境については環境が人間生活にどのような影響を及ぼしているかといった観点での整理である。また、横断的なテーマで出題されることが多いので、全分野にわたる内容整理を徹底して、横断的理解とともに不得意分野をなくす必要もある。
大問で出題されるほか、系統的分野の中の小問としても出題される。地理的事象を文字による単発的把握にとどめるのではなく、具体的な地域事例と併せて理解することが必要となる。そのために、地図帳による確認作業や白地図などを利用した整理をこころがけたい。また、2017年第1問や2010年第3問設問Cのような地理的感覚を養うために、地図帳を見る習慣もつけたい。新聞やテレビなどで紹介された地名や地理的事象は、地図帳で確認するという作業の積み重ねが要求される。ただし、地図帳を覚えるということではなく、地図帳で設定したテーマや事項を探すという認識の方がよいであろう。
資料の読み取り問題や統計解析の出題頻度は高い。ただし、その対策として重要な統計や分布図などを単に暗記すればよいということではない。初見の資料も少なくないことから、資料中の指標がなぜ選択されているのか、指標自体の特徴はないか、指標を操作して別の指標を見出せないかといった練習である。また複数の資料が提示されている場合には、それらの資料から読み取ることができる相関性はないかといった点にも着目したい。そして、資料から読み取ることができた内容と、これまで学習して習得した地理的内容を関連させ、資料から得られた内容を意味付けするとともに地理的事象の理解に努めてほしい。
地理は地球上で出現する事象を対象とするため、自然科学から人文科学・社会科学まで、様々な事象からアプローチされる。ただし、大学入試を意識する場合は、人間の生活に影響を与える地域的・社会的現象を理解する学問と捉えればよい。そのため、時事的な内容に関連した問題も出題されやすいので、新聞やテレビなどで報道されるニュースや特集にも注目したい。それらを題材にして、事象の地理的側面に着目した出題が見られるからである。論述問題で扱われる場合には、学問的評価が影響するため、新聞の特集記事などで詳解される内容にとどまることになる。2011年第2問の資源と環境や2012年第1問設問B(2)のリーマンショック、第2問設問A(4)のフェアトレード、2014年第1問設問A(2)のカーボンニュートラル、設問Bの再生可能エネルギーに関する問題などはその典型例といってよいであろう。また2017年第2問設問A(4)や2013年第2問設問Bのように、時事問題と直接つながらないと思っても、今日的な視点(バーチャルウォーターやフードマイレージ)が要求される問題もみられる。
時事問題対策にもつながることであるが、最新統計にも注意したい。2015年第2問設問Bでは、2013年の生鮮野菜統計が出題された。入試問題は前年度に作成されていることから、2013年の統計は最新統計ということになる。また、2015年第2問設問Aの貿易統計も2012年の統計が示されている。これも2014年に入手できた最新統計と考えることができる。地理を受験科目とするのであれば、最新統計も入手したいところである。
2017年第3問設問Bのような県別工業統計や農業統計、商業統計や人口変動などの地域別統計、2013年第3問設問Bのような日本の都市に関する出題もみられる。高等学校では日本地理の学習が少なく、新聞などを通しての時事問題把握を疎かにしがちであるため、日本地理を苦手とする受験生が少なくない。日本に居住している以上、日本を知ることは受験勉強以前の常識であるとともに、身近な空間現象から地理的な法則理解につなげる事例としても最適である。高等学校の地理教科書や参考書などで扱われることが少ないため体系的な学習や習得は難しいが、個々のアンテナを広げ、新聞・テレビ・雑誌・書籍など幅広い媒体に注目しておくことが必要であろう。
1~3行で簡潔にまとめる練習が必要である。3行で書く内容を2行で、同様に4行で書く内容も3行で論述できるようにしたい。無駄な記述を省くということであるが、加点ポイントも意識して組み込まなければならない。1行に2点分の配点という意識で答案を作成するのがよく、得点になる項目や内容を要求行数に応じて組み込みたい。4行以下の比較的短い論述問題は、加点法で採点されるという意識を有する必要がある。また、指定語句を使用する論述への対策も必要である。論理的な文章とするために、指定語句の使用順序を考慮するが、単なる羅列を避け、指定語句を補足して使用する必要がある。指定語句を使用する論述では、指定語句自体は加点対象にならないと考えておきたい。さらに、指定語句をヒントにしながら出題意図を汲み取り、解答すべき内容や項目を組み込めるようにしたい。2地点や2項目を比較する問題では、指定語句と対比できる語句を使用して説明できるようにするということである。
これらの点に注意しながら論述の練習をする必要があるが、自己採点は難しいことから、指導教員などから添削してもらうとよい。他人の目に触れることで、主観的な評価や思い込みなどを避けることができ、客観的な評価につながるからである。
2017年第1問設問A(3)の「排他的経済水域」は2008年第1問設問B(2)で、第2問設問Aの「水資源」の統計は2005年第1問設問Aにも出題されている。2009年第2問設問Bで出題された「東南アジアにおける米の生産量推移」に関する問題は、1997年や2004年にも出題されている。出題資料としては統計表やグラフの違い、指標が若干異なるといった点もあるが、「自給的作物の米」、「生産量と消費人口の相関性」といったテーマは同じである。過去問を学習することで、類似問題への対策だけでなく、出題者が有する問題意識や出題意図を読み取ることもできる。2016年第3問設問Bの「市町村合併」というテーマは2年連続の出題である。ただし、思い込みは厳禁である。2016年第2問設問A(3)は、2012年第2問設問Bの「中国における大豆など油脂類の輸入」と類似しているが、2009年の「中国における大豆の輸入」とは出題観点が異なっている。単なる出題分野や出題項目の把握ではなく、過去の出題テーマを認識するとともに、問題文の的確な読み取りが重要である。
過去問学習とともに他大学の入試問題にも挑戦したい。たとえば、2016年第1問設問C(ウ)の失業率は2016年のセンター試験で出題されており、第3問図3-1は2012年の名古屋大学、同じく図3-2は2003年の東京都立大学(現首都大学東京)で同様の資料が提示されている。2015年においても、第1問の地形図は2011年の北海道大学で出題された地域である。他大学やセンター試験の出題形式は東大と異なるが、それらの入試問題を演習することで東大の出題テーマの先取りをすることにもつながるのである。
過去問学習や他大学問題演習とともに、模擬試験も大いに活用したい。資料読み取りや論述問題の加点ポイント、新傾向問題などに対応するためには、様々なタイプの問題に慣れておく必要がある。さらに、予想問題としても利用できる。2016年は新課程入試となったものの、そのテーマは模擬試験で予想されていたものであった。東大の過去問からの分析は必要であるが、対策として十分とはいえない。とくに、時事的な要素が強い問題や新しいデータを使用した問題は、予備校などの模擬試験でないと練習することはできないであろう。
地形図の読図問題は1984~2001年まで出題されなかったため、「東大では地形図問題は出題されない」と思い込んでいた者も多かった。しかし、2002年・2009年・2011年・2013年・2015年と出題されており、近年は2年ごとに出題されるなど、定番化してきたといえる。
地図の図法や作成に関しては、平成元年の学習指導要領改訂で「図法については深入りしないこと」とされた。その後、平成11年、平成21年の新学習指導要領を通じて「地図」の重要度が高まり、「様々な地図と地理的技能の取り扱い」として、「地球儀や地図の活用」といったテーマの重要度が高まっている。2016年の段彩図・階級区分図・地形分類図・等高線図は、この流れからくる出題ともいえる。
地歴の試験時間は2科目で150分である。半分の75分を地理に振り分けるとすれば、大問3題が出題されることから、1題当たりの所要時間は25分程度と考えることができる。ただし、地理は日本史や世界史にくらべ論述量が多いこと、大問により資料数などが異なることもあり、時間配分を意識する必要がある。とくに、例年第1問で資料提示数が多く分析に時間を要する資料が提示される傾向もあるため、第1問から順番に解答した場合、第3問への時間配分が少なくなりやすい。他科目との兼ね合いもあり、解答する順番や時間配分もポイントとなる。