2017年度入試
出題分析と入試対策 早稲田大学 社会科学部 日本史
出題分析と入試対策 早稲田大学 社会科学部 日本史
過去の出題内容
2017年度
番号 | 時代 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | 古代~戦後 | 古代~戦後までの政治・社会経済 | 選択 |
Ⅱ | 古代~戦後 | 古代~戦後までの政治・文化・社会経済 | 選択 |
Ⅲ | 古代~戦後 | 古代~戦後までの教育 | 選択 |
Ⅳ | 古代~戦後 | 古代~戦後までの政治・経済・文化 | 選択 |
2016年度
番号 | 時代 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | 古代 | 平安時代の政治史 | 選択 |
Ⅱ | 中世 | 室町時代の日中・日朝関係と文化 | 選択 |
Ⅲ | 近世 | 近世のキリスト教と禁教政策 | 選択 |
Ⅳ | 近代 | 大正・昭和初期の政治・経済・文化 | 選択 |
Ⅴ | 近現代 | 満州事変をめぐる外交史と日本国憲法をめぐる戦後史 | 選択 |
2015年度
番号 | 時代 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | 古代 | 古代の政治・外交・文化 | 選択 |
Ⅱ | 中世 | 中世の政治・文化 | 選択 |
Ⅲ | 近世 | 江戸時代後期の政治・文化 | 選択 |
Ⅳ | 近代 | 近代の政治・経済 | 選択 |
Ⅴ | 近代 | 近代の政治・経済・外交・文化 | 選択 |
出題分析
分量
2017年度の早稲田大学社会科学部は、大問の問題数が5題から4題に減少したが、総問題数40問に変更はなかった。
試験時間は60分であることを考えると、充分ゆとりのある分量といえよう。しかし、史料問題・正誤判定問題の出題が多いこともあるので、このような形式に慣れておく必要はある。
試験時間は60分であることを考えると、充分ゆとりのある分量といえよう。しかし、史料問題・正誤判定問題の出題が多いこともあるので、このような形式に慣れておく必要はある。
パターン
2009年までは、記述とマーク両方の形式が見られたが、2010年からは、マーク形式のみの出題となった。マーク形式の中でも、正誤判定問題・語句選択問題・年代整序問題などがあるが、2017年度は、正誤判定問題の出題が全体の約8割を占める。
2016年に19問あった正解を2つ選ばせる設問は、13問に減少した。この形式の正誤問題は、選択肢を丁寧に吟味しないと正解を導けず、合否の分かれ目となるので、対策が必要である。
また、毎年出題されていた史料をリード文に用いた問題がなくなり、グラフを用いた問題が出題された。そして、時代ごとに大問が区切られる形式がなくなり、大問Ⅰ〜Ⅳ全てが、古代から戦後までのテーマ史となった。
2016年に19問あった正解を2つ選ばせる設問は、13問に減少した。この形式の正誤問題は、選択肢を丁寧に吟味しないと正解を導けず、合否の分かれ目となるので、対策が必要である。
また、毎年出題されていた史料をリード文に用いた問題がなくなり、グラフを用いた問題が出題された。そして、時代ごとに大問が区切られる形式がなくなり、大問Ⅰ〜Ⅳ全てが、古代から戦後までのテーマ史となった。
内容・特徴
第一に、すべての時代から出題されていることである。本学部は、極端に出題される時代がかたよるということはなく、原始時代以外、毎年、ほぼすべての時代から出題される。したがって、苦手な時代を作らないことが大切である。「時代のヤマをはる」ということがあってはならない。
第二に、戦後史が重視されているということである。2015年は、戦後史からの出題はなかったが、2013・14年と、連続して出題され、本年度も出題された。2011年は、他の時代の出題を減らしてまで戦後史を独立させて出題した。戦後改革・高度経済成長といった、戦後史の中でも多くの学生が対策をしっかりと行っている時期だけでなく、高度経済成長から現在に至るまでも、しっかりとした対策を行う必要がある。
第三に、史料問題の出題が多いということである。しかし、史料を読み込み、考えて答えを出すような、練られた史料問題は少なく、「基本史料の対策さえしていればよい」といった類の問題が多い。
第四に、「アジアの中の日本」という視点からの出題が多いということである。東アジア諸国との関係をテーマにした出題は毎年のように見られる(これは本学部に限ったことではなく、早稲田大学全体にも言えることである)。いうまでもなく、出るから重要なのではなく、現在の情況を考える上で、東アジア諸国との関係の歴史の知識が極めて重要であるから、そのような基本的な理解が受験生にあるのかを問うために出題しているのである。出るから重要なのではなく、重要だから出るのである。
第五に、文化史の出題が多いということである。文化史だけをテーマとして出題することはないが、必ず文化史が出題されているのも事実である。しっかりとした学習が求められる。
第二に、戦後史が重視されているということである。2015年は、戦後史からの出題はなかったが、2013・14年と、連続して出題され、本年度も出題された。2011年は、他の時代の出題を減らしてまで戦後史を独立させて出題した。戦後改革・高度経済成長といった、戦後史の中でも多くの学生が対策をしっかりと行っている時期だけでなく、高度経済成長から現在に至るまでも、しっかりとした対策を行う必要がある。
第三に、史料問題の出題が多いということである。しかし、史料を読み込み、考えて答えを出すような、練られた史料問題は少なく、「基本史料の対策さえしていればよい」といった類の問題が多い。
第四に、「アジアの中の日本」という視点からの出題が多いということである。東アジア諸国との関係をテーマにした出題は毎年のように見られる(これは本学部に限ったことではなく、早稲田大学全体にも言えることである)。いうまでもなく、出るから重要なのではなく、現在の情況を考える上で、東アジア諸国との関係の歴史の知識が極めて重要であるから、そのような基本的な理解が受験生にあるのかを問うために出題しているのである。出るから重要なのではなく、重要だから出るのである。
第五に、文化史の出題が多いということである。文化史だけをテーマとして出題することはないが、必ず文化史が出題されているのも事実である。しっかりとした学習が求められる。
難易度
早稲田大学は私立大学の中でも、最難関の大学であり、本学部も例外ではない。一部、普段の学習だけでは、解答が不可能、ないし、かなり困難な出題もある。しかし、そのような難問・奇問に惑わされることなく、取りこぼしのないように学習を行うことが求められる。
入試対策
第一に、すべての時代から出題されているのだから、苦手な時代を作らないことが大前提である。時代のヤマをはるといったことがあってはならない。日ごろの授業において、歴史の理解を重ねて学習すること。細かな知識・理解を問う出題が見られるからといって、単純な丸暗記に走ってはいけない。単純丸暗記は、すぐに無理が来る。理解を重ねた学習が、遠回りのように見えるかもしれないが、実は細かな知識をつける上でも効果的なのである。
第二に、戦後史の学習を怠らないこと。戦後改革・高度経済成長といった、受験生にとっておなじみのテーマだけでなく、高度経済成長以降という、あまりなじみのない時期からの出題も見られる。これを、「無理難題」といってはいけない。
早稲田大学という最難関の大学で、社会科学を学ぼうというのであれば、現代社会がどういう情況であるのか、しっかり考えているということが求められるのは当然である。受験生なのだから、毎日新聞を読む・ニュースを見るということは、当然のことと考えてもらいたい。
また、駿台予備学校に通うことが可能であるならば、夏期講習・冬期講習の『日本現代史徹底整理(戦後史)』の受講をおすすめする。
第三に、史料問題については、対策を充分にしておくことが求められる。史料問題は、基本史料問題と未見史料問題との二つに分けることができる。基本史料とは、高校の教科書に掲載されているような有名史料のことで、基本史料を使った問題というのは、「受験生がその史料を読んだことがある」ということが前提で出題される。したがって、基本史料問題は、対策をしていれば、確実に点をとることができるものである。その際、史料の大まかな内容だけでなく、その史料が書かれた歴史的背景なども学習することが求められる。駿台日本史科編『日本史史料集』(駿台文庫)は、このような基本史料を、充分すぎる「注」と、丁寧で分かりやすい「ポイント」を通して、効果的に史料対策を行うことが出来るので、本学部受験生には特にお勧めしたい。
未見史料問題とは、教科書には掲載されていない、受験生にとっては初見(未見)であることが前提の史料問題である。このような未見史料問題は、対策の必要はない。なぜなら、読んでいないことが前提なのだから。未見史料の場合、大切なことは、設問文から読んでしまうこと(本学部の問題では設問文を読んだだけで、史料を読まなくても解けてしまうような問題もある)。そして、大体どのような史料であるのかという、イメージをもってから、じっくりと史料を読み込み、設問にむかうことが大切である。
第四に、日中関係史・日朝関係史といった、東アジア諸国との関係をしっかりと押さえること。また、琉球・沖縄史やアイヌ民族史といった、日本におけるマイノリティーの問題については頻出である。この分野は、用語集の頻度①レベルまで出題されると考えたほうがよい。
第五に、文化史の取りこぼしをしないこと。しっかりとした理解を重ねた学習が大切であることは既に述べたが、最終的には暗記しないといけないこともある。いわば、最後のツメをやっているかどうかが勝負の分かれ目となることもある。文化史は特にそのような性格が強い。大まかなイメージだけでなく、覚えるべきことは覚えないと点にならない。そのことを肝に銘じて学習する必要がある。
第六に、『青本』を徹底的に使うことである。これまで述べてきたことを本番の試験会場で実践することは容易ではない。学習したことをきちんと点に反映するためには、過去問を通した演習が不可欠である。そして、その演習も繰り返し行うこと。それを実行すれば、ヨリ効果的な学習を行うことができる。
第二に、戦後史の学習を怠らないこと。戦後改革・高度経済成長といった、受験生にとっておなじみのテーマだけでなく、高度経済成長以降という、あまりなじみのない時期からの出題も見られる。これを、「無理難題」といってはいけない。
早稲田大学という最難関の大学で、社会科学を学ぼうというのであれば、現代社会がどういう情況であるのか、しっかり考えているということが求められるのは当然である。受験生なのだから、毎日新聞を読む・ニュースを見るということは、当然のことと考えてもらいたい。
また、駿台予備学校に通うことが可能であるならば、夏期講習・冬期講習の『日本現代史徹底整理(戦後史)』の受講をおすすめする。
第三に、史料問題については、対策を充分にしておくことが求められる。史料問題は、基本史料問題と未見史料問題との二つに分けることができる。基本史料とは、高校の教科書に掲載されているような有名史料のことで、基本史料を使った問題というのは、「受験生がその史料を読んだことがある」ということが前提で出題される。したがって、基本史料問題は、対策をしていれば、確実に点をとることができるものである。その際、史料の大まかな内容だけでなく、その史料が書かれた歴史的背景なども学習することが求められる。駿台日本史科編『日本史史料集』(駿台文庫)は、このような基本史料を、充分すぎる「注」と、丁寧で分かりやすい「ポイント」を通して、効果的に史料対策を行うことが出来るので、本学部受験生には特にお勧めしたい。
未見史料問題とは、教科書には掲載されていない、受験生にとっては初見(未見)であることが前提の史料問題である。このような未見史料問題は、対策の必要はない。なぜなら、読んでいないことが前提なのだから。未見史料の場合、大切なことは、設問文から読んでしまうこと(本学部の問題では設問文を読んだだけで、史料を読まなくても解けてしまうような問題もある)。そして、大体どのような史料であるのかという、イメージをもってから、じっくりと史料を読み込み、設問にむかうことが大切である。
第四に、日中関係史・日朝関係史といった、東アジア諸国との関係をしっかりと押さえること。また、琉球・沖縄史やアイヌ民族史といった、日本におけるマイノリティーの問題については頻出である。この分野は、用語集の頻度①レベルまで出題されると考えたほうがよい。
第五に、文化史の取りこぼしをしないこと。しっかりとした理解を重ねた学習が大切であることは既に述べたが、最終的には暗記しないといけないこともある。いわば、最後のツメをやっているかどうかが勝負の分かれ目となることもある。文化史は特にそのような性格が強い。大まかなイメージだけでなく、覚えるべきことは覚えないと点にならない。そのことを肝に銘じて学習する必要がある。
第六に、『青本』を徹底的に使うことである。これまで述べてきたことを本番の試験会場で実践することは容易ではない。学習したことをきちんと点に反映するためには、過去問を通した演習が不可欠である。そして、その演習も繰り返し行うこと。それを実行すれば、ヨリ効果的な学習を行うことができる。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。