2017年度入試
出題分析と入試対策
  大阪大学 地歴

過去の出題内容

2017年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)縄文時代の生業
(Ⅱ)東大寺の復興
(Ⅲ)バテレン追放令発令の理由と効果
(Ⅳ)日露戦争後~第一次世界大戦前の民衆騒擾
世界史 文・外国語 (Ⅰ)14世紀に書かれたフィレンツェ商人の『商業の手引』(文・外)
(Ⅱ)ロシア革命・ソ連が達成したことと残された課題(文・外)
(Ⅲ)ガンダーラの仏像がつくられた歴史的背景(文)
(Ⅲ)環太平洋地域の国家間による協力体制(外)
地理 (Ⅰ)人口構造・人口動態
(Ⅱ)文明と都市

2016年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)6世紀における仏教の受容過程
(Ⅱ)鎌倉府とその展開過程
(Ⅲ)17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新
(Ⅳ)明治維新後の沖縄県設置にいたる過程
世界史 文・外国語 (Ⅰ)中国歴代王朝の版図
(Ⅱ)古代~現代の地中海世界
(Ⅲ)大航海時代がもたらした生活習慣・食糧事情の変化
地理 (Ⅰ)発展途上地域における自然環境と農牧業
(Ⅱ)世界遺産の定義・種類、指定されたことによる利点と問題点

2015年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)9・10世紀における日中間の交流
(Ⅱ)鎌倉後期の御家人社会
(Ⅲ)参勤交代制度の内容・変遷・影響
(Ⅳ)日中戦争以後の経済統制
世界史 文・外国語 (Ⅰ)東南アジアの宗教・文化(資料使用)
(Ⅱ)中世~現代のヨーロッパ史と現代アジア史
地理 (Ⅰ)自然環境・気候
(Ⅱ)中国の経済成長と人口

出題分析

《日本史》

分量

2002年度以降、論述問題大問4問の出題が続いており、2007年度以降は4問とも200字程度で答案をまとめる問題が出題されている。解答用紙は、横書きで大問1問について、約18cmの罫線が8本記されるだけでマス目はない。設問の字数制限も200字程度となっているので、字数にそれほど神経質になる必要はないと考えられる。解答欄のスペースは十分あるが、180字~230字あたりを目安として、常識的な文字の大きさで答案を作成したい。

パターン

阪大で出題される論述問題の形式を分類すると下記の4パターンである。
A.展開過程を問う
例:
6世紀における仏教の受容過程(2016年度)
鎌倉府とその展開過程(2016年度)
明治維新後の沖縄県設置にいたる過程(2016年度)
古墳前期~後期の被葬者の性格の変化(2014年度)
鎌倉~室町時代の守護の職権の変遷(2014年度)
明治期の地方制度の変遷(2014年度)
5~10世紀の文字使用の歴史(2012年度)
17世紀における江戸幕府のキリスト教政策(2012年度)
新政府成立直後~松方財政期までの官営事業の展開(2012年度)
B.1つの時代や事象をいくつかの観点から多面的に説明させる。
例:
縄文時代の生業(2017年度)
17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新(2016年度)
日中戦争以後の経済統制(2015年度)
平城京の区画と施設(2013年度)
鎌倉時代の農業の発展(2013年度)
田中義一内閣の外交・経済・治安政策(2013年度)
足利義満の朝廷・外交政策(2012年度)
C.事項の内容説明とともにその背景や目的、結果や影響・意義を問う。
例:
東大寺の復興(2017年度)
バテレン追放令発令の理由と効果(2017年度)
鎌倉後期の御家人社会(2015年度)
参勤交代制度の内容・変遷・影響(2015年度)
太閤検地と幕藩体制における石高制の機能(2014年度)
開港が流通構造や物価に与えた影響と幕府の対策(2013年度)
D.時期の異なる2つ(以上)の事項を対比させる。
例:
9・10世紀における日中間の交流(2015年度)
享保改革期~田沼政権期の収入増加策(2011年度)
以前はCの形式が多かったが、近年はA・Bの形式が増加傾向にある。2012年度・2014年度・2016年度ではAの展開過程を問う問題が4問中3問に及んだ。一方、2013年度ではBの総合的な説明タイプが3問出題された。2015年度は4大問とも、A~Dの形式を複合させた出題であった。2017年度は3大問でCの因果関係が問われていた。
Aの展開過程を問う形式は論理的思考をさほど必要とせず簡単そうに見えるが、過不足なく答案をまとめることは予想以上に難しい。Aの形式への対応として、下記の4点に注意したい。
① 日頃の学習のさい、出来事や用語を暗記するだけでなく、時期を意識する。
② 設定されている時期を正確に把握する。
③ 設定された時期をいくつかに区分する。
④ 特定の時期の説明に偏り過ぎないように、バランスよくまとめる。
次にBの時代や事象について総合的に説明させる形式への対応としては、視野を広く多面的に考えることが大切である。例えば、「推古天皇の時代とはいかなる時代か」と問われた場合、政治・外交・社会経済・文化といったような多面的な視点から考察する習慣をつけておきたい。
Cの背景や目的、結果や影響・意義を問う形式への対応は、用語暗記にとどまらず、教科書の地の文に書かれている背景や目的、結果や影響・意義を意識して、学習することが大切である。
Dの対比の形式では、いくつかの対比するポイントを設定して、共通点や相違点を明確に表現したい。

内容

時代については、原始~近現代まで幅広く出題される。2017年度は、初めて縄文時代が出題された。現代史は比較的少ない。4問のうち(Ⅰ)原始・古代、(Ⅱ)中世、(Ⅲ)近世、(Ⅳ)近現代という出題方式が定着している。
分野については、例年は政治・外交・社会経済・文化の全ての分野から、ほぼまんべんなく出題される。しかし、2013年度は4問中3問が経済にかかわる問題であり、2014年度は4問中3問が政治史からの出題であった。なお、2015年度は、文化史からの出題はなかったが、2016年度は4問中2問が文化史からの出題であった。文化史に関する論述問題は得点差が開きやすいので、文化史学習を徹底したい。

難易度

2016年度は(Ⅰ)(Ⅲ)、2017年度は(Ⅰ)(Ⅱ)が文化史(原始文化を含む)からの出題であった。また、2016年度の(Ⅰ)~(Ⅳ)全て、2017年度の(Ⅱ)(Ⅲ)など対象とする時期やテーマが狭い範囲からの出題が増えているため、その範囲の学習が出来ていない場合、大問1問が白紙になることもある。どの時代も手抜きせず丁寧な学習を積み重ねる必要がある。2016年度(Ⅲ)の「17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新」は、受験生の学習がおろそかになりがちな江戸時代の学問について、正確な理解が求められており、難問であった。
2015年度は、(Ⅰ)の「9・10世紀の日中間の交流」は対比ポイントを自分で発想しなければいけない点が難しかった。(Ⅳ)の「日中戦争以後の経済統制の展開」は、受験生の学習が及びにくいテーマであったため難しかった。ここ数年、(Ⅳ)の近代史の問題で難問が続いているので、近代史の学習を徹底しておきたい。
2014年度は4問とも論述問題で頻出のテーマからの出題ではあったが、(Ⅳ)の「明治時代の地方制度の変遷」がやや難しかった。

《世界史》

形式・分量

本年、世界史の問題数は、2016年の16問(文学部・外国語学部とも)から激減して文学部が4問、外国語学部が6問だった。この問題数の変化は、2つの点で本年の問題の特徴を反映している。
第1の特徴は、2008年以降文学部と外国語学部で全ての問題が共通であったが、本年は(Ⅲ)のみ両学部で異なった問題を出したことである。第2の特徴は、昨年は語句記述問題・記号選択問題・論述問題と多様な形式で出題されたのに対し、本年は外国語学部(Ⅲ)の記号選択問題1問を除いて全てが論述問題であった。このため文学部・外国語学部の問題数が異なり、また問題数が昨年から減少しているのだ。
2012年における外国語学部の世界史必須化(地歴教科では)以降、記述問題が増加し、論述問題の制限字数は減少してきた。特にこの傾向が顕著であった2016年には問題総数16問のうち、語句記述問題が6問(短文とセットのものを含めれば7問)、記号選択問題が2問出され、論述問題の制限字数は50字~150字(大阪大学では"程度")と短いものばかりであった。しかし、本年は上述のようにほぼ論述問題のみとなり、しかも200字(文学部Ⅲ)、250字(Ⅰ・問2)、300字(Ⅱ)とかなり長い問題も出題され、論述問題の総字数も昨年の820字から本年は文学部で900字、外国語学部では910字に増加した。つまり形式面では、2017年の世界史はここ数年の方向性からかなり大きな変化があったと言えよう。
もちろん語句記述問題や記号選択問題の全てが易問だとは言わないが、少なくとも受験生にとって論述問題の負担感が大きいことは確かだろう。従って、本年は論述問題を意識して対策を行ってきたか否かで結果に差がついたのではないかと推測される。論述問題の解答を的確かつスピーディーに作成するためには、知識と技術の両面での訓練が不可欠である。特に大阪大学の論述問題は比較的短い制限字数のなかで広域あるいは長期にわたるテーマを簡潔にまとめる手際の良さが求められる。来年も論述問題の比重が全く同じであるとは断定はできないが、論述問題が得点の鍵を握ることは間違いないだろう。

パターン

大阪大学の出題パターンは、毎年変化する。
年度 大問数 特徴
2013年 2問 冒頭にGDPのグラフを掲げ、全問題をグラフと関連付け出題
2014年 3問 (Ⅰ)は前年の問題に関する会話、(Ⅱ)はムガル皇帝の絵を使い出題
2015年 2問 (Ⅰ)は東南アジアの文字の写真、(Ⅱ)は内村鑑三の講演を使い出題
2016年 3問 (Ⅰ)~(Ⅲ)ともリード文を利用、語句記述・記号選択・論述を出題
出題形式が昨年から大きく変化したことは、すでに「形式・分量」で述べた。ただしパターンは毎年変化するが、変わらないことが2つある。1つは論述問題重視であり、これは本年の形式的特徴でもはっきりと表れている。もう1つは世界史を文字通り「世界の歴史」として見渡させようという出題の方向性である。詳しくは続く「内容」を参照して欲しいが、本年も14世紀前半のユーラシア大陸(Ⅰ・問2)、ガンダーラ美術の背景(文学部Ⅲ)、19世紀後半~20世紀の環太平洋地域(外国語学部Ⅲ・問2・3)など、広範な地域や諸地域間の交流を取りあげた大阪大学らしい問題が並んでいることに注目して欲しい。

内容

(Ⅰ)
フィレンツェ商人フランチェスコ・ペゴロッティが14世紀前半に編纂した『商業の手引』の一部を引用
問1 この書物が編纂された当時のイタリアの政治状況を150字程度で答える問題。条件の「地域差」から、半島全体の分裂状況を考えつつ、「宗教勢力」から教皇党(ゲルフ)や教皇を想起して都市内部での抗争にも触れられるかどうかがポイントとなった。
問2 史料の下線部で述べられているシステムが中国経済に与えた影響を250字程度で答える問題。解答の軸は下線部で述べられている通貨システムを、条件にある「前後の時代」や「ユーラシア西方地域」の通貨システムとどうやって結びつけるかにある。この問題は、タテ(中国経済史の展開)とヨコ(14世紀のユーラシア大陸)を組み合わせた非常に面白い問題である。
(Ⅱ)
ロシア革命とソ連が達成したことと残された課題を300字程度で答える問題。「生産手段を公有化した最初の社会主義革命」とあるから、「何が達成され」とは社会主義革命の目標・目的に沿った動きを指すと考えられる。一方、「何が課題として残されたのか」は課題を問題点と捉えればソ連史のネガティブな部分に着目して説明していくことになるだろう。
<文学部>
(Ⅲ)
ガンダーラ地域で製作された仏像の写真2枚を示し、このような像がつくられた歴史的背景を200字程度で説明する問題。写真の仏像が、クシャーナ朝時代のガンダーラ美術(様式)ものであることは明示されている。ガンダーラ美術がギリシア・ヘレニズム文化の影響を強く受けていることは基本的な知識であり、これが条件「文化交流」の側面と結びつく。一方、条件「仏教の発展」の側面は、クシャーナ朝期までの仏教史の展開を指すと解されるから、本問も(Ⅰ)・問2同様、タテ(インド仏教史)とヨコ(ヘレニズム文化の影響)を組み合わせた大阪大学らしいテーマ設定の問題だ。
<外国語学部>
(Ⅲ)
アジア太平洋経済協力(APEC)や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)など環太平洋地域における国家間の協力
問1 ポリネシアの島々を探検した人物を選択肢から記号で答える問題。該当する人物をすべて答えなければいけないが、タスマンとクックは教科書でも同じ箇所で説明されており、またコロンブスとアムンセン(アムンゼン)が該当しないことも分かりやすいので、正解しやすい問題であった。
問2 アメリカ合衆国が環太平洋地域に対して政治的な発言力を有するようになった過程を、1860年代~90年代と1940年代後半~80年代に分けて、各80字程度で答える問題。条件「その時期に起きた戦争と関連させながら」からまず各時期の戦争を引き出し、それをテーマと関連付けて説明していくことになるが、字数が短いため説明にはかなりの工夫が求められる難問だ。
問3 ヨーロッパ連合(EU)の協力の特徴を、アジア太平洋経済協力(APEC)と比較して50字程度で説明する問題。比較なのでEUとAPECとの共通点・相違点を意識する必要があるが、そのためにはEU・APEC双方の方針をきちんと理解しておかなければならず、短いがこれも答えにくい問題であった。

難易度

大阪大学の問題をあまり意識せず、一般的な受験勉強に終始した受験生には2017年の問題はかなり難しかっただろう。「パターン」で述べたように、論述問題が中心であり、時代・地域を越えて広く世界史を見渡せる知識力が求められるという特徴は、本年の問題にも十分表れていた。前者は世界史の知識を理解し、それを使いこなせるようにしておけという要求からくるものだろう。後者も「世界史」は単なる諸地域史の寄せ集めではないという大学側の基本的な姿勢を反映しており、現に交流・影響などを切り口とする問題は毎年出題されている。言い換えれば、大阪大学は問題を通じて受験生に向けてメッセージを発信しているのだ。だから大阪大学を志望する受験生は、過去問研究を通じてメッセージを十分に受け取り、それに基づいて世界史の知識を鍛え直し、また論述問題対策を行って文章で説明する力も身に付けておくべきだ。そうした準備をちゃんと行ってきた受験生ならば、論述問題の比重が高まった本年の問題にもとまどわず、合格点をとることができただろう。大阪大学の問題の難易度は、受験生の大学への思いによって変わってくると知って欲しい。

《地理》

分量

2017年の論述字数は、合計1050字程度で、2016年と比べて50字増加した。また、グラフなどの図表が多かったので、解答には、やや時間を要したかもしれない。

パターン

2016年には出題されなかった統計問題が多く出題されていた。ただし、国名の判断などの短答問題はなく、すべて150~250字程度の論述問題であった。

内容

例年、実にオーソドックスな問題と、時事的な内容を含むやや難しい問題の組み合わせで構成されており、2017年度もその路線に沿ったものであった。ただし、(Ⅰ)は内容が多岐にわたり、(Ⅱ)は小論文のように漠然とした問いかけがなされており、必要な事柄を所定の字数内でまとめるのは難しいだろう。

難易度

2017年は、(Ⅰ)の人口に関する問題は、いずれも比較的平易な内容であるが、情報量が多いので、それをうまくまとめるのは難しい。(Ⅱ)文明と都市の問題は、やや難しかった。問1は、古代文明が生まれた地理的背景を考えさせる良問。問2・3は、それぞれ3つ程度の類型をあげて述べるとよいが、問3の世界都市のうち、国際金融都市以外の類型は難しい。

入試対策

《日本史》

阪大の日本史の対策は高校教科書学習の徹底に尽きる。用語暗記のみに留まらず、高校教科書をベースとして因果関係を意識した学習を地道に積み重ねれば合格点に達することができる。受験生の目安としては、センター日本史Bで必要とされる知識を正確に記述できることを目指すとよい。とはいえ、知識を文章化するにはかなりの練習が必要であり、阪大の過去問や類似した論述問題が出題される京大の過去問を解き、実戦力を鍛えたい。
なお、阪大日本史には頻出の時代や分野が存在する。一例を挙げれば、中世の社会経済に関する問題が2008・2010・2013年度で出題されている。過去問を解く際に高校教科書の近接したページにも目を通しておくとよいだろう。
論述問題では、答案を誰かに採点してもらうことが必要であるため、独学ではなかなか効果が上がらない。駿台の講習会や添削形式の日本史論述対策講座を受講することが、論述力アップの近道である。

《世界史》

では、大阪大学の「世界史」にチャレンジするために必要な対策を、知識と論述対策の両面から検討していこう。
① 知識
a)
知識量は教科書にあるもので十分だが、論述問題などではテーマにあわせて知識を使いこなす力が求められる。論述問題では「××世紀」だけで判断しなければいけないことも多いから、最終的には「時代」+「場所」+「ジャンル」の3情報で知識を引き出す力を身に付けたい。その力を養うために、先ずは各地域・各国の歴史を通観していこう。その際には「世紀」を時間の基準として確認し、主要なジャンル(制度・政策・経済など)の流れを意識しながら進めていくようにしたい。ある程度各地域の動きが「世紀」単位で浮かぶようになったら、次は地域間の交渉や時代の特徴といった、横の広がりをもった問題に対応できるよう「世紀」毎の世界史を確認していこう。大変なようだが、既に地域毎の展開が「世紀」単位で理解できていれば、時代史や交渉史を捉えるのはそれほど難しくはない。
b)
大阪大学は独自の視点での出題を繰り返すことを踏まえ、過去問研究によって大阪大学が好む切り口を知り、知識を再確認しよう。地域間の交渉や宗教・文化の伝播、一地域の歴史的展開などの諸テーマにあわせて知識がうまく引き出せるかを繰り返しチェックしておけば、実際の入試でも慌てることはなくなる。
c)
大阪大学の問題では、地理(空間)についての認識が不可欠である。学習は、できるだけ歴史地図を見ながら進めたい。できれば自分でも地図を書くように癖づけると、地理的イメージは身につきやすい。また、文化史や経済史など受験生が苦手としやすい分野もよく出題されるので、教科書の全範囲を隈なく学習するように気を付けよう。
② 論述対策
論述問題と言えば、頭の中にある知識を文字に移すこと、と思っている人もいるかも知れない。しかし、実際には知識以外に問題文読解の技術(文中の表現や指定語句をヒントに、問題文の意図を厳密につかむ技術)、構成の技術(問題の要求にあわせアウトラインを組み立て、字数に応じて説明内容を決める技術)、論述の技術(文章の形で説明する技術)があって、満足のいく解答を完成させることができる。こうした技術を独学で身に付けることは非常に難しい。学校の先生に添削をしてもらったり、予備校での論述講座を利用して、論述問題に解答する腕を磨いて欲しい。

《地理》

まず、高校や予備校の授業を欠かさず受け、その予習・復習をしっかりすること。そうして基本的な知識を身につければ、オーソドックスな問題で確実に点を取ることができる。オーソドックスな問題で完答できないようでは、大阪大学への合格は困難である。
2017年の問題でいえば、(Ⅰ)問1の世界各国の人口動態の特徴、問2の日本と南部アフリカの先住民族との人口動態の比較、2016年の問題では、(Ⅰ)問1のアンデス山脈周辺の土地利用、問2のアンデス、ヒマラヤ、アラビア半島の牧畜、2015年の問題では、(Ⅰ)問2の砂漠の形成要因、(Ⅱ)問1の中国の経済成長過程、などがそれにあたる。
時事問題については、新聞で毎日のように報道されている、地理と関連する記事(民族問題・環境問題・経済のグローバル化・人口問題・都市問題など)に関心を持ち、目を通しておくことが必要である。テレビの特集番組なども、時事問題の対策となりそうなものは見ておくことが望ましい。時には教科書には書かれていないような事項も出題されるので、これらの問題の出来、不出来で大きな差がつき、結果として合否が左右されることもあるだろう。ただし、深く掘り下げた専門的な内容は出題されないので、マスメディアを利用したこのような対策で十分である。
最後に論述対策であるが、とりあえず過去の問題をできるだけ多く入手してやっておくことが必要である。特に大阪大学では、特定のテーマが繰り返し出題されているので、過去の問題を解くことは極めて有効である。
過去の問題を解く際には、まず自分で書くべきことをリストアップし、次に教科書や参考書でさらに調べた上で、自分なりの答案を書いてみよう。そして、それを身近な地理の先生に添削してもらえたら、なお効果的である。また、筑波大学や九州大学の問題も大阪大学と似かよった傾向にあるので、数年分やってみることをすすめたい。
しかし、本当の意味で論述の力をつけるためには、駿台の夏期講習・冬期講習で地理論述の授業を受け、地理的な見方や論述の組み立て方を体得することが必要である。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。