2018年度入試
出題分析と入試対策
  大阪大学 地歴

過去の出題内容

2018年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)7世紀半ば~8世紀半ばの都の変遷
(Ⅱ)室町時代の臨済僧の活動
(Ⅲ)田畑永代売買禁止令の内容と影響
(Ⅳ)神道国教化策の内容と影響
世界史 文・外国語 (Ⅰ)玄奘『大唐西域記』(文・外)
(Ⅱ)中国とヨーロッパにおける孔子像についての会話(文・外)
(Ⅲ)ベネディクト・アンダーソン『比較の亡霊』(文)
(Ⅲ)ドイツ連邦共和国大統領ワイツゼッカーの演説(外)
地理 (Ⅰ)世界の森林と農業
(Ⅱ)南アメリカ地誌

2017年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)縄文時代の生業
(Ⅱ)東大寺の復興
(Ⅲ)バテレン追放令発令の理由と効果
(Ⅳ)日露戦争後~第一次世界大戦前の民衆騒擾
世界史 文・外国語 (Ⅰ)14世紀に書かれたフィレンツェ商人の『商業の手引』(文・外)
(Ⅱ)ロシア革命・ソ連が達成したことと残された課題(文・外)
(Ⅲ)ガンダーラの仏像がつくられた歴史的背景(文)
(Ⅲ)環太平洋地域の国家間による協力体制(外)
地理 (Ⅰ)人口構造・人口動態
(Ⅱ)文明と都市

2016年度

番号 科目 学部 内容
日本史 (Ⅰ)6世紀における仏教の受容過程
(Ⅱ)鎌倉府とその展開過程
(Ⅲ)17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新
(Ⅳ)明治維新後の沖縄県設置にいたる過程
世界史 文・外国語 (Ⅰ)中国歴代王朝の版図
(Ⅱ)古代~現代の地中海世界
(Ⅲ)大航海時代がもたらした生活習慣・食糧事情の変化
地理 (Ⅰ)発展途上地域における自然環境と農牧業
(Ⅱ)世界遺産の定義・種類、指定されたことによる利点と問題点

出題分析

《日本史》

分量

2002年度以降、論述問題大問4問の出題が続いており、2007年度以降は4問とも200字程度で答案をまとめる問題が出題されている。解答用紙は、横書きで大問1問について、約18cmの罫線が8本記されるだけでマス目はない。設問の字数制限も200字程度となっているので、字数にそれほど神経質になる必要はないと考えられる。解答欄のスペースは十分あるが、180字~230字あたりを目安として、常識的な文字の大きさで答案を作成したい。

パターン

阪大で出題される論述問題の形式を分類すると下記の4パターンである。
A.展開過程を問う
例:
7世紀半ば~8世紀半ばの都の変遷(2018年度)
日露戦争後~第一次世界大戦前の民衆騒擾(2017年度)
6世紀における仏教の受容過程(2016年度)
鎌倉府とその展開過程(2016年度)
明治維新後の沖縄県設置にいたる過程(2016年度)
古墳前期~後期の被葬者の性格の変化(2014年度)
鎌倉~室町時代の守護の職権の変遷(2014年度)
明治期の地方制度の変遷(2014年度)
B.1つの時代や事象をいくつかの観点から多面的に説明させる。
例:
室町時代の臨済僧の活動(2018年度)
縄文時代の生業(2017年度)
17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新(2016年度)
日中戦争以後の経済統制(2015年度)
平城京の区画と施設(2013年度)
鎌倉時代の農業の発展(2013年度)
田中義一内閣の外交・経済・治安政策(2013年度)
C.事項の内容説明とともにその背景や目的、結果や影響・意義を問う。
例:
田畑永代売買禁止令の内容と影響(2018年度)
神道国教化政策の内容と影響(2018年度)
東大寺の復興(2017年度)
バテレン追放令発令の理由と効果(2017年度)
鎌倉後期の御家人社会(2015年度)
参勤交代制度の内容・変遷・影響(2015年度)
太閤検地と幕藩体制における石高制の機能(2014年度)
D.時期の異なる2つ(以上)の事項を対比させる。
例:
9・10世紀における日中間の交流(2015年度)
享保改革期~田沼政権期の収入増加策(2011年度)
どの形式が出るかは年度によってバラつきがある。2012年度・2014年度・2016年度ではAの展開過程を問う問題が4問中3問に及んだ。一方、2013年度ではBの総合的な説明タイプが3問出題された。2015年度は4大問とも、A~Dの形式を複合させた出題であった。2017年度は2大問でCの因果関係が問われていた。
Aの展開過程を問う形式は論理的思考をさほど必要とせず簡単そうに見えるが、過不足なく答案をまとめることは予想以上に難しい。Aの形式への対応として、下記の4点に注意したい。
① 日頃の学習のさい、出来事や用語を暗記するだけでなく、時期を意識する。
② 設定されている時期を正確に把握する。
③ 設定された時期をいくつかに区分する。
④ 特定の時期の説明に偏り過ぎないように、バランスよくまとめる。
次にBの時代や事象について総合的に説明させる形式への対応としては、視野を広く多面的に考えることが大切である。例えば、「推古天皇の時代とはいかなる時代か」と問われた場合、政治・外交・社会経済・文化といったような多面的な視点から考察する習慣をつけておきたい。
Cの背景や目的、結果や影響・意義を問う形式への対応は、用語暗記にとどまらず、教科書の地の文に書かれている背景や目的、結果や影響・意義を意識して、学習することが大切である。
Dの対比の形式では、いくつかの対比するポイントを設定して、共通点や相違点を明確に表現したい。構想段階で表を作ってみると、対比が明確になるだろう。

内容

時代については、原始~近現代まで幅広く出題される。2017年度は、初めて縄文時代が出題された。現代史は比較的少ない。4問のうち(Ⅰ)原始・古代、(Ⅱ)中世、(Ⅲ)近世、(Ⅳ)近現代という出題方式が定着している。
分野については、例年は政治・外交・社会経済・文化の全ての分野から、ほぼまんべんなく出題される。しかし、2013年度は4問中3問が経済にかかわる問題であり、2014年度は4問中3問が政治史からの出題であった。なお、2015年度は、文化史からの出題はなかったが、2016年度・2017年度・2018年度は4問中2問が文化史からの出題であった。文化史に関する論述問題は得点差が開きやすいので、文化史学習を徹底したい。

難易度

2016年度は(Ⅰ)(Ⅲ)、2017年度は(Ⅰ)(Ⅱ)、2018年度は(Ⅱ)(Ⅳ)が文化史(原始文化を含む)からの出題であったため、文化史を不得手とする受験生には厳しかっただろう。2016年度の(Ⅰ)~(Ⅳ)全て、2017年度の(Ⅱ)(Ⅲ)など対象とする時期やテーマが狭い範囲からの出題が増えているため、その範囲の学習が出来ていない場合、大問1問が白紙になることもある。どの時代も手抜きせず丁寧な学習を積み重ねる必要がある。2016年度(Ⅲ)の「17世紀後半~18世紀初めの儒学刷新」は、受験生の学習がおろそかになりがちな江戸時代の学問について、正確な理解が求められており、難問であった。
2015年度は、(Ⅰ)の「9・10世紀の日中間の交流」は対比ポイントを自分で発想しなければいけない点が難しかった。(Ⅳ)の「日中戦争以後の経済統制の展開」は、受験生の学習が及びにくいテーマであったため難しかった。ここ数年、(Ⅳ)の近代史の問題で難問が続いているので、近代史の学習を徹底しておきたい。

《世界史》

形式・分量

昨年、大阪大学の世界史には大きな変化が二つあった。記述問題が姿を消して問題のほとんどが論述問題となったことと、(Ⅲ)のみ文学部と外国語学部とで別の問題が出されたことである。そのため、2016年から問題数が減少(文学部で12問、外国語学部で10問減少)する一方、論述問題の総字数は増加(文学部で80字、外国語学部で90字増加)していた。
では、2018年はどうだったかと見ると、昨年から大きな変化は見られなかった。問題数は文学部・外国語学部とも9問に増加(2017年は文学部で4問、外国語学部で6問出題)しているが、これは250字・300(Ⅰ)字程度という長い論述問題がなくなり、100字代(100字~180字程度)の論述問題が多く出題されたためで、論述の総字数に大きな変化はない(文学部で70字増、外国語学部は10字減)。本年もほぼ論述問題のみ(外国語学部の(Ⅲ)で1問のみ記述問題)が出題され、(Ⅲ)のみ文学部と外国語学部は別問題であった。
したがって、後述する内容面での傾向とあわせて考えれば、昨年と同じく自覚的な論述問題対策の有無が結果に大きく反映されたのではないかと考えられる。特に大阪大学の論述問題は、比較的短い制限字数のなかでボリュームのある内容を簡潔にまとめる手際の良さが求められるから、それに対応するためには知識と技術の両面での訓練が欠かせないということを銘記してほしい。

パターン

大阪大学の出題パターンは、これまで変化してきた。
年度 大問数 特徴
2014年 3問 (Ⅰ)は前年の問題に関する会話、(Ⅱ)はムガル皇帝の絵を使い出題
2015年 2問 (Ⅰ)は東南アジアの文字の写真、(Ⅱ)は内村鑑三の講演を使い出題
2016年 3問 (Ⅰ)~(Ⅲ)ともリード文を利用、語句記述・記号選択・論述を出題
2017年 3問 (Ⅰ)は資料、(Ⅱ)はリード文、(Ⅲ)は文・外で異なる
しかし、「形式・分量」で述べたように、本年の形式上の出題パターンは昨年と同じであった。2016年までの問題も形式上の変化はありながら、論述問題重視の姿勢は一貫していたから、2017・2018年の出題パターンはその点をより明確にしたと言えるかもしれない。
世界史の出題パターンについては、内容上の傾向についても指摘しておきたい。大阪大学では、広範な地域を対象とする問題や諸地域間の交渉をテーマとする問題、時代の特徴を捉えさせる問題などが多く出題される。本年の問題をみると、(Ⅰ)では東アジア内の交流や中央アジアと北アジアの関係、(Ⅱ)では中国とヨーロッパの交流、文学部の(Ⅲ)ではヨーロッパによる東南アジアの植民地化が問題のテーマとして取りあげられており、その点でも従来通りの出題傾向に沿っていた。

内容

(Ⅰ)
玄奘の『大唐西域記』からの抜粋。
問1 玄奘がインドに旅立った当時(629年ごろ)、史料中にある「象主」「宝主」「馬主」の地を統治していた王朝ないし国家の名称が問題。史料の表現から「象主」=南アジア、「宝主」=西・中央アジア、「馬主」=北アジアであることは分かるが、特に西アジア・南アジアには当時複数の勢力(王朝・国家)があるので、そのどれかを判断するのは結構難しかったのではないだろうか。
問2 (1)「君臣上下の礼をもつ」という規範をもつ「人主」の地で、唐から宋にかけての時代を中心に、周辺諸民族・国家を支配し、外交関係を結んで帝国を維持するためにとられたシステムについて説明する論述問題(150字程度)。時代を考えれば、おおよそのこと(羈縻政策・冊封体制・遼や金との関係)は思い浮かべることができたであろうから、割と答えやすかったと考えられる。
(2)史料中の「法度典章」という表現に関して、北朝期から唐代にかけて形成され、日本に取り入れられた諸制度の具体例を一つ挙げる記述問題。基本的な知識があれば、答えられたはずだ。
問3 「宝主」の地で7世紀後半に新たな帝国が成立し、それまでと異なる世界観が広まったことで、社会や国家のあり方がどのように変化したかを説明する論述問題(100字程度)。「世界観」という言葉遣いや指定語句を手掛かりに、これがイスラーム教の成立・拡大にともなう変化であるということがつかめれば、解答できただろう。同時に、「7世紀後半」段階でイスラーム勢力が問われていることから考えて、問1で問われている「宝主」の地を統治した王朝はそれとは異なるもの(ササン朝)と判断することができる。
問4 「宝主」の地の周縁から「馬主」の地へ移住した「商取引の利を追う」人々が、7~9世紀の「馬主」の地で果たした政治・宗教・文化面での貢献がテーマの論述問題(120字程度)。時代と地域から、この人々がソグド人を指していることは分かっただろうが、宗教面(マニ教)や文化面(ソグド文字)はともかく、その政治面での貢献については頭をひねった受験生も多かったのではないだろうか。
(Ⅱ)
8世紀に中国で描かれた孔子像と17世紀にヨーロッパで描かれた孔子像をめぐる生徒と先生の会話。
問1 会話の内容を踏まえ、二つの孔子像が描かれたころのアジアとヨーロッパの学問・思想をめぐる文化的背景について説明する論述問題(200字程度)。会話文の中にあるヒントとなる表現をきちんと理解すれば、何を説明すれば良いのかはつかまえられただろう。
問2 「異民族の王朝」という非中華的なイメージと「歴代中華王朝の最後のもの」というイメージの共存が導き出された清朝の特徴について説明する論述問題(180字程度)。清朝の政策上の特徴は論述問題の頻出テーマであり、またそれは「歴代中華王朝」・「異民族王朝」のイメージとも容易に結びつけることができただろうから、比較的答えやすい問題であった。
<文学部>
(Ⅲ)
ベネディクト・アンダーソン『比較の亡霊』から人口調査に関する一節を引用。
問1 文章で記された時期(1790~1853年ごろ)の欧米諸国で人口調査が確立されていった背景を、国民国家の形成と関連づけながら説明する論述問題(120字程度)。国民国家の性格(平等な個人からなる国民を徴兵制などにより動員)を考え、それをセンサス(人口調査)と結びつけられるかが解答の鍵となった。
問2 19世紀以降に実施された東南アジアでの人口調査が、西欧諸国の植民地経営や東南アジアにおけるのちの政治動向に与えた影響を説明する論述問題(100字程度)。こちらは問1に比べてやや難しいテーマであり、特にのちの政治動向に与えた影響については解答の方向性も見出しにくかったものと推測される。
<外国語学部>
(Ⅲ)
資料1 ドイツ連邦共和国大統領ワイツゼッカーの演説(1987年)からの抜粋。
資料2 1950~1990年、10年毎の1人当たり実質GDPの推移を示す表。
問1 マーシャル・プランが後世のヨーロッパに及ぼした多様な影響について、1947~1970年のヨーロッパにおける経済と国際関係に焦点を絞り、資料1・2から情報を読み取って説明する論述問題(150字程度)。「国際関係」については資料1の「東西関係」などの表現から冷戦に関わることが明白だし、「経済」については資料2に東西ヨーロッパ諸国(フランス・ドイツ連邦共和国・ソ連・チェコスロヴァキア)が含まれているからその実質GDPの数字を、当該時期の大きな動きと結びつけて説明すれば解答できただろう。
問2 資料2の中で、「アフリカの年」に独立した国名を答える記述問題。こちらは、戦後史に関する基本的知識があれば十分正解できたはずだ。

難易度

文学部・外国語学部で共通の(Ⅰ)・(Ⅱ)については、昨年は(Ⅱ)が現代史の論述問題1問のみで、内容も答えにくいものであった。これに対し、本年は(Ⅰ)・(Ⅱ)とも短い論述問題が中心で、テーマも前近代に限定されていたから、論述問題に慣れていれば昨年よりは答えやすかったのではないだろうか。また両学部で異なる問題が出された(Ⅲ)について見ると、昨年は外国語学部の問題のほうが難しかったが、本年は外国語学部のほうがやや易しくなっており、これは外国語学部受験生に対する配慮ともとれる。大阪大学実戦模試の結果を見ると、外国語学部志望の受験生の平均点は文学部志望者より10点前後低い。この差は能力の違いによるとは思えず、文学部志望者と外国語学部志望者の世界史(地歴科目)に対する姿勢の違いからくると考えざるを得ない。大阪大学の世界史には、大学側のポリシーがはっきりと表現されている。世界史を暗記科目で終わらせないために論述問題を中心として構成され、また「世界史」を強く意識して教科書の章立てを越えて広く世界を見渡させる問題を出題し、さらに重要な事柄については連年で出すことも厭わない。先に文学部・外国語学部受験生の世界史に対する温度差を取りあげたのは、この大阪大学のポリシーから考えて、事前に大阪大学の世界史を意識して準備をしているかどうかで難易度が大きく変わってくるからだ。大阪大学に進みたいという受験生は、過去問をきちんと研究して傾向を把握し、それにあわせて世界史の知識を身につけ、論述問題対策を十分に行っておきたい。こうした学習には時間がかかるから、文学部だけではなく、外国語学部を受験する人も準備は出来るだけ早めに始めてほしい。

《地理》

分量

2018年の論述字数は、合計1000字程度で、2017年と比べて50字減少し、2016年と同じであった。また、グラフなどの図表が多かったので、解答には、やや時間を要したかもしれない。

パターン

2017年と同様に統計問題が多く出題されていた。ただし、国名の判断などの短答問題はなく、すべて150および200字程度の論述問題であった。

内容・難易度

例年、実にオーソドックスな問題と、時事的な内容を含むやや難しい問題の組合せで構成されており、2018年度もその路線に沿ったものであった。(Ⅰ)の問1は統計の意味が読み取りづらいため、やや難しかった。問2では、各地域の微妙な数値の変化を読み取る能力が試されている。(Ⅱ)はいずれも基本的な内容であったが、書くべきことが非常に多いので、必要な事柄を所定の字数内でまとめるのは難しいだろう。

入試対策

《日本史》

阪大の日本史の対策は高校教科書学習の徹底に尽きる。用語暗記のみに留まらず、高校教科書をベースとして因果関係を意識した学習を地道に積み重ねれば合格点に達することができる。受験生の目安としては、センター日本史Bで必要とされる知識を正確に記述できることを目指すとよい。とはいえ、知識を文章化するにはかなりの練習が必要であり、阪大の過去問や類似した論述問題が出題される京大の過去問を解き、実戦力を鍛えたい。
なお、阪大日本史には頻出の時代や分野が存在する。一例を挙げれば、中世の社会経済に関する問題が2008・2010・2013年度で出題されている。過去問を解く際に高校教科書の近接したページにも目を通しておくとよいだろう。
論述問題では、答案を誰かに採点してもらうことが必要であるため、独学ではなかなか効果が上がらない。駿台の講習会や添削形式の日本史論述対策講座を受講することが、論述力アップの近道である。

《世界史》

では、大阪大学の「世界史」にチャレンジするために必要な対策を、知識と論述対策の両面から検討していこう。
① 知識
a)
知識量は教科書にあるもので十分だが、論述問題などではテーマにあわせて知識を使いこなす力が求められる。論述問題では「××世紀」だけで判断しなければいけないことも多いから、最終的には「時代」+「場所」+「ジャンル」の3情報で知識を引き出す力を身に付けたい。その力を養うために、先ずは各地域・各国の歴史を通観していこう。その際には「世紀」を時間の基準として確認し、主要なジャンル(制度・政策・経済など)の流れを意識しながら進めていくようにしたい。ある程度各地域の動きが「世紀」単位で浮かぶようになったら、次は地域間の交渉や時代の特徴といった、横の広がりをもった問題に対応できるよう「世紀」毎の世界史を確認していこう。大変なようだが、既に地域毎の展開が「世紀」単位で理解できていれば、時代史や交渉史を捉えるのはそれほど難しくはない。
b)
大阪大学は独自の視点での出題を繰り返すことを踏まえ、過去問研究によって大阪大学が好む切り口を知り、知識を再確認しよう。地域間の交渉や宗教・文化の伝播、一地域の歴史的展開などの諸テーマにあわせて知識がうまく引き出せるかを繰り返しチェックしておけば、実際の入試でも慌てることはなくなる。
c)
大阪大学の問題では、地理(空間)についての認識が不可欠である。学習は、できるだけ歴史地図を見ながら進めたい。できれば自分でも地図を書くように癖づけると、地理的イメージは確実に身につきやすい。また、文化史や経済史など受験生が苦手としやすい分野もよく出題されるので、教科書の全範囲を隈なく学習するように気を付けよう。
② 論述対策
論述問題と言えば、頭の中にある知識を文字に移すこと、と思っている人もいるかも知れない。しかし、実際には知識以外に問題文読解の技術(文中の表現や指定語句をヒントに、問題文の意図を厳密につかむ技術)、構成の技術(問題の要求にあわせアウトラインを組み立て、字数に応じて説明内容を決める技術)、論述の技術(文章の形で説明する技術)があって、満足のいく論述の解答を完成させることができる。こうした技術を独学で身に付けることは非常に難しい。学校の先生に添削をしてもらったり、予備校での論述講座を利用して、論述問題に解答する腕を磨いて欲しい。

《地理》

まず、高校や予備校の授業を欠かさず受け、その予習・復習をしっかりすること。そうして基本的な知識を身につければ、オーソドックスな問題で確実に点を取ることができる。オーソドックスな問題で完答できないようでは、大阪大学への合格は困難である。
2018年の問題でいえば、(Ⅰ)問3の緑の革命、(Ⅱ)問1のパンパの自然環境と農牧業、問2のブラジルの農牧業の特色、2017年の問題では、(Ⅰ)問1の世界各国の人口動態の特徴、問2の日本と南部アフリカの先住民族との人口動態の比較、2016年の問題では、(Ⅰ)問1のアンデス山脈周辺の土地利用、問2のアンデス、ヒマラヤ、アラビア半島の牧畜、などがそれにあたる。
時事問題については、新聞で毎日のように報道されている、地理と関連する記事(民族問題・環境問題・経済のグローバル化・人口問題・都市問題など)に関心を持ち、目を通しておくことが必要である。テレビの特集番組なども、時事問題の対策となりそうなものは見ておくことが望ましい。時には教科書には書かれていないような事項も出題されるので、これらの問題の出来、不出来で大きな差がつき、結果として合否が左右されることもあるだろう。ただし、深く掘り下げた専門的な内容は出題されないので、マスコミを利用したこのような対策で十分である。
最後に論述対策であるが、とりあえず過去の問題をできるだけ多く入手してやっておくことが必要である。特に大阪大学では、特定のテーマが繰り返し出題されているので、過去の問題を解くことは極めて有効である。
過去の問題を解く際には、まず自分で書くべきことをリストアップし、次に教科書や参考書でさらに調べた上で、自分なりの答案を書いてみよう。そして、それを身近な地理の先生に添削してもらえたら、なお効果的である。また、筑波大学や九州大学の問題も大阪大学と似かよった傾向にあるので、数年分やってみることをすすめたい。
しかし、本当の意味で論述の力をつけるためには、駿台の夏期講習・冬期講習で地理論述の授業を受け、地理的な見方や論述の組み立て方を体得することが必要である。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。