2018年度入試
出題分析と入試対策
  京都大学 英語(文系)

過去の出題内容

2018年度

番号 内容 分野 素材文の主題 語数 下線部
内容説明 論説 人助けをするときの心構え 553 75
英文和訳
空所補充
内容説明 論説 地球近傍惑星(NEO)の探索 527 109
英文和訳
和文英訳   文化の違いと料理の味 116
条件英作
条件英作   レポートの書き方に関する教師と生徒の会話

2017年度

番号 内容 分野 素材文の主題 語数 下線部
英文和訳 論説 砂漠化に関する誤解 532 80
内容説明
英文和訳 論説 今ここを生きることの難しさ 569 42
空所補充
和文英訳   確かな情報を得ることの大切さ 176
条件英作   「音楽に国境はあるかないか」に関する会話文

2016年度

番号 内容 分野 素材文の主題 語数 下線部
英文和訳 論説 アメリカの歴史の中心と周縁 645 72
内容説明
英文和訳 論説 記憶の謎 418 100
空所補充
和文英訳   手間のかかるパン作り 164
条件英作   「積ん読」に関する会話文

出題分析

出題形式

2016年度に従来の大問3問構成から、Ⅰ・Ⅱ英文解釈、Ⅲ和文英訳、Ⅳ条件英作文という大問4問構成に変化し、2018年度も概ねこれを踏襲する形になったが、2018年はⅢ和文英訳に条件英作文の要素が加わった。

分量

2018年は英文和訳の素材文の量が第1問でやや増加し、第2問でやや減少した。和訳すべき部分は第1問、第2問を合わせて昨年より増え、内容説明問題の解答欄は第1問(1)が6行、第2問(1)が3行だった。第3問の和文英訳+条件英作文の解答欄は12行、第4問の自由英作文の解答欄は(1)~(4)を合わせて10行だった。

前期入試 素材英文の総語数の変遷(単位:word)

年度 10 11 12 13 14 15 16 17 18
英文分量 1013 1120 960 1002 1119 1058 1063 1101 1080
和訳部分 276 285 301 305 283 184 172 122 184

前期入試 英作文の和文分量の変遷(単位:字)

年度 10 11 12 13 14 15 16 17 18
和文分量 343 340 305 313 346 313 164 176 116

内容

一般的特徴から言えば、英文解釈の出題ジャンルは、ひところは小説・文学的随想と論説文が2本柱をなしていたが、2011年までは論説文からの出題が続き、今日的な問題意識で書かれた科学的論説文、生き方の根幹に触れた哲学的な論説文が好んで出題されている。2012年には過去形で書かれた説明文と小説が出されたが、2013年は2問ともが論説文からの出題に戻り、以後その傾向が続いている。
素材文には、内的連関の強い文章が選ばれ、下線部に難解な部分や未知の単語があっても、前後から意味を類推ないしは確定できるようになっていることが多い。構文面では、併置された名詞相当語句間の関係の仕方(同格)、カンマによる語句と語句の関係の仕方、長い形容詞要素による後置修飾、副詞節の修飾関係など、語句と語句との「つながり」を考えさせる問題が多く、省略、相関語句の分離、倒置、挿入など、「変則的」な構文が出されることも少なくない。語彙面では、高校での学習範囲を越える単語が出されることがあり、その意味を文脈から類推する力が問われている。
英作文の一般的特徴について言えば、素材の和文は、もとの英文を和訳したようなものや、いかにも英作文のために作ったというようなものではなく、ふつうの書物や雑誌等に出てくるような、こなれた文体の、随筆的な文章が多い。したがって、いわゆる直訳・逐語訳が困難な箇所が多く、そうした部分をいかにまともな英語にするかがポイントとなっている。
2018年の英文解釈では、第1問(1)、第2問(1)で下線部語句の内容を説明する問題が、第1問(3)では文脈を踏まえて解かせる空所補充問題が出された。一文ごとの構文を把握する力に加えて、「文脈読解力」と「設問の要求に合わせて答えをまとめる表現力」がますます重視されるようになっている。
2018年の和文英訳には条件英作文の要素が加わり、文章中の下線部(空所)に「ふさわしい内容を自分で考えて補い、全体としてまとまりのある英文に仕上げ」るよう求められた。「異文化の料理でも味がわかることもある」という内容についてある程度の具体性のある記述が要求されている。
第4問では、対話文の4ヵ所のセリフを書くことを求める条件英作文が出題された。「問い」「依頼」-「答え」のうち、「問い」「依頼」を書くのが3ヵ所、「答え」を書くのが1ヵ所である。前後の内容に注意すれば、比較的容易な問題である。

入試対策

《英文解釈》

①語彙力の増強

単語については、英語とその日本語訳を機械的に対応させるだけの棒暗記をやめ、英英辞典などを活用して、単語が表している「ことがら」そのもののイメージを鮮やかに頭に焼きつけたり、名詞+動詞、動詞+名詞、形容詞+名詞などフレーズの形で、あるいは、文全体で記憶にとどめたりするのが望ましい。京大英語では、末知の語の意味を文脈から類推する力も要求されているので、平素から、文中で知らない単語に出くわしたときには、すぐ辞書を引かず、一定の時間をかけて文脈からの類推をした後に辞書で確かめるようにしよう。

②構文把握力の強化

京大レベルでは、基本事項で「とりこぼす」と合格が怪しくなる。応用段階では、語句と語句との「関係の仕方」が明示的でない文構造、複雑な文構造、「変則」的な文構造にも習熟しておこう。

③文脈読解力の養成

一文ごとに「構文」を把握するのみならず、「文と文のつながり」、すなわち、「文脈」への注意力を高めよう。具体的には、具体→抽象、抽象→具体、語句のパラフレーズといった「言い換え関係」、対照的な語句の「対比関係」、原因⇔結果の「因果関係」を見つけようという強い問題意識をもって英文に取り組む姿勢を養うこと。

④わかりやすい訳文、過不足のない解答の作成練習

読みとった内容を自然な日本語にする表現力を身につけるため、実際に鉛筆をもって訳文を書いてみよう。ああでもない、こうでもないと訳文を推敲していく過程で力が鍛えられていくということを忘れずに、できるだけ手を動かしてもらいたい。
内容説明問題への対策としては、「言い換え」、「対比」、「因果関係」の観点から問いの該当箇所を見つけ、その内容を正しく理解したうえで、問いの要求に合わせて答えをまとめる訓練を積み重ねよう。

⑤歯ごたえのある素材への挑戦

紋切り型の論説文ばかりを読んでことたれりとせず、想像力を働かせて読解の道を自力で切り開いていかなければならないような素材文にも取り組んでおこう。受験生が苦手にしているジャンルこそ京大が出したがっているところなので、強化練習を怠ってはならない。

《英作文》

(A)英作文全般

①自分が十分に使いこなせる表現・構文だけを用いて、作文するよう努めること。
②問題練習を行う際は、まず、自分が「十分使いこなせる表現」の中で、書くべき意味内容をより的確に表現できるものがないか、時間をかけて考えてみること

実際の入試では、そのような表現を短時間で「思い浮かべる」ことができるかどうかが正否を分けると言っても過言ではない。そのためには、練習の段階で、「思い浮かべる」訓練を十分に行っておかねばならない。

③日々の学習で「十分に使いこなせる表現・構文」をできる限り増やすこと

「十分に使いこなせる表現・構文」とは、それを含む例文を即座に復唱でき、個々の単語の綴りまで正確に書くことができるようなものを言う。かろうじて、訳語が思い出せる程度のものは全く役にたたないと思っておいたほうがよい。

(B)和文英訳について

①日本文を「集中力をもって」読み、何がまず表現しなければならない重要な内容(情報)なのかを見きわめること

そして、そうした重要性の高い内容をいかに表現するか、ということを最優先に考えていくことが必要である。

②個々の箇所について思い浮かべた表現を使うために、文全体をどのような構成にしたらよいか、よく考えてみること

構成を自分でいろいろ工夫してみることは、表現力の幅を広げるのに大いに役立つ。

(C)条件英作文について

和文英訳とは異なり、「何を書くか」を自分で決めなければならないが、何でも好き勝手に書いてよいわけではない。書くべき内容が多くの受験生が思っている以上に「限定されている」場合も多い。設問がどのような内容を書くことを要求しているかを的確に(そして、短時間で)把握しなければならず、そのための訓練が必要である。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。