2018年度入試
出題分析と入試対策
  京都大学 日本史

過去の出題内容

2018年度

番号 時代 内容 形式
中世、近世、現代 中世・近世・現代の諸史料
(治承・寿永の乱と鎌倉幕府;吾妻鏡、江戸時代の農業と幕政;百姓囊、近現代の政治・外交;大佛次郎・終戦日記)
記述・選択
中世~近代 中世~近代の雑題 記述
古代、中世、近世 古代の交通、中世の日中関係、江戸時代の旗本・御家人 記述
古代、近代 平安時代の文化、幕末期における薩摩藩の動向 論述
(200字×2)

2017年度

番号 時代 テーマ 形式
古代、中世、近現代 古代・中世・近現代の諸史料
(平安中期の政治;小右記、嘉吉の土一揆;建内記、近現代の政治・外交;戦後70年の安倍首相談話)
記述
原始~近代 原始~近代の諸事項 記述
古代、近世、近代 奈良時代の政治・社会、近世初期の政治、大正・昭和戦前期の政治と軍事 記述
中世、近世 鎌倉時代における荘園支配の変遷、江戸幕府の仲間政策 論述
(200字×2)

2016年度

番号 時代 テーマ 形式
原始・古代、近世、近代 原始・古代、近世、近代の諸歴史資料
(原始・古代の遺物、天保改革とその経緯、壬午軍乱への対応)
記述
古代~現代 古代~現代の諸事項 記述
古代、中世、近世 奈良~平安前期の政治、鎌倉中期~室町の政治、近世初期・武士の城下町集住とその影響 記述
中世、近代 中世後期の禅宗、第1次近衛内閣の政策 論述
(200字×2)

出題分析

スタイルと分量

京大日本史は、大問4つで、それぞれ史料問題(3つのテーマの歴史資料を用いて空欄補充・関連設問で小問20題)、空欄補充問題(10の短文を用いて小問20題)、テーマ問題(3つのテーマのリード文を用いて空欄補充・関連設問で小問30題)、論述問題(200字が2題)、という構成をとっており、問題数が極めて多いという点に特徴がある。

特徴1 70題の記述問題と計400字の論述問題で構成される

試験時間は90分もあるが、問題数が多く、かつ論述問題が2つ出題されることを考えれば、決して時間的に余裕があるとはいえない。200字の論述問題にそれぞれ20分程度が必要とすれば、の記述問題を50分以内で解答しなければならない。記述問題が手際よく解答できるよう、知識をしっかり身につけておくことが不可欠である。

出題の形式と内容

古代・中世・近世・近現代という時代区分でみると、それほど偏りはなく、バランスのとれた出題となっている。

特徴2 各時代から偏りなく出題される

政治・経済・外交・文化という分野別でみると、分野では政治がもっとも多く、次に多いのが文化である。

出題された用語の分布

上のグラフは、過去7年間にどれくらい出題されたのかを集計したものである。

特徴3 政治と文化の分野からの出題が多い

問題形式としては、先に確認したように、史料問題、短文空欄補充問題、テーマ問題、論述問題の4つが出題されているが、これらのうち、得点で差がつきやすいのがの史料問題との論述問題である。

特徴4 史料問題では初見史料が頻出する

史料問題で扱われる史料(歴史資料)には2種類あり、1つは大半の受験生が目にしたことのある基本史料、もう1つは初見史料である。もちろん両者の区別は明確ではなく、受験生によって差があるだろうが、京大日本史では初見史料が出題されることが多い点に特徴がある。

特徴5 論述問題は発問形式に注意が必要である

論述問題では、たとえば東大日本史のように複数の資料文や年表・統計などを用いた形式の出題はなく、シンプルな作問となっている。したがって、設問の要求に即して必要なデータのみを用いて答案を作成すれば、高得点を取れそうである。だからといって必ずしも簡単ではない。
京大日本史で出題されている発問形式には、①推移・変化を問う、②時代・時期の異なる2つ(以上)の事項を対比させる、③事項の内容説明と共にその背景や目的、結果や影響を問う、④1つの時代・事象をさまざまな観点から多面的に説明させる、などがある。なかでも近年多いのは、①と④である。

①推移・変化を問う
(例)近代日本において、金本位制が成立し、終焉する過程を述べよ。(2001)
②時代・時期の異なる2つ(以上)の事項を対比させる
(例)考古資料(遺構や遺物)を具体的な証拠として示して、縄文時代と弥生時代の主要な生業の違いを述べよ。(2007)
③事項の内容説明とともにその背景や目的、結果や影響を問う
(例)明治十四年の政変について、この前提となった諸条件、政変の内容、およびその影響を総合的に論ぜよ。(1999)
④1つの時代・事象をいくつかの観点から多面的に説明させる
(例)足利義満の時代はどのような時代であったか。いくつかの側面から論ぜよ。

入試対策

京大日本史は、一部にやや瑣末な、あるいはマニアックな設問も見られるが、おおむね高校教科書に準拠した標準的な設問からなっている。したがって、教科書に書かれていること、授業で教わったことを確実に自分のものにできれば、こと日本史に関しては絶対に合格点を確保できる。しかし、教科書程度のデータを縦横にアウトプットできるようになることは、決して簡単なことではない。
京大日本史で求められているのは、連想力と要約力の2つに集約することができる。

対策1 事項どうしの関連や全体像に想像を働かせよう

<出題の形式と内容>で確認したように、史料問題と論述問題の攻略が得点のポイントである。そして、史料問題では初見史料が頻出であり、論述問題では単純な内容説明(背景や影響を含む)を求める形式ではなく、展開過程や対比、多面的・総合的な説明を求める形式が多く出題されている。
このことを念頭におけば、いわゆる一問一答式の丸暗記学習だけでは対応できないことが了解できるはずである。もちろん、知識を蓄える作業の初歩は、一問一答式の丸暗記から始まるともいえる。しかし、それにとどまるのではなく、個々の事項が他の事項とどのようにつながっているのか、さらには時代・社会の全体的な特徴、それと個々の事項との関連にしっかりと想像を働かせ、理解に努めることが不可欠である。それが連想力の鍛練である。

対策2 高校教科書などの記述を要約しよう

さらに、先述のような特徴をもつ論述問題に対処するには、ある一定のテーマのもとで高校教科書の記述を200字以内で要約する練習を積み重ねるとよい。
もしテーマを自分で設定するのが難しいのであれば、『日本史の論点』(駿台文庫)を使ってみるとよい。また、駿台では夏期講習で「京大日本史」、直前講習で「京大プレ日本史」が設置されているので、それらを受講することをぜひとも薦めたい。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。