2018年度入試
出題分析と入試対策
  京都大学 地理

過去の出題内容

2018年度

番号 項目 内容 解答形式
地形図読図 砂州・ラグーンの読み取り、中海の水際線の形状と水辺の土地利用、防風(砂)林、中海淡水化事業の目的、列村が立地する地形、輸送園芸。 記述・論述
世界の植生帯 写真の読み取り、熱帯雨林気候とサバナ気候の相違点、地中海性気候の特徴、海岸砂漠の成因、プレーリーの植生・土壌・気候・農業、熱帯雨林・タイガ・地中海性気候の地域の都市。 選択・記述・論述
金融活動のグローバル化とスラム シンガポール・東京・ニューヨーク・ロンドンに関する統計の読み取り、国際金融センターの条件、スラム人口に関する統計の読み取り、途上国の大都市に必要とされる社会資本や住宅の整備、インフォーマルセクター、ストリートチルドレン。 選択・記述・論述
国際旅行収支と観光活動 国際旅行収支に関する統計の読み取り、スペインを訪問する観光客が多い理由、エコツーリズムが広がった背景、訪日旅行者の多い国・地域、3つの世界遺産の名称。 選択・記述・論述

2017年度

番号 項目 内容 解答形式
地形図読図 自然堤防、輪中集落、水田が持つ災害に対する機能、新田集落の歴史的成り立ち、新しく形成された集落の読み取り、後背湿地。 記述・論述
自然環境と農業との関連 地下水路(カレーズ)とその断面の模式図、センターピボットの仕組みと役割、アフガニスタンとテキサス州に共通する自然条件、ナイル川が定期的に氾濫した理由、オリーブが地中海沿岸で栽培されている理由、アフリカ北岸部で小麦栽培が盛んな地域とそうでない地域の比較。 記述・論述・作図
世界における就業構造 産業別就業者の構成比、産業の空洞化、中国における経済の地域格差と労働力の移動、日本で高齢者就業率が高い理由、西ヨーロッパにおける高齢者就業率と若年失業率との関係、ギリシャの雇用問題、EUの東方拡大による労働力移動とその影響。 選択・記述・論述
食料・生活・環境・住居 1人1日あたり食料供給量、アルゼンチンと日本の主食、インドネシアで肉類の供給量が少ない宗教的理由、開発途上地域における安全な飲料水利用者の割合と乳幼児死亡率、飲料水の入手方法の改善、乳幼児死亡率が高くなる原因、モンゴルと東南アジアにおける住居と自然環境の関連。 選択・記述・論述

2016年度

番号 項目 内容 解答形式
地形図読図・氷河地形 カルスト地形の特徴、石灰岩を利用した産業、鍾乳洞の形成過程、氷河地形の名称、北ヨーロッパ西岸に多雪をもたらすメカニズム。 記述・論述
情報通信技術(ICT)貿易 情報通信技術貿易のサービスと財部門の輸出、輸出指向型工業、ICT産業が空港に近接して立地する理由、先進国のICT産業の開発と貿易の特色、サービス輸出総額に関するグラフの判断。 選択・記述・論述
国際組織 NATOの目的、OAPEC創設の背景と石油危機、EUの意思決定の仕組み、APECの特徴、トルコのEU加盟が実現していない理由、NGOの役割。 選択・記述・論述
朝鮮半島とイベリア半島の比較地誌カ 両半島における主食穀物、山脈・山の名称、ソウルとマドリードの夏の降水の違いをもたらす要因、アジア通貨危機とIMF、エネルギー源別発電量の判断、韓国とスペインの主たる宗教。 選択・記述・論述

出題分析

分量

例年4題の構成で、記号や単語で答える選択式、単語で答える記述式、文章で答える論述式がほとんどを占めている。論述は100字を超える長文は少なく、大半は20~80字という短文での解答が求められる。2018年は選択の解答数12、記述の解答数13、論述の解答数15(うち6つは字数制限がなく、10~50字程度で答える形式)、論述の総字数は約670字であった。昨年と比べ、全体の設問数に大きな変化はないが、論述の総字数はやや増加した。

パターン

選択問題は統計の読み取りが多く、難問も含まれる。論述式は原則として短い文で答えることが求められており、解答内容に比べて字数制限が短く設定されていることや、逆に字数が多すぎて戸惑うことがある。そのほか、語群や地図中の記号群から選ぶ選択式、文中の誤りを正す訂正式、地形図記号や等高線を用いた作図など設問形式はさまざまで、2017年にはカレーズの断面図の作図が出題された。また、統計表・グラフ・地図・地形図・写真が多用されていることも特色の一つである。

内容

毎年、基本的な地理的事象について、広範に、そして正確な理解が問われている。しかし、高校の地理教科書に書かれている事項から逸脱した設問は少なく、出題範囲の偏りもあまりない。
出題分野としては、毎年、地形・気候・土壌など自然環境に関する事項が必ず出題されており、2015・18年は4つの大問中2題が自然環境を中心とするものであった。そして自然環境が、農牧業・鉱工業・集落・人口動態・交通・民族などの人文現象に与える影響についても、必ずと言ってよいほど出題されている。
また、2018年は出題されなかったが、地誌も重要な柱となっており、河川流域や大陸・海洋周辺といった一定のテーマで区切られた地域を扱う場合も多い。そして、しばしば国・地方・都市・山脈・湖沼などの位置関係や地名が問われる。また、日本に関する問題が多いことも特色である。

難易度

論述問題が多く、特殊な統計を素材とすることもあり、一見難しく見える。だが、概して標準的でオーソドックスな良問が多く、受験生泣かせの難問・奇問の類は少ない。

入試対策

通常の地理学習に励んでいれば高得点を取ることが可能である。

  • 1.まず地理の基本事項を徹底的に把握することである。センター対策レベルの知識量では不足するので、主要な地理用語について、30~50字で説明できる程度の知識を体得しておく必要がある。高校の教科書を何度もじっくりと読み、丸暗記ではなく、内容を理解した上で頭に入れていきたい。そのために地図帳や資料集、統計集を大いに活用してほしい。
  • 2.地誌の対策も重要である。理解が不確かな地名や用語があれば、すぐ地図帳や用語集で確認する習慣をつけたい。そして、当該地名だけでなく、その周辺の大きな地域名や都市名、近隣の地形や資源産地なども、極力見ておくよう努めることが大切である。これが基本事項の把握に役立つ。
    各地域ごとに、地名・自然・資源分布・工業都市などの事象をノートにまとめる際、白地図を併用するとより効果が上がる。これらの作業は地図帳を見ながらとなるが、緯度・経度、他の都市や地域との位置関係にも注意を払いたい。その際に、日本も忘れないでほしい。日本については、中学校の地理分野の教科書もよい参考書となる。
  • 3.歴史地理への対応も考慮しておきたい。日本史や世界史との境界的な分野、たとえば世界の古代文明、古代国家の名称や都市名、大航海時代の出来事、産業革命、農業革命、アジア・アフリカの植民地化、条里制、城下町、新田集落、新大陸や北海道の開発、近代以降の世界や日本における経済・社会の変化(日本の高度経済成長期・石油危機・バブル経済・ソ連崩壊・リーマンショック・ギリシャの財政危機)などについて、用語集・資料集等で確認しておく必要がある。
  • 4.論述対策としては、過去の問題を中心に、既習範囲の比較的易しい問題から進めていくとよい。書き終えたらすぐに解答例を見ずに、テキスト・資料集などで不備がないかを確認し、さらにそれを地理の先生に添削してもらえたら、一層論述力が向上するだろう。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。