2018年度入試
出題分析と入試対策
  京都大学 数学(理系)

過去の出題内容

2018年度

番号 内容 科目名
1 2次関数、軌跡 数学Ⅰ、Ⅱ
2 整数 数学A
3 三角比、三角関数 数学Ⅰ、Ⅱ
4 確率、数列、複素数 数学A、B、Ⅲ
5 曲線の長さ、極限 数学Ⅲ
6 空間図形、ベクトル 数学B

2017年度

番号 内容 科目名
1 複素数平面 数学Ⅲ
2 空間ベクトル 数学B
3 三角関数、整数 数学Ⅱ、A
4 三角比、三角関数 数学Ⅰ、Ⅱ
5 微分、面積 数学Ⅲ
6 確率、漸化式 数学A、B

2016年度

番号 内容 科目名
1 関数の最大、極限 数学Ⅲ
2 整数 数学A
3 立体図形 数学A
4 回転体の体積 数学Ⅲ
5 確率、漸化式 数学A、B
6 整式、複素数 数学Ⅱ、Ⅲ

出題分析

分量

150分6題。これは40年以上にわたって変化していない。

形式

全問記述式。誘導の小問がほとんどつかない出題になってから10年を越える。がしかし、2017、2018年度は誘導形式の小問分けされている問題が出題された。

傾向

例年ほぼ、基本的なもの2題、標準的なもの2題、難しいもの2題に分けられることが多い。2011年度に甲乙一本化されて以降、あまり難易に変化はない。
最近の入試問題(2012年度以降)から次のような傾向が読みとれる。

・具体的な積分計算:2012年度1⑵、2013年度5、2014年度6、2015年度1、2016年度4、2017年度5、2018年度5
・nが絡む確率:2012年度6、2013年度6、2014年度2、2015年度6、2016年度5、2017年度6、2018年度4
・整数問題:2012年度4、2013年度3、2014年度5、2015年度5、2016年度2、2017年度3、2018年度2

問題講評

過去2年間の問題講評はこちらPDF

入試対策

このような入試問題に対処するにはどうすればよいだろうか。上で述べたように、解きやすい問題が必ず2題程度ある。これらが完答できるようになることが第一である。易しい問題は採点基準が厳しいので、きちんと論理的に解答を書くことを心がけて欲しい。場合分け、不等式の扱い、必要条件・十分条件など注意すべき点は多くあり、これらが完答できればほぼ大丈夫といっても良いくらいである。そのためには、受験テクニックは必要ないし、すばやい計算力も要領のよい頭の回転も不要である。問われているのは、正確な計算力、地道な論証力である。
日頃の数学の勉強では多くの問題を演習するだろう。普通は、まず定型問題についてその解法を覚える・身につけるという勉強をする。定型問題を考えこんでいては時間がなくなるので、こういう勉強は必要である。しかし、もう一歩踏みこんで考えて欲しい。あらゆる定型的な、公式的な考え方には、必ず理由と限界がある。なぜその考え方が有効なのか考えて欲しい。このようなことがらを地道に追求する姿勢、簡単なこともおろそかにしない真摯な態度が求められている。また、定型的な考えはある範囲の問題には有効だが、それからはずれて適用するとどうしようもなくなる。そのときにどうするのか、ここから本当の思考が始まるのである。そこで大切なのは、ひとつの問題にひとつの解法を結びつける単眼的な思考ではなく、違う角度から問題を見なおすことのできる柔軟性である。
具体的には次のような点に注意して学習を進めていって欲しい。

<教科書内容の確認>

馬鹿にするなという声が聞こえそうであるが、例えば次のことにすらすらと答えられるだろうか?
  • 「三角関数の定義をのべ、加法定理を導く」
  • 「指数の拡張」
  • 「内積の定義をのべ、その演算規則を導く」
  • 「接線が重解条件でとらえられる理由」
  • 「微分係数の定義をのべ、sinxの微分係数を求める」
  • eの定義をのべ、exの導関数を求める」
  • 「積分の定義をのべ、それが面積と結びつく理由」
  • 「楕円の定義をのべ、楕円の標準形を導く」
教科書にあいまいに書かれていることを、高校数学を見なおす視点からはっきりととらえなおすことが必要である。

<計算力をつける>

日頃の問題演習で計算をおろそかにしないこと。やればできるというが、実はやっても間違うのが計算である。計算間違いで人生が大きく変わるかも知れない。

<方法に対する意識をもつ>

問題は漠然と解いてはならない。問題演習のときに、「この問題にはこのような複数の解法が考えられ、こういう理由でこの解法を選ぶ」というように考えて欲しい。数学ができる人は、これを自然と無意識にやっている。苦手な人でもそれを意識化することである程度できるようになる。京大は誘導をつけない出題をしている。解法のための道具は自分で考えよ、ということである。このような問題は解き始めが大切であり、ここで方法に対する意識がないと、とんでもない方向につき進んでしまう可能性がある。

<数学的作文の練習>

数学の答案はmathematical compositionだと理解してほしい。論理的な作文であり、論理に意識的になることが求められている。結論Qに進まなければならないのに、QであるためにはRであれば良い(R⇒Q)からとしてRを目標にしてしまっては、答の一部しか出ない可能性がある(もちろんR⇔Qなら問題ないが)。なお、同値記号⇔を使うのは良いが、正しく使っていない答案が多く見受けられる。乱用は避けた方が良い。さらに、京大では計算用紙も答案として提出するため、なんでも書けば良いと考えているのか、思いつきをエッセイのように書きならべた、論理的にでたらめな答案を平気で書いている人がいる。これは勘違いもはなはだしいのであって、論理的に正しく書けていないような答案はいくら書いても零点である。採点者はプロの数学者であり、論理には非常に厳格である。論証をともなわない思いつきは数学ではない。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。