2018年度入試
出題分析と入試対策
  京都大学 生物(理系)

過去の出題内容

2018年度

番号 項目 内容
植物の環境応答
動物の環境応答
花芽形成、突然変異
学習、興奮の伝達
生殖・発生 動物の配偶子形成、母性効果遺伝子
進化・系統 人為分類と系統分類、遺伝的浮動、遺伝、組換え
生態 個体群内の関係、縄張り、生存曲線、植物の組織、適応進化

2017年度

番号 項目 内容
動物の環境応答
代謝
ポンプとチャネル、チャネルロドプシン
窒素同化、窒素固定
遺伝子 復帰突然変異、最少遺伝子生物
免疫
植物の環境応答
拒絶反応
重力屈性
植生の多様性
進化と系統
遷移、ギャップ、陽樹と陰樹
光合成生物の進化

2016年度

番号 項目 内容
遺伝、突然変異 致死遺伝子、マーカー遺伝子、逆位
遺伝、進化 サクラソウの遺伝、シロアリの社会
光合成、神経 C4植物、興奮の伝導、中枢神経
分子生物、代謝 プラスミド、PCR法、ATP合成酵素

出題分析

分量

12年、13年と量的に非常に多すぎる感じであったが、しだいに分量は減少し、18年は適度な量になった。
大問1題の中に、(A)と(B)に(時には(C)まで)分かれていることが多い。それぞれが関連のある場合もあるが、関連の無い問題であることの方が多いので、実質別々の大問と考えた方がよい。
大問1題につき、問いが5~6問、時には問8や問9まで出題される。論述の量は30~200字とさまざまである。
字数設定は05年以降「枠の範囲内で」という形で出題され、どの程度の字数で書くのかが判断しにくかったが、15年度からは解答欄の枠に罫線が入り、何行くらいで書けばよいのかがわかるようになった。ところが18年は罫線がなくなり再び枠しかない形にもどってしまった。

パターン

まず説明文があり、それに空欄補充をさせる。次に、下線部分についての設問、あるいは、説明文を受けた実験についての設問、というのが最もよく見られるパターンである。もちろん、空欄補充のない問題も出題されるが、その場合でも最初の1~2問は基本的な知識を問う問題であり、これらの問いで取りこぼしのないようにすることが不可欠である。
解答の形式は、用語記述、記号選択から論述、計算(計算過程が問われることも多い)あるいは描図など、非常に多彩で、基本的な知識・思考力・考察力などをいろいろな角度から試そうという姿勢が伺える。

内容

出題分野には大きな偏りはない。そのため、あまり分野を絞ってヤマをかけて学習するのは得策ではない。まずは、幅広くどの分野も手を抜かずに学習する必要がある。しかし、それでもよく出題される分野というものもある。次の4つの分野は、最近比較的出題頻度の高い分野である。

  • ①『遺伝情報』(特に遺伝暗号、バイオテクノロジーなど)
  • ②『動物の反応』(特に神経など)
  • ③『生態』(特に個体群など)
  • ④『代謝』(特に光合成など)

また、生殖細胞の形成に関する出題が連続したり、神経の活動電位や集団遺伝や光合成が連続して出題されており、過去の問題は単に傾向を探るだけでなく、しっかり研究しておく必要がある。

難易度

年度によって差はあるものの、全体的には、高校生物を逸脱しない標準的なレベルの良問が多い。しかし、それだけに基本的な部分での取りこぼしは許されない。ただ、計算問題に関しては、類題の少ない、その場で思考して解き方を考え出さなければいけないような、やや難のレベルの問題が出題されることが多い。また、目新しい実験や見慣れないグラフが出題されることも多く、それらをすばやく読み取り、思考する力が要求される。さらにそれらを表現する力、すなわち論述力が最後にものをいう。
以上のことを考えると、難易度としては決して高くはないが、バランスのとれたきっちりとした学習をしておかないと、合格点には達しない問題といえる。
ただ、近年は年度によってレベルに大きなバラツキがある。02年度では高校生物を逸脱した問題が多く見られ、残念ながら標準的な良問とは言えないものがあったが、それ以降はかなり易しくなった。再び、10年度、11年度、12年度と少しずつ難化の傾向にあったが、14年度以降は10年度以前のレベルに戻った感じである。

入試対策

前述したように、全体としては高校生物を大きく逸脱する問題はあまり出題されないので、厚い参考書の隅の細かい知識などは必要としない。まずは教科書レベルを完璧にすることが大切である。ただ、単に単語を丸暗記するような学習では太刀打ちできないので、ちゃんと使える「生きた知識」として定着させることが大切である。
そのためには、次のような3段階で学習してほしい。
ステップ1:ストーリーの中で覚える
1つ1つの用語を覚えるときに、単語としてではなく、ストーリーの中で押さえていく必要がある。そして、それを他人に説明するつもりで、口に出してみるのである。自分の中でストーリーができていないと説明することはできない。
ステップ2:問題の中で定着させる
次に、すぐに問題演習を行う。「全部まとめてから」とか「きれいなサブノートを完成させてから」などと言わずに、1つの小さな単元が終わったら、すぐに問題にあたってみる。問題を解くことで、頭に入れたストーリーを自在に取り出して使うことができるようになる。
このようにして1つ1つ丁寧に身につけていくと、これが同時に論述対策にもなっている。論述が苦手という人の大半は、知識が不完全であることが原因である。知識がストーリーの中で定着していないと文章にならないのである。逆に、このような方法で定着させた知識は、すぐさま論述にも使える「生きた知識」となっている。できれば、自分で書いた答案を教師に添削してもらうとさらによいだろう。
ステップ3:思考力、計算力をつける
特別な方法があるわけではない。普段の学習態度がそのまま現れると思った方がよい。すなわち、見慣れたグラフでも「あ~、知っている」で終わらず、縦軸は何か、横軸の単位は何か、なぜここで傾きが変わるのか、どのような実験をしたらこのグラフが得られるのか、といったことに常に注意を払う姿勢が大切である。同様に、おなじみの実験であっても、結果だけを覚えてしまうのではなく、どのような目的で行った実験なのか、なぜこの実験材料を使うのか、どのような手順で実験したのか、どの実験が対照実験なのか、などを考えながら学習するのである。
計算についても同様である。普段から計算問題を練習するときに、単に公式にあてはめて解くのではなく、その思考過程を順に追って計算するという姿勢で学習するのである。頻出分野の1つである遺伝を解くときも、同様の注意点が必要である。
いずれも一朝一夕にできるようになるものではないが、このような地道な学習姿勢を続ければ、実力は必ず身についてくる。あせらずじっくりと養っていこう。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より 刊行の『青本』より抜粋。