2018年度入試
出題分析と入試対策
  名古屋大学 地理

過去の出題内容

2018年度

番号 項目 内容 解答形式
地図・地形・気候・植生・土壌・地形図 A .地図の作図法と特徴、経線上の距離、火山でないもの、サバナ気候の成因と植生の名称、ラトソルの特徴、ペルー沖の海域の特徴
B .日本の地体構造、西南日本内帯と外帯の地形の違い、扇状地の地形図の完成
記述
選択
論述
描図
農業・工業 企業的農業の地域判定、遺伝子組換え作物の生産地域の特徴と開発・普及をめぐる社会的問題、多国籍企業の製品間分業の特徴、日本の製造業の海外進出による国内生産地への効果と背景 選択
論述
人口・都市 グラフの出生率・死亡率の判定、発展途上諸国の人口転換の理由、先進諸国と発展途上諸国の都市化の問題点、人口ピラミッドの型、富士山型とつぼ型の人口ピラミッドを示す国名と人口首位都市、人口ピラミッドからの国名判定と人口首位都市、歪んだ形状となる原因 選択
論述
記述
ヨーロッパ地誌 アイスランドで地震活動が活発な理由、最暖・寒月平均気温と最多・少雨月降水量のグラフから都市判定、土地利用割合のグラフから国名判定と判断理由、外国生まれ人口の出身国の特徴、干拓地の造成、輸出総額と品目別割合の表から国名判定、ハンガリーとスロバキアの経済の変化 論述
選択
記述

2017年度

番号 項目 内容 解答形式
地形・地形図・気候 A .地形図から旧河道の読み取りとその判断理由、後背湿地と自然堤防上に位置する集落の洪水時の浸水の深さのちがい、表から新潟の気候の判断
B .高緯度地域ほど気温の年較差が大きくなる理由、内陸部と沿岸部および東岸と西岸で気温の年較差が異なる理由、グラフから都市名の判断、新期造山帯に全く含まれない国名
論述
選択
記述
農業 農業政策について書かれた文章中の空欄補充、減反政策、日本の食料自給率が低下している原因、食料自給率が低いことによる問題点、穀物輸入に関する表から国名判断、農業産出額の構成比を示した表から都道府県名の判断 選択
論述
記述
都市 インフォーマルセクター、発展途上国のスラムにおける都市問題、ドックランズ、ジェントリフィケーション、都市再開発の2つのタイプのちがい、先進国の大都市の都市問題、イギリスの人口、プライメートシティ、グラフから都市名判断 論述
記述
南アメリカ地誌 ハイサーグラフから高山気候の判断とその特徴、ハイサーグラフから砂漠気候の判断とその要因、ハイサーグラフから温帯気候の判断と農業生産の特徴、三角州とフィヨルドの特徴とその成因、アマゾン川流域の衛星画像から撮影年順と変化が生じた原因、ブラジルの輸出上位品目の変化と経済・政治の状況 論述
選択

2016年度

番号 項目 内容 解答形式
地形・気候・地形図 赤道と経度180度線の交点、火山の特徴の違い、河川名と河口部の気候、海岸段丘、その分布地と判断理由、三角点の説明、尾根線の描図、谷線の最上流部の標高 選択
論述
記述
描図
工業・水産業 日本の製造企業の進出先、ベトナムで現地法人数の増加率が高い理由、1980年代以降の日本の製造企業の海外進出の推移、エビ養殖池の土地生産性の違いが生じる理由、食料生産で土地生産性を追及した場合に生じる課題 選択
論述
交通・都市 貨物・旅客輸送量の統計の国名・輸送手段の判定、日本と比較したドイツの船舶貨物輸送の特徴、鉄道が果たす役割の違いとその理由、日本の旅客輸送手段別CO2排出量、パークアンドライドシステムの説明、都市の街路網の分類と特徴、都市間の距離 選択
論述
赤道以南のアフリカ地誌 赤道上の地形の様子、ナミビアの海岸部と内陸部の気候の様子と成因、コンゴ民主共和国で難民・国内避難民が発生した理由、旧宗主国名、輸出品目からの国名判定、モノカルチャー経済の問題点、死因別死者数の国名と死因の判定 論述
記述
選択

出題分析

分量とパターン

出題数は大問4題で、論述問題を中心に、記述・選択問題などが組み合わされ、描図問題が出されることもある。論述問題は全問解答枠指定(答案用紙の枠は横約14cm、縦1.5~7cm)であったが、2016年のみ80字以内という制限がついた論述が1問出された。ほとんどは字数制限がないので解答は作りやすいが、全体の問題量が多いため、要領よく解答していかないと、見直しや推敲の時間がなくなってしまう恐れがある。また、描図問題や地図への記入形式の問題もみられ、地図上の位置を正確に把握する力が求められる。

出題内容

系統地理の各分野と、地誌分野がまんべんなく出題されている。全体的にはよく練られた良問が多いが、しばしばハイレベルな設問が含まれていることもある。変わった形式の問題としては、2017年Ⅳで衛星画像からの地域の変化の読み取り、16年Ⅲで5都市間の距離からの都市名判定、15年Ⅰで地形図中の2地点間の平均勾配の計算などが出題された。
出題分野を見ると、地形、気候などの自然分野中心の大問、農業、エネルギー、工業などの産業分野中心の大問が多く、これに加えて人口、都市、環境問題、経済統合などが多く出題されている。また、時事的・現代的な題材が出題されることにも注目しておきたい。
問題の中では、地形図や統計などが多用されている。地形図を利用した問題では、地形と土地利用の関係、同一地域の変容の論述などのオーソドクスな設問のほか、地形断面図の作図、尾根線の図示、等高線や記号を使った地形図の完成など手間のかかる設問も見られる。統計(図表、グラフ)を利用した問題では、国名などの判断、統計からわかる特徴や要因・背景の論述が多く出題されている。国民総所得、都市人口率、農業就業者率、食料自給率、出生率・死亡率、工業生産の推移、農産物の生産・流通、地下資源の生産・輸出入量などの一般的なテーマがよく取り上げられるが、18年Ⅱの先進国の多国籍企業による製品間分業の模式図や、日本の製造業の海外進出による効果のグラフ、16年の10万人あたりの死因別の死者数の表などといった、あまり目にしない図表が提示されることもある。

特徴

分析力や地理的思考力を問う問題が多い。特に、図表を用いて総合的・大局的にその内容を読み取り、要領よく表現することが求められる応用的な問題が多い。2018年Ⅱの多国籍企業の製品間分業の特徴、16年Ⅱのエビ養殖池の土地生産性の違いをもたらす理由、15年Ⅲのプランテーション作物の生産・加工・消費が特定地域に集中する傾向、14年Ⅱの日本の自動車メーカーの海外生産台数増加の理由、ⅢのASEAN 諸国の産業構造の変化などがそれに当たる。
また、近年の経済動向に沿った時事的な設問などがしばしば出題されている点にも注意してほしい。18年Ⅱの遺伝子組換え作物の開発・普及をめぐる社会的問題、17年Ⅳのブラジルの輸出上位品目の変化、15年ⅣのEU 加盟国が直面している新たな問題など、グローバル化・情報化・産業構造の変化に関連した設問が多い。これらに取り組む場合も教科書などを使った学習が基本になるが、日頃から新聞記事やテレビのニュース番組などに注意を払っておくことが望ましい。

入試対策

  1. 基本事項をシッカリと理解する!
    論述・記述問題が中心であるが、基本事項をしっかりと理解していれば解ける問題が多いので、教科書やテキストの内容を完全にマスターすることが重要である。用語や事項がなんとなくわかっているだけでは役に立たない。具体的な背景やイメージが明確に描けて、それを短文や略図で正確に表現することが必要である。
    また、12月頃までに一度は自分で世界と日本の略図を描いてみてほしい。それによって、大陸や島の大きさ、緯度・経度、位置関係を確認できる。西ヨーロッパ諸国、ロシア、アメリカ合衆国、中国、インドなどの主要国を、緯度や経度を意識して描き加えていき、自作の白地図として活用すれば、基本事項の把握や略地図作成問題の対策になるはずである。
  2. 考えながら学ぶ!
    名古屋大学が受験生に求めているのは、単純な語句や数値の暗記ではない。図表を分析し、地域性や地理的事象の特徴などを的確にとらえて、なぜそうなるのか、立地条件や因果関係などを論理的に説明できる力、言い換えると、地理的な考察力が重視されている。考えながら学ぶ姿勢は応用問題の対策にも通じる。
    また、常に統計集を傍らにおいて学習する習慣を身につけたい。統計の学習で大切なのは、数値などを丸暗記することではなく、そこからどのような特徴が読み取れるか、統計の背景となる地理的事象は何かを考えることである。
    さらに、18年Ⅳでは4つの経線が通るヨーロッパの地域、17年Ⅰでは8つの国のうち新期造山帯に全く含まれない国名、16年Ⅰでは赤道と経度180度線の交点、15年Ⅳでは3本の経線が通るEU 加盟国の組み合わせが出題されており、地図帳活用の重要性を強くアピールしている。また、若者が「地名に弱い」といわれて久しいが、 名古屋大学では地名がそのまま問われる設問も多く見られる。18年Ⅲでは、国名とともに、各国の人口の首位都市の解答を求められている。地図帳で地名や地下資源の産地を確認するのはもとより、国や都市、山地や河川および海流の位置関係や、主な経緯線など、有機的に理解する習慣をつけたいものである。頭の中に各国、都市の位置などが浮かぶようになっていれば、16年Ⅲの都市間の距離からの都市の判定、14年Ⅳの飛行距離が長くなる都市の選択などにも十分対応できる。
  3. 夏頃から論述練習を!
    名古屋大学の論述問題は教科書の内容にほぼ沿っている。したがって、論述対策は、基礎を完璧に習得することにつきる。特に論述問題の数・量は多く、制限時間内に要領よく、正確に論述答案を作成する力が重視されている。この対策として、一応の基礎力がついたら、短時間に文章化する練習が必要である。夏頃から始めないと間に合わないので、駿台の夏期講習で地理論述対策を扱う講座を受講して、論述答案作成のコツをつかんでほしい。
    また、設問の要求に的確に応えた文章、論旨が明快で、論理的で簡潔な文章が書けるようにする努力が必要なのだが、そのためにはなるべく多くの過去問にあたってみることが有効である。さらに名古屋大学と同レベルの類題の多い東京大学、首都大学東京や東京学芸大学および京都大学などの過去問にも目配りすれば、一層実力がつくだろう。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。