2018年度入試
出題分析と入試対策
  名古屋大学 数学

過去の出題内容

2018年度

番号 内容 科目名
1 定積分で表された数列、漸化式、極限、無限級数 Ⅲ、B
2 指数関数と対数関数のグラフの共有点 Ⅲ、Ⅱ
3 整数の約数、倍数および剰余、二項定理 A、Ⅱ
4 確率、漸化式、不等式の証明 A、B

2017年度

番号 内容 科目名
1 積分、回転体の体積、対数関数
2 確率の漸化式、3状態の推移 A、B
3 空間のベクトル、楕円、解の配置 B、Ⅲ
4 集合の決定、複素数、論証 A、Ⅲ

2016年度

番号 内容 科目名
1 直線の直行条件、解の存在条件 Ⅰ、Ⅱ
2 円上の動点、面積、三角関数の微分 Ⅱ、Ⅲ
3 3状態の推移の確率、漸化式 A、B
4 連立方程式、漸化式と論証 Ⅰ、A、B

出題分析

分量

毎年4問。08年度より150分(時間が十分ある)。

形式

記述式。過去には選択問題がある年もあったが、ここ数年は選択問題はなくなった。

全般的な特徴

時間はたっぷりある。
大問4問に対して、試験時間は150分であり、同格の他大学と比較して、問題数が少なく時間は十分にある。時間不足でできないという言い訳はできない。
各問の前半は取り組みやすく出題されている。
大学側は受験生にオーソドックスな学力を求めている。問題が(他大学でときどき見られるように)場違いに難しすぎると数学が苦手な生徒が有利となることもあるが、名大の試験はそのようなことは起こらない。また、問題が場違いに易しすぎると(これも他大学でときに見られる)数学が得意な生徒が不利となるが、名大の試験ではそのようなことは起こらない。
各問題は、始めに取り組みやすい問題で立ち上がる。あたかも、受験生の緊張を解こうとしているようである。しかし、各問題の後半は、(パターンに頼るような学力では手におえず)自力でじっくりと時間をかけて考えなければ解けないようになっている。
出題分野に偏りを感じることがある。
個々の年度を検討すると、「三角関数」も「指数・対数関数」も出題されなかったり、図形的な問題がなかったり、「数列」関連の問題がやけに多かったり、必答の分野がすべて数Ⅲであったり… 等々の、1回の問題セットと見ると偏りを感じることがあった。しかし、これらのことは出題者が意図したことではなく、問題数が4問と少ないことや、その他何らかの偶然によるものであろうと思われる(と思いたい)。
受験生は、出題傾向の偏りを考えたりするのではなく、全分野にわたる学力が必要であることはいうまでもない。もしも不得意分野を抱えていてそれが出題と一致したりすれば、大きなダメージをこうむることになる。
毎年「公式集」が付いている。
しかし、例年と同じく、大半の諸君は参考にすることもなかったようである。この「公式集」は改定されることもなく毎年使われており、範囲外のこと等も載せられていることもある。知らないことを初めて見て"何のことだろう"等と考えこんだりしないようにしてほしい。
選択問題が復活する可能性もある。
選択問題が再現することも十分に考えられるので、注意しておこう。
名大では05年度以前は選択問題において、「整数の証明問題」「 図形の証明問題」「技巧的な積分」「 微積分の少し変わった問題」など、(難問ではあるが、数学を得意とする生徒には腕の見せ所となる)強い個性をもったものが出題されていた。
選択問題が出題されると、それを前にして受験生が迷うことは避けられない。(難易が明瞭に分かるときは苦労せずに選択できるが、)選択による損得や、有利・不利が起こるのがふつうであるから、丁寧に選びたい。

◆出題形式の特徴◆

大門4問である。
これは、同水準の他大学と比べて少ない問題数である。
受験生に十分な時間を与え、じっくりと考えさせて丁寧に学力を考査しようとする出題者サイドの意向が伺える。
どの問題も小問に分けられている。
ここにも、受験生に十分に力を発揮させようとする出題者の配慮がある。もっとも、そこには(満点や0点の続出を避け)理想的な得点の分布を得たいという目的もあるだろう。
しかし、このことは、どの問題も小問に分割できるような大型の問題であることを示している。受験生に対して、複合的で息の長い総合問題に取り組むことができる学力の構築を求めている。特に、各問とも後半部は(前項②でも述べたように)薄っぺらな学力では対処できない。

◆出題内容の特徴◆

「数Ⅲの微積分」が重要視されている。
内容は数Ⅲの全範囲にわたっている。「数Ⅲの微積分」を高校数学の達成目標と考えているのであろう。
「確率」も頻出である。
類型的でない、型にはまらない思考力を「場合の数、確率」の素材を用いて試そうとしているように伺える。
「漸化式の利用」も目立つ(偏愛されている)。
数学的な状況の変化を把握することにテーマが置かれているために、おのずから漸化式が表れるのであろう。特に「確率の漸化式」は高級なものであるが名大ではあきれる程の頻出のタイプであり、過去問を研究しなければならない。
計算と論証のバランスがとれている。
計算が主体に見えても、計算力だけでは解けない問題も多い。受験生諸君は、計算と論証の数学の両輪を意識して学ぶことが大切である。
難易度は標準的であっても、ありきたりではない。
それぞれの問題は上位層が満点近くを取れるような難易度に設定されているが、工夫が凝らされていてありきたりではないことが多い。受験生は、各場面で自分なりに試行錯誤を行う数学的な行動力が必要となることも多々ある。
近年、後半部分の相当難しい問題が目を引いた。17 年度の4、16 年度の4、14 年度の4 等。これらは、前半と比べて、また、他の問題と比べても難しさが際立っていた。このレベルになると、いくら時間があるとはいえ、また数学が少々得意であっても決着をつけるのは容易ではない。来年もこのような難問があるか否かは分からないが、試験に臨んでは、成り行きまかせにとりかかるのではなく、片付けるべき問題は先に確保しておいて、その後にじっくり取り組むような、時間配分に対する配慮も必要である。

◆難易度の変遷◆

ここ数年、難易度は「標準の上」で安定している。ただし、12、13、14、16 年度の問題の一部は非常に難しかった(多分、合否には無関係であると思われる)。

◆学習対策◆

苦手な分野を作らないこと。
「数Ⅲ微積分」「 数列」「 確率」「 整数」を学習した後、各分野の典型的な問題を押えておくとよい。
各分野の標準的な頻出問題については、一通り体験して出来るようになっておくこと。丁寧に学び、各解法を学習する過程で、そこに込められている技巧の必然性を意識できることを目指すこと。また、日常の学習においても、作業量の多い問題でも最後の結果まできっちりと求めることを心がけておく。
論理的な文章を書くように努めること。
特に、「任意の~」「 ~が存在する」という命題においては、第三者が読んで分かる記述をするように、平素の勉強において心掛けること。
問題が大型であるため、大計算となることがある。単純な計算であるが長い忍耐が必要となることもある。常日頃からいやがらずに計算力をつけておかないと「標準問題が試験場で難問に転化した」り、「やればできると分かっているのだができなかった」という悔しい思いをすることになりそうである。実に、計算力は合否を分ける大きな要素であることを肝に銘じておいて、日常の学習においても「一発で決める」ようにする。
過去問はできるだけ多く解いておきたい。学ぶ価値のある良問が多い(その際、時折出題されている難問については、解説を読んで理解できればそれでよい)。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。