2021年度入試どうなる!?新入試これからの大学入試

大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)における英語外部資格・検定試験の一括利用と国語(現代文)と数学①(数学Ⅰ、数学Ⅰ・A)の記述式問題の出題について、2021年度入試での導入が見送られることが2019年11月、12月に相次いで発表されました。自分たちの受験まで1年もないのに入試制度の詳細がまだ決まらないことに不安に感じる人もいるでしょう。でも、今回の改革の目玉である2点が見送られたことで、2021年度入試は従来と大枠は変わらず、不安は大きく軽減されましたので、安心して学習を進めることができます。

さて、これから現在の高2生の皆さんが受験する2021年度入試について、2019年12月時点での情報をもとにまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

人気の高い学部・学科(系統)は?

皆さんは大学で学びたいことはもう決まっていますか?文理選択は決まっていても、学部・学科(系統)はまだという人もいるでしょう。さて、最近の模試の志望動向を見ると、文系系統の人気後退、メディカル系の人気低迷が見られ、これは2021年度入試でも継続すると思われます。

文系系統では、経済・経営・商学系や国際関係系を中心に高い人気がありましたが、昨今の国際情勢やオリンピック・パラリンピック後の経済状況への不安から人気が下がってきています。また、メディカル系は医学部の入学定員拡大による既卒志望者の減少、薬剤師過剰による薬学系の人気下降などによって、志望者数の減少が目立っています。さらに、看護師不足から大学・学部新設が続いている看護系への人気も一段落しています。

人手不足から大学生の就職状況が安定していることもこういった職業直結型の系統への向かい風だといえます。なお、医師をめざす高校生にとっては、先に述べた既卒志望者の減少や、学力レベルのダウン傾向により、医学部への現役合格のチャンスが拡大していることは確かですから、簡単にあきらめないことが大事です。

一方で、人気の高い系統は何でしょうか?答えは「情報系」です。AI(人工知能)、データサイエンスなどへの関心の高まりは世界的な潮流ですが、これらを専門に学ぶのが情報科学、情報工学といった情報系です。関連分野として電気・電子・通信系も注目されています。いずれも、受験生からの高い人気を集め続ける系統であることは間違いなさそうです。

大事なことは、人気が高い、先生や保護者の勧め、仲のいい友人が志望しているから、といった安易な理由で学部・学科を決めないこと。受験勉強の合間には、自分が関心をもって学びたいことをしっかりと考えていきましょう。

「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」

2020年度入試までは、大きく①一般入試、②AO入試、③推薦入試の3つに大別されてきました。2021年度からは、①が一般選抜、②が総合型選抜、③が学校推薦型選抜へと名称が変更されます。

ポイントは総合型選抜と学校推薦型選抜です。この2つは、これまで学力評価が不十分な例が少なくありませんでしたが、今後は何らかの方法で入学時の学力について必ずチェックされるようになり、いわゆる「学力不問型入試」は姿を消すことになります。

そして、志望にあたっては自分で考えて、つまり主体的に決めたのかについて、従来以上に問われることになります。なお、以下に2つの選抜方法についての特徴をまとめましたので、参考にしてください。

1)総合型選抜(旧AO入試)
○学校長の推薦は、学校推薦型選抜と異なり必要ではなく、基本的に誰もが自由に出願できる。
○面接、調査書やエントリーシートなどの出願書類、小論文などで総合的に審査する。

2)学校推薦型選抜(旧推薦入試)
○学校長の推薦が必要である。
○調査書などの出願書類、面接などで審査する。英語4技能化が言われるようになり、調査書の評定平均値などに加えて、英語外部資格・検定試験の成績も出願資格に加える大学も現れています。
○大学が過去の合格実績をもとに推薦を依頼する高校等を指定する指定校推薦、大学の定めた一定の基準を満たせば誰でも出願できる公募制推薦に分かれる。

大学入学後に、講義に関心を持てない、ついていけなくて進級・卒業できないようでは困ります。難関大学では従来より総合型選抜でも高学力が求められてきましたが、2021年度入試からは、どの大学でも学力チェックを行うことになっています。部活動や委員会活動、ボランティア活動や資格取得だけを頑張っていればいいというわけにはいかなくなることに注意が必要です。もちろん、第一志望校で出願基準・成績などを満たしている場合には、総合型選抜や学校推薦型選抜への出願も考えてみましょう。

共通テストのポイント

従来の大学入試センター試験(以下「センター試験」)は、皆さんが受験する2021年度からは共通テストに代わります。冒頭でも触れたように、共通テスト実施に伴う英語外部資格・検定試験の一括利用、国語と数学①における記述式問題の導入は見送りとなりました。実施教科・科目はセンター試験と同じですが、今回の記述式問題の導入見送りに伴い、国語や数学①の試験時間や大問数、配点などが再検討されることになっています。共通テストの制度設計について、12月17日以前の状況と記述式問題が見送りとなった現在との比較を一覧表にまとめましたので、参考にしてください。

今回の発表を聞いて、「先輩たちが受験してきたセンター試験に戻るのだ」と思った方もいるかもしれませんが、それは誤りです。2017年度・2018年度に共通テスト導入に向けて実施された試行調査(プレテスト)の問題を見ると、「思考力」や「判断力」への評価を重視した長い問題文や複数の文章や図、グラフなどを総合的に考察する出題が見られました。

共通テストは、従来のセンター試験よりも高い読解力が必要です。さらに、共通テストの出題にあたっては、全国平均点の目標数値を従来のセンター試験6割程度から5割程度へと低く設定されていることから成績中下位層を中心に、得点ダウンが予想されます。

さらに、今回の記述式問題の先送りにより、残ったマーク式問題を用いた「思考力」「判断力」を問う出題が予想されます。いわゆる「新傾向問題」です。これに対しては、安易な速修型の参考書・問題集に頼った「パターン学習」では対応できません。過去問がないため、模試の受験回数を従来よりも多くすることに加えて、予備校・塾などが主催する講習等にも積極的に参加して、新作問題にチャレンジする機会を増やすことが大事です。

文部科学省は国公立大、私立大を問わず各大学の個別試験で記述式問題を導入してほしいという意向を持っています。今後の大学入試突破には「読解力」「記述力」の強化が大きなポイントになります。また、英語外部資格・検定試験の利用も私立大だけでなく国公立大でも総合型選抜や学校推薦型選抜を手始めに、一般選抜にも拡大していくことは間違いありません。

入試制度が変わっても、大学が受験生に求める学力の本質は変わりません。早期から準備を始め、しっかりと学習を積み重ねることで、本物の学力を身に付けた人が志望大学合格の夢を実現することができます。