2018年度入試
出題分析と入試対策
  九州大学 日本史

過去の出題内容

2018年度

番号 時代 内容 形式
〔1〕 古代 A:律令の税制(史料=筑前国嶋郡川辺里の戸籍)
B:平安時代の土地・税制
記述論述
(50字)
〔2〕 中世 鎌倉~室町時代の経済(史料=『老松堂日本行録』) 記述論述
(30字・50字・60字)
〔3〕 近世 A:貝原益軒を題材にした諸問題(史料=『農業全書』)
B:江戸時代の貿易・経済
記述論述
(50字・60字)
〔4〕 近現代 近現代の日米関係をめぐる諸問題(史料=不戦条約・九か国条約) 記述論述
(80字・60字)

2017年度

番号 時代 内容 形式
〔1〕 古代 A:律令の軍事制度
B:飛鳥~平安時代初期の政治・軍事(史料=『日本後紀』より徳政相論)
記述・選択論述
(100字)
〔2〕 中世 鎌倉~室町時代の文化(史料=二条河原落書) 記述論述
(80字・60字)
〔3〕 近世 A:朱子学の展開( 史料=柴野栗山『答大江尹』・新井白石『折たく柴の記』)
B:秋田藩の経済
記述論述
(50字・60字)
〔4〕 近現代 A:大正~高度成長期の民衆運動
B:明治~大正期の朝鮮進出
記述論述
(80字・50字)

2016年度

番号 時代 内容 形式
〔1〕 原始・古代 A:5~6世紀の外交・政治・社会(史料=『宋書』倭国伝)
B:奈良~平安時代の仏教
記述論述
(50字・60字)
〔2〕 中世 室町時代の日明・日朝貿易(史料=『善隣国宝記』) 記述論述
(80字・50字)
〔3〕 近世 江戸時代の洋学発展とその背景(史料=『蘭学事始』) 記述論述
(50字・60字)
〔4〕 近現代 大正~昭和戦後期の文化・経済(史料=『九州大学文学部90年の歩み』) 記述論述
(60字・60字)

出題分析

出題形式

九大文学部二次の日本史B問題は、90分の試験時間に対して、大問4問の構成で、リード文の関連設問および空欄補充の小問が30問前後、30~100字の論述問題が7~8問の出題となっている。また、大問ごとに論述問題が出題されている。

出題内容

大問ごとに外交・文化などのテーマ性のあるリード文もしくは史料が提示されているが、設問は政治・社会・経済などいろいろな分野からなされており、複合的である。2016年度・2017年度は、約4割が文化史からの出題であった。古代では律令制度に関する問題、近世では江戸幕府の外交や貿易に関する問題がほぼ例年出題されている。昭和戦後史についての出題も毎年あるので、きちんと学習しておきたい。また、史料問題も多い傾向があり、その史料の内容を読み取って、歴史事象の背景を考える論述問題が出されている。

難易度

記述問題として出題された語句はほぼ教科書に記載されている事項がほとんどで、いわゆる奇問・難問の類は見られない。しかし、必ずしも教科書の本文中にゴシックで記載されている重要語句だけが出題されているわけではなく、受験生が難しいと感じるレベルのものもある程度ふくまれている。また史料は、2016年度〔1〕の「倭王武の上表文」・2017年度〔2〕の「二条河原落書」のように、教科書に掲載されているものもあるが、多くは初見史料が使われている。ただし、内容は比較的読み取りやすいものである。論述については、政策などを教科書の知識で説明させるものと、史料の内容をふまえて、歴史事象の背景や政策の目的などを書かせるものがあり、けっして難問ではないが、十分な対策を講じておかないと確実に得点することは難しい。

入試対策

まず指摘しておきたいことは、日本史学習の基本は教科書の完全な習得にあるということである。教科書の完全な習得とは、書かれている文章をしっかり読み、一つ一つの歴史事項の内容・意味を理解するということである。理解があいまいなまま、いくら歴史用語を暗記しても入試にはあまり役に立たない。具体的には、歴史上の事件であれば、その事件の関係者・内容・背景・結末や影響・意義などを一連のものとしてとらえ、自分のなかでその事件の具体的なイメージがきちんと想起できるようになるまで教科書をくりかえし読んで、習得すること。またたとえば、ある地名が記されていれば、その土地の歴史的位置づけを理解したうえで、地図でも位置確認するという付属の作業をすることによって、その地名が実際に入試に役立つ知識となるのである。従って、学習材料として、教科書のほかに市販の用語集(山川出版社『日本史用語集』など)や図説も用意しておくと便利である。語句記述の設問に対してはこれで十分に対応できるであろう。

次に論述問題に対する学習方法であるが、本学のように30~100字以内の比較的少ない字数で文章をまとめることは意外に難しいものである。日頃から意識して、各時代の特徴をあらわす重要事項を文章で覚えていくようにしたい。また、正答を得るためには設問の出題意図を的確につかむことが必要だが、これには経験が欠かせない。実際に書く練習をし、さらに自分の解答を先生に客観的に評価してもらうことが大切である。どのようなテーマが論述の対象になるのかを知るためには、本学の過去問題のほか、比較的類似の形式で論述が出されている北海道大学・名古屋大学・新潟大学などの過去問題にチャレンジしてみることも有効である。字数は異なるが、大阪大学・京都大学の論述問題も参考になるだろう。

続いて史料対策についてであるが、まず、教科書に掲載されている史料は、本文・脚注とも必ず目を通しておくこと。そのほかに、入試問題でよく用いられる史料というのがあるので、それらが編集されている市販の史料集(駿台文庫『日本史史料集〈改訂版〉』など)を備え、読む訓練を積んでおくほうがいい。一度でも読んだことのある史料が出題されれば、気持ちの上で余裕が持てるものである。ただしそれでも初見史料の出題はこれからも行われるだろう。史料の全文の意味が正確に読み取れなかったとしても、本文や脚注のなかに必ずヒントとなる語句や文章があるはずなので、あわてずに、それらを見つけ、そこから史料文の内容や意味するところを類推する力を養っておくことが必要である。

最後に、本学の出題傾向に照らし合わせると、どの時代・どの分野も偏りなく日本史の諸テーマに対する基本の習得を心がけることはもちろん、日本史にあらわれる九州各地に関する事項には注意をはらっておきたい。2015年度は平戸藩主に関する表が用いられ、2016年度は大内氏や九州大学文学部の歩みを素材にした出題がなされ、2018年度は福岡藩の貝原益軒・宮崎安貞に関する問題が出題された。従って、教科書に掲載されている九州の古代遺跡、律令時代の大宰府、対外交流の窓口となった港(博多・平戸・対馬・長崎など)、江戸時代~明治維新の九州各藩に関連する事項などを確認しておくことは重要である。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。