2017年度入試
出題分析と入試対策
  東北大学 地学

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容
1 天文 恒星の進化(記述、論述、計算)
2 大気・海洋 潮汐のしくみ(記述、論述、計算、描図)
3 固体地球 プレート運動(論述、選択)
4 固体地球 重力とアイソスタシー(記述、論述、選択、計算)
5 地質・地史 海洋底とその堆積物(記述、論述)

2016年度

番号 項目 内容
1 天文 恒星の諸量(記述、論述、計算)
2 大気・海洋 地球大気の構造(論述、選択、計算)
3 岩石・鉱物 マグマの変化(記述、論述、計算)
4 地質・地史 露頭の観察(記述、選択)
5 地質・地史 第四紀の気候変動(記述、論述)

2015年度

番号 項目 内容
1 天文 連星系の質量(記述、計算)
2 固体地球 重力と重力異常(記述、論述、選択)
3 岩石・鉱物 プレートと造山運動(記述、論述、選択)
4 地質・地史 付加体の特徴(記述、論述)
5 固体地球 地殻熱流量(記述、論述、計算)

出題分析

出題分野

「地学」を構成する各分野、すなわち、天文分野、大気・海洋分野、固体地球分野、岩石・鉱物分野、地質・地史分野から、1問ずつ計5題が出題される年度が多いが、いずれかの分野から2題の出題がなされることもある。

分量

試験問題は理科2科目で150分であるから、半分の時間の75分で5題を解くことになる。論述や計算を主とする設問が多い年度の場合、1題あたり平均15分では時間的な余裕が持てないと思われる。

パターン

論述、記述、計算、描図、選択と、さまざまである。論述は20~200字程度の字数指定の設問が数題であったが、2015年度からは1~4行程度の行数指定となった。計算は文字式のほかに数値計算を必要とするものが多い。

内容

正確な基礎知識を要求する問題が大半を占めているが、それに洞察力と思考力を必要とする問題が加わる。しかし、ときどき教科書では十分に取り扱われていないやや専門知識を必要とする設問が見られることもあるが、それらの設問についても、基礎知識を土台にして対象となる事柄の意味を類推することにより、返答は可能となろう。

難易度

出題内容は基礎学力を重視する傾向にあり、教科書程度の内容を十分に理解していれば、多くの問題で返答に困ることはない。しかし、出題内容の豊富な年度では試験時間が不足しがちだから、高得点を得るためにはそれなりの対策が必要である。

入試対策

《まず基礎学力を》

地球科学や天文学は、自然界の基本法則を土台にして、諸現象の観察・観測・測定・実験を通して、そこに横たわる法則性を追求し、系統的に組み立てられてきた。受験科目の「地学」であっても、現象をバラバラにみるのではなく、骨格となるものを見抜くこと、そして諸現象の間の関連性を見抜くことが肝要である。「急がばまわれ」と言われるように、自然に対しての深い洞察とそれを支える豊かな感性を高めること、言い換えると、自然に対しての洞察力・理解力・思考力を着実に高めることが、結果としては高得点に結びつくであろう。ただし、地質と岩石鉱物分野の学習にあたっては、覚える事柄は覚える、それも系統的に覚えることがさらに要求される。
対策としては、広い視野に立って、のびのびと進める日常の学習が何よりも大切であろう。具体的な学習法としては、高校の教科書(地学基礎、地学とも)を中心に、地学に関係する図表集や物理と化学の教科書等を併用して、その内容を確実に理解すればよい。また、多数出版されている地学関係の教養書を手にすることは、自然現象への興味が深まるだけではなく、基礎学力に肉付けする意味にもなる。

《論述問題・計算問題の対策》

基礎知識とそれに支えられた思考力・洞察力を必要とする基礎重視の問題が多い。だからといって、返答が容易であることには結びつかない。論述問題では、字数にかかわらず論理的な記述が要求されるが、まず解答の骨組みを考え、必要な事柄を順序正しく箇条書きにして、それを整理しながら返答すればよいであろう。
計算問題は天文分野や地球物理分野などで出題されるが、その解法の糸口は、問題の意図するところを図示することによってわかる場合が多い。また、数値計算の場合には、有効桁数と単位に気をつけなくてはならない。日頃から問題を解く際にそのようなトレーニングを行って、洞察力・思考力・注意力を高めておきたいものである。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。