2017年度入試
出題分析と入試対策
  早稲田大学 教育学部 日本史

過去の出題内容

2017年度

番号 時代 内容 形式
古代 『平家物語』を通して見る平安時代の政治・文化 選択・記述
中世 室町時代の政治・文化 選択・記述
近世 江戸時代の政治・社会経済・文化 選択・記述
近代 近代の治安立法 選択・記述
近現代 石橋湛山の史料から考察する近現代史 選択・記述

2016年度

番号 時代 内容 形式
古代 意見封事十二箇条を通して見る古代の政治・外交 選択・記述
中世 絵画資料から考察する中世の社会経済 選択・記述
近世 『民間省要』を用いた近世の社会経済を中心とした問題 選択・記述
近代 近代の総合問題 選択・記述
近現代 戦前の言論弾圧と戦後処理 選択・記述

2015年度

番号 時代 内容 形式
奈良~平安 律令制度 選択・記述
平安~戦国 平安~戦国期の社会・経済 選択・記述
江戸 江戸時代の学問と社会・経済 選択・記述
明治~昭和 近代の政治・社会運動 選択・記述
昭和 第二次世界大戦後の女性史 選択・記述

出題分析

分量

2017年度の早稲田大学教育学部の日本史は、試験時間60分で、小問数38問であった。かなりスピーディーな解答が要求される早大商学部の日本史などと比べれば、量的には、さほどきつくない。
しかし、早稲田大学の中でも、教育学部の日本史には「難問」・「悪問」が特に多く存在する。そのため、あまり「難問」・「悪問」にこだわり過ぎると、途中で時間切れとなる恐れはある。

パターン

「選択問題」と「記述問題」で構成されている。
「選択問題」はマークシートで、語句選択問題と正誤判定問題、年代整序問題がある。16年度は、語句選択が13問で正誤判定が12問、年代整序が1問であった。17年度は、語句選択が11問で正誤判定が14問、年代整序が1問であった。
「記述問題」は、16年度は12問、17年度も12問であった。

内容と特徴

大問5題で、が原始・古代、が中世、が近世、が近代、が近現代である。分野では、政治・外交・社会経済・文化、すべて出題されている。
の原始・古代では、原始が出題される頻度は低い。記述問題として、16年度には「三善清行」などが、17年度には「六波羅」などが出題されている。記述問題対策として、日頃から、歴史用語を正確な漢字で書くことを心がけてほしい。
の中世では、16年度、『一遍上人絵伝』などの絵画資料が用いられていた。日々の学習において、図版のチェックも忘れてはならない。
の近世では、史料が用いられる。史料には、「基本史料」と「未見史料」がある。「基本史料」問題は、受験生がその史料について学習していることを前提に出題される。一方、「未見史料」とは受験生がみたことのない史料なので、「未見史料」問題は本来、試験会場で史料を読めばできるように工夫されている。だから慌てずに取り組めばよい。
の近代では、17年度、年代整序問題が出題された。普段から、歴史の流れをおさえるために、論理的に考えることを意識しておきたい。そして、17年度のテーマは、近代の治安立法であった。安倍政権が「共謀罪」新設の動きを強めていた中で、戦前の治安立法に関して出題した教育学部の姿勢は、高く評価できる。
の近現代では、現代史(戦後)のみの場合も多い。17年度は、近代史と現代史であった。

難易度

早稲田大学の入試は、慶應義塾大学の入試とともに私大最難関といわれているが、恐れる必要はない。全てできる必要はないのである。

入試対策

① 正誤判定問題対策を十分にしておくこと。

17年度は、14問の正誤判定問題が出題されている。正誤判定問題の正答率アップのために、『センターで学ぶ日本史―センター・国公立・私大の完全攻略―』(駿台文庫)で、正誤判定問題対策をしておく必要がある。

② 史料集を使って学習しておくこと。

教育学部の日本史では、史料が用いられる。「基本史料」問題も「未見史料」問題も出題されているが、「基本史料」問題は、受験生がその史料について学習していることを前提に出題される。高校で使用している史料集でもいいので、授業の進行状況にあわせて、授業で学んだことに関連する史料を、こまめに史料集でチェックしておかねばならない。

③ 入試までに、戦後史を得意にしておくこと。

大問では戦後史の問題が出題され、戦後史のみの大問となる場合も多い。戦後史のデキは合否を分ける重要なポイントなのだが、高校の日本史の授業では、戦後史は手薄になりがちである。短期間で、効率的に戦後史を得点源にしたい受験生には、駿台予備学校の夏期講習・冬期講習に、4日間で戦後史を完成させる『日本現代史徹底整理(戦後史)』という講座が設置されているので、受講することを勧める。

④ 基礎的な学習を疎かにしないこと。

基本問題の取りこぼしは、入試では致命傷になる。たしかに教育学部の日本史には、「難問」・「悪問」も存在する。しかし、全てできる必要はないのである。大切なことは、「難問」・「悪問」に拘泥せず、解答可能な問題を取りこぼさないことである。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。