2017年度入試
出題分析と入試対策
  慶應義塾大学 医学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 問題形式 テーマ
[Ⅰ] 客観/記述 長文読解(英文和訳・語形変化・空所補充) 「日本における電線の位置—地中に埋めるべきか否か」(約480語)
[Ⅱ] 客観/記述 長文読解(英文和訳・和文英訳・日本語による説明・下線部の意味・空所補充) 「雇用における年齢差別」(約720語)
[Ⅲ] 客観/記述 長文読解(文整序・内容真偽) 「大気汚染」(約700語)
[Ⅳ] 記述 自由英作文(80語前後で) 「朝食のメニューで気をつけていること」

2016年度

番号 項目 問題形式 テーマ
[Ⅰ] 客観/記述 長文読解(語形変化・空所補充・日本語による説明・英文和訳) 「脱化石燃料経済への移行」(約490語)
[Ⅱ] 客観/記述 長文読解(空所補充・英文和訳・和文英訳・内容真偽) 「Slow Reading運動」(約560語)
[Ⅲ] 客観/記述 長文読解(反意語の指摘・空所補充・和文英訳・内容真偽) 「貧富を感じる基準点」(約650語)
[Ⅳ] 記述 自由英作文(100語前後で) 「もし自分でロボットが設計できたら、何をできるようにさせたいか」

2015年度

番号 項目 問題形式 テーマ
[Ⅰ] 客観 長文空所補充 「地球上への隕石の落下」(約490語)
[Ⅱ] 客観/記述 長文読解(英文和訳・和文英訳・語句補充・内容真偽) 「太陽光発電について」(約720語)
[Ⅲ] 客観/記述 長文読解(語句補充・英文和訳・和文英訳・文補充・内容真偽) 「侵入種による生物多様性の危機」(約580語)
[Ⅳ] 記述 自由英作文(80~100語で) 「もしお金で何でも買えるとしたら何を買うか」

出題分析

分量と形式

長文読解3、自由英作文1の計4題で、例年と同じ。長文の語数は昨年より200語増加して、合計すると約1900wordsになっている。
読解問題では、段落整序問題が復活したことが注目される。和訳が5題、説明問題が3題と、私大としては、かなり記述量が多い。数年続いた同意語・反意語を書かせる問題は姿を消し、語形変化問題を含む語句補充問題が計36問になったが、半分以上は基礎的なものだ。さらに、英英辞典から引いてつけられる単語注は計9個だった。難しい単語の全てに注がつくわけではないということだ。作文だが、和文英訳は昨年同様長文の中に組み込まれ、昨年は短めのもの4問だったものが本年は長めのもの2問となった。自由英作文の語数は「80語前後」で、ここ数年の中で最も短い。自由英作文が書きづらいのはいつものことだが、和文英訳はやさしめの部類に属する。

内容

今年も、科学・医学に直接触れる文章は出題されず、社会・経済の内容が目立った。Ⅲには大気汚染による健康被害の話が出て来るが、特に専門的な内容ではない。作文では、和文英訳・自由英作文ともに医学関係の内容になることはまずない。

入試対策

【読解】

合計で2000words近くに及ぶ英文が出題されることを考えると、スピードを意識して読む訓練が必要だ。常に時間を計って読む習慣を身につけるだけでも、無駄に遅く読むことを防ぐ訓練になる。さらに、設問に直接関係ないところに時間をかけすぎないよう、設問箇所をにらんで時間を配分しながら読む要領を、日頃のテストや過去問演習で覚えていく。特に数ページにわたる文章を読む際には、区切りの良いところまで読んだら、あまり時間をかけることなく要点に印をつけるなどして、頭を整理するようにする。日頃からの訓練が必要だ。
また、知らない単語の多さに圧倒される学生も多いが、覚えておいてほしいのは、語句を推測させることを目的とした和訳や説明問題が毎年のように出題されていることである。この大学の最大の特徴の一つだと言ってもいい。だから、日頃から単語の知識を増やすのみならず、推測する練習もしておきたい。本文中に知らない単語が出て来たら、①設問を解くために(または要旨を把握するために)知っている必要があるか、②知識ではなく推測力を問われているのか、ということを考えてみる。②だと思ったら前後の文に推測の根拠がないか、探してみよう。
そして、語句補充問題が何十題もあることも、この大学の特徴と言える。標準的な単語力・文法力は努力して身につけておかなくてはならない。
さらに、難しい和訳問題が出ることも特徴である。知識だけで訳すのではなく語句を推測したり、日本語になりにくい部分を工夫して日本語にしていくことが求められる出題が必ずある。また、字数設定が短めな説明問題もよく出題される。コンパクトな表現力も問われているということだ。

【作文】

従来作文関係の問題は2題で、問題Ⅰが和文英訳、最終問題に自由英作文が据えられるという形式だったが、2013年以降は和文英訳が長文に組み込まれている。形式はどうあれ、「和文英訳」および「自由英作文」という2つの要素に対する準備をしておく必要があるだろう。
自由英作文対策の第一歩としては、たどたどしくてもよいから正しい英文が書けるようになること。特に注意してほしいのは、「書きたいことを書く」のではなく「英語で書けることを書く」ということである。
問題は、和文英訳も自由英作文も自習に限りがあるということである。模範解答例を読んだところで、自分が書いた英文を正しいのか誤っているのか、何点くらいとれるものなのかなどを自分では判断できないため、どうしても添削指導をしてもらう必要がある。予備学校の講習会には作文を訓練する講座があるので、そのような場を積極的に利用することを勧める。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。