2017年度入試
出題分析と入試対策
  慶應義塾大学 医学部 数学

過去の出題内容

2017年度

番号 形式 難易度 内容 科目名(出題分野)
[Ⅰ] (1) 穴埋 指数不等式の解法 Ⅱ(指数・対数)
(2) 穴埋 自然数を要素とする2つの集合の和集合の要素の総和 Ⅰ・B(集合・数列)
(3) 穴埋
記述
標準 1次関数の絶対値の和の最小値 Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(データの分析・微分法)
[Ⅱ] 穴埋 標準 袋の中の球を入れ換える操作で得られる状態に関する確率 A・B(確率・数列)
[Ⅲ] 穴埋 やや難 楕円の極方程式、および、楕円の通過範囲とその面積 Ⅱ・Ⅲ(平面座標・2次曲線・極座標)
[Ⅳ] 穴埋 やや難 回転放物面と平面によって囲まれる部分の体積 Ⅱ・Ⅲ(空間座標・体積)

2016年度

番号 形式 難易度 内容 科目名(出題分野)
[Ⅰ] (1) 穴埋 3つの部屋に9人を割り当てる問題 A(場合の数)
(2) 穴埋 二元一次不定方程式の正の整数解 A(整数)
(3) 穴埋 定積分で表された関数の最小値 Ⅲ(積分法)
[Ⅱ] 穴埋 標準 三角形の頂点上に置かれた点を移動させる確率 A・B(確率・数列)
[Ⅲ] 穴埋 やや難 座標空間内の正四面体の頂点と平面による切り口 B(空間座標)
[Ⅳ] 穴埋
記述
標準 動点の速度について考察し、道のりに関する等式を証明する Ⅲ(微分法・積分法)

2015年度

番号 形式 難易度 内容 科目名(出題分野)
[Ⅰ] (1) 穴埋 対数関数を含む不等式 Ⅱ(指数関数)
(2) 穴埋 やや易 絶対値のついた2つの2次関数の最小値 Ⅰ(2次関数)
(3) 穴埋 積の形で表された三角関数の最大値 Ⅱ(三角関数)
[Ⅱ] 穴埋 標準 数直線上の3点を移動する球に関する確率 A・B(確率・数列)
[Ⅲ] 穴埋 標準 曲線と両軸で囲まれた領域の面積および曲線と直線の2交点間の距離に関する極限 Ⅲ(極限・微分法・積分法)
[Ⅳ] 穴埋
記述
やや難 いくつかの条件から数列を決定する問題 B(数列)

出題分析

分量

計算量が増加する傾向にあったが、16年度、17年度は以前よりも減少した。ただし、時間の割りに計算量が多いということには変わりはない。

形式

15年度、16年度、17年度は一部記述式が1題出題された以外は穴埋式である。

難易度

15年度、16年度と年々標準的な問題が増えてきており、とくに[Ⅰ]は易しくなってきている。ただし、17年度は[Ⅲ]、[Ⅳ]がやや難化した。奇問が出題されることはないが、多くの問題が高いレベルで、いろいろな分野と融合しているものが多く、初見の問題に対してひるむことのない強い精神力が要求される。

内容

確率の問題はほぼ毎年出題され、15年度、16年度、17年度は数列と融合された形で出題されている。
他の出題では、数学Ⅲの極限・曲線・微分・積分がからむものが多く、数学Ⅲにかかる比重が高いことがわかる。

入試対策

上記の難易度、内容の分析の結果から、
1)
数学Ⅲは特に力を入れ、上級の問題までしっかりトレーニングを積んでおく。
2)
数列が単独で出題されることはあまりないが、他分野とのからみで必要になるケースがしばしばある。種々の漸化式をスムーズに解けること、数学的帰納法の考え方をうまく利用できることなどが要求される。
3)
平面の方程式や微分方程式などの高校の教科書で"発展"となっている内容や、極座標における面積などの高校の教科書を超える内容を用いないと解答に膨大な時間がかかる問題が出題されることが少なくない。いろいろな問題を演習することで、幅広い知識を身に付けておきたい。
以上、最近の入試問題からみた入試対策を列挙したが、数学Ⅲは、数学Ⅱの「いろいろな関数」「微分・積分」「図形と方程式」が基礎になっていることはいうまでもない。
なお、目新しい問題、融合問題も数多く出題されていることから、高度な問題に対しても普段からねばり強く問題を考えて解く習慣を身につけておくことが大切であろう。
難しい問題が多ければ、各自の得点とともに平均点も下がることになる。したがって、完答できる問題が少なくてもあわててはいけない。自分のわかったところまでをしっかり書いて、そこまでの部分点を確保することを心がけるとよい。むしろ大切なのは、標準レベルの問題を確実に得点することである。ここで失敗すると、非常に不利になる。要するに、"あせらず、あなどらず"で、自分の力を出しきるようにするのが重要な対策である。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。