2017年度入試
出題分析と入試対策
  早稲田大学 文学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容 形式
(A) 長文読解 「普仏戦争の背景」(約290語) 選択
(B) 長文読解 「古代ギリシアにおける哲学および科学の発展」(約330語) 選択
(A) 長文読解 「サイバネティックスとロボット」(約180語) 選択
(B) 長文読解 「アレクサンドリア図書館消滅の謎」(約350 語) 選択
(C) 長文読解 「英語の持つ科学言語としての不十分さ」(約510語) 選択
長文読解 「米国における人種問題」(約780語・選択肢含む) 選択
会話文 「授業での教師と生徒の会話」(約190語) 選択
英語要約 「歴史解釈について-モーツァルトとサリエリを具体例として」(約170語) 記述

2016年度

番号 項目 内容 形式
(A) 長文読解 「さまざまな研究分野における『文化』という概念」(約280語) 選択
(B) 長文読解 「新聞の歴史」(約270語) 選択
(A) 長文読解 「20世紀初頭に写真が及ぼした影響」(約210語) 選択
(B) 長文読解 「ITを使った企業内活動」(約270語) 選択
(C) 長文読解 「農産物の多様性を保存することの重要性」(約550語) 選択
長文読解 「Stanley Milgramの実験とスモールワールド現象」(約830語・選択肢含む) 選択
会話文 「教師同士の会話」(約190語) 選択
英語要約 「道徳に対する意識の変化」(約210語) 記述

2015年度

番号 項目 内容 形式
(A) 長文読解 「触れられることへの恐怖」(約310語) 選択
(B) 長文読解 「都市部への人口集中」(約310語) 選択
(A) 長文読解 「アメリカの古木」(約170語) 選択
(B) 長文読解 「国民性の分析」(約240語) 選択
(C) 長文読解 「イギリスにおける遺跡保護の試み」(約570語) 選択
長文読解 「物語のもつ普遍性」(約800語・選択肢含む) 選択
会話文 「学生同士の会話」(約180語) 選択
英語要約 「図書館が抱える問題」(約210語) 記述

出題分析

分量

大問数は5題。長文の量だが、Ⅰは2題で計約620語、Ⅱは3題で計約1,040語、Ⅲは問題文だけだと少なく見えるが、選択肢も合わせると結構な分量になる。設問数だが、Ⅰは7+7=14問、Ⅱは2+3+5=10問、Ⅲは7問、Ⅳは7問でここまでの小計が38問、これにⅤの英語要約を加えて全39問となっており、これは毎年変わらない。

形式

長文・会話文は全問マーク式で、英語要約のみ記述。設問形式も文学部と文化構想学部できれいに統一されている。詳細は以下の通り。
Ⅰ 語句空所補充
Ⅱ 内容一致
Ⅲ 文補充
Ⅳ 語句空所補充
Ⅴ 英語要約(約4~10語の英語を空所補充)

内容

文・文化構想学部の入試問題については、学部の改編・新設の際そのコンセプトが事前に早稲田大学のHPに掲載された。その要点をまとめると以下の通りである。
高校での学習内容の理解度を評価する問題であって、両学部で異なる能力を評定しようという意図はなく、また難易度に差はない
文学部では人文学分野を中心とした学術英語、文化構想学部では文化研究を中心とした学術英語を出題する
構文読解力・語彙力・速読による要点把握(スキミング)と特定の情報把握(スキャニング)・長文における文脈理解など、多量の英語情報を的確に理解するための能力を問う
英語要約文作成を通じて理解した内容を正確に英語で表現する力を測る
日常的な場面での英語運用の理解力を問う
①は、両学部の問題形式が同一であることに反映されている。②は長文が扱うテーマに、③は問題ⅠⅡⅢに、④は問題Ⅴに、⑤は問題Ⅳと対応している。さらに詳しく見ると、③の「構文読解力・語彙力」は問題Ⅰ、「速読による要点把握(スキミング)と特定の情報把握(スキャニング)」は問題Ⅱ、「長文における文脈理解」は問題Ⅲということであろう。

難易度

先述したコンセプト①では「両学部で異なる能力を評定しようという意図はなく、また難易度に差はない」と書かれているものの、文学部の方が難しい場合が多い。長文全体の合計語数は昨年度とほぼ同じで、大体2,400語前後がこの学部の標準である。

入試対策

HPでここまではっきりコンセプトを打ち上げているのだから、来年度いきなり問題形式が変更されることはまず考えにくい。

【読解】

大問としては3題でも、細かく見れば長文が6つあり、総計約2,400語前後読まされることになるため、時間配分が重要になってくる(試験時間90分のうち、Ⅳに10分弱・Ⅴに10分かけるとすると、Ⅰ~Ⅲは70分で解かなければならない)。特にⅢの文補充をどのくらい迅速に処理できるかがカギとなるだろう。20~30語の選択肢が8つ用意されているだけでもかなり目移りしてしまうのに、文脈をしっかり把握しないと答えが見つけ出せないため、どうしても時間がかかるからだ。日常の学習としては、300~600語レベルの英文を用い、intensiveな訓練を行うことが有効な作業である。

【作文】

問題Ⅴは大幅な変更が見られた。本文の要約を英語で書くという設定は昨年と同じだが、書き出しが与えられており、さらにその続きを4~10語で書けという指示に変わった。昨年までと比べると非常に書きやすくなっている。設問文に"in your own words"とわざわざ下線部を施して指示しているが、むろん「本文中のいかなる語句も用いてはならない」という意味であるはずはなく(それでは解答が書けない)、「本文中にあるphraseの借用のみで解答を構成してはならない」、つまり受験生の"paraphrase"する力(同じ内容を異なる言い方を使って表現する力)を見たいということだろう。
本年の形式を見ると、もはや「自由英作文」とは呼べないため、一般的な自由英作文の練習をする必要はない。むろん和文英訳の練習は必須だが、それと平行して「英文を読んで日本語で要旨要約する」という訓練を行うべきである。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。