2017年度入試
出題分析と入試対策
  慶應義塾大学 経済学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容 問題数
読解 空所補充(選択) 6
内容把握(選択) 3
発音・アクセント(選択) 1
読解 空所補充(選択) 6
内容把握(選択) 4
語句整序(選択) 1
発音・アクセント(選択) 2
読解 空所補充(選択) 6
内容把握(選択) 4
作文 会話文の和文英訳(記述) 1
作文 自由英作文(記述) 1

2016年度

番号 項目 内容 問題数
読解 空所補充(選択) 7
語句整序(選択) 1
内容把握(選択) 2
読解 空所補充(選択) 6
内容把握(選択) 4
読解 空所補充(選択) 5
内容把握(選択) 5
発音・アクセント(選択) 1
作文 会話文の和文英訳(記述) 1
作文 自由英作文(記述) 1

2015年度

番号 項目 内容 問題数
読解 空所補充(選択) 5
下線部内容一致(選択) 1
内容把握(選択) 5
読解 空所補充(選択) 8
読解 空所補充(選択) 3
下線部内容一致(選択) 1
内容把握(選択) 7
作文 会話文の和文英訳(記述) 1
作文 自由英作文(記述) 1

出題分析

分量

大問の出題形式は昨年と同様5題で、形式やコンセプトも昨年のものをほぼ踏襲している。長文は、3つとも8~9パラグラフからなる標準的な長さのものであり、長文の量で圧倒されるということはないだろう。長文の内容は、経済学部らしく、社会的な事象に関するトピックが扱われている。ⅠとⅡでは国家全体を対象とした最低賃金という問題、Ⅲでは相続税の問題が論じられている。
英作文のセクションは、形式も難易度も昨年とほぼ同様で、和文英訳と自由英作文の2題が出題されている。前者は対話の英訳で、後者は長文の内容をもとに自分の意見を展開していくものである。社会問題に関して、論理構成を考えながら内容のあるものを自分の言葉で展開していくことが求められるという点で、相当にレベルが高いと言える。

パターン

Ⅰ~Ⅲの長文はいずれも論説文を素材とした読解問題で、Ⅰは国家全体を対象とした最低賃金への反対論、Ⅱは国家全体を対象とした最低賃金への賛成論である。このように、同じテーマに対する賛成論と反対論が並列される形で出題されるというパターンは、本学部の入試英語の非常に大きな特徴であり、ここ数年は一貫してこのパターンが踏襲されている。長文の設問形式に関しては、文脈に合うように空所を埋めさせる問題や内容把握に関する問題が多いが、語彙や文法・語法に関する事項を扱った問題もいくつか含まれている。
Ⅳの英作文は、会話文の和文英訳である。Ⅴの自由英作文は、長文の内容に関連したテーマについて自分の意見を論じるもので、日本政府の対応を想定して論をまとめることが要求されている。さらに、本文の内容を一部引用することと、自分の意見と異なる見解を含めることが要求されている。語数の指定はないが、解答用紙の大きさが横24cm、21行、行間は1cmだったので、150~200wordsが妥当な量だろう。

内容

Ⅰ「国家全体を対象とした最低賃金への反対論」

国家全体を対象とした最低賃金は、自由な市場競争の阻害や、失業率の上昇や、インフレなどの、さまざまな悪影響をもたらすという内容である。国家全体を対象とした最低賃金に対して否定的な見解が述べられており、Ⅱと対立する観点に基づく主張が展開されている。

Ⅱ「国家全体を対象とした最低賃金への賛成論」

国家全体を対象とした最低賃金は、経済の活性化や、労働効率の向上や、若者や女性の状況の改善や、国家の財政支出の削減などの、さまざまな好ましい影響をもたらすという内容である。国家全体を対象とした最低賃金に対して肯定的な見解が述べられており、Ⅰと対立する観点に基づく主張が展開されている。

Ⅲ「相続税の是非」

不平等の拡大は現代の主要な問題だが、この問題に対処するために相続税という手段を用いることが妥当かどうかは議論の余地があるという内容である。

Ⅳ「友人同士の間で交わされた会話」

与えられた会話調の和文を英訳する。但し書きがあり、和文を少し組み替えても問題ないという指示がある。

Ⅴ「自分の主張の展開」

Ⅰ~Ⅲのいずれかを一部引用し、さらに反論も組み込みながら自分の意見を展開する。

入試対策

長文に関しては、難易度はそれほど高くないが、ある程度の量を読む必要があるので、日頃から社会的な内容を多岐にわたって多読するよう心がけておく必要がある。同時に、「基本的な文法・語法の学習もおろそかにしてはいけない」というのが、出題者のメッセージだろう。自由英作文に関しては、ある程度の長さのまとまりのある英文を書くことが毎年求められているので、正しい英文を書くというベーシックな力とともに、自分の意見を論理的に組み立てていく練習をしておく必要がある。主張、それをサポートするもの、さらに反論、そして結論というような、基本に忠実なパラグラフ構成が要求されている。英文を書いた場合、信頼できる人に添削してもらい、文法上のミスとともに、論理的な構成になっているかという点もチェックしてもらうのがよい。同時に、新聞などを通して社会的な事象にも精通し、自分なりの意見が持てるようにしておくことも重要になる。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。