2017年度入試
出題分析と入試対策
  慶應義塾大学 経済学部 数学

過去の出題内容

2017年度

番号 内容 科目名
[1] 2直線に接する円の中心を結ぶ図形 数学Ⅱ
[2] xn+
1
xn
の式表現と数学的帰納法、数列の和
数学Ⅰ、Ⅱ
[3] すごろくを題材にした反復試行の確率 数学A
[4] 直線と平面の交点、球面の弦の長さの最大値 数学B
[5] 複素数の実部、虚部についての方程式、不等式 数学Ⅱ
[6] 関数F(x)=|x+1|+(1-|t|)dtのグラフと面積 数学Ⅱ

2016年度

番号 内容 科目名
[1] 円と直線が共有点を持つ条件、対称式と最大最小 数学Ⅱ
[2] 漸化式、数列の和、桁数 数学B
[3] 相関関係、平均値、偏差の平方の和の平方根 数学Ⅰ
[4] 対数、2次方程式の実数解の最小値 数学Ⅰ、Ⅱ
[5] 正八面体を半分にした立体の断面積、体積 数学B
[6] 定積分で表された関数 数学Ⅱ

2015年度

番号 内容 科目名
[1] 和で表された数列の一般項 数学B
[2] 異なる条件における反復試行の確率の比較 数学A
[3] 三角方程式、共面条件、四面体の体積 数学Ⅱ、B
[4] 確率の値の評価と常用対数 数学A、Ⅱ
[5] 円がy=|x|と交わる条件、円がy≦|x|に含まれる条件 数学Ⅱ
[6] 接線と重解条件、積の微分法、面積 数学Ⅱ

出題分析

分量

[1]から[3]まではマークセンス形式であり、英語の基本部分と合わせて2段階選抜に用いられるのも例年と同様である。[4][5][6]は記述形式である。
試験時間が80分であり、この時間で6題を解答するのはかなりきついであろう。また、簡単に答が出せる問題も少ない。

内容

そのほとんどは、どこかで見覚えのある問題であるが、ほどほどに考えさせられる問題である。
マーク式の[1]~[3]は、考えにくい問題やボリュームのある問題もよく出題される。そのため、結果だけ答えればよい割には、解くのに意外と時間がかかる。
記述式の[4]~[6]は、典型的ではあるが、答案にまとめる力を要する出題がなされる。文系入試としては珍しく、論じるのに苦労するような本格的な問題が含まれることも多い。

難易度

どの問題も標準的レベルである。大学のレベルの割には易しめの出題であり、社会選択よりお得感がある。ただ、融合問題や典型的でない問題も含まれるので、学習の仕方が適切でないと実際より難しく感じられる。

特徴

いずれもよく考えられた良問であり、本質を押さえる学習を続けてきた人にとっては解きやすく、考えるクセのついていない人にとっては難しく感じられる。
1回の試験でマーク式問題と記述式問題が混在しており、ポイントを見極めて手際よく処理する力と順を追ってしっかり論ずる力の両面が問われる。大学で学ぶ前段階として、広く堅実な数学の素養を求める大学の姿勢が窺われる。

入試対策

どの分野が頻出であるかを考える前に、(出題範囲内の)高校数学全般の基本事項を一通り確認しておくべきである。その際、単に公式や結果を覚えるだけでなく、途中の考え方や注意点などにも目を向け、実際に使えるようにすることが大切である。その上で、頻出分野である確率、数列、微積分、ベクトルには少し力を入れておくとよい。また、最近頻出になりつつある整数、方程式・不等式の問題も解いておきたい。
基本を押さえた後は、入試標準レベルの問題を記述式で解いて、実戦力をしっかりつけたい。マーク式対策も気になるところだが、数学の学習自体は記述式を中心として、ごまかさずに解き抜く力を養成することが大事である。
学習の際に注意すべきポイントは次の5つが挙げられる。
1° 正確に計算できる力をつける。
2° 出題範囲全体にわたって、基本事項をムラなく覚えておく。
3° 結果だけでなく、考察過程も論ずるようにする。
4° 煩雑な計算や重たい論証にも根気強く取り組む。
5° 解いた問題を分析し、本質をつかむように心掛ける。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。