2017年度入試
出題分析と入試対策
  早稲田大学 法学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容
長文読解 「フィンランドと米国の刑務所」(約970語)(選択)
長文読解 「アメリカ生まれの日本人である筆者の回顧録」(約1120語)(選択)
文法語法正誤 (選択)
文法・語法 空所補充(選択)
適語選択 空所補充(選択)
自由英作文 グラフが表している内容(記述)
自由英作文 「Ⅵのグラフから、人類が将来直面するであろう問題を2つ以上書く」〈70語前後で〉(記述)

2016年度

番号 項目 内容
長文読解 「結婚形態の変化とその原因」(約900語)(選択)
長文読解 「TVゲームが学習に及ぼす効果」(約1270語)(選択)
文法語法正誤 (選択)
文法・語法 空所補充(選択)
適語選択 空所補充(選択)
条件英作文 会話文空所補充(記述)
自由英作文 「ボクシングなど暴力的なスポーツをオリンピックから排除することの是非」〈60語前後で〉(記述)

2015年度

番号 項目 内容
長文読解 「中国におけるエコシティー建設の試み」(約1040語)(選択)
長文読解 「生まれ持つ道徳心と習得する道徳心」(約880語)(選択)
文法・語法 空所補充(選択)
適語選択 短文空所補充(選択)
条件英作文 会話文空所補充(記述)
自由英作文 「日本の永住外国人に選挙権がないことへの是非」〈60語前後で〉(記述)

出題分析

分量

大問数は例年6~7題(文法語法関係の出題数による)。長文は2題で、合計語数は2,300語前後と極めて長い(本年は短めであったが)。

形式

長文・文法語法は全問マーク式。長文の設問形式は「各パラグラフの内容を示すもの」「内容不一致文」「論旨」「発音」「語義選択」など多岐にわたる。文法語法関係は「正誤」「空所補充」の2種類。例年条件英作文だったものが本年は自由英作文(20語程度の英文を2つ書く)に変化したが、来年以降も続くかどうかは不明。自由英作文は与えられたテーマに対する意見を書かせるという形式が標準だが、本年はグラフを元にしたものだった。語数は与えられていない。解答欄の大きさが毎年一定せず、また諸君の字の大きさにもよるので何とも言えないが、本年は解答欄が増えたため、おおむね70語前後の英語(例年は60語前後)で書く、と考えてよいだろう。

内容

長文の内容は特に法学と関係ない。政治・経済・文化・歴史などさまざまである。かつてはどちらか一題が物語文であったが、2009~2012年の4年間は見送られていた。ところが2013年に突然復活している。自由英作文は日常生活に身近なものをテーマとした論説タイプが通常(グラフ読み取りは例外で、2014年以来)。

難易度

平均点を見る限り(50%以下のことが多い)、学生にとってはかなり難しい部類に属する。文字通りの「長」文、文法正誤、とどめが記述式の条件英作文+自由英作文なのだから、言うところなし。あらゆる側面での諸君の健闘が求められる。合格者最低点は大体60%前後。

入試対策

【Reading Section】

本年は短かったが、通常は最低でも1,000語ある長文が2題。いかに息切れしないで、話の流れを見失うことなく読み通すかが最大の課題だろう。設問(1)が「各パラグラフの内容を示すものを選択」というもので、しかも大学側がパラグラフにわざわざ丸付き数字をつけてくれているのだから、パラグラフを1つ読む毎にベストな選択肢を探すという作業をするべき(語義選択問題があるときは、これもついでにやってしまおう)。設問(2)以降は、(3)の作業をしっかりやっておけば、本文のどこを読み直せばよいのかが頭の中に残っているだろうから、さほど苦にはならないはず。実際選択肢自体はそれほどひねったものではなく、設問としてはむしろ簡単な部類に属する。ただ、2014年、2016年および本年のⅡには段落要約文選択問題がなく、すべての設問の対象とする部分が本文全体に散らばっていた。本文をすべて読まないとどの設問に対する答えも見つけられなかったため、かなり手間がかかる。
また、1題解く時間を是非とも30分以内(できれば25分)に収めないと文法語法や作文に使える時間がなくなるので、そこにも難しさがある。

【Grammar Section】

10分程度で解き終わる必要がある。このセクションはここ数年めまぐるしく変化していて、形式が一定しない。難易度も一定せず、すさまじく難しい設問があるかと思えば、驚くほど簡単なものもある。しかし、受験生の英語力を越えるような設問は誰も解けないのだから気にすることはない。7割の正答を目指そう。

【Writing Section】

条件英作文(本年は自由英作文)と自由英作文を合わせて15~20分で解くことを目指そう。

☆ 条件英作文は極めてやさしいもので、学校での勉強をきちんとやっていれば書ける。そのような意味では「特別な」対策は不要だろう。しかし、問題のやさしさから考えて、採点は"All or nothing"(つまり満点か0点)だと思われるので、あなどってはいけない。丁寧な答案作り(字のきれいさも含めて)をすること。ちなみに、本年は自由英作文だったが、グラフ1および2を見てわかることを20語程度の一文で書くというものだから、身構えるほどのものではない。

☆ 自由英作文だが、テーマとしては妥当で、書きやすいものであると思う。語数的にも政治経済学部や国際教養学部に比べれば短いので、その意味からも楽である。しかし、そもそも自由英作文を書くこと自体が大変な作業なので、諸君にとっては相当手ごわく感じるだろう。
作文対策第一歩としては、とりあえずたどたどしくてもよいから正しい英文が書けるようになることである。勘違いしてほしくないのは、自由英作文を通して大学側は諸君が普段どのようなことを考えているかを知りたがっているわけではない。もしそうなら、日本語による「小論文」という形で出題してくるはずだ。自由英作文はあくまで「英語」の試験なのだから、英語の正しさが最大の焦点となろう。「書きたいこと」を書くのではなく、「英語で書けること」を書くことが大切で、内容の巧拙はさして気にしなくてよい。
問題は、自由英作文は自習に限りがあるということである。模範解答例を読んだところで、自分が書いた英文を正しいのか誤っているのか、何点くらいとれるものなのかなどを自分では判断できないため、どうしても添削指導をしてもらう必要がある。予備学校の講習会には作文を訓練する講座があるので、そのような場を積極的に利用することを勧める。

※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。