2017年度入試
出題分析と入試対策
  慶應義塾大学 法学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容 問題数
発音 韻や同音異綴語に関する問題 6
文法 誤文選択・誤文訂正 10
読解 会話文(空所補充) 12
読解 論説文(語の定義選択) 10
読解 論説文(内容一致・空所補充・語句整序) 17

2016年度

番号 項目 内容 問題数
文法・語彙 文の正誤判定 15
読解 会話文(空所補充) 10
読解 論説文(語句の定義選択) 10
読解 論説文(内容一致・空所補充・語句整序) 16

2015年度

番号 項目 内容 問題数
文法・語彙 文の正誤判定 15
読解 会話文(空所補充) 15
読解 論説文(語句の定義選択) 10
読解 論説文(内容一致・空所補充・語句整序) 16

出題分析

分量

本年度の問題数は、大問が5題、小問が55題で、昨年度と比べると、発音問題が加わったことにより、大問数が1問増え、小問数も若干増えたが、Ⅲ以降の読解問題の問題数に大きな変化はない。Ⅲの語義類推問題の英文の長さは半分以下になったため、昨年度より分量面での負担が大きくなったとは言えないが、設問・英文を合わせた全体の分量は相変わらずかなり多く、語彙面でも受験生にとって難解なものが含まれていることから、要求されているレベルは依然として高く、読解力重視の問題構成になっており、本格的な語彙力・読解力・速読力が要求されている。本問題集を実際の解答時間どおりに解く練習を行って、解答の要領・ペース配分を掴んでもらいたい。

内容

設問はすべてマーク式で、問題の指示文はすべて英文である。各問の特徴は以下のとおり。
Ⅰは発音問題で、かつて2011年まで出題されていたが、5年ぶりに復活した。AとBの2つのセクションに分かれており、Aは韻が合わない組み合わせを問うというやや珍しい出題内容であるが、出題されている語は標準的なものがほとんどなので、難問とは言えない。Bの同音異綴語の問題も標準レベルである。
Ⅱは文法問題で、やはり2つのセクションに分かれている。Aは5つの文の中から誤っている文を選択する問題、Bは各文の誤っている語を指摘する問題である。難易度は概ね標準的だが、一部にかなり細かい知識を問うものもあり、Bには「誤りなし」の文が含まれている点がやや厄介である。
Ⅲは会話文の読解問題で、本学部では長年連続して出題されている形式である。設問は空所補充形式であるが、出題形式は年によって若干異なり、本年度は選択肢がA、Bの2グループに分けられ、前半部のAは、動詞中心のイディオムを問うもの、後半部のBは、前後の内容に合う文を選ぶものになっている。Aは受験でよく出題されるイディオムが多く取り組みやすい。Bも消去法を用いて選択肢を絞り込み、時制等に注意すれば完答できるであろう。
Ⅳは英文中の下線部の語の語義を説明した文を選択する形式で、本年度の素材文は小説の一節であった。この形式の問題も、本学部では例年出題されている。下線が引かれている語句は、いずれも多くの受験生にとっては難語であり、あらかじめ意味を知っているものは少ないであろう。下線が引かれている語句の数と、選択肢の数は同じである。したがって、選択肢の中から文脈上最適なものを選び、わからないものは消去法で考えていくというのが、一般的な取り組み方となる。選択肢の定義文は、その形からどのような品詞の語の定義であるかがある程度推測できるので、あらかじめ選択肢を品詞別に分類しておき、本文の下線部の語の品詞に注意して選択肢を検討すれば、効率よく解答できるであろう(ただし副詞の定義文は、形容詞で与えられることがある)。
Ⅴは論説文の読解問題で、設問形式は内容一致・空所補充・語句整序からなる。英文の量は本試験中では最も長く、限られた時間内で全ての設問に正解するには、かなりの速読力が要求される。設問には対応段落が示されているので、一段落読み進めるごとに設問に取り組めるようになっており、長文とは言えそれほど取り組みにくい問題ではない。語句整序の問題は選択肢の数が多く、文脈も考慮に入れる必要があるので、この種の問題としてはやや難しめである。

入試対策

Ⅰの「発音問題」については、「内容」の項で述べたように、やや珍しい出題形式であるが、全体的なレベルは「標準」と言える。とは言え、発音・アクセントの問題集を直前に暗記するくらいの勉強では対応しきれない。日頃から英文を読む際に、出てきた単語の発音に注意して覚えていくことが重要である。その上で、発音の頻出語をまとめた問題集を活用するのは有効な学習法である。また、来年度は「アクセント」が出題される可能性もあるので、アクセントにも同様の注意を払うことを忘れないでもらいたい。
Ⅱの「文法・語法問題」については、設問の一部にかなり難しいものが含まれることもあるが、受験生としてはまず標準レベルの問題を確実に解ける力をつけておきたい。そのため、文法・語法・語彙の些末な知識にこだわりすぎた勉強をするよりも、オーソドックスな問題に数多く当たることによって、標準的な学力をしっかり身につけることが大事である。その上で、日常の学習で英文読解や英作文の問題に取り組む際も、文法・語法・語彙に注意を払って、重要な事項は積極的に吸収していってもらいたい。それにより十分合格レベルに達することはできる。
Ⅲの「会話文問題」については、「会話」という形式にあまりこだわりすぎず、日頃から本格的な英文解釈力を養成しておくことがまず大事であり、その上で、会話体の文章を数多く読み、登場人物の考え方・心情を掴む訓練を積み、そのプロセスの中で、会話特有の熟語・表現に習熟していくことが望ましい。また、設問にはやや難しめのイディオムが含まれる可能性もあるため、熟語集などを利用して、入試に頻出する熟語を覚えておくのはもちろんのこと、会話文中に出てくるイディオムも積極的に覚えていく姿勢が大事である。
ⅣとⅤの「長文読解問題」は、ジャンルや出題形式は異なるものの、いずれにも言えることは、本格的な速読・即解力の養成が不可欠ということである。英文を速くかつ正確に読み、理解する力は、日頃からどれだけの量の英文を深く読み込んでいるかに比例するのであり、一つ一つの英文をしっかりと理解した上で、全体をよどみなく読めるよう訓練を積んで行くことが大切である。そのため日々の学習では、英文解釈を中心に据えたオーソドックスな学習を貫いていってもらいたい。また、時事的な内容の英文に慣れ親しんでおくことも、本学部を受ける際には大きな助けとなってくれるはずである。さらに、英文を読むことを通じて、語彙を増やしていく努力も怠らないようにしたい。設問については、本学部独特のものもあるので、本書を利用して過去問に取り組み、ある程度慣れておくのが望ましい。
以上のような学習を日々繰り返した後、本問題集を制限時間内で解き、時間配分・出題傾向などを体得すれば、必ずや大きな効果があるはずである。特に読解問題における「内容一致」の設問では、読後の漠然とした「感想」や「常識」のみに頼って解答すると、誤る可能性が高くなる。あくまでも本文の記述を根拠にして、曖昧な時は各選択肢を綿密に比較検討する姿勢を、日頃から培っておくことが大切である。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。