2017年度入試
出題分析と入試対策 慶應義塾大学 法学部 世界史
出題分析と入試対策 慶應義塾大学 法学部 世界史
過去の出題内容
2017年度
番号 | 項目 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | クルド人の歴史 | 18世紀から現代にいたるクルド人の独立をめぐる歴史 | 語句選択 地図問題 |
Ⅱ | パクス=ブリタニカへの過程 | 18世紀後半から19世紀にかけてのイギリスの拡張の過程 | 語句選択 |
Ⅲ | 反乱と革命の歴史 | ヨーロッパ・ラテンアメリカにおける反乱と革命 | 語句選択 正誤選択 |
Ⅳ | 研究機関と教育の歴史 | 大学・大学院の研究教育の仕組みに関する歴史的背景 | 語句選択 |
2016年度
番号 | 項目 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | ビザンツ帝国史 | 330年のコンスタンティノープル遷都から1453年の滅亡までのビザンツ帝国に関する問題 | 語句選択 |
Ⅱ | 中華人民共和国史 | 第二次世界大戦後の中華人民共和国と中華民国に関する問題 | 語句選択 |
Ⅲ | 世界の一体化 | グローバリゼーションと呼ばれる世界の一体化の歴史的過程に関する問題 | 正誤選択 並び替え |
Ⅳ | ポーランド史 | 10世紀頃から現代までのポーランドに関する問題 | 語句選択 正誤選択 |
2015年度
番号 | 項目 | 内容 | 形式 |
---|---|---|---|
Ⅰ | シチリア史 | 古代から19世紀までのシチリア島やイタリア半島の歴史やその支配者に関連する問題 | 語句選択 地図問題 |
Ⅱ | 民主主義拡大の「3つの波」 | 第一次大戦後、第二次大戦後、1980年代以降という「民主化の3つの波」をテーマとした問題 | 正誤選択 |
Ⅲ | 第二次世界大戦および戦後の平和構築 | ナチスの台頭から第二次世界大戦終結後までの歴史と核の均衡という脅威による平和構築 | 語句選択 |
Ⅳ | 奴隷制の歴史 | 古代から20世紀までのイスラーム世界やヨーロッパ世界に関連する奴隷制についての問題 | 語句選択 |
出題分析
分量とパターン
本年度(2017)は大問が4、小問が50で、昨年度(2016)より増加したが、正誤選択問題は3問と、昨年度から大きく減少した(2013年=2問→2014年=15問→2015年=8問→2016年=9問)。その分、空欄補充・一問一答形式の問題が41問と、昨年度より増加した。年代整序問題は1問で、これは昨年度と同数であった。昨年度は地図問題が出題されなかったが、本年度は1問出題された。史料問題は出題がなかった。
出題形式は、2012年度に大幅な変更があってから6年目となり、問題の総数同様に安定してきたように思われる。出題形式の多様化は歓迎したい。
出題形式は、2012年度に大幅な変更があってから6年目となり、問題の総数同様に安定してきたように思われる。出題形式の多様化は歓迎したい。
出題内容
出題地域は、例年通りヨーロッパ・アメリカ・アジアと幅広く出題された。昨年度はヨーロッパ関連の問題とアジア関連の問題が5:5の比率であったが、本年度はヨーロッパ関連の問題とアジア関連の問題の比率が4:6であった。昨年度はイスラーム関連の問題がわずかに出題されただけであったが、本年度は大問Ⅰがイスラーム関連史で、中国史の出題が大幅に減った。時代的には、古代から現代まで幅広く出題されたが、1870年代以降の現代史が昨年度の50%強から25%ほどに減少し、文化史の出題が大幅に増加した。しかし、慶大法学部の現代史重視の姿勢は例年の傾向なので、冷戦終結後の現代史までしっかりと理解を深めておくこと。
難易度
地図問題は標準レベル。正誤選択問題は総数が大きく減少し、正誤文の長さが短くなったので、この点では受験生には判断しやすくなったと考えられる。しかし、空欄補充・一問一答形式の内容では、例年通り細かい知識を問うものが多く、総じて難易度は高い。慶大法学部の問題では、一部教科書に記載があるが『世界史用語集』(山川出版社)に掲載されていない空欄補充・一問一答形式の問題が見られ、慶大法学部をめざす受験生としてはこれをどう攻略するかが対策のポイントとなる。
入試対策
正確かつ深い理解を求める出題が多いので、早めに通史の学習を終わらせ、関連事項まで含めた学習をすることがポイントである。全時代を学習することは当然として、特に1870年代から2000年代までの現代史を重点的に学習しておかなければならない。慶大法学部の合格をめざすならば、現代史は必須である。
地域についても、全地域をまんべんなく学習すること。大学受験世界史の主流は欧米史や中国史であり、この分野をおさえることは当然として、さらにイスラーム史やラテンアメリカ・東南アジア・朝鮮・アフリカなどの「周辺地域」までしっかりと学習することで差がつく。
難問については、慶大法学部をめざす受験生としては解答すべきものも多く、また早慶レベルの過去問では既出のものもあるため、いわゆる悪問・奇問の類は少ない。教科書と過去問をしっかりと読み込み、単に暗記するだけではなく、重要事項を深く細かく理解し、関連事項もしっかりと学習してほしい。また難問には時事問題も含まれる。できれば普段からニュースを見て関心を持っておくことが重要である。
正誤選択問題・年代整序問題・地図問題・史料問題などの問題は慶大経済学部など他学部でも出題されている。受験生には、慶大の他学部、あるいは他大学、特に早大の問題も研究しておくことをお勧めする。
今後も従来の空欄補充・一問一答形式の問題に加え、正誤選択問題・年代整序問題・地図問題・史料問題などが出題されていく可能性が高いであろう。過去問の問題演習を繰り返し、合格に向けて頑張ってほしい。
地域についても、全地域をまんべんなく学習すること。大学受験世界史の主流は欧米史や中国史であり、この分野をおさえることは当然として、さらにイスラーム史やラテンアメリカ・東南アジア・朝鮮・アフリカなどの「周辺地域」までしっかりと学習することで差がつく。
難問については、慶大法学部をめざす受験生としては解答すべきものも多く、また早慶レベルの過去問では既出のものもあるため、いわゆる悪問・奇問の類は少ない。教科書と過去問をしっかりと読み込み、単に暗記するだけではなく、重要事項を深く細かく理解し、関連事項もしっかりと学習してほしい。また難問には時事問題も含まれる。できれば普段からニュースを見て関心を持っておくことが重要である。
正誤選択問題・年代整序問題・地図問題・史料問題などの問題は慶大経済学部など他学部でも出題されている。受験生には、慶大の他学部、あるいは他大学、特に早大の問題も研究しておくことをお勧めする。
今後も従来の空欄補充・一問一答形式の問題に加え、正誤選択問題・年代整序問題・地図問題・史料問題などが出題されていく可能性が高いであろう。過去問の問題演習を繰り返し、合格に向けて頑張ってほしい。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。