2017年度入試
出題分析と入試対策
  早稲田大学
基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部数学

過去の出題内容

2017年度

番号 内容 科目名
複素数平面 数学Ⅲ
微分・積分 数学Ⅲ
ベクトル 数学B
確率・微分 数学A・Ⅲ
高次方程式 数学Ⅱ

2016年度

番号 内容 科目名
数列(漸化式) 数学B
空間図形 数学A
複素数平面 数学Ⅲ
接線 数学Ⅲ
体積 数学Ⅲ

2015年度

番号 内容 科目名
微分(グラフ・点の軌跡) 数学Ⅲ
整数(論証) 数学A・B
積分(面積) 数学Ⅱ
確率 数学A
積分(体積) 数学Ⅲ

出題分析・入試対策

出題形式

記述式5題。試験時間は120分で、配点は120点である。

出題傾向

これまでは、数学Ⅲの中の極限、微積分分野からの出題が多い傾向にあったが、今年の場合は極限の問題がなく、微分と積分についても問題の中心的なテーマになっているものは一題で、その他に微分を使うものが一題であり以前に比べると出題数は少なくなってきている。その一方で、同じ数学Ⅲの中の複素数平面の問題あるいは複素数を出題背景にもつものが多く出題されているので、結果として数学Ⅲというくくりで言えば例年通りとなっている。複素数平面は、従来から早稲田理工では出題頻度が高い分野なので来年以降も注意が必要である。
出題される問題は、素直な問題が多く、適切な誘導も多いため解きやすいが、私立大学としては珍しい「全問記述型」の出題であるので、論理だてて説明する力が重要である。
今年度の問題は、この数年間では難しいものであった。問題を解くことで難易を知りたい場合は、今年度だけで判断しない方がよい。ただし、今後も今年度のような難易で出題されることはあり得る。
以下、最近の出題傾向を記すが、出題傾向は徐々に変化しているのであくまでも参考程度に考えてほしい。特に、最近は難易の変化と出題傾向の変化が大きい。
■ 整数・方程式分野
整数問題は出題されることは少ない方である。また、出題された場合でも難解な問題とはならない傾向にある。今年度は方程式の分野から出題され、慣れていないと難しい問題であった。
■ 確率分野
今年はわずかな出題であったが、数学Ⅲ以外の分野の中では比較的よく出題されている。確率の問題としては基本的なものが多いが、問題文が長文であるなど状況を把握する力が問われる。全5題の入試問題の中では比較的点がとりやすいものが出題される。
■ 図形と式分野
近年、この分野からの出題が増えつつある。円と直線を題材とした問題、放物線・楕円などを題材とした問題の出題が多い。「放物線・楕円」あるいは「双曲線」は現行課程では数学Ⅲで扱う内容であるが、実質は数学Ⅱの図形と式の知識があれば解ける問題も多い。また、他分野との融合問題の形で出題されることが多い。また、複素数平面との融合問題も注意が必要である。
■ 数列分野
数列の漸化式、極限に関する問題が多く、今年も例外ではない。特に漸化式では問題文を理解して漸化式を作り一般項を求める問題も多い。今年は、第1問で4項間の漸化式、第3問で複素数の列に対する漸化式が出題されている。
来年度以降についても漸化式と極限の問題は出題され続けることが考えられる。特に漸化式については3項間型の漸化式(an+2=pan+1+qan)程度までは慣れておくべきである。
■ 微積分分野
この分野からの出題は多い年と少ない年があるものの、毎年確実に出題される分野ではある。この分野の問題は極めて素直なものが多く、考え方自体は難しくはないが、計算量が多いこともあるので注意すること。
最近は、一時期あまり出題されていなかった「体積」を求める問題の出題が多い。加えて、体積の問題は以前は「回転体の体積」ばかりが出題されていたが、2013年は「断面積を求めて積分する」タイプの問題が出題された。今年も回転体の体積ではあるものの立体図をイメージして断面積を積分するタイプであり、同じ体積の問題でも傾向が少しずつ変わりつつある。
また、積分の計算では置換積分を必要とするものが多く出題され、置換の方法などを問題文中で教えてくれる場合もあり丁寧ではあるのだが、誘導がなくても積分計算ができるように学習しておくべきである。

過去8年間の出題傾向

最近8年間で出題された問題を分類した表である。△印は間接的な出題であったことを表す。
分野 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
整数
確率
複素数の計算
図形と式
ベクトル
立体・空間図形
漸化式
数学的帰納法
極限の計算
媒介変数
接線・法線
導関数・増減
最大値・最小値
定積分で表される関数
定積分の評価
面積
体積
複素数平面
楕円・双曲線
二項定理
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。