2017年度入試
出題分析と入試対策
  早稲田大学 政治経済学部 英語

過去の出題内容

2017年度

番号 項目 内容 形式
長文読解 「保護すべき絶滅危惧種の優先順位」(約1260語・空所部分含む) 選択
長文読解 「『平和のための戦略』-ケネディ大統領の演説より」(約1250語・空所部分含む) 選択
長文読解 「本当の幸福とは」(約1170語・空所部分含む) 選択
会話文 「友人同士の会話」〈空所語句補充・整序作文〉 選択
自由英作文 「日本で同性婚を合法化することの是非」〈100語前後で〉 記述

2016年度

番号 項目 内容 形式
長文読解 「道徳上のジレンマを外国語で提示されるとなぜ人は実利的になるのか」(約960語・空所部分含む) 選択
長文読解 「飛行機の自動操縦化」(約1010語・空所部分含む) 選択
長文読解 「キング牧師からの手紙」(約1270語・空所部分含む) 選択
会話文 「友人同士の会話」〈空所語句補充・整序作文〉 選択
自由英作文 「喫煙を違法にすることの是非」〈100語前後で〉 記述

2015年度

番号 項目 内容 形式
長文読解 「人間の独自性」(約950語・空所部分含む) 選択
長文読解 「宇宙のゴミ」(約890語・空所部分含む) 選択
長文読解 「人口増加神話」(約810語・空所部分含む) 選択
会話文 「友人同士の会話」〈空所語句補充・整序作文〉 選択
自由英作文 「選挙権取得年齢を18歳にすることの是非」〈100語前後で〉 記述

出題分析

分量

大問数は例年通り5題で、長文の量が3題合計語数で約3,680語となっており、昨年より約440語増加。昨年は初めて3,000語を越え、これ以上の増加はないだろうと思われたが、まさかの事態である。
設問数の推移は以下の通り。
7問(2015)→7問(2016)→7問(2017)
7問(2015)→7問(2016)→8問(2017)
8問(2015)→7問(2016)→7問(2017)
4問(2015)→5問(2016)→4問(2017)
1問(2015)→1問(2016)→1問(2017)
ここ3年間はⅠ~Ⅲはそれぞれ7~8問ずつ。Ⅳは4~5問となっている。

形式

長文・会話文は全問マーク式。長文の設問形式は「空所補充」「整序英作文」「文整序」「内容一致文完成」の4つが基本。会話文は「空所補充」「整序英作文」で、その他の設問が加わることもある。

内容

長文の内容は、社会問題・現在話題になっている現象・学術的論説がメインで、テーマ的には政治や経済に関するものが多く含まれているのは、やはり学部名を意識してのことだろう。

難易度

長文は、部分的に高いレベルの語彙が含まれていることはあっても、俗に言う「難問・奇問」のたぐいは出題されず、内容的にも設問的にも解きやすい。黙って見せられればとても早大政経の問題とは思えないものも時として出題されており、特に自由英作文が出題されるようになってからは、解きやすくなっている(2013年は難しかったが)。ただ、合計語数3,000語超は脅威で、設問はやさしかったものの、制限時間内に終わらせるのはかなり大変だったのではないか。会話文は例年平易なものが多い。自由英作文は大物で、これをどう攻略するかが合否にかなり影響を与える。

入試対策

《読解》

政経学部はかつて早稲田の全学部中最も合格者最低点が高かった(8割前後と超人的なもの)。自由英作文が突如として登場した2008年は一気に69.6%にまで落ち込んだが、2009年度は75.2%と盛り返している。その後は67.6%(2010)→66.3%(2011)→67.8%(2012)→63.7%(2013)→69.8%(2014)→69.6%(2015)→64.6%(2016)→65.2%(2017)と低迷を続けている。とはいえ、最低点が7割弱(今年はやや低かったが)というのもそれなりに脅威だろう。90分という試験時間の中でいかに余裕をもちながら迅速に問題をこなすかが最大の課題。本年はすべての長文が1,000語を超えたが、1題にかけられる時間は20分強である。だからといって、長文に関して速読術を模索することは避けたい。ゆっくり読んでもわからない英文を速く読めば余計にわからなくなるだけである。いたずらにテクニックに走らせることなく、語彙・文法・構文・日本語力を着実に養うことでスピードアップを図ろう。

《作文》

先述したように、政経学部の合格者最低点は、自由英作文の導入とともに一気に落ち込んだ(むろん合格者最低点は3教科合計であるから、他教科が原因している可能性もある)。英語の平均点を見てみると、49.0%(2010)→47.1%(2011)→57.3%(2012)→50.5%(2013)→53.2%(2014)→59.6%(2015)→53.8%(2016)で、本年が51.1%とかなり下がったのは、おそらく長文の長さであって、自由英作文とは関係ないだろう。
本年のテーマは「日本で同性婚を合法化することの是非」で、タイムリーな話題ではあるものの、英語で意見を書くのは大変難しい。問題の解説部分でも書いたが、これは法制上の問題であって、受験生の同性婚に対する個人的感情を書くものではないからだ。
作文対策第一歩としては、とりあえずたどたどしくてもよいから正しい英文が書けるようになることである。勘違いしてほしくないのは、自由英作文を通して大学側は諸君が普段どのようなことを考えているかを知りたがっているわけではない。もしそうなら、日本語による「小論文」という形で出題してくるはずだ。自由英作文はあくまで「英語」の試験なのだから、英語の正しさが最大の焦点となろう。「書きたいこと」を書くのではなく、「英語で書けること」を書くことが大切で、内容の巧拙はさして気にしなくてよい。
問題は、自由英作文は自習に限りがあるということである。模範解答例を読んだところで、自分が書いた英文を正しいのか誤っているのか、何点くらいとれるものなのかなどを自分では判断できないため、どうしても添削指導をしてもらう必要がある。予備学校の講習会には作文を訓練する講座があるので、そのような場を積極的に利用することを勧める。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。