2019年度入試後期模試動向

12月になり、受験生のみなさんは入試に向けて、少しずつ学習のペースをアップさせている方が多いのではないでしょうか。今回は11月に実施した第3回駿台・ベネッセマーク模試による系統別志望動向を見ていくことにします。

この動向はあくまでも秋の模試結果をもとにした分析のため、本番入試では動向が大きく変化することも考えられます。この点については、あらかじめご了解をいただいて、最終出願の際にはデータネット(駿台予備学校・ベネッセコーポレーションが共同で実施するセンター試験自己採点集計)の分析結果をぜひ参考にしてください。

国公立大全体の各日程内の第1志望者数合計の前年度対比指数は97、私立大全体の総志望者数の前年度対比指数も97といずれもやや減少しています。これは、私立大で合格者数の絞り込みによる厳しい入試が続いたことから、AO・推薦入試といった特別選抜を利用して早い段階で進学先を決めてしまおうと考えた受験生が多くなっていることにより、一般入試まで残る受験者が少なくなっていることも影響しています。
なお、以下の分析では志望者指数を( )内に表記します。

○国公立大

国公立大

文系は全体に人気が落ち着いており、大きな増減は見られませんが、国際関係(107)のみはっきりと増加しています。専攻別にみると、人文科学(101)では心理学(112)の増加が目立っています。外国語(103)では、スペイン語(114)が大幅増加しています。経済・経営・商(97)では、経営・商学系(91)の減少が目立っています。

メディカル系は、すべて減少しています。医(92)、歯(93)は減少が続いており人気低下がうかがえます。保健衛生(99)は微減ですが、医療技術(136)が大幅増加する一方、作業療法(89)は大幅減少となっています。薬(99)は前年度並で、薬学部設置2年目の山陽小野田市立山口東京理科大・薬 <中> (180)は周知されて激増していますが、他の大学は多くが減少しています。

理系も、全体に減少傾向にあり、特に農・水産(95)は減少が続いています。専攻別では農学(89)、畜産学(89)の大幅減少が目立っていますが、農芸化学(108)は増加しています。理(100)は前年度並ですが、専攻別では情報科学(143)が大幅増加、数学(106)が増加、地球科学(92)、物理学(93)、生物学(93)は減少と動向が分かれています。工(98)は引き続き微減ですが、専攻別では応用物理(152)の大幅増加が目立っています。一方、金属・材料工(85)、船舶・海洋工(86)、電気・電子・通信工(89)は大幅減少しています。

○私立大

国公立大

文系では、外国語(100)を除いて減少しています。人文科学(97)は、フランス文学(75)、ドイツ文学(83)、東洋史(85)、英米文学(89)が大幅減少する一方、考古学・文化財学(113)が大幅増加しており、哲学・倫理・宗教学(107)も増加傾向にあります。外国語では、中国語(111)の大幅増加、韓国語(朝鮮語)(107)の増加が目立っており隣国の言語への関心が高まっていることが分かります。法(95)は、政治学(91)がはっきりと減少しています。経済・経営・商(94)は、経営情報学(110)を除いて減少しており、入試で大幅増加が継続していた反動が出ています。

メディカル系では、医(90)、薬(90)の減少が続いています。保健衛生(97)は微減、歯(102)は微増で前年度並と言えます。

理系では、理(100)、工(102)が前年度並ですが、理の情報科学(115)、工の情報工学(111)が大幅増加しており、情報系への関心の高さがうかがわれます。その他の選考では、応用化学(101)は微増で人気低下が一段落しています。農・水産(89)は大幅減少しており、専攻別でも農業工・農業土木(110)を除いて、すべての系統で減少しています。

2019年度入試に向けての心構え

上記で述べたように、系統別では国公立大、私立大ともにほぼ同じ志望動向で、2016年度入試から顕著になった文高理低の傾向は落ち着いてきています。2015年度入試がピークだった理系志望者はここ数年減少しており、特にメディカル系でその傾向が顕著です。理系の間口は確実に広くなっています。

また、冒頭で述べたように、私立大は一般選抜での合格者数絞り込みが進んだことから、2019年度入試では前年度ほどの絞り込みはないと考えられますが、すでにAO・推薦入試で多くの合格者がいることを考えると楽観はできませんので、最後まで気を引き締めて取り組むことが必要です。

ところで、国公立大、私立大志望者を問わず、ほとんどの受験生にとってセンター試験が2019年度入試の第1関門だと思います。そのセンター試験の実施日は、2019年度は1月19日、20日と前年度より1週間近く遅い日程となっています。そのため、センター試験が終わってから私立大入試スタートまでの期間も1週間程度と短くなり、また、国公立大も個別(2次)試験までの期間も短いため、気持ちの切り替えが重要になってきます。さらに、理科や地歴公民など選択科目の追い込み期間も短くなってしまいますので、受験生のみなさんは、今年はクリスマスも大晦日もお正月も無いと思って、学習計画を立ててください。

2019年度入試ではカリキュラムや入試制度の変更はありません。落ち着いて、過去問対策などもしっかりと行い、万全の態勢で入試に臨んでください。とにかく、自分の入試スケジュールで最後の日まで絶対にあきらめないことが重要です。12月になり、不安な気持ちに押しつぶされそうになることもあるかもしれません。それは受験生全員が同じように感じることなのです。

急に寒くなり、風邪やインフルエンザも流行しています。ぜひ、体調管理に気をつけて、最後まで第一志望大学を目指してがんばってください。

(2018年12月3日掲載)