
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
模試を有効活用するために、振り返りは欠かせません。模試は受験して終わりではなく、むしろ振り返りが重要というのは言うまでもないことです。
しかし無計画・無勉強で臨んだとしたら、丁寧に振り返りをしてもあまり効果的なものにはなりません。振り返りにつながるように、適切な目標と学習計画を立てることが大切です。
そのためにまずは模試の難易度を知るところから始めましょう。同じ予備校が主催している模試でも、その目的によって難易度や出題形式は異なります。自分に合ったものが分からないときは、先生など詳しい人にアドバイスを求めるのが良いでしょう。
受験する模試が決まったら、目標を決めます。科目ごとに、定量的な目標を決めましょう。目標は偏差値で決めるのが一般的です。これまでの成績を踏まえ、「少し背伸びした目標」を決めましょう。
「大学別の合格判定(A~E)」も大切な指標です。まだ受験校が決まっていない人も、判定を書くことで合格までの距離を実感することができます。志望校は現実的に進学したい大学に加え、思いっきり背伸びをした憧れの大学を書くのもおすすめです。絶対に無理な目標と感じていた大学でも、意外といい判定が出ることもあります。それがきっかけで、目標が明確になり、これまで以上に学習に励むことができるようになる例も少なくないからです。
模試の対策でもっとも重要なのは優先順位です。なぜなら模試の全範囲を対策するのは不可能だからです。全範囲を復習するという考え方から、「模試は苦手克服の良い機会」という考え方にシフトし、課題を明確にして模試に望むようにしましょう。
授業に出られなかった単元や、長く苦手意識を引きずっている単元があれば、模試をきっかけに克服しましょう。参考書や動画教材、問題集などを組み合わせ、模試まで取り組む課題を具体化します。自分で決めきれない人は先生にアドバイスをもらうと良いでしょう。
良い計画を立てたとしても、それを遂行するのは簡単ではありません。模試の直前でも、学校や塾の授業は普段通り進みます。そのなかで模試対策のための時間を捻出するには少しコツが必要です。
多くの場合、普段の学習に時間をとられ模試対策が後回しになってしまうようです。「週末に提出の課題がある」「明日の授業の予習をやる必要がある」など、目の前のことに追われてしまい、模試対策の学習が進まなくなってしまうのです。
模試対策を進めるために、模試対策に充てる時間を決めることが大切です。「平日は1時間、土日は3時間」「放課後2時間模試対策の学習をしてから帰宅する」といった具合に時間を決め、通常の学習よりも先にその時間学習してしまうのです。同じ模試を受験する友人がいれば、同じ時間に一緒に学習するのも良いやり方になりそうです。
模試は振り返りが大切です。自分の弱点を把握し、今後の改善にいかしましょう。ここでは「得点ポテンシャル分析」のやり方を紹介します。
模試が返却されたら、問題を以下の3つに分けます。
このなかで優先して復習すべき問題は△の「できるはずだった」問題です。なぜなら、一度学習したことが定着しきれておらず、あと一歩で得点が伸びる可能性があるからです。問題に「◯」「△」「×」をつけたら、「得点ポテンシャル」を計算してみましょう。得点ポテンシャルとは「△」をすべて正解できた場合の得点です。
得点が伸びる可能性を感じることで、今後の学習に対して前向きな気持ちで振り返りをすることができます。実際、模試では「D判定」でも、△をすべて正解できれば「A~B判定」になるようなことも少なくありません。
鉄は熱いうちに打てと言われるように、模試が返却されたらすぐに次の目標を決めましょう。目標から逆算し、今後の取り組み方の改善につなげることが重要です。
「△」は「後少しで正解」という側面もありますが、勉強のやり方に問題があり、改善が必要な場合も少なくありません。
例えば、模試で「計算ミス」をする人は、普段の計算ミスを放置してしまっている可能性があります。そういう人は普段から「ミス」で済ませるのではなく、普段の解き直しのやり方を見直す必要があるでしょう。
このように、「△」を「◯」にするための普段の勉強のやり方を再考するのは、模試の振り返りでもっとも重要な点の1つです。 模試の範囲は広く、すべてを復習することはできません。明確な目標を決めて取り組むことが、模試をフル活用することにつながるのです。
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「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。
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