この冬も大学入試関連イベントを実施! まずは見てみる

大学入試の種類をわかりやすく解説。志望校合格への戦略を練ろう

監修者:駿台予備学校 教務課

大学入試では複数の種類の試験が実施されています。まず、それぞれの入試の仕組みや特徴を理解しておきましょう。そのうえで、大学により入試の種類や出願資格・実施内容が細かく異なりますので、志望大学の入学者選抜要項や学生募集要項で確認することが必要です。

目次

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大学入試 受験方法(入試区分)は大きく3種類に分かれる

大学入試の種類を実施開始時期の順に整理します。

総合型選抜(旧AO入試)9月から

大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)にマッチしているかどうかを評価します。
大学で学びたいことの目標やその実現に向けた意欲が特に重要。
例:慶應義塾大(FIT入試、AO入試)、神戸大(「志」特別選抜)、お茶の水女子大(新フンボルト入試)など

学校推薦型選抜(旧推薦入試)11月から

おもに高校時代の取り組みをもとに、大学入学後の可能性を評価。次の2種類があります。

【公募制】

部活動における実績や課外活動などを重視して評価(試験の得点のみで決まる場合もある)。
例:スポーツ推薦、文化活動推薦、有資格者推薦 など

【指定校制】

大学が高校のこれまでの進学実績に応じて指定。高校内での学内選抜がある。

一般選抜 2・3月が中心

大学ごとの個別(2次)試験を受験してその得点を評価します。大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を併用したり、共通テストのみで評価したりする方式もあります。
国立大は前期・後期日程、公立大は前期・中期・後期日程、私立大も複線入試や全学部日程などの実施により、受験機会は複数設けられています。

共通テストについての詳しい説明はこちらへ

後段の「合格を勝ち取るための、戦略の立て方」でも解説しますが、学力を伸ばし、志望校の選択肢を広げるためにも、特に難関大を志望する受験生は一般選抜を目標にすることが望ましいでしょう。

それぞれの入試区分について、詳しく見ていきましょう。

一般選抜とは? 種類や選び方は?

❶共通テスト利用による一般選抜の種類

国公立大は原則として共通テストと個別(2次)試験の総合評価で合否が決まる
一部の大学では共通テストの成績で、個別試験を受験できる志願者を絞り込む二段階選抜を導入しています。

私立大は一般方式(大学の独自試験のみで決まる)と共通テスト利用方式に分かれる
さらに、共通テスト利用方式は2つのパターンがあります。

  • 単独型:共通テストの点数のみで合否が決まるもの
  • 併用型:共通テストと大学独自のテストの総合点で合否が決まるもの

❷受験機会による一般選抜の種類

国公立大は前期と後期、公立大はこれに加えて中期があり、各期で1校ずつ受験できる
このほか、公立大では前期・中期・後期以外に独自日程で入試を行う大学があります。
一般的に後期は募集人員が少なく、共通テストで求められる点数が高くなっています。

私立大は、同じ学部を何度も受けられる、1回で複数の学部が受けられるところも

国公立大とは異なり、スケジュールさえ合えば、私立大はいくつでも受験できます。

  • 複線入試:同じ大学の学部を異なる日程や選抜方法で複数回受けることができる
  • 全学部日程:1回の試験で複数の学部・学科を併願できる(例:明治大学全学部統一入試、日本大学N全学統一方式など)

共通テストの点数のみで合否が決まる単独型を利用すれば受験機会がさらに増えます。

合格者の入試区分ごとの割合でみると、一般選抜は国公立大が81%、私立大が75%(2021年度)となっており、一般選抜が入試の種類の中心になっていると言えます。

総合型選抜とは?

学校長の推薦は必要ではなく、出願基準を満たせば誰もが基本的に自由に出願できます。

❶総合型選抜で評価されること

アドミッション・ポリシーとの一致、意欲、基礎学力の重視はどの大学も共通
アドミッション・ポリシーは大学が求める人物像を示したもの。大学案内やWebサイトに必ず掲載されています。「なぜその大学が志望校でなければいけないか?」が問われます。
共通テストや英語外部試験の評価など、基礎学力も重視され、特に難関大では高い学力が求められます。

❷総合型選抜の評価方法の種類

出願資格や選抜方法は大学によってさまざま
調査書やエントリーシートなどの出願書類、面接やプレゼンテーション、小論文などで総合的に審査します。高校の学習や共通テストの成績により学力も評価されます。

慶應義塾大の例 総合政策学部・環境情報学部
出願資格:総合政策学部・環境情報学部への志望理由や入学後の構想が明確であり,第一志望としていずれかの学部での勉学を希望する者。総合政策学部・環境情報学部の学習・研究環境を積極的に活用し,入学後の目標や構想をより高いレベルで実現するに十分な意欲と能力を有する者など。
書類選考(1次):志願者評価、活動報告、志望理由・入学後の学習計画・自己アピール等
面接(2次):日本語または英語(出願時に選択)
※コンテストおよび所定の成績で1次選考免除あり

お茶の水女子大学の例 詳細は学部・学科により異なります
出願資格:一部学科を除き学科別に定められた指定科目の単位取得が必要。調査書の学習成績概評がA段階以上であることが望ましい。
第1次選考:文系学科志願者は、プレゼミナールのいずれかのセミナーを必ず受講。セミナー受講後に作成するレポートや、出願時に提出する志望理由書・活動報告書・外国語試験成績等を総合的に評価。理系学科志願者には、プレゼミナールは任意参加とし、書類選考のみ。
第2次選考:文系学科「図書館入試」。1日目は、附属図書館の図書などを自由に参照しつつ課題についてのレポートを作成する。2日目は、グループ討論と面接を課す。理系学科「実験室入試」。それぞれの学科の特性を生かし、面接・口述試験・質疑応答等を行う。
文系・理系問わず、合格者は所属学科が指定する大学入学共通テストの教科・科目を必ず受験する。
※以上は2024年度の参考例です。各大学の募集要項で必ず確認してください。

近年は、東京大学や京都大学といった最難関大でも学校推薦型選抜や総合型選抜を実施しており、多様な選抜方法に取り組む国公立大が増えてきています。

2024年度 総合型選抜一覧はこちらへ

学校推薦型選抜とは? 推薦入試の種類やちがいは? 

学校推薦型選抜は2種類。公募制(公募推薦)と指定校制(指定校推薦)の違い。

いわゆる推薦入試で、出願にあたっては高校の推薦が必要です。この点が総合型選抜との大きな違いです。

❶学校推薦型選抜のメリット・デメリット

1.教科試験の負担が少なく、早期に進路が決まる
一般選抜と比較すると教科試験の科目数は少なく、全く無い場合もあります。代わりに、志望理由書の提出が必要で、面接や小論文を課すことが多いです。
早期に進学大学が決まることで、余裕をもって入学後の準備を行うことができます。

2.高校の評定平均値が合否にかかわる
高校3年間の成果(学業成績、部活などの課外活動)が総合的に評価されます。難関大や公募制推薦一般選抜では不合格になる可能性もあります。早い時期から高い意識をもって取り組むことが必要です。

3.基本的には合格者したら入学することを前提に考えよう
基本的には専願(第一志望で受験し、合格したら必ず入学すること)が主流です。安易な選択ではなく、希望する進路と一致しているかをしっかり検討しましょう。公募制では併願(複数大学の受験、合格後に他大学への入学も可能)できる大学も出てきています。

❷学校推薦型選抜は2種類。そのほか特別選抜も。

1.公募制(公募推薦)は大学の出願基準を満たし、高校の推薦があれば出願可能
公募制一般選抜、公募制特別推薦選抜(スポーツ推薦、文化活動推薦、有資格推薦)などがあり、学業をはじめ高校生活がさまざまな角度から評価されます。書類審査や教科試験を課す場合もあります。一般に高校ごとの人数制限はありません。

2.指定校制(指定校推薦)は合格可能性が高いが、高校の校内選考を通ることが必要
出願できるのは大学が指定した高校の生徒のみ。専願が原則。一般選抜と比較して合格率がかなり高い傾向がありますが、大学によって各高校で推薦可能な人数に制限があります。

3.受験生の特徴、個性、経歴を評価する特別選抜
一般選抜を含めて、専門学科・総合学科卒業生選抜、帰国生徒選抜、社会人選抜など通常の高校の普通科等の生徒以外を対象として実施されている選抜方式が特別選抜です。
また、地域の発展や貢献を意図して地元出身者に特定して募集する地域枠を設けている大学があります。

入学者に占める学校推薦型選抜の割合は徐々に増加しており、受験生の選択肢の一つとして定着しています。基本的には現役高校生に限る大学が多いですが、公募制推薦で教科試験を中心とした選抜を行う大学には既卒生に門戸を開いている例もあります。

学校推薦型選抜の詳しい説明はこちらへ

種類別入試スケジュール

一般的な入試年間スケジュール(モデル)です。
入試年度や志望大学によって異なる場合がありますので、志望大学の入学者選抜要項や学生募集要項を必ず確認してください。

スクロールできます
総合型選抜  学校推薦型選抜 一般選抜
7~8月志望大学の入学者選抜要項、募集要項、Webサイト、在籍高校などで情報収集する
9月出願開始
オープンキャンパス参加が必須の場合もある
指定校推薦の校内選考共通テスト受験案内(要項)交付
共通テスト出願
総合型選抜・学校推薦型選抜も同じ
10月選抜開始
1次・2次など選考を複数回実施する場合もある
出願開始
11月選抜開始
12月私立大:出願開始
1月共通テストを課す場合がある共通テストを課す場合がある共通テスト
国公立大:出願開始
2月選抜開始
国公立大;前期日程
私立大:2/1以前の実施もあり
3月公立大:中期日程
国公立大:後期日程
私立大は国公立大入試終了まで学費を返還する場合も

入試年間スケジュールの詳しい説明はこちらへ

国公立・私立、文系・理系で異なる入試科目数

共通テストが必須の国公立大は入試科目が多くなります。私立大は選抜方法により入試科目が異なります。

❶入試科目数が幅広い一般選抜は最強の対策

国公立大一般選抜(共通テスト):文系は5教科8科目、理系は5教科7科目を課す大学が一般的です(地歴と公民を合わせて1教科とします。2025年度入試から新課程入試が始まり、共通テストの出題教科・科目や試験時間なども変更があります)。
国公立大一般選抜(個別[2次]試験):記述・論述中心の出題が一般的です。前期日程は志望学部・学科の専門に応じた教科試験、後期日程小論文・面接・総合問題など多様な出題形態が見られます。
私立大一般選抜:3教科受験が基本。文系は英語・国語に加えて「地歴・公民」・数学から1科目、理系は英語・数学・理科などが一般的です。
2教科以下で受験できる選抜方式もありますが、高倍率になる場合があります。

新課程入試の詳しい説明はこちらへ
共通テスト利用入試の詳しい説明はこちらへ

❷教科試験がない総合型選抜・学校推薦型選抜はどうする?

これまで説明してきたように、すべての選抜方法で基礎学力を重視するようになりました。教科試験がなくても、高校の成績や志望理由書の内容をもとに大学で学ぶために必要な学力を備えているかが評価されます。共通テストが課される場合もあります。そのためにも、一般選抜を視野に入れた対策が有効です。

合格を勝ち取るための、戦略の立て方

❶高校での学習を確実に行うことが前提。選択の幅を狭めない学習を

入試は高校の学習範囲に基づく出題が基本。入試の基本方針に「高等学校できちんと学び、身につけた力をもってすれば、決してハードルの高いものではない」と明示する大学も。
国・数・英の主要教科の学習を徹底。苦手科目をつくならない対策を。
・教科・科目数の少ない選抜方式を選んだり、安易に妥協したりすると、進路選択の幅を狭めることに。受けたい大学が受けられなくなることもあります。

❷高校生活にムダな時間はない。何事も全力で

・総合型選抜や学校推薦型選抜で高校生活が総合的に問われるのは説明してきた通りです。
・学力の3要素として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」が挙げられています。共通テストもこれに基づいて作問されています。知識や技能を活用して課題を解決する力が大切で、これらは高校生活のすべてで養われます。

❸正しい情報を集め、効果的に活用する。高校の先生は心強い味方

・ まずは、入学者選抜要項や学生募集要項で、選抜方式、入試科目、出願基準などを確認。複雑な制度を読み解く力も大切です。不明点があれば、後回しにせず質問しましょう。
・ 基礎が固まったら、過去問題で出題傾向をつかみ、演習しましょう。模試の活用も有効。
・ 噂やSNSなどでの出所のわからない情報にまどわされないこと。高校の担任や進路の先生に相談しましょう。
・ 総合型選抜や学校推薦型選抜(特に指定校推薦)を希望する人は先生方との連絡を密に
・ 志望理由書の添削や面接練習などを積極的に受けましょう。

長期的にビジョンを描く

受験は、高校入学と同時に始まっています。
大学で何を学び、将来どう活かしたいかを考え、それを実現するためにやるべきことを地道に実行していきましょう。
大学合格だけをゴールにして科目を絞ったり、推薦だけを目標に部活動やボランティアに取り組んだりするのはもったいないです。
一方、部活動や自分のやりたいことに打ち込んできて勉強が不安という人も焦る必要はありません。
特に現役生は入試直前まで実力が伸びます。
いま取り組んでいることが、自分の将来につながっていることを自覚して、悔いのない進路選択や学習を行ってください。

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