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共通テストとは?日程や科目、2024年度予測も駿台がわかりやすく解説

監修者:駿台予備学校 教務課

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)とは、大学入試センター試験(以下、センター試験)に代わって2021年度から実施されている試験です。この記事では、これから共通テストを受験する予定の高校生や既卒生に向けて、共通テストの日程や受験科目の決め方などを詳しく解説します。センター試験からどのような部分が変わったのか、2024年度以降の難易度予測なども紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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大学入学共通テストとは?

共通テスト(大学入学共通テスト)とは、センター試験に代わって2021年度から実施されている試験です。独立行政法人大学入試センターによって実施されています。主な狙いとしては、高校生として基礎的な学力の到達度を判定することや、思考力・判断力・表現力など多面的に能力を評価することなどが挙げられます。

国公立大学を一般選抜で目指す学生は、原則として共通テストを受験する必要があります。また、私立大学の一般選抜においても、共通テストの受験成績を利用した「共通テスト利用(共テ利用)方式」を設定している大学が多くあります。志望校が国公立大学、私立大学に関わらず一般選抜を目指すのであれば、共通テスト対策は必要になってきます。

共テ8割、6割など、得点を目安に出願校の最終判断にも使われる

共通テストも実施4年目になり、「共テで8割取れていると合格率が〇割」など、志望校の過去の合格者のデータから目標得点、目安などを耳にすることがあると思います。現役合格を最優先に考える場合、また、志望校に迷いがある場合、そして出願が間に合う場合は、共通テストの得点結果(自己採点による得点見込み)を元に志望校の再検討を行います。
ただしそれらの目安はあくまでこれまでの実績であって、そこに届いていなくても、個別試験(二次試験)で挽回できて、合格している場合もあります。
共通テストの結果を元に、目指すのが、志望校合格なのか、現役合格なのか、併願校の見直しは必要かなどの最終判断を行い、このあとは個別試験(二次試験)に全力で向かうことになります。

共通テストの概要 日程と試験の特徴

共通テストの解答形式や試験日程、センター試験からどういった点が変わったのかなど、基本的な情報を詳しく見ていきましょう。

科目や解答形式はセンター試験から変更なし

共通テストはセンター試験と同じく、5教科30科目(地理歴史と公民は合わせて1教科)で構成されています。
出題範囲は高1・高2の学習内容を多く占めることも、センター試験と同じです。
また、解答形式もセンター試験と変わらず、マークシート方式が採用されています。

1月中旬の2日間で全国一斉実施

共通テストは日程もセンター試験と同じく、毎年1月に13日以降の最初土・日の2日間で実施されます。
2024年度入試では、1/13(土)、1/14(日)に実施予定です。
多くの国公立大学を志望する場合は、2日間とも受験する必要があります。
一方で、私立大学に共通テスト利用方式入試で出願している受験生においては、1日だけ受験するパターンもあり、特に文系では1日目の地歴公民、国語、外国語の3教科を課す場合が多いです。

グラフ・文章など読み取る資料の分量が多い

センター試験から共通テストに変わったことで大きく変わったのは、出題傾向、問われるポイントです。これまでは「知識を問う」ことが重要視されていましたが、共通テストの出題形式は学力の3要素と呼ばれる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」のから特に「思考力・判断力」の評価を重視する方向にシフトしました。

具体的には、問題文が長文化し読解力が求められる、複数の資料やデータから必要な情報を解析し考察する、日常生活の中から課題を発見して解決方法を構想するといった、学習過程を意識した問題が教科・科目を問わず出題されています。往々にして、読み込まなければならない文章や資料の量が多く、解答に時間を要する問題が増えました

英語の配点が変更、リーディングとリスニングが1:1の比率に

出題形式の他に、センター試験と共通テストで大きく変更があったのは「英語の配点」です。センター試験では、英語の配点が筆記200点満点、リスニング50点満点と4:1の配点比率でした。しかし、共通テストでは筆記が「リーディング」という名称に変わり、リーディング100点満点、リスニング100点満点と、配点比率が1:1に変わりました。つまり、これまでよりもリスニング力が重視され、より実践的な能力が求められるようになったということです。ただし、合否判定に使う得点はこの配点をもとに各大学で自由に配点比率を変更できますが、その結果を見ても従来よりもリスニング重視の配点になっています。

また、これまで出題されてきた発音・アクセント・語句整序などを、単独で問う問題が廃止されたことも変更点の1つです。この変更には、コミュニケーションを想定した明確な目的や場面、状況の設定をより重視する(※)という狙いがあります。
参照:(※)令和3年度大学入学共通テスト『英語』について

現役生の受験比率が高い

2023年度共通テストにおいて、現役出願率(※)は45.1%と、過去最高を記録した2022年と変わらない結果となっています。理由としては、依然として新型コロナウイルス感染症の収束の見通しがつかないことから、個別試験が受けられなかった場合に備えて共通テストを保険として受験しておくといった指導が各高等学校で積極的に行われたことが考えられます。
※令和5年3月高校卒業見込み者のうち、共通テストに出願した生徒の割合(共通テスト志願者のうちの現役生の割合ではない)。

国公立大学、私立大学別受験の必要性

共通テストの受験の必要性は、受験する大学によって変わってきます。ここでは、大学受験で共通テストが必要になるパターンを、国公立大学、私立大学に分けて解説します。

国公立大学は受験必須

国公立大学をめざす受験生は、原則として共通テストの受験が必須になります。文系は5教科8科目、理系は5教科7科目を課す大学が一般的です。

国公立大学の一般選抜では、共通テスト(一次試験)の得点と、大学別に実施される個別試験(二次試験)の得点の合計で合否の判定を行うのが一般的です。したがって、共通テスト終了後は、自己採点結果をもとに大学入試センターが公表する平均点の中間集計やデータネット(駿台予備学校・ベネッセコーポレーションが主催する共通テストの自己採点集計)などを参考にしながら、最終的な出願校を検討します。
ただし、大学によっては共通テストの得点で第1段階の選抜を行い、大学が定めた合格ラインを上回った受験者だけに2次試験の受験資格を与える「2段階選抜」を採用しているところもあるので、注意が必要です。

なお、共通テストの正式な結果は、出願時に希望した受験者のみに有料(手数料800円)で通知されます。ただし、成績通知書の送付は4月以降となるため、出願時の参考にできない点は念頭に置いておきましょう。

私立大学は、志望大学によって受験を求められることも

私立大学においても、入試方式によっては共通テストの受験が必要になるケースもあります。それが、大学独自の入試とは別に設けられている、共通テストの得点をもとに合否を判定する「共通テスト利用方式」です。実際に2023年度では、全私立大学の約9割の大学にあたる535大学が、共通テスト利用方式を導入しています。

私立大学受験の場合、単独型と併用型がある

私立大学の共通テスト利用方式には、大きく分けて「単独型」と「併用型」があります。
単独型は共通テストの得点のみで合否を判定し、併用型は国公立大学のように共通テストの得点と独自試験の得点を合計して合否を判定します。

共通テスト利用方式についてくわしくは、こちらの記事も参照してください。
共通テスト利用入試とは?メリットと知っておきたい受験の知識

総合型選抜、学校推薦型選抜でも受験が必須な大学もある

大学受験には、共通テストや独自試験の得点で合否を決定する「一般選抜」の他に、学力や意欲を多面的に評価する「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」などがあります。いずれも書類審査や小論文、面接などが試験のメインとなりますが、中には共通テストや独自試験を課す大学もあります。志望大学の入試方式は、事前に確認しておきましょう。

大学受験の入試区分、仕組みについては、こちらの記事も参照してください。
大学入試の仕組み -選抜方式を国公立大、私立大別に理解しよう-

共通テスト利用入試のメリットとデメリット

共通テスト利用入試には、
・単独型 … 共通テストの成績のみで合否判定
・併用型 … 共通テストの成績に大学独自の試験の成績をプラスして合否判定
の2種類があります。

多くの私立大学で導入されている共通テスト利用方式にはどのようなメリットがあるのでしょうか。デメリットとあわせて解説します。

メリット:複数の大学・学部学科に挑戦できる

出願数の制限がないため、共通テスト利用方式を設けている大学・学部学科であれば複数の出願が可能です。また、
一般選抜と併願できるので、共通テストで高得点を得られれば、大学の独自試験を受けなくても合格する可能性があります。

単独型の場合は2次試験を受ける必要がなく、共通テストの対策に集中できるというメリットもあります。また、共通テストは地元で受験できるため、移動のための費用と時間を節約できます。

デメリット:募集人員が少なく、合格は狭き門に

共通テスト利用入試は、募集人員が少ないことが特徴です。そのため高倍率になることが多く、出願しやすい一方で、合格は狭き門となるでしょう。

また、大学によっては共通テスト受験前に出願が締め切られる場合もあります。自己採点をもとに合格ラインを予測できないので、出願するときに不安を感じやすい点もデメリットの1つとして挙げられます。受験する大学や学部によっては、共通テスト利用方式を選択することによって、試験科目が増えるケースもあります。

共通テスト利用方式についてくわしくは、こちらの記事も参照してください。
共通テスト利用入試とは?メリットと知っておきたい受験の知識

受験科目の決め方

共通テストの出題教科・科目は大学入試センターから事前に公表されますが、どの教科・科目を受験するべきなのかは志望大学によって異なります。ここからは、受験教科・科目の決め方を解説します。

試験科目は5教科30科目

2023年度大学入学共通テスト 出題科目等一覧

スクロールできます
教科 グループ 出題科目 試験時間(配点)
国語 『国語』 80分(200点)
地理歴史
公民
「世界史A」「世界史B」「日本史A」
「日本史B」「地理A」「地理B」
「現代社会」「倫理」
「政治・経済」『倫理,政治・経済』
1科目選択:60分(100点)
2科目選択:130分(うち解答時間120分)(200点)
数学 (1) 「数学Ⅰ」『数学Ⅰ・数学A』 70分(100点)
(2) 「数学Ⅱ」『数学Ⅱ・数学B』
『簿記・会計』『情報関係基礎』
60分(100点)
理科 (1) 「物理基礎」「化学基礎」
「生物基礎」「地学基礎」
【理科①】2科目選択:60分(100点)
(2) 「物理」「化学」「生物」「地学」 【理科②】1科目選択:60分(100点)
2科目選択:130分(うち解答時間120分)(200点)
外国語 『英語』『ドイツ語』『フランス語』
『中国語』『韓国語』
『英語』【リーディング】80分(100点)
【リスニング】60分(うち解答時間30分)(100点)

・「地理歴史・公民」の同一名称を含む科目の組合せとは,「世界史A」と「世界史B」、「日本史A」と「日本史B」、「地理A」と「地理B」、「倫理」と『倫理、政治・経済』及び「政治・経済」と『倫理、政治・経済』の組合せをいう。
・理科①については1科目のみの受験は認められていない。
(大学入試センター発表「令和5年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」をもとに作成)

共通テストは5教科30科目(地理歴史と公民は合わせて1教科)で構成され、出願する大学によって受験する教科・科目を選択することになります。必要な教科・科目数は、国公立大学の文系なら5教科8科目、理系なら5教科7科目が一般的です。

志望大学の募集要項を確認して決める

具体的な受験必須教科・科目は、志望大学の募集要項を確認しましょう。例えば、東京大学(以下、東大)の理系・文系は以下のような募集要項になっています。

<東大・理系の受験に必要な試験教科・科目>

必須科目

・国語、数学Ⅰ・数学A

選択科目

・世界史B、日本史B、地理B、倫理・政治経済の4科目のうちから1科目(※1)
・数学Ⅱ・数学B、簿記・会計、情報関連基礎の3科目のうちから1科目(※2)
・物理、化学、 生物、 地学の4科目のうちから2科目
・英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語の5科目のうちから1科目
※1地理歴史及び公民の試験時間において2科目を受験した場合、第1解答科目の成績を合否判定に利用する
※2簿記・会計、情報関係基礎を選択できる者は、高等学校又は中等教育学校においてこれらの科目を履修した者及び専修学校の高等課程の修了(見込み)者のみ

<東大・文系の受験に必要な試験教科・科目>

必須科目

・国語、数学Ⅰ・数学A

選択科目

・世界史B、日本史B、地理B、倫理・政治経済の4科目のうちから2科目
・数学Ⅱ・数学B、簿記・会計、情報関連基礎の3科目のうちから1科目(※1)
・物理基礎(物理)、 化学基礎(化学)、 生物基礎(生物)、 地学基礎(地学)の基礎を付した4科目のうちから2科目(※2)
・英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語の5科目のうちから1科目
※1簿記・会計、情報関係基礎を選択できる者は、高等学校又は中等教育学校においてこれらの科目を履修した者及び専修学校の高等課程の修了(見込み)者のみ
※2「基礎を付していない科目を2科目選択した場合には、基礎を付した科目を選択したものとみなす
参照:東京大学令和6年度 東京大学入学者選抜要項

理科の受験パターンを確認

理科は
(1)(物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎)
(2)(物理、化学、生物、地学)
の2つのグループに分かれていて、そこから2科目を選択して受験します。
ただし、科目の選択方法は以下の4パターンと決まっています。

・A:(1)グループから2科目
・B:(2)グループから1科目
・C:(1)グループから2科目+(2)グループから1科目
・D:(2)グループから2科目

大学・学部によっては、選択パターンが決まっている場合もあります。選択する科目を間違えると、受験できなくなる事態にもなりかねません。出願前に、志望大学の募集要項をしっかりとチェックしておきましょう。

地歴歴史・公民、理科(2)は第1解答科目に注意

地理歴史・公民、理科(2)で2科目を受験する場合、前半60分で解答する科目を「第1解答科目」、後半60分で解答する科目を「第2解答科目」といいます。教科内で1科目のみを合否判定に利用する大学の中には、得点の高いほうではなく、第1解答科目の得点を採用するケースも多くあります。また、大学によっては第1解答科目を指定している場合もあるので、理科系科目の受験パターンと同様に、出願前に志望大学の募集要項を確認しておきましょう。

共通テストの対策方法

共通テストで目指す結果を出すために、どのような対策を立てるべきかをお伝えします。

志望大学の募集要項をチェックし、勉強の方向性を決める

まずは志望大学の募集要項をチェックし、受験科目や配点の比率からどの教科・科目に力を入れるべきか決めましょう。私立大学の共通テスト利用入試受験を予定している場合は、単独型か併用型かによって勉強科目数・範囲も異なってきます。

受験勉強に費やせる時間は有限です。効率よく受験勉強を進めるためにも、目指す大学に必要な教科・科目の事前リサーチを入念に行い、勉強の方向性を定めましょう

基礎を徹底的にやり込む

合格者の多くは、「普段の学校の授業に集中した」「予習や復習を確実にこなした」と語っています。また、難しい問題集に手を付けたものの、中途半端に投げ出してしまった失敗談もよく耳にします。共通テストで出題される問題を解くには、読解力や思考力が必要になるとはいえ、基本となる知識は学校の教科書に載っている内容です。
基礎を疎かにせず、徹底的に理解することが、もっとも効果的な勉強方法といえるでしょう。

共通テストはこれからどう変わっていく?

2021年度からセンター試験に代わって導入された共通テストですが、2022年度では多くの科目で平均点が下がり、難化が話題となりました。2023年度は前年度の大きく平均点が下がった数学が上がりました。今後の共通テストはどのように変わっていくのでしょうか。2024年度に予定されている改革についても解説します。

2024年の共通テストの見込みは?

2024年度の共通テストの出題傾向や難易度は、2023年度とさほど変わらないと予測されます。しかし、現在の高校2年生が受験する予定の2025年度共通テスト~令和7年(2025年)1月実施~においては、出題教科・科目および試験時間等が変更されることが決まっています。具体的には、これまで実施されてきた教科・科目に、新たに「情報」が追加されます。また、国語、数学(2)でそれぞれ試験時間が10分延長されます。
そのため、現役合格を目指す、あるいは浪人を避けたいと考える受験生は増える見込みで、各大学の個別試験(二次試験)においては競争率が高まる可能性はあります。

このように説明すると、テスト内容が大きく変更されるように感じますが、「高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定する」という共通テストの主たる目的はなんら変わりません。必要以上に不安にならず、これまでどおり高校の授業で習う基礎知識を着実に習得し、文系理系にとらわれない幅広い知識や能力の習得に励みましょう。

共通テストの傾向や対策を万全に

高校1年生、高校2年生については、前述したように基礎学力をしっかりと確立することが重要になります。受験の主要教科となる国語・数学・英語の基礎知識を固め、苦手科目は早めに潰すことを意識しましょう。

すでに2023年度までの共通テストでも明らかとなったように、今後も共通テストでは大学教育の基礎力となる知識のほかに、読解力、思考力、判断力、表現力が重視されます。したがって、2021年度~2023年度の共通テストの過去問を参考にするとともに、模試や実戦問題集に多く触れることで、共通テスト型の出題と解答方法になるべく慣れておく必要があります。見慣れない出題があってもあせらないように、対策を万全にしておきましょう。

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