志望校合格に向けて、まずは大学入試の仕組みをきちんと理解することが大切です。目指す国公立大、私立大それぞれに試験の流れなどが変わってきます。目指す大学に、どのような入試区分があり、合格するためにはどの区分で受けるのか?まずはその仕組みを理解しましょう。
入試と受験、同じようでも違う意味
入試とは入学試験そのもののこと、そして受験とは試験を受けることです。
まず、入試の仕組みを良く理解しましょう。そして、対策をしっかりと練り、万全の対策で受験に臨むことが大切です。
入試区分を理解する -自分に適した入試の種類を探る-
一般選抜 | 総合型選抜 (旧AO入試) |
学校推薦型選抜 (推薦入試) |
|
大学ごとに指定された試験を受験してその得点で合格者が決まる。 | 大学が求める人物像にマッチしているかどうかで合格者が決まる | 公募制 | 指定校制 |
部活動における実績や課外活動などを重視して合格者が決まる(試験の得点のみで決まる場合もある) | 大学が高校のこれまでの進学実績に応じて指定。高校内での学内選抜がある | ||
前期・中期・後期日程 共通テスト利用 二段階選抜 複線入試 ・日本大学 N全学統一方式 |
・慶応大学 FIT ・神戸大学 志入試 ・お茶の水女子大学 新フンボルト入試 |
スポーツ推薦 文化活動推薦 有資格者推薦 |
|
・広島大学 光り輝き入試 |
まず、しっかりと入試区分の内容について理解しましょう。文部科学省が定めている入試区分の名称は変わることがあります。最近では、2021年度からそれまでのAO入試が総合型選抜へ、推薦入試が学校推薦型選抜へと改称されました。
下記に代表的な大学入試区分をまとめました。代表的な「一般選抜」、「総合型選抜(旧AO入試)」「学校推薦型選抜(推薦入試)」「特別選抜」についてまとめました。
代表的な入試区分について
一般選抜
一般選抜は受験生が受験校を自由に選ぶことが出来ます。選考では共通テストや個別試験の得点で選考されます。
なお、メディカル系や教員養成系などでは小論文や面接が課されることがあります。
総合型選抜(旧AO入試)
総合型選抜(旧AO入試)は基本的には、この入試区分がある受験校を自由に選ぶことができます。
志望理由や高校3年間で打ち込んだこと、大学でやりたいことなどをしっかりと表現できることが必要です。
選考には小論文や面接などが課されます。
学校推薦型選抜(推薦入試)
学校推薦型選抜(推薦入試)には、指定校制、公募制があります。指定校制の学校推薦型選抜の場合、現役高校生のみが対象で専願(第一志望で受験し、合格した場合必ず入学すること)であることが必要です。高校ごとに応募人数が限られているので、校内で応募者が多い場合は校内での選考が発生します。
公募制の場合は、大学が指定する出願条件を満たしていて、高等学校長からの推薦があれば、志願できます。
高校での学業成績や推薦要件としての実績(スポーツでの成果、取得した資格等)と小論文や面接などで選考されます。
特別選抜
特別選抜とは、専門学科・総合学科卒業生選抜、帰国生徒選抜、社会人選抜など通常の高校の普通科等の生徒以外を対象として実施されている選抜方式です。
合格者の入試区分ごとの割合は?
参照:文部科学省「令和5年度国公私立大学入学者選抜実施状況」より集計
合格者の入試区分ごとの割合を見ると、国公立大では一般選抜が82.4%と8割以上を占めていますが、公立大や私立大では一般選抜は約73%前後で、全体の4分の1が総合型選抜や学校推薦型選抜での合格者となっています。
国公立大だけじゃない、私立大でも必要な共通テストとは?
共通テストとは、2020年度までは「大学入試センター試験(センター試験)」と呼ばれていた試験。
実施日程は、1月13日以降の最初の土・日に実施されます。出題形式は、すべてマークシート方式となっています。基本的に国公立大一般選抜では受験は必須。私立大でも、9割近い大学が共通テストの成績を利用した一般選抜を実施しており、大学独自の試験を実施せずに共通テストの成績のみで合否判定を行う場合が多くなっています。
国公立大入試の仕組み
国公立大入試の入試区分ごとの割合は、一般選抜が約82%、学校推薦型選抜が約11%、総合型選抜が約6%となっており、一般選抜中心の入試となっています。
一般選抜では、共通テストと個別試験(2次試験)の総合点で合否が決まることが原則です。
入試日程としては、国公立大は前期と後期、公立大はこれに加えて中期があり、それぞれ1校受験できます。さらに、公立大には独自日程で入試を行う大学があり、独自日程では日程が重ならない限り自由に他の国公立大との併願(複数大学の受験、合格後に他大学への入学も可能)ができます。特に、後期は募集人員が少なく、共通テストで求められる点数が高くなっています。
また、一部の大学では共通テストの成績で、個別試験の受験できる志願者を絞り込む二段階選抜という制度が導入されています。合格者は、募集人員に対して指定された倍率までの人数や要項で示された基準点により決定されます。
国公立大の学校推薦型選抜は募集人員も少なく、推薦要件も厳しいことが多いので、かなりの狭き門だといえます。ただし、公立大には指定校推薦もあるので、もし志望校ならば高校に確認するといいでしょう。
近年は、東京大学や京都大学といった最難関大でも学校推薦型選抜や総合型選抜を実施しており、神戸大学・「志」特別選抜や広島大学光り輝き入試など多様な選抜方法に取り組む国公立大が増えてきています。
私立大入試の仕組み
私立大入試の入試区分ごとの割合は、一般選抜が約79%、学校推薦型選抜が約20%、総合型選抜が約1%となっており、国公立大に比較して一般選抜の割合が少なくなっています。
一般選抜には、大学の独自試験のみで決まるもの(一般方式)と共通テスト利用方式に分かれます。
さらに共通テスト利用方式には、共通テストの点数のみで合否が決まるもの(単独型)、共通テストと大学独自のテストの総合点で合否が決まるもの(併用型)に分かれます。
なお、国公立大学とは異なり、スケジュールさえ合えば、いくつでも受験できます。
関連記事
共通テスト利用入試とは?メリットと知っておきたい受験の知識
私立大学一般選抜の受験方式は多岐にわたっています。
例えば、複線入試といって同じ大学の学部を複数回も受けることができるものや、全学部日程といって1回の試験で複数の学部・学科を併願できるもの(例:明治大学全学部統一入試、日本大学N全学統一方式など)があります。
一般的に3科目を課すことが多いですが、特定の科目のみを選択して受験できる方式や大学所在地以外に試験会場を設ける地方試験なども実施されています。
総合型選抜では、慶應義塾大学法学部のFIT入試や早稲田大学創造理工学部建築学科の創成入試などがあり、各大学で独自の選抜方法をとっています。
学校推薦型選抜は基本的に専願ですが、公募制推薦では他大学との併願可能なケースもあります。
大学入試の流れ、手順
年間スケジュールのイメージ
- 7~8月
-
志望大学の選抜要項、募集要項を確認
各大学のWEBサイトにてデジタルデータで閲覧できます。
私立大などではサイトの会員登録などが必要なケースもあります。 - 9月
-
総合型選抜からスタート 共通テスト受験者は出願
- 11月
-
学校推薦型選抜が開始
- 1月、2月
-
共通テストの実施
私立大入試の開始、その結果を確認しつつ、国公立大個別試験に突入
一般選抜の出願に際しては、自分なりの全体スケジュールを組みましょう。
受験する大学の数によっては、3日連続、4日連続などの受験になってしまうこともありますが、実力を発揮するためには体調維持も大事なので、受験日の連続は3日くらいまでした方が良いでしょう。
関連記事
【大学受験スケジュール表付】スケジュール管理と勉強の進め方
志望校合格に向けて
志望校がある程度決まってきたら、目指す大学の合格に向けて、以下のポイントをチェックしましょう
- 学校推薦型選抜で合格を目指す場合
- 自身の評定平均値は、募集要項の要件にあっていますか?
- 学校推薦型選抜を狙えるとして、志望校が指定校推薦の対象となっていますか?
- あるいは公募制推薦での合格の可能性がありますか?
- 総合型選抜で合格を目指す場合
- 自身の評定平均値は、募集要項の要件にあっていますか?
- 総合型選抜でアピールできるポイントがありますか?
- 一般選抜で合格を目指す場合
- 最後まで手を抜かず、必要な受験科目の対策を続けられますか?
入試突破に向けて、最も大切なことは受験チャンスを逃さないことです。
出願しなければ、受験はできません。受験しなければ、合格はありません。日頃からの努力を無駄にしないためには、入試の仕組みをよく理解し、わからないことは学校の先生や予備校の進路アドバイザーに聞いて、目標をしっかり定めた受験生活を送りましょう。
一人だと不安な受験も、予備校を活用すれば、こうした受験情報、受験スケジュールの相談、志望大学合格に向けた学習ノウハウの相談も可能です。ともに合格を目指す仲間との出会いもあります。興味のある方は、一度相談してみてください。