コーチングと個別性③-「ラベリング」に要注意-

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執筆:八尾直輝

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長

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タイプは必ずしも1つに定まるものではない

タイプ分けはあくまでも考えるためのツール(道具)です。
前回の記事の例でも、人のモチベーションが明確に1つに定まるわけではありません。また対象によっても、人はタイプが微妙に変わることがあります。

例えば、私は将棋を指すときはエクスプローラーのように、じっくり探究すること(=プロセス)を楽しみます。
勝ち・負けよりも、その過程が重要で、たとえ負けたとしても、ギリギリのいい勝負ができれば大きな満足感を感じます。

でも仕事は別です。このようなコラムを書くときは、期限(=ゴール)を意識します。その上で、1日の執筆時間を決め、時間内に書き終えることを目指します。決めた時間内で書き終えた後は、一仕事終えた充足感を感じるものです。

このように人のタイプを決めつけるものではなく、人の性質を多角的に見るための道具に過ぎません。
人のタイプを固定化したものととらえることを「ラベリング」と言います。ラベリングは人の可能性を決めつけてしまうという意味で、とても危険なものなので注意が必要です。

学習に適したタイプはない

受験など、多くの学習には「ゴール」が設定されています。
そういう意味で「やっぱりゴール型の生徒のほうが、学習(受験)には有利なのでは」と感じられる方もいらっしゃるようです。

結論から言うと、どちらが有利ということはありません。なぜなら目標を達成するためには、「ゴールを意識すること」と「良いプロセスで進めること」の両方が重要だからです。
目標から逆算して作られた計画も、進めることができなければ意味がありません。また目標を達成のみに照準を絞った学習は、その場限りの浅い理解になりやすいというデメリットもあります。

自分の特性を理解し、それぞれの個性を生かすことが重要なのです。

著者プロフィール

八尾直輝の写真 八尾直輝 株式会社プラスティー教育研究所

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。

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