大学受験 志望校の決め方 決められない人向け7つの選び方

監修者:駿台予備学校 教務課

受験生にとって、志望校選びは悩ましいところです。「ここに行きたい!」と、早い時期から明確な目標を持てればいいのですが、「どこが良いかわからない…」と悩み続けている人も意外と多いのではないでしょうか。この記事では、大学受験における、志望校の決め方や、大学の選び方などを解説します。

目次

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志望大学がない、決まらない、どうすれば良いかわからない

文部科学省の学校基本調査によると、令和4年度の大学数は807校。学部数となると、全国で合計2676学部にも及びます。単科大学がある一方で、マンモス校で知られる東海大学は23学部62学科(2023年)と、驚くほど学部や学科数の多い学校もあります。

主な学部としては、社会の仕組みやそこで使うスキルを学ぶ「法・経済・経営・社会学部」や、人としての営みを学ぶ人文科学系の「文・外国語・教育・家政」学部、自然科学や科学技術の応用を学ぶ「理・工学部」、人に関わる生物・環境を研究する「農学部」、医療関係の専門職を目指す「医歯薬・看護学部」などがあります。近年は、国際関係や人間科学といった、新領域に関わる学部も創設されています。

大学受験は選択肢となる学部や学科が非常に多く、迷うのも無理はありません。とはいえ、進学先を絞ると受験勉強が進めやすくなるので、この記事を、自分の目指す大学を選ぶ一助としていただければと思います。

参照:

eStat政府統計の総合窓口「学校基本調査(令和4年度)
東海大学:教育・研究>学部・学科

志望校とは?いつまでに決めておきたいか

志望校とは、自分が進学を希望する大学のことを指します。
実際の受験では、複数校受けるのが一般的なので、最初のうちは必ずしも1校に絞る必要はありません。しかし、進学するのは1校なので、本命を徐々に絞り込んでいく必要があります。志望校が決まると受験対策や入学後の大学生活をイメージしやすくなり、受験勉強のモチベーションアップにつながります。

高2の冬くらいまでにある程度絞りたい

実際に志望校へ出願するのは、一般受験なら高校3年生の冬です。推薦型の受験でも夏から秋頃になるので、高校入学時からすれば時間はたっぷりあるように感じます。しかし、できれば高校2年生の冬くらいまでには、ある程度志望校を決めておきたいところです。

文系・理系、国立・私立など進路志望によって、クラスが分かれる高校もあります。志望校までは決まらなくても、文理どちらにするか、地元校にするか県外の大学に進学するかなど、方向性だけでも決めておくと良いでしょう。それによって、受験勉強への取り組み方も変わってきます。

志望大学、学部で試験科目が変わる

受験科目や試験内容は、大学によって異なります。志望大学、学部が決まっていれば、その入試科目に合わせて勉強を進められます。
軸となる志望校が決まれば、併願校は同じ入試科目で受験できるところにするという選び方もできます。

将来を左右する志望校は、よく考える必要があるのは確かですが、受験対策という点では早く決めたほうが有利です。

では、”絶対にここに入る!“と思える大学、学部がなかなか見つからない、決められないという人は、具体的にどのように考えていけば良いでしょうか?

大学の選び方、決め方 最初に考えておくこと

大学を選ぶときに、まず考えるべきは「自分が何をやりたいか」です。

将来就きたい職業があれば、それにつながる大学・学部を選ぶべきです。
将来のことはまだ考えられないけど、興味のある分野がある人は、学びたいテーマに関わる学部を選ぶのも良いでしょう。特定の知識を深く、専門的に学べることが大学の魅力です。例えば震災などを経て、日常生活の危機管理に興味を持った人なら、それを専門で学べる学部もあります。趣味で漫画を読む人も多くいると思います。マンガ学部のある大学もあります。このように自分の興味の対象によっては、特定の大学でしか学べない場合もあります。
また大学の4年間は、勉強以外にも力を入れられる貴重な期間です。部活動やサークルなど、勉強以外の活動で大学を選ぶ人もいます。こういった、広い視点で大学を決めるのもアリです。

志望大学の選び方7選

ここからは、志望大学の選び方についていくつかの具体例をご紹介します。人によって選び方は違うので、自分が納得のいく選び方をすることが大切です。また一つの方法にこだわらず、様々な観点から検討してみることも大切です。

1)勉強したい学部があるところから選ぶ

先に述べたように、勉強したい内容が決まっていれば、その勉強ができる学部、その学部のある大学を選びます。たとえば、宇宙開発に興味があるなら、関連する学問は宇宙工学です。宇宙工学を学べる大学はある程度限られるので、おのずと志望校も絞られます。

また同じ学部でも、大学ごとに学ぶ内容には違いがあります。医学部は、どの大学でも医師免許の取得を目指すという点では同じですが、大学によって得意分野やカリキュラムが異なります

また、専門分野の第一人者とされる教授から、直接学べるチャンスがあるのも大学の魅力です。「この人に教わりたい」と思える教授のいる大学を選ぶのも良いでしょう。

2)合格難易度で選ぶ

自分の学力レベルに見合った大学を選ぶ、これは高校進学の時に経験した人も多いのではないでしょうか?

自身の模試などの成績と、大学の合格難易度を突き合せて検討する。現実的な選び方とも言えます。

行きたい大学に今の自分の学力が届かないからといって、必ずしもあきらめる必要はありません。もちろん合格率は上げたいところですが、目標が高いほど成績が伸びるという人もいます。
あとどれくらい頑張れば良いかの目安という観点で、行きたいと思える大学を選びましょう。

2-1)浪人生の志望校選択 上げる?下げる?

学力の観点から選ぶとき、浪人生の志望校選択は、どのようにすれば良いのでしょうか? 現役で不合格だった大学に再度チャレンジするか、目標を上げるか、下げるかは迷うところです。不合格だった大学に合格するためにも、「今度はもう一段階上を目指して勉強する」いうのも1つの方法でしょう。

浪人生は、一通りの受験勉強を終えているので、4月から夏くらいにかけては、現役生よりも一歩先にいる状態です。そのころは成績も良くなったように感じるかもしれませんが、夏を終えて現役生が追いついてきたときに焦りを感じるのもよくあることです。現役生との距離感に一喜一憂することなく、自分のペースで合格に向かって勉強を続けていきましょう。

3)有名大学に入りたい? 4大学、6大学ってどこのこと?

受験勉強を頑張って進学するのであれば、誰もが知っている有名大学に入学したいというのもひとつの考え方です。在学中はもちろん、社会に出てから出身大学の話題になった時、有名大学だと周りと話が通じやすくなるというメリットもあります。
有名大学は「旧帝大」、「早慶」、「関関同立」など、グルーピングで称されることもあります。
たとえば「4大学」や「6大学」はご存知ですか?

名称(通称)大学名
旧帝大(七帝大)北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州
早慶早稲田、慶應義塾
GMARCH学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政
日東駒専日本、東洋、駒澤、専修
東京四大学学習院、成蹊、成城、武蔵
東京6大学(東京六野球連盟)早稲田、慶應義塾、法政、明治、東京、立教
関関同立関西、関西学院、同志社、立命館
産近甲龍京都産業、近畿、甲南、龍谷

ただし、同じグループでも大学ごとに文化や校風(カラー)は異なりますし、当然ではありますが、学校の規模や、設置されている学部・学科、キャンパスの所在地なども異なります。知名度やイメージ先行での志望校選びも間違いではありませんが、それだけではなく、実際にオープンキャンパスに足を運んで自分の目で見て選ぶことも時に大切です。

4)取得できる資格、就職実績で選ぶ

大学で勉強することで、取得できる資格は色々あります。教育学部以外でも、取得する単位次第では、その学部に該当する中・高の教員免許が取れる大学は多くあり、空き時間を使ってTOEICや行政書士、ITパスポートなどの資格を取る学生もいます。
卒業後の就職や社会人生活に役立つ大学・学部であるかという視点で選ぶ方法もあります。

医師や小学校の教諭など、将来希望する仕事に資格が必要な場合は、その資格が取れることが大学や学部選びのポイントになります。また、弁護士になりたいなら、法学部にいくのが一般的ですが、司法試験に受かれば法学部でなくてもなれます。税理士も、必ずしも経済学部を出ているわけではありません。このように、必ずその学部を出ていないと取れない資格と、そうとは限らない資格もあるので、よく調べておきましょう。

大学の就職実績を調べて、自分が希望する業界に強い大学を選ぶ方法もあります。その場合は、ツテのありそうな教授のゼミに入るなどして、就職活動の前から意識的に選択することが大切です。

5)受験、試験の仕組みを元に選ぶ

大学受験の出願校を想定しながら志望校を絞り込んでいくという方法もあります。
大学によって、受験日や受験科目は異なります。第一志望の受験日から考えて、第二志望以下は日程的に無理なく受けられる大学を選ぶ方法もあります。受験シーズンになると、かなり過密な日程で受験日が続くこともあるので、その点も意識しましょう。

また、受験科目も重要です。苦手科目が受験科目に含まれるかどうかで、合格する確率も違ってきます。逆にどの科目も同じように点が取れる人なら、受験科目が多いほうが有利かもしれません。自分の得意・苦手な科目と、受験科目の兼ね合いも考えて、志望校を選ぶという方法もあります。

6)サークル活動 クラブ活動で選ぶ

大学では、授業だけでなく、サークル活動やクラブ活動も行われています。遠方から進学する人も多い大学では、授業以外のところで人間関係を築くことも大切になります。大学時代にいろいろな経験の1つとして、勉強以外に力を入れるのも良いことです。やりたいサークル活動やクラブ活動があるなら、それができる大学を選ぶのも良いでしょう。また大学では、インカレサークル(他大学の学生と交流できるサークル)もあります。活発に活動しているサークルなどを見てみるのも、大学の雰囲気がわかり、来年そこで活躍する自分をイメージしやすいかもしれません。

7)最後に、オープンキャンパスに行って決める

多くの大学では、志望者が実際に構内へ入って、学内の雰囲気を体感したり、説明を受けたりできるオープンキャンパスを開催しています。
1~6の方法で行きたいと思える大学の目星をつけたら、オープンキャンパスに参加しましょう。
大学によっては、いつでも出入り自由なところもありますが、オープンキャンパスの開催日にいくと、案内がスムーズに受けられたり、グッズがもらえたりと、メリットも多いです。実際に大学を訪れることで「ここに通いたい」という気持ちが高まり、受験勉強のモチベーションにもつながります。

学費だけじゃない、かかる費用も考える

志望校を決めるときに、欠かせないのが、かかる費用についての認識です。

大学は、授業料や入学金など、大学に納付する費用だけでもかなりの金額になります。
大学4年間にかかる費用は、国公立大学でも約240万円。私立大学になると、400万円から600万円程度です。さらに、私立の医学部や歯学部になると、6年間で3000万円ものお金が必要になります。授業料は大学によって異なり、公式サイトなどに公開されているので確認しておくと良いでしょう。

家から遠い大学になると交通費も高くなり、一人暮らしをして通うなら家賃や生活費もかかります。アルバイトである程度まかなうとしても、ほとんどの学生が親から何らかの援助を受けているのが実状です。
生活費などの援助は、各家庭の経済状況や進学する地域によって異なりますが、授業料とは別に4年間で数百万円の費用がかかることもあります。

18歳で成人となる現在だからこそ、大学や生活にかかるお金など、現実的なことも親まかせではなく自分できちんと考えるようにしたいところです。奨学金を使う方法もあるので、お金の面も親ときちんと話をして進学を考えましょう。

第一志望が決まったら 併願校、滑り止め大学の選び方

第一志望が決まったら、第一志望以外の併願校を選びましょう。どうやって選ぶと良いでしょうか?

同じ試験科目で受けられるところを選ぶ

受験対策という点では、受験科目に注目して併願校を決めるのがおすすめです。第一志望と同じ試験科目で受けられれば、効率よく受験勉強ができます。もちろん、過去問は併願校のものも解いておくべきですが、試験科目が同じであれば、対策にかける時間はかなり短縮できるでしょう。

偏差値レベルで、目標とするところ、安全圏も受けておく

また模試などで、希望する大学の合格率も判定してくれるので、そうして得られたデータを参考にして合格安全圏にある大学を選ぶのも良い方法です。

第一志望の受験前にリハーサルのつもりで受験し、スケジュールが合えば、第一志望の受験前に合格通知を手にしておければ、第一志望の入試に安心感を持って臨めます。

ここを失敗したら、どこも行くところがない、といった背水の陣のほうが力を出せるという人もいるかもしれませんが、合格した大学があるという達成感、安心感があるほうが、リラックスして実力を出せる人も多いです。

模試で書く志望校は、どう選ぶ?

今までは、実際の志望校の選び方について説明してきました。ここでは、模擬試験で記入する、志望校の選び方について、解説します。
模試を受けると、その結果の点数や偏差値だけでなく、事前に記入した志望校や志望学部ごとの合格可能性判定が出ます。この判定は、受験生にとっては、現時点での志望校合格への到達度を測る重要な目安になります。

軸になる志望校を決める

模試で判定を受けるときに、軸となるのはやはり第一志望の大学です。模試は現時点での学力と志望校との距離を測るためのものであり、判定は数校受けられるので「ここはちょっと難しいかな」と思っても「一番行きたい大学」を記入するといいでしょう。最初はD判定やE判定でも、少しずつ判定が上がることが、勉強のモチベーションにもなります。

偏差値群ごとの志望校を書く

模試では必ず、第一志望以外にも複数の大学を記入しておきましょう。第一志望と同じレベルの大学ではなく、偏差値群の違う志望校を書くのがおすすめです。第一志望の大学から偏差値を5落とした大学と、10落とした大学、というイメージです。そうして判定を受けることで、現状で受かりそうな大学がどのくらいのレベルかという、自分の現在位置が見えてきます。

第一志望と同程度のレベルで、どちらにするか迷っている大学がある場合は、基本的には第一志望の判定で判断できます。ただし、受験科目が違うときは、両方の大学を書いて判断するのも手です。

自分で選ぶ、決めることが何より大切

長い受験勉強の日々を頑張るための力になるのは、「この大学に行きたい」という気持ちです。親に勧められたから、友だちに誘われたからという理由で頑張り続けるのは難しいでしょう。
大学入試についてよく調べ、しっかりと自分の頭で考えて決めましょう。

以下の記事も参考にしてみてください。

大学入試の基礎知識

それでも、数ある大学の中で、自分が本当に行きたいところを見つけるのは簡単ではありません。
駿台には大学や入試、受験生についての蓄積した情報があり、進路に迷う生徒の相談にも乗っています。受験勉強のサポートだけでなく、全国の大学を知る予備校だからこそできるアドバイスもあるので、ぜひご相談ください。

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