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国公立大学の学費は安い?私立大学との比較や学部での違い

監修者:駿台予備学校 教務課

国公立大学の学費は、私立大学と比べて安いといわれています。しかし、国公立・私立の違いだけではなく、学部・学科によっても大学進学にかかる費用は大きく変わってきます。この記事では、大学卒業までに総額でいくらかかるのか、国公立大学と私立大学との差を学部ごとに比較していきます。

目次

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国立大学の学費は国で決められている

国立大学 学費推移

学費のなかで、その多くを占めるのが授業料と入学料です。
国公立大学の授業料・入学料は、文部科学省が定める標準額に基づいて、各大学が決定しています。
授業料は平成17年から、入学料は平成14年から令和4年現在に至るまで標準額は変わっていません。
参照:文部科学省:「国公私立大学の授業料等の推移
文部科学省 「平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について

国立大学で4年間にかかる学費は?

令和4年度入学生を例に挙げて、国立大学で4年間にかかる具体的な学費を見ていきましょう。

<国立大学(標準額)>

入学料:28万2000円
1年間の授業料:53万5800円
4年間の総額(諸経費含む):242万5000円

<東京工業大>

入学料:28万2000円
1年間の授業料:53万5800円
4年間の総額(諸経費含む):282万4000円

文部科学省による「国立大学と私立大学の授業料等の推移」によると、国公立大学の授業料の標準額は数年ごとに値上げされてきました。しかし、各国立大学が平成17年に法人化したことで、以降は同額となっています。ただし、今後も一定額のままとは断定できません。

公立大学で4年間にかかる学費一覧

公立大学では、大学ごとに入学料、授業料に違いがあります。また地域出身者か地域外出身者かによって入学金が異なるケースが多くあります。東京都立大学を例に、4年間にかかる具体的な学費を見ていきましょう。

<東京都立大学(地域内)>

入学料:14万1000円
1年間の授業料:52万800円
4年間の総額:222万4200円
※地域内=東京都の住民

<東京都立大学(地域外)>

入学料:28万2000円
1年間の授業料:52万800円
4年間の総額:236万5200円

また、公立大学の初年度納付金(入学金・授業料・施設設備費)の地域内外による差は、16万2700円程度という調査結果(文部科学省調べ)も出ています。都立大の場合は国立大学に比べると安くなっていますが、授業料や入学料が高い大学もあります。
参照:文部科学省:「2023年度学生納付金調査結果
参照:東京都立大学 「学費・減免制度・奨学金制度等

医学部、大学院に進学した場合の6年間の総額は?

医学部や大学院に進学したら、6年間の学費の総額はいくらになるのでしょうか。国立、公立に分けて紹介します。

医学部の場合も、国立大学では他学部と入学金28万2000円と、授業料53万5800円、の標準額は変わりません。(※千葉大学医学部、東京医科歯科大学:2020年度入学から授業料は642,960円)
単純計算で4年分の学費に授業料が2年分プラスされることになります。
したがって、国立大学では、6年間の学費の総額は349万6800円~413万9760円、公立大学は大学によって、また出身地域内外によっても変わります。

また、大学院に進学すると、初年度に改めて入学金がかかります。標準入学料を加味すると、国立大学で大学院に進学した場合の6年間の学費の総額は377万8600円。
公立大学で大学院に進学した場合は先述の東京都立大の例で言うと340万6800円~454万2000円となるでしょう。

<東京都立大学から大学院(地域内)>

入学料:14万1000円
大学院入学料:14万1000円
1年間の授業料:52万800円(※法科大学院は66万3000円)
6年間の総額:340万6800円(※法科大学院は426万円)

<東京都立大学から大学院(地域外)>

入学料:28万2000円
大学院入学料:28万2000円)
1年間の授業料:52万800円(※法科大学院は66万3000円)
6年間の総額:368万8800円(※法科大学院は454万2000円)

参照:東京都立大学「学費・減免制度・奨学金制度等

私立大学の学費を比較、学部による違い

※画像タップで拡大します。

大学4年間の学費比較(法学部)
※各大学ホームページ掲載の2022年度入学生の授業料、諸経費等をもとに作成。
※2年次以降の授業料、諸経費等が未掲載の大学は、1年次の金額で2〜4年次を算出。
大学4年間の学費比較(理工学部)
※各大学ホームページ掲載の2022年度入学生の授業料、諸経費等をもとに作成。
※2年次以降の授業料、諸経費等が未掲載の大学は、1年次の金額で2〜4年次を算出。

私立大学の入学料や授業料には、国公立大学のような標準額が設けられていません。それぞれの大学が独自で料金を設定するため、大学によって学費の総額が大きく違ってきます。

文部科学省によると、令和元年入学者における私立大学の初年度学生納付金(授業料、入学料、施設設備費の合計)の平均額は以下となっています。

<私立大学の初年度学生納付金平均額(令和元年度)>

入学料:24万8813円
授業料:91万1716円
施設設備費:18万194円
合計:134万723円

ただし、同じ大学でも学科・学部によって学費は大きく変わります。
参照:文部科学省 「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

文系学部の場合

※画像タップで拡大します。

受驗~入学にかかる費用
大学4年間の学費比較
※各年次合計は授業料+諸経費等。私立大学は文部科学省「令和3年度学生納付金平均額調査結果」より初年度平均値を2〜4年次に適用して算出。
※私立大学医学部・歯学部の場合、6年間で平均3,000万円程度。

私立大学文系学部の初年度納付金は、平均118万9000円ほどです。また、大学4年間の学費の総額は、平均407万9000円となっています。

理系学部の場合

私立大学理系学部の初年度納付金は、平均156万6300円ほどです。大学4年間の学費の総額は平均551万2000円で、文系学部に進学するよりも140万円ほど高くなっています。また、理系学部の方が文系学部よりも大学院まで進学するケースが多く、卒業までの学費総額が高くなる傾向にあります。

医学・歯学・薬学部の場合

私立大学医学部、歯学部、薬学部の場合、文系・理系学部よりもさらに学費は高額となり、初年度納付金は平均489万600円ほど。大学6年間の学費の総額は、平均で3000万円程度になります。

大学生活には、学費以外にもかかる費用がある

大学に通うためには、授業料などの学費以外にも、生活費や交通費も必要になります。また、留学を考えているなら、別途、費用がかかることも念頭に置きましょう。

交通費や生活費

日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、大学生(昼間部)の1ヶ月の生活費は平均約5万6000円となっています。この生活費とは、食費、住居・光熱費、保健衛生費、娯楽・嗜好費などを指しています。ただし、全国の学生を対象としているうえ、自宅・学生寮・賃貸を含めた平均額なので、家賃の高い都市部で下宿をするなら、さらに費用がかかると考えたほうがいいでしょう。
参照:日本学生支援機構(JASSO)「令和4年度学生生活調査結果 大学昼間部」 

教材費やゼミでの研究費用

また学費には授業料以外にも、教材費やゼミの研究費用なども含まれます。どれくらいの額になるかは、専攻する学問や学科によっても変わってきます。

留学した場合の費用

グローバル系学部では、大学滞在中の海外留学がカリキュラムに組み込まれているところもあります。また、国際教育大学や千葉大学では、原則としてすべての学部生と大学院生に、在学中の海外留学を課しています。

海外留学が必修になっている大学に進学するなら、留学費用を別途、用意しなければいけません。しかし、授業料の一部免除や留学準備金の補助など、支援制度が用意されている大学もあります。費用の工面であせらないよう、事前に確認しておきましょう。

単純な学費だけでは比較できない

経済面などの理由から「なるべく学費のかからない大学を選びたい」と考える方も多いでしょう。しかし、単純に学費を比較しただけでは、総額でどちらが安く済むのかは見えてきません。

医学部はやはり国公立大学のほうが費用は安い

医学部を目指すなら、やはり国公立大学のほうが費用を抑えられます。先述したとおり、6年間にかかる学費の総額は、国立大学の医学部だと349万6600円ですが、私立大学は3000万円以上かかるところもあり、10倍近い学費の差があります。

このような理由から、医学部は国立大学の方が人気で、倍率も高くなる傾向にあります。狭き門ですが、一浪して予備校や塾に通いつつ国立大学を目指す方が、トータルの費用が安くなる可能性は十分にあります。

遠くの国立大学より近くの私立大学?

先ほど国立大学と私立大学の学費の差を紹介しましたが、下宿をして国立大学に通うのと、実家から私立大学に通うのとでは、実はトータルで必要になるお金はそう変わらないケースもあります。学費だけを比較しても、トータルで一番安くなるとは限らないのです。

学費免除と奨学金制度

志望大学を決めるうえで、学費は大きな判断材料の1つです。もし、家庭の経済状況が理由で、目指したい大学への進学が困難なときは、さまざまな支援制度の利用も検討しましょう。

国の高等教育の修学支援新制度

日本政府は、令和2年4月から「高等教育の修学支援新制度」をスタートしました。これは、世帯収入の基準を満たし、なおかつ「学ぶ意欲」が認められた場合に受けられる制度です。支援額には3段階の基準があり、世帯収入に応じて変わります。対象者は授業料および入学金が免除・減額されます。給付型なので、返済の必要はありません。

支援の対象となる大学は、文部科学省の公式サイトで検索できます。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、大きく分けて給付型と貸与型の2種類があります。

「給付奨学金」は、文字どおり返済不要の奨学金です。世帯収入の基準を満たし、なおかつ「学ぶ意欲」が認められた場合に受けられます。免除・減額の対象となるのは、授業料、入学金です。

「貸与奨学金」は、返済が必要な奨学金です。利子の付かない「第一種奨学金」、利子の付く「第二種奨学金」に分けられます。

また、海外留学向けに返済不要の給付奨学金も用意されています。
参照:日本学生支援機構(JASSO) 「奨学金

大学独自の奨学金制度

大学によっては、独自の奨学金制度を設けているところもあります。給付型や貸与型といった種類や、入学料や授業料など免除の範囲、制度を受けるための条件は、大学ごとに異なります。この仕組みは、「特待生制度」と呼ばれることもあります。

企業による奨学金制度

貸与型の奨学金制度を利用した学生が社会人になってから、各企業が社員の奨学金を代理で返還する制度があります。「企業の奨学金返還支援(代理返還)制度」では、日本学生支援機構(JASSO)が学生に奨学金を貸し与え、返済額の一部または全額を企業が支援します。

支援を行っている企業(掲載を許可した企業のみ)は、以下のページで確認できます。
参照:日本学生支援機構(JASSO)「企業による奨学金返還支援制度

大切なのは「学びたい学問がそこにあるか」

大学を選ぶうえで一番大切なのは、「自分が学びたいと思える学問がそこにあるか」です。

一度社会に出てしまうと、学問に費やせる時間は限られます。大学生活は、学問に専念できる最後の貴重な期間です。資金面では支援制度が複数用意されています。学力面においても、駿台予備学校はみなさんをサポートする環境を整えています。望まない大学に進学し、中途退学や編入を考えるよりも、自分が真に望む大学を目指しましょう。

入学にあたって志望校や状況などもご相談いただければアドバイス可能です。

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