2021年度入試展望と大学入学共通テストについて

新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として実施された学校一斉休校により、全国的に夏期休暇の縮小が行われたため、例年とは違った夏を過ごしたことと思います。また、全国的に新型コロナウイルス感染症拡大の第2波が見られ、さらに東北から九州に掛けての地域では、例年にない酷暑が襲い、健康維持には非常に厳しい環境の夏でした。

9月になっても残暑やコロナ禍は続くために、例年以上に、身体へのダメージに対するケアを意識してください。また、今年度は早くからインフルエンザの予防接種も始まるようですが、感染症は新型コロナウイルスだけではないので、しっかりとした対策を心がけることが大切です。

さて、9月は受験生には「2021年度大学入学共通テスト受験案内」が配布され、出願の準備を始めなくてはならない時期です。あらためて入試本番を意識する人も多いことでしょう。今回は、2021年度入試展望と大学入学共通テストについてお知らせします。

2021年度入試はどうなる?

この春の2020年度入試の大きな特徴は、国公立大でも私立大でも一般選抜の志願者数が減少したことでした。特に、私立大では14年ぶりの減少でした。2019年度入試での弱気な出願動向、いわゆる「安全志向」により、難易度レベルを下げて大学に進学した受験生が多く、これにより既卒受験生が減少していました。これに加えて、2021年度入試より予定されていた大規模な大学入試改革への不安からAO・推薦入試といった特別選抜を利用して、大学進学を決定した受験生が多かったことが大きな減少要因といえます。

2021年度入試は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、大学入試センター試験に代わって導入される大学入学共通テストの初年度ということで、これまでとは違った入試を迎えることになります。新型コロナウイルス感染症の影響で観光業や運輸業、飲食店や娯楽施設などのサービス業は大きなダメージを受けています。また、医療従事者を取り巻く厳しい環境も大きな社会問題になっています。一方で、日本では遅れていたICT関連の技術や通信インフラの整備などが注目されるようになりました。

このような社会情勢の中で、今後の「Withコロナ」と呼ばれる新しい時代に向かって実施される2021年度入試では、一般的には理・工系への人気が高まるのに対し、文系の人気が低くなることが予想されます。また、メディカル系は医学部医学科の入学定員がほとんど減少しないことから、間口が広く、競争が緩い状態が続きます。その影響から、歯学系、薬学系への志望変更も起きにくく、系統全体としては狙い目だといえます。

メディカル系の中でも、看護を中心とする保健衛生系は医療従事者を取り巻く環境の厳しさの影響を最も受ける系統なので、都市部では志望者数の減少も考えられますが、地域経済が厳しい地方では地元での就職を考えると、有力な進路であり、地元公立大保健衛生系学部は一般的に個別試験での教科試験の負担が小さいことから、志望者数は大きく減らないと思われます。

以上のような動向が予想されますが、今の高校生が大学を卒業して、社会に出るのは早くても4~6年後です。その頃には新型コロナウイルス感染症も収束して、現在とは社会状況が大きく様変わりしていると思われます。単純に現在の社会状況から、「この系統が将来有利かな?」と考えての進路決定は、決して得策とはいえません。まずは、「自分の好きなこと、やりたいこと」を基準にしっかりと考えて、悔いのない志望校を決定してください。

また、例年のように8月までに高校内や公開会場で模試の受験ができなかったことで、現時点での志望校の合格可能性が把握できないと困っている高3生も多いことでしょう。本格的に高校が再開したのが、早い地域で6月中旬ですから、今の学力は例年ならば6月下旬ころの学力に相当します。例年でも6月以前に受験した模試の判定はあくまでも参考値にすぎません。

このような状況を念頭に置くと、9月以降に受験する模試で十分に志望校への合格可能性の把握は大丈夫です。不安に負けて、安易に志望校をダウンすることなく、「自分の夢を実現できる大学」がどこなのかを前向きにチェックし、先に述べた自分の決めた「自分の好きなこと、やりたいこと」を実現できる「第一志望大学」を決めて、ぶれることなく学習を進めていきましょう。

大学入学共通テストについて

9月に入ると高校で「大学入学共通テスト受験案内」が配布されます。現役生は高校の先生がまとめて大学入試センターに出願するため、先生の指示に従って出願の準備を進めてください。下記に出願から出願後の注意点をまとめてみます。

はじめに

いきなり志願票の原本に書き込まず、コピーを取って下書きをしましょう。下書きをよくチェックして、誤りがないことを確認出来たら、下書きを志願票に書き写しましょう。

出願期間

大学入試センターへの出願期間は2020年9月28日(月)から10月8日(木)(消印有効)ですが、現役生は高校で一括して出願するので、高校の先生からの指示に従ってください。また、既卒生など現役生以外は、個人での出願となりますので、受験案内のP.13を参照して出願してください。

確認はがき

出願書類を受理した通知である「確認はがき」が10月27日(火)までに届くように現役生(通信制課程を除く)は在学している学校に、既卒生は自宅に送付されます。「確認はがき」を受け取ったら、保管してある志願票のコピーと照らし合わせて、出願時の登録内容と確認はがきの表示内容に誤りがないかをよく確認してください。詳細は、受験案内のP.28を参照してください。

登録内容の訂正方法

「確認はがき」の表示に誤りがある場合、受験教科等をやむを得ず訂正する場合は、11月4日(水)(消印有効)までに、「住所等変更・訂正届」、「登録教科等訂正届」を、高校を経由して出願した現役生は在学している高校を通じて、既卒生等は個人で、それぞれ大学入試センターに郵送してください。

第1日程と第2日程の選択

現役生の皆さんは、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として行われた、学校一斉休校による学業の遅れへの対策として、大学入学共通テストの受験日程を第1日程(1月16日・17日実施)、第2日程(1月30日・31日)の2つから選択できます。どちらの日程を登録するかは学校の先生が作成する書類で申請することになっていますから、先生の指示に従って日程を決定してください。なお、あとで日程の変更はできないので、注意してください。

英語(リスニング)について

大学入学共通テストの英語(リスニング)では聞き取る英語の音声を2回流す問題と、1回流す問題がありますが、2021年度入試では第1問・第2問が2回流す問題。第3問~第6問が1回流す問題と公表されました。3分の2が1回流す問題ということで、この新しい形式にうまく対応できるかが高得点獲得のポイントとなります。

マークシートの解答上の注意

受験番号のマーク漏れ、マーク違いなどで大学入試センターに救済されている受験生が毎年相当数いることをご存知でしょうか。だからと言って安心してはいけません。受験番号と違い、選択科目のマークミスについての救済措置は行われません。最悪の場合、必要な教科・科目を未受験として、2次出願後に「出願資格なし」とされてしまいます。全ての項目でマークミスをしないよう、秋から冬にかけて実施される共通テスト対策模試で、マークシートに慣れていくことも重要な対策になります。

特に、最近の受験生は筆圧が弱く、薄いマークが目立ちます。模試では受験生の学力測定という観点から、マークリーダーは薄いマークでも読み取るような設定になっている場合もありますが、共通テスト本番ではマークが薄いと正解でも得点にならない場合があることを肝に銘じて、日頃からしっかりとマークすることを心がけてください。

今年は、冬期休暇も短縮される高校が多いようです。いろいろな学校行事も中止や縮小され、本来ならばもっと楽しめた高校生活に支障が起きています。このような厳しい環境は全国の受験生が同じ条件です。入試まで休みなしの長丁場になりますが、うまく気分転換も行いながら、着実に前進していきましょう。皆さんの頑張りを心より支援していきたく思っていますので、がんばってください。

(2020年9月1日掲載)