大学入学共通テスト出願状況と模試動向

残暑から一転、秋らしい気候になってきました。北海道や東北では初雪の便りも届きつつあります。読書・スポーツ・食欲など、さまざまな形容詞が付く「秋」。受験に向けて勉学に励むのにも良い季節になってきましたが、新型コロナウイルスだけではなく、インフルエンザ流行の兆しが見える時期です。季節の変わり目の体調管理に十分注意してください。

さて、今回はまず2021年度大学入学共通テストの出願状況をお知らせします。

大学入学共通テスト出願状況

さる10月15日に発表された10/14現在の出願状況は、前年度の確定出願者数と比べ22,455人(約4.0%)減少しています。また、2021年度入試における特別な措置として注目された「第2日程(1/30・1/31)」出願者数は789人で、出願者数の約0.1%に留まりました。

◎大学入学共通テスト志願者数

出願状況
2021年度
(10/14現在)
2020年度
(確定)
増減数
志願者数 535,244人 557,699人  -22,455人
高等学校等卒業見込者 449,789人 452,235人  -2,446人
高校卒業者等 85,455人 105,464人  -20,009人

第1回駿台・ベネッセ大学入学共通テスト模試 系統別志望動向

2学期に入り学校生活も徐々に元の形を取り戻していく中で、今年度初めてと言える大規模な模試が実施されました。下記の系統別志望動向グラフは、国公立大については各日程で第一志望とした大学の集計、私立大は総志望(志望順位に関係なく志望している大学すべて)の集計をもとに、系統ごとの志望者数の増減を、前年度を100とした場合の2か年対比の志望者指数で示したものです。なお、文中の( )内の数値は前年度対比の志望者指数を表しています。

◎国公立大学

表1

国公立大全体の志望者数は前年度対比指数94のやや減少でした。文系の系統では、外国語(91)、人文科学(92)が減少、法(93)、経済・経営・商(93)、国際関係(95)、社会(96)はやや減少でした。コロナ禍による影響を最も強く受けると思われる国際関係ですが、前年度の模試での減少率が大きかったことに加えて、募集人員が少ない系統で、コアな志望者が存在することから減少率は比較的小規模でした。

文理いずれからも志望者がいる系統では、生活科学(93)、教員養成・教育(94)は国公立大全体とほぼ同じ減少率でした。スポーツ・健康(86)は15%近い減少で、オリンピック・パラリンピック後のこの系統への人気低下の兆候が見られました。一方で、総合科学(101)は模試では前年度に引き続き増加しましたが、工の専攻別で見ると総合情報学(120)、いわゆる「データサイエンス」を取り扱う学部・学科等が含まれており、この分野への高い人気がうかがえます。

メディカル系の系統では、保健衛生(93)、歯(94)はやや減少で、メディカル系への人気の低さが継続していますが、医(100)、薬(101)はほぼ前年度並で、前年度の模試での約10%減少と比較すると、人気の回復が見られます。医は低学年から志望を強く固めている受験生が多いこと、コロナ禍により医療が注目される環境となったこと、コロナ禍により8月までは例年のように模試を受験できなかったことなどが影響していると考えられます。また、薬は難関大での志望者数増加が見られ、新型コロナウイルスに対するワクチンや治療薬の開発への関心の高まりが影響しています。

理系の系統では、理(95)、工(94)のやや減少、農・水産(92)の減少といずれも国公立大全体と同じかそれを上回る減少率となっています。センター試験から共通テストへの移行に伴い、「より高い読解力」が要求される試験形式への変更が理系受験生から敬遠されている影響も見られます。特に、農・水産の人気回復傾向は見られません。なお、工の専攻別を見ると情報工学(100)は前年度模試での(103)に引き続き人気を維持しており、情報系への関心の高さが見て取れます。

◎私立大学

表2

私立大全体の志望者指数は96のやや減少で、国公立大全体よりも減少率は小さくなりました。文系の系統では、外国語(93)、人文科学(94)、法(94)、社会(94)、経済・経営・商(96)、国際関係(96)と6系統いずれもやや減少で、私立大全体の減少率とほぼ同じかそれを上回りました。国公立大と同様に国際関係はコロナ禍による影響を最も強く受けると思われましたが、前年度の模試での減少率が大きかったことに加えて、募集人員が少ない系統で、コアな志望者が存在することから減少率は私立大全体と同じ減少率に留まりました。

文理いずれからも志望者がいる系統では、教員養成・教育(95)は私立大全体を上回る減少率で、教育を取り巻く環境が、コロナ禍でさらに厳しさを増した影響が見られます。スポーツ・健康(93)は国公立大よりは減少率は小さくなりましたが、オリンピック・パラリンピック後のこの系統への人気低下の兆候が見られました。一方で、総合科学(98)は微減に留まり、国公立大でも触れた「データサイエンス」を取り扱う学部・学科等が含まれていることによる人気の高まりがうかがえます。芸術(104)は模試では連続増加で、専攻別を見ると美術デザイン(106)、映像(105)など中堅大学を中心に学科新設なども行われているいわゆる映像クリエーター系の分野への人気の高まりが見られます。コロナ禍によるオンライン授業やリモートワークなどの需要が高まり、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)など特殊な映像技術がエンターテインメント以外の活用が広まる中で、今後の動向に注目したい分野です。

メディカル系の系統では、保健衛生(101)が模試では前年度のやや増加に続き微増となっています。国公立大ではやや減少したこの系統ですが、私立大では引き続き新設が続いていることに加えて、共通テストを敬遠した層が私立大に志望を集中させていることもうかがえます。一方で、国公立大では前年度並だった医(95)はやや減少しています。医学部志望者全体が9月時点では強気な志望を維持していることの影響が大きく、秋以降、模試を重ねていくことで現実的な志望に変化していく可能性が高く、今後の動向に注目したい系統です。歯(96)は私立大全体の減少率とほぼ同じ、薬(99)は前年度並で、前年度模試での減少の反動は見られません。

理系の系統では、理(95)、工(96)といずれもやや減少で、私立大全体と同じかそれをやや上回る減少率となっています。なお、工の専攻別を見ると情報工学(104)がやや増加で高い人気となっており、国公立大同様に情報系への関心の高さが見られます。一方で、国公立大と同様に農・水産(89)は10%以上の減少で人気回復傾向が見られません。

模試の志望校判定に一喜一憂しない!

今年度は、今まで模試の受験機会が限られてきたことと思います。例年、この時期の模試では多くの受験生の志望大学が固まってくるので、合格判定に一喜一憂すると思いますが、今年度はまだまだ志望動向は流動的です。したがって、表面的な得点、偏差値、合否判定を確認するだけで終わらせないことが大切です。

マーク式模試では、設問ごとの正答率を確認して、受験生全体の平均点が高い問題、あるいは正答率が高いのに得点できなかった問題をチェックし、なぜできなかったかを分析して、その対策を講じていく必要があります。つまり、模試を受けた後にどれだけ自分の弱点補強ができたかで模試受験の価値が決まります。不明点や誤答部分は、「本番前に発見できて良かった」と考えましょう。

この時期は思うように成績が伸びずに苦しんでいる人もいると思いますが、今年度は弱気にならずに、最後まで第一志望をめざして努力を続けることが特に大事だといえます。引き続き、強い気持ちをもって前進していきましょう。

(2020年10月30日掲載)