2019年度入試 国公立大志願状況(速報)

この冬、猛威を振るったインフルエンザもさすがに下火になり、地域によっては花粉症に悩まされる人が多くなる時期になりましたが、みなさんは大丈夫ですか。さて、2019年度入試も国公立大の前期試験が終わり、3月10日までには各大学から合格発表が行われます。私立大入試もあとは3月入試や後期入試を残すだけになり、いよいよ終盤戦です。4月から受験学年となる高2生は、第1志望校合格のために、学習時間をどれだけ多く取れるかが重要になります。これまでよりもいろいろと我慢が必要なことも多くなることを覚悟しましょう。

さて、今回は国公立大の2019年度入試志願状況についての分析を速報としてお知らせします。以下の文章での( )内の数値は前年度の志願者数を100とする指数を表しています。この数値が大きいほど増加率が大きく、競争が厳しくなったことを示し、反対に小さいほど減少率が大きく、競争が緩和したことを示します。なお、私立大の志願状況については、多くの志願状況がまとまる4月号以降でお知らせします。

 志願状況全体概況 ~一般選抜志願者数は8年ぶりに増加!~

文部科学省が2月20日に発表した2019年度国公立大一般選抜の確定志願状況によると、確定志願者数は469,836人で、前年度と比べて4,128人(101)の増加で、2011年度以来8年ぶりに増加しました。志願倍率は、募集人員が国公立大全体で121人減少したこともあり、4.63倍→4.68倍へ0.05ポイントとごくわずかですがアップしました。

表2 2019年度 大学入試センター試験

上のグラフは、2010年度から2019年度までの10年間の志願者数と志願倍率の推移を表したものです。センター試験の志願者数は、5,841人(99)減少の576,830人で4年ぶりに減少したのに対し、国公立大の志願者数は増加しました。これは、センター試験の900点満点の予想平均点アップで国公立大への出願をあきらめなかった受験生が多かったことが要因といえます。

 設置・日程別志願状況 

表2 2019年度 大学入試センター試験

※独自日程で入試を実施している国際教養大、新潟県立大は集計には含まない。

国立大は、前期は730人(100)減少しましたが、後期は678人(101)増加しました。この結果、国立大は8年連続減少となりました。なお、前期は難関国立10大学を除くと、541人(100)増加しました。センター試験の予想平均点アップ幅は、準難関大から地元大レベルを狙う受験生により大きかったことが影響しているといえます。

公立大は、前期が1,403人(102)、後期は694人(102)、中期は2,083人(107)といずれも増加し、公立大全体では4,180人(103)の増加で、4年連続増加となりました。前年度は独自日程で入試を実施した公立小松大、公立諏訪東京理科大が分離分割方式での実施となり、集計対象となったことが増加の最大要因ですが、この2大学を除いても、1,231人(101)の増加でした。公立大には、センター試験の予想平均点のアップ幅が大きい3教科型での出願が可能な大学も含まれていることから、これが追い風となったことも影響しました。

 志願者数が多い国公立大 

図1 2019年度大学入試センター試験科目別平均点 前年度との差

※志願者指数は前年度の志願者数を100とする指数

上の表は、大学全体の志願者数が、文部科学省発表の最終確定値で7,000人以上だった国公立大をまとめたものです。志願者数が7,000人以上だった大学は15大学で、前年度より1大学多くなりました。15大学のうち、第4位の東京大、第11位の大阪大はいずれも前期のみの募集です。第8位の京都大の後期は、特色入試として実施の法学部のみの募集です。また、第7位の大阪府立大は中期でも募集している大学です。

2019年度入試での志願者数が最も多かったのは、4年連続で千葉大でした。2010年度から10年連続で志願者数が1万人を上回りました。

第2位の北海道大は、2年連続増加し、5年ぶりに志願者数が1万人を上回りました。前期・後期とも増加しましたが、特に後期の増加が影響しました。

第3位の神戸大は、前期は2年ぶりに増加しましたが、後期が前年度増加の反動で減少したことで2年連続微減となりました。それでも2年連続で1万人近くの志願者数となりました。

大都市圏以外の大学では、第6位の富山大の志願者数が最も多く、3年連続で8,000人を上回ったのが目立ちました。

以上、2019年度入試の国公立大の志願状況をまとめました。大学別の詳細な分析や2020年度入試変更点などは駿台予備学校のホームページに掲載していますので、ぜひ参照してください。

さて、高1・2生の皆さんは新学年進級までわずかになりました。新学年になる前に、これまでの学習状況をしっかりと確認してみましょう。各科目でやり残したことはないか、各分野の理解度はどうか、などを客観的にチェックしてみてください。大学合格のためには、ただ学習時間を多くすればいいというわけではありません。まず何をやるべきかを明確にしておくことが大事です。

志望大学や学部・学科がまだ具体的に決まっていない、という方もいるかもしれません。目標がはっきりすると、学習面でやるべきことも見えてきます。そのためには、まず志望大学・学部・学科をしっかりと定めることが第一歩となります。その際には、志望校を現在の学力で確実に合格できそうな大学にするのではなく、現在の学力より1ランク上の大学を目標にすると、モチベーションもあがるはずです。

入試改革への漠然とした不安から、弱気志向・安易志向(安全ではない!)が強まっています。高1生が受験する2021年度から、センター試験に変わって実施される「大学入学共通テスト」では、国語の現代文、数学I、数学I・Aで記述式問題が出題されます。2018年11月に行われた試行調査を見ると、解答形式への慣れは必要ですが、大きな負担ではありません。また、出題教科・科目は現行のセンター試験と変化はなく、高校教科書の内容の変更もないので、今回はあくまでも「マイナーチェンジ」に過ぎないため、過度の心配はまったく不要です。今から弱気にならず、第1志望校へ絶対に合格するという決意を持って、今日から気持ちも新たに頑張っていきましょう。

(2019年3月1日掲載)