英語
Part 1 リーディング
1.センター試験→共通テスト
発音・アクセント問題,文法問題,整序作文問題等が消え,完全に「リーディング」に特化した試験になっている。単語が並ぶ発音・アクセント問題,単文が並ぶ文法問題が姿を消し,すべて読解問題になっているため,従来のセンター試験よりも分量は増加し,学生の負担も増している。
2.「読解力」から「PISA型読解力」へ
共通テストの土台となっていると思われるのがPISAと呼ばれる国際的な「生徒の学習到達度調査」である。(PISAについては、文科省のHP等で確認してほしい)
3.共通テストで出題される問題
PISAの趣旨を反映し、共通テストでは下記のような問題が出題されることになる。
- 「英文」のみならず,図表・地図等の「非連続型テキスト」が相当量出題される。
- 小説や評論・論説だけでなく,学校生活等身近な内容が出題される。
- 設問形式は「内容一致」以外にも「要約シート」完成などが考えられる。
- 二人の意見を比較する問題が出題される。
- 本文の内容を基に推測が必要となる問題も若干含まれる。
- 本文を「評価」する前提として、事実・意見を区別できるかを問う問題が含まれる。
Part 2 リスニング
1.センター試験→共通テスト
ほぼすべての設問で, 聞いた音声情報を何らかのイラスト等と関連づけたり, あるいは図表等を見ながら分類したりすることが求められており, 「純粋に,英文を聴いて理解ができたか測ること」に留まらない設問が多い。 筆記試験と同様,テーマは「身近な内容」が多く,ワークシートを完成させる問題,複数の意見を比較する問題,若干の推測を求められる問題も出題されている。
2.発音
「国際語としての英語」を意識してか,「アメリカ英語」に加え「イギリス英語」や「非母語話者の英語」も入っている。
3.1回読みか2回読みか
短めで平易な第1問~第3問が2回読み,長めで難しい第4問以降が1回読みになっている。そのために後半の問題の難易度がかなり高い。
大学入学共通テストに変更になるといっても、必要以上に心配することはありません。
今まで行ってきた勉強を続け、英語を「読む力」や「聞く力」を付けることが大切です。
ただし、出題形式が変わりますので大学入学共通テスト対策問題集で類題を解いたり、駿台の講習などで演習を重ねるなど、様々な形式に慣れるための勉強をするとよいでしょう。
駿台予備学校 英語科・斎藤 資晴
現代文
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)による「機械の自律化」(=第4次産業革命)は、「学びのカタチ」を変容させます。これまでの工業社会に対応した教育から、新しい時代・社会に適応した「能力・資質」を育てる教育へと変革するために、2021年より「大学入学共通テスト(センター試験に替わる共通テスト)」が開始されます。
もうすでに大きな変化に伴う予兆も現れています。2018年センター試験では「図表」に関する内容が会話形式で問われ、2019年国立大・私立大入試では「グラフ」を含む文章、「複数の問題文」なども出題されました。
言語力を重視して「実用社会で用いる(教科書では習わない)分野」や「判断力・思考力・表現力」をも「国語力」として問うという大きな波が、2000年初頭から世界の先進国に広がってきています。現在では「AIと共生・協働」する社会に適応するための変革と言われます。日本にもその波がやって来たのです。「国語のグローバル化」と言っても、過言ではありません。
こうした大きな変化が訪れるとき、私たちにとって最も大切なことは、何よりも変化を「歓迎する」ことでしょう。新しい時代・社会に適応する力を付けることに、何一つ悪い事などありません。「未来の社会に生きる力」を身に付けることは教育の目的の一つです。ですから、大きな波を避けようとするのではなく、ぜひ大きな波に乗って「素敵なサーフィン」を楽しみましょう。私たちに必要なのは、そのための足腰を鍛えること、つまり「柔軟で強靭な思考力」という基礎を徹底して鍛えることです。
国語において、「大学入学共通テスト」がセンター試験と大きく異なる点は、
- ①4問80分⇒「5問100分」となって「現代文が3題に増加」すること
- ②現代文として、新たに「実用国語(教科書では習わない実用分野)が追加されること
- ③論理国語や実用国語の「記述設問(120字記述を含む200字程度)」が出題されること
- ④問題文や設問に「グラフなどの図表」「会話文」「資料」が入ること
- ⑤問題文が「複数テクスト(2つ以上の文章・図表など)」であること
- ⑥推論(事実から結論を推理すること)や根拠の指摘が重視されること
の主に6点です。
今後、現代文の入試問題は毎年のように大きく変化し続けて行くでしょう。もはやマニュアルや解答法に頼る時代ではありません。それはAIに任せておけばよいのです。これまで駿台の授業は、「一生を通じて、遠く・高くにまで届く基礎力」としての教育を探究してきましたが、今後の社会ではより一層大切なものとなるでしょう。
すでに情報社会も終わり、「知識基盤社会」「知識集約型社会」「Society5.0」が始まろうとしています。おそらく10年後の大学入試では、パソコンに向かって問題を解く「CBT(=Computer-Based Testing)」が導入され、動画などを利用したテストに切り替えられているでしょう。もはや紙のテストは消滅していきます。黒板もあまり使われなくなっていくかもしれません。おそらく、こうした大きくて速い社会の流れにも翻弄されない「柔軟で強靭な思考力」こそが、私たちに求められているのです。
駿台予備学校 現代文科・霜 栄