2019年度入試
出題分析と入試対策
  東京大学 地学

過去の出題内容

2019年度

番号 項目 内容
1 天文 恒星の寿命、火星の衝(論述・計算)
2 大気・海洋 水蒸気の輸送、日本海の海洋現象(論述・計算・描図)
3 地質・固体地球 褶曲構造・第四紀の変動(論述・計算)

2018年度

番号 項目 内容
1 天文 天体までの距離、銀河回転と質量(記述・論述・計算)
2 大気・海洋 降水過程、大気と海洋の相互作用(記述・論述・計算)
3 固体地球・岩石 震源決定、鉱床の形成(記述・論述・計算・選択)

2017年度

番号 項目 内容
1 天文 ブラックホール連星、ハビタブルゾーン(論述・計算)
2 大気・海洋 地球の熱収支、台風(記述・論述・計算)
3 固体地球 隕石衝突地震、地下温度分布(記述・論述・計算)

2016年度

番号 項目 内容
1 天文 恒星の質量分布、宇宙膨張(論述・計算)
2 大気・海洋 大気の温度分布、海水の運動(記述・論述・計算・選択)
3 固体地球・地質 プレート運動、深海底堆積物(論述・計算)

2015年度

番号 項目 内容
1 天文 恒星の物理的諸量(論述・計算)
2 大気・海洋 大気・海洋間の熱循環(記述・論述・計算)
3 固体地球・地質 プレート運動、地質図(記述・論述・計算・描図)

2014年度

番号 項目 内容
1 天文 系外惑星の検出(計算・論述)
2 大気・海洋 海流、雲の形成、大気の大循環(計算・論述・記述)
3 固体地球・鉱物 地球の内部エネルギー、石英の多形(計算・論述・記述)

2013年度

番号 項目 内容
1 天文 食変光星の諸量(記述・計算・選択)
2 大気・海洋 梅雨の気象、海洋の構造(記述・論述・計算)
3 固体地球 火山での地震と磁場の観測(記述・論述・計算・選択)

2012年度

番号 項目 内容
1 天文 HR図と恒星の寿命(記述・論述・計算)
2 大気・海洋 雲、降水、海洋(記述・論述・計算)
3 岩石・鉱物 地球、月、イトカワの形成過程(記述・論述・計算)

2011年度

番号 項目 内容
1 天文 天体の距離測定(計算・選択・論述)
2 大気・海洋 大気・海洋のエネルギー輸送(論述・計算)
3 地史・岩石鉱物 地質図の読図と付加体(記述・論述)

2010年度

番号 項目 内容
1 天文 銀河回転と距離測定(計算・論述)
2 大気・海洋 海水位の変動(計算・論述)
3 地史・岩石鉱物 地殻と岩石の形成(計算・論述)

出題分析

出題分野

地学を構成する全分野から毎年まんべんなく出題されている。概ね、第1問で天文分野、第2問で大気・海洋分野、第3問で固体地球・岩石鉱物・地質分野となる年度が多いが、過去には第2問でも固体地球が出題されることもある。
例年、1つのテーマを掘り下げてじっくり問う大問が多いが、近年では各大問とも、幅広い領域から設問が少しずつ総合的に出されることもある。

分量

大問数3問で、大問1問あたりの試験時間は平均25分であるが、問題の分量が多い年度では、全問の解答を書き上げるのに多大の労力と忍耐を要求されることもある。

パターン

解答形式は、計算、論述、記述、描図がほとんどであり、文章完成や選択の問題は少ない。ほぼ全問に含まれる計算問題は考え方に主眼がおかれ、物理や数学、化学の基礎的な学力も必要となることがある。
記述・論述は字数制限のない場合もあるが、小問1問につき1~3行程度の設問が数題あり、全問合計すると1000字を越える年度もある。描図は、グラフや模式図として出題されている。

内容

正確な基礎知識と、洞察力・思考力を要求する問題が大半を占めている。教科書では十分に取り扱われていないやや専門知識を必要とする設問のみられることもあるが、それらの設問についても、基礎知識を土台にして問題文や図表を読解し、対象となる事柄の意味を類推することにより、解答は可能となろう。
ここでいう基礎知識には、物理や化学など他の科目の基礎知識も含まれ、計算問題では対数や三角関数を十分に使いこなす必要があろう。

難易度

出題内容は基礎学力を重視する傾向にあり、教科書程度の内容を十分に理解しておれば多くの問題で解答に困ることはない。しかし、思考力や洞察力を要求する問題で構成されているから、試験時間を考慮すると難しく、高得点を得るためにはそれなりの対策が必要である。

入試対策

上述したように、基礎知識とそれに支えられた思考力・洞察力を必要とする基礎重視の問題が多い。だからといって解答が容易であることには結びつかない。論述問題では、字数にかかわらず論理的な記述が要求される。まず解答の骨組みを考え、必要な事柄を順序正しく箇条書きにして、それを整理しながら解答すればよいであろう。
計算問題の解法の糸口は、問題の意図するところを図示することによってわかる場合が多い。また、数値計算の場合には、有効桁数と単位に気をつけなくてはならない。日頃から問題を解く際にそのようなトレーニングを行って、洞察力・思考力・注意力を高めておきたいものである。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。