2019年度入試
出題分析と入試対策
  東京大学 英語

過去の出題内容

2019年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 大意要約(記述)
     「ヨーロッパで生じた児童の人権に関する変化」〈標準〉
(B) 文補充・単語補充(客観・記述)
     「音楽はある種の言語か?」〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(記述)〈標準〉
(B) 和文英訳(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「現代のチームスポーツの意義」(客観)〈標準〉
(B) 「Aに関する2人の専門家の議論」(客観)〈やや難〉
(C) スクリプト非公表(客観)
4 文法・語法 (A) 文法正誤問題(客観)
     「ある偉大な女性数学者について」〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「子育てとペットについての筆者の雑感」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述・客観)「雲に魅了された男」〈標準〉

2018年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「デマの拡散と人間の心理」〈標準〉
(B) 文・英文要約(客観・記述)
     「Verbal Overshadowing について」〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(記述)〈標準〉
(B) 英文和訳(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「マサイ族の相互扶助システムについて」(客観)〈やや難〉
(B) 「相互扶助社会と自立社会の長所と短所」(客観)〈やや難〉
(C) 「巨大波の仕組みとそれに対する備え」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「鳥の知力について」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述・客観)
「耳の不自由な女性とその母親」〈標準〉

2017年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「国際ビジネスで大切なこと」〈標準〉
(B) 文・単語補充(客観・記述)
     「経済的特権階級の利己的行動」〈やや易〉
2 英作文 (A) 自由英作文(記述)〈標準〉
(B) 自由英作文(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「コンピュータ・インテリジェンスの発達」(客観)〈やや易〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈やや易〉
(C) 「話者とその姉の関係」(客観)〈やや易〉
4 文法・語法 (A) 文法正誤(客観)「ドキュメンタリー映画とは」〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「一人でいること」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述・客観)
「ドリスと私の風変わりな関係」〈難〉

2016年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「社会の結束性を生み出す要因について」〈難〉
(B) 文補充(客観)「言論の自由はなぜ重要か」〈やや易〉
2 英作文 (A) 自由英作文(写真)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(空所補充)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「絵画のオークションと金銭的価値」(客観)〈標準〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈標準〉
(C) 「蚊に刺されやすい人と刺されにくい人」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 文法正誤(客観)「知識の重要性」〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「アフガニスタンの戦争報道とその実態」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「ホームレスの人々を排除しようとする社会環境」〈やや難〉

2015年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「危険察知における人間の非論理性」〈難〉
(B) 文・単語補充(客観・記述)
     「意思決定疲労で苦労していませんか?」〈やや難〉
2 英作文 (A) 自由英作文(イラスト)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「チリの砂漠に建設予定の天体観測施設について」(客観)〈やや難〉
(B) 「(A)に関する3人の会話」(客観)〈やや難〉
(C) 「インターネット社会が人間の意識に及ぼす影響」(客観)〈やや難〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「暗号として用いられたナバホ語」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「母親と娘の間の複雑な愛情」〈やや難〉

2014年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)〈やや易〉
     「人間の活動が地球環境に及ぼす影響」について
(B) 文補充(客観)
     「機械化がさまざまな階層の労働に及ぼす影響」について〈やや難〉
2 英作文 (A) 自由英作文(会話文創作)(記述)〈やや易〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「今日の動物園の役割」(客観)〈標準〉
(B) 「万国博覧会の変遷に関するインタビュー」(客観)〈標準〉
(C) 「出世する上司の特徴に関する対話」(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「福祉国家が与えるべき援助」について〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「子育てに悩む父親のつぶやき」〈やや難〉

2013年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「クモの巣の特徴とその応用可能性」について〈やや難〉
(B) 文補充(客観)
     「子供の時間認知能力の発達」について〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(会話文創作)(記述)〈標準〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈標準〉
3 リスニング (A) 「homeとは何か」(客観)〈やや易〉
(B) 「ある国の議会でなされた発言」(客観)〈やや易〉
(C) (B)に続く議論(客観)〈やや易〉
4 文法・語法 (A) 整序英作文(客観)〈やや難〉
読解 (B) 英文和訳・内容説明問題(記述)
     「人間の思考の落とし穴」について〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「降霊術師にまつわる思い出」〈やや易〉

2012年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「現代社会における移民」について〈やや難〉
(B) 段落整序など(客観)
     「マナーのあり方」について〈やや易〉
2 英作文 (A) 空所補充(記述)〈やや易〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「『宇宙エレベーター』についての討論」(記述+客観)〈標準〉
(B) 「アメリカンフットボールについての文化人類学的考察」(客観)〈標準〉
(C) (B)に続く先生と学生二人による討論(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳「Kazuo Ishiguroとの対話」について(記述)〈標準~やや難〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「NYでサリーを着用した1ヵ月」〈やや易〉

2011年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「科学教育のあり方と展望」について〈難〉
(B) 段落整序問題(客観)
     “ Don’ t worry, Dad ”〈標準〉
(C) 不要文選択、文補充、趣旨選択問題(客観)
     「コーヒーハウス」について〈標準〉
2 英作文 (A) 自由英作文(空所補充)(記述)〈やや難〉
(B) 自由英作文(論説型)(記述)〈やや難〉
3 リスニング (A) 「‘landscape ’という語の意味」(客観)〈標準〉
(B) 「Brook Farmという共同体についての講義」(客観)〈標準〉
(C) (B)に続く先生と学生二人による討論(客観)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈やや易〉
読解 (B) 英文和訳(記述)
     「クロスワードパズルの出現と影響」〈標準〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「心の傷を負った少女と医師のやりとり」〈標準〉

2010年度

番号 項目 分野・テーマ(表題)・問題レベル
1 読解 (A) 全文要約問題(記述)
     「SFの存在意義」について〈やや難〉
(B) 読解(文補充・段落整序など)(客観)
     「小惑星帯から資源を獲得する可能性」について〈標準〉
2 英作文 (A) 空所補充(記述)〈標準〉
(B) 派生語補充問題(記述)〈易〉
3 リスニング (A) 「図書館と『書物』の変遷」(客観)〈標準〉
(B) 「同窓生たちの会話」(客観)〈標準〉
(C) 「ロールモデル」(記述)〈標準〉
4 文法・語法 (A) 取り除くべき一語の指摘(記述)〈標準〉
読解 (B) 英文和訳(記述)「映画スターとは」〈やや難〉
5 読解 長文読解総合問題(記述+客観)
「William Porter(=O.Henry)の伝記」〈標準〉

出題分析

分量

1.大問は5題であるが、1、2、4は(A)(B)の2題に、3は(A)(B)(C)の3題に分かれている。
2.制限時間を考えると量はかなり多く、すばやく問題の狙いをつかみ、設問を処理する力が必要である。

出題分野

「読む」「書く」「聴く」「話す」の4分野のうち、「話す」を除く3分野を網羅している。

全体を通じての特徴

東大の入試問題の最大の特徴は「オールラウンドな学力」が求められていることである。出題分野に関して言えば読解・作文はもちろんのこと、リスニング、さらには文法まで毎年出されている。
読解問題だけをとっても、4(B)のような英文和訳に限らず、1では「話の流れ」「論理の展開」を把握する能力が問われ、5では長文の読解力が求められている。また使用されている英文も論説文だけではなく、1題は小説・エッセイ等が出題されることが多い。
こうした出題を通じて、東大は受験生に「基礎を重視し、幅広くさまざまな分野を満遍なく学ぶことで真の英語力は身につく」ということを訴えたいのであろう。受験生としてはこうしたメッセージを真摯に受け止め、特定分野に偏らないオールラウンドな学習を心がけることが重要である。

本年度の特徴

1. (A) 「ヨーロッパで生じた児童の人権に関する変化」について述べられた3段落、約320語の文章。例年通り、コンパクトな要約問題として成立するよう編集されている。本年度は「要約せよ」という指示に戻った。また、近年(少なくとも過去10年)は「主張型の文章」、すなわち、筆者の視点・考え方を中心とする文章が1(A)の素材の特徴であったが、本年度は、「解説型の文章」、すなわち、事の経緯や歴史的経緯、学説の紹介などを軸とする文章になっている点が特徴だと言える。解答作成に関して言えば、設問の指示書きに「ヨーロッパで生じたとされる変化の内容を」とあるので焦点を絞りやすく、その意味では、過去の出題と比較すると処理しやすい部類に入る。このため、文章の大筋は表現できた受験生が多かったのではないかと思われるが、最初から素直に目を通していかないとポイントを見逃すことになる点は従来通りである。
(B) 「音楽はある種の言語か?」という主題について述べられた、約700語の文章。従来の文補充は空所が5ヵ所であったが、本年は6ヵ所になった。不要選択肢は昨年から1つ減り、2文となった。昨年初めて出題された、「文章で述べられている内容を短い英文で要約する」という設問は1年で姿を消し、2017年および2015年に出題された、単語を1つ補充する記述問題が再度出題された。文補充、単語補充ともに文章の内容が正しく掴めていれば問題なく正解を導き出せるものだった。
2. (A)だが、与えられたテーマについて、問題文の指示に従いつつ思ったことを書く、という形式。形式としては東大によくあるものだが、テーマがテーマだけに書きにくかったと思われる。Bは昨年に引き続き和文英訳。
3. (A)と(B)が内容的に連続しており、(C)は独立している。昨年に続き、(A) (B)共に対話・会話であったが、共に司会役は話の導入部分にしか登場しないため、実質上(A)は講義形式、(B)は対話に近い。2013年や2008年に近い形式が見受けられる。昨年に続き、全ての設問に5つずつ選択肢がある。(A)は選択肢が短いフレーズや単語であるものが5つの設問中3つであるため、そこまで負担は大きくなかったかもしれないが、(B)には選択肢が完全文のものが5題中4つあるのに加え、各選択肢の英文の共通部分が少ないため、時間内に全ての情報を処理するだけでも相当大変だったはずである。(C)に関しては著作権の関係からか、この原稿を書いている時点でスクリプトが公表されていないため詳しいことは述べられないが、すべての設問に5つずつ選択肢があるのは同じで読む分量がかなり多いことは(B)と同様である。
4. (A) 文法語法正誤。マークシート導入以降の形式は正誤(2016/2017)と整序英作文(2015/2018)の2種類となっている。 (B) 例年通り下線部は3ヵ所であった。単語の意味や、英文の構造自体は捉えやすいものだが、自然な日本語にしづらい表現が多く含まれており、思ったほどは得点できなかったように思われる。
5. ここ数年、素材のジャンルは、体験に基づくエッセイ(2014年)→物語文(2015年)→体験に基づくエッセイ(2016年)→体験に基づくエッセイ(2017年)→物語文(2018年度)と変化してきたが、本年度は伝記的要素を持つエッセイからの出題となった。本文の長さは1,000語強(2014年)→1,000語弱(2015年)→800語強(2016年)→900語強(2017年)→900語弱(2018年)→1,000語弱(2019年)と推移している。本年度の英文は、ストーリー自体はさほど複雑ではなく、話の展開を追うのは難しくなかっただろう。下線部の内容を日本語で説明する問題が2題出されたが、下線部の前後の内容をどこまで解答に含めるかの判断が難しかったと思われる。語句整序英作文も、前後の内容を踏まえて正しい英文を作るのに苦しんだ受験生が多かったのではないだろうか。一方、客観式の問題に関しては、注意を要する設問がいくつか含まれてはいたが、総じて解きやすいものが多かった。全体としての難易度は、昨年度とほぼ同程度と言えるだろう。

入試対策

1.要約

過去の出題を見ると、年度によって設問の文言や字数に微妙な差はあっても、文章の大筋を抽出してまとめる力を試すという点では一貫している。東大に合格可能な学力があれば、どんな文章を読んでも「およそこんなことが書いてあるはずだ」というレベルの理解はできているはずである。したがって、「日本語の表現力」が勝敗の分かれ目になることも少なくない。「他人に向けた」「誰が読んでもわかりやすい」「明確で」「簡潔な」文章を書く訓練も積んでおかなければならない。

2.空所補充

2015年は文補充と単語補充、2016年は段落補充、2017年は文補充と単語補充、そして2018年は文補充と要約問題という出題内容であったが、2019年は文補充と単語補充に戻った。文補充問題は、「全体/この段落では、こういう話だから、これが内容上ふさわしい」という発想がまずあって、指示語・代名詞などは「裏付け」として利用しようという取り組み方が自然だと思われる。
もちろん、普段から論説文・解説文を読む際には、指示語・代名詞・名詞の言い換えなど「ローカル」な関係に意識を向けておかなければならないが、それだけではなく、パラグラフ/文章全体を俯瞰する読み方もしておかなければならない。

3.英作文

問題形式だが、過去5年間を見てみると、「イラストを見て思ったこと」「相反する2つのことわざに対する説明と意見」(2015年)→「写真を見て思ったこと」「まとまったpassageの最終段落を書く」(2016年)→「与えられたテーマに対するコメント」「手紙文完成」(2017年)「与えられた会話文を読んで思ったこと」+和文英訳(2018年)であった。
昨年は変則的な出題だった。作文が1(B)「長文中の語句を使いながらのまとめ」・2(A)「自由英作文」・2(B)「和文英訳」と3分割され、1(B)にもライティングの要素が入ったことで自由英作文の指定語数が40~60語と減少した。本年は1(B)が元の形式に戻り、作文は再び大問2だけになったため、自由英作文の語数も60~80語に復活している。和文英訳は昨年に引き続きの出題だが、このまま片方が和文英訳になっていくのかは微妙。しかし「自由英作文+和文英訳」というセット出題が定着する可能性は十分ある)。
東大の入試問題はリスニング以外の問題にかけられる時間が実質80分強しかないことが最大の難関で(音声を聞きながら同時に設問を読んで解くのは至難の業で、事前に10分以内で設問を読んでおく必要がある。したがってリスニング全体に約40分かかることになるので、120-40=80ということ)、自由英作文は20~25分で書きこなさないと最後の問題5までたどりつくのが大変厳しくなる。本年は2(A)に15分、2(B)には5分強くらいが適当(片方が和文英訳だと、時間的には大変有利である。)
自由英作文を書く上で重要なことは、基本的な語彙を使った基本的な英文をあっさりと書くことが大切。複雑怪奇な内容を書こうとしたり、自分の語彙にない単語や熟語、構文を用いたりしないことだ。例年では2(A)と2(B)の合計は配点的にかなりのウェイトを占め(全体の約4分の1)、受験生の間で点差のつきやすい分野であるから、作文での失敗は即不合格につながることをよく覚えておこう。

4.リスニング

リスニングの試験が始まる前に、可能な問題については設問・選択肢に目を通しておくことが必要である。そうすることで話のおおよその内容は予測できるものであり、内容理解に大きな差が出ることは言うまでもない。また、日頃から英文を耳にして、英語の音に慣れておくことも不可欠である。教材付録のCDや、過去のリスニング問題を収録したCDなどを活用し、さまざまな英語の音声に触れる機会をできるだけ多く作るようにしよう。

5.文法問題

マークシートが導入されて以来、私立大学でよく見られるタイプの問題となっている。配点的には微々たるものなので、時間をあまりかけずにサラッと正解を見つけたいところだ。

6.英文和訳

英文和訳は、学生の学力がストレートに反映される出題形式である。東大に限らず他の大学でも以前ほど出題されてはいないが、だからといって準備段階で軽んじていいということにはならない。語彙力・熟語力を高める努力を日々重ねることはもちろんのこと、文構造の正確な把握抜きにしては英文の意味を正確につかむことは不可能であり、各文の意味が正確につかめないようでは、いわゆる「長文問題」に対処する力をつけることは不可能だからである。日々の学習の中で英文和訳に真剣に取り組むことこそ合格への必須の条件であることを肝に銘じてほしい。また東大では「全体から部分を考える力」を問う問題がよく出題されている。下線部だけで考えるのではなく、より広い文脈の中で単語の意味、英文の構造を考える姿勢を身につけてもらいたい。

7.長文読解問題

長文読解総合問題では、小説、エッセイ、論説文とさまざまな素材の英文が出題されてはいるが、実は出題の趣旨に大きな違いはない。いずれの素材にせよ、要求されているのは「必要な情報を的確に読み取ること」と「一見平易に思われるが、文脈を考慮しないと読み誤ってしまう表現を正しく理解すること」である。したがって、本文で描かれている世界にできるだけすばやく入っていくための練習が不可欠となる。 そのためには、構文理解や段落理解とは異なる、「状況理解」を最優先するような英文読解体験をするよう日頃から心がけることが重要である。具体的には、散在していることが多い「時・場所・人物描写」などに関する重要な記述を、表を使って整理するつもりで読むことになる。読解の素材は他大学の入試問題でもよいし、新聞記事やインターネット上の英文でもよい。そういう姿勢が、東大が求めている英語への姿勢の1つなのだから。
※本ページ内容は一部のコメントを除き、駿台文庫より刊行の『青本』より抜粋。