<第5回>どうなる?これからの大学入試③

-共通テストのポイント-

従来の大学入試センター試験(以下「センター試験」)は、2021年度からは共通テストに代わります。先に触れたように、共通テスト実施に伴う英語4技能資格・検定試験の一括利用、国語と数学①における記述式問題の導入は見送りとなりました。実施教科・科目はセンター試験と同じですが、今回の記述式問題の導入見送りに伴い、国語や数学①の試験時間や大問数、配点などが変更になり、1月29日に発表されました。

英語4技能資格・検定試験の一括利用と記述式問題導入の見送りを聞いて、「先輩たちが受験してきたセンター試験に戻るのだ」と思った方もいるかもしれませんが、それは誤りです。2017年度・2018年度に共通テスト導入に向けて実施された試行調査(プレテスト)の問題を見ると、「思考力」や「判断力」への評価を重視した、長い問題文や複数の文章や図、グラフなどを総合的に考察する出題が見られました。2019年度センター試験でも共通テストを意識したような新傾向の問題がみられました。共通テストは、従来のセンター試験よりも高い読解力が必要なのです。
さらに、今回の記述式問題の先送りにより、2019年度センター試験で見られたようなマーク式問題を用いて「思考力」「判断力」を問う「新傾向問題」の出題の増加が予想されます。これに対しては、安易な速修型の参考書・問題集に頼った「パターン学習」では対応できません。模試の受験回数を増やすことに加えて、予備校・塾などの講習等にも積極的に参加して、新作問題にチャレンジする機会を増やすことが大事です。

受験のモチベーション維持

文部科学省は国公立大、私立大を問わず各大学の個別試験で記述式問題を導入してほしいという意向を持っています。今後の大学入試突破には「読解力」「記述力」の強化が大きなポイントになります。また、英語4技能資格・検定試験の利用も私立大だけでなく国公立大でも総合型選抜や学校推薦型選抜を手始めに、一般選抜にも拡大していくことは間違いありません。

入試制度が変わっても、大学が受験生に求める学力の本質は変わりません。早期から準備を始め、しっかりと学習を積み重ねることで、「思考力」「判断力」をじっくり養い、本物の学力を身に付けた人が志望大学合格の夢を実現することができるのです。

(2020年2月13日掲載)