2022年度大学入学共通テストと模試動向速報
8月には全国的に新型コロナウイルス感染症拡大の第5波に見舞われ、医療体制の危機がいわれ、皆さんも不安な日々を過ごしたことと思います。しかし、ワクチン接種の拡大もあって、9月中旬以降は1日あたりの新規感染者数や重症者の人数も減少を示すようになり、一つの感染の大きな山場は越えた感じがします。ただし、これからは日々気温も下降し、空気も乾燥していくと、一般的に感染症のウイルスの活動が活発になります。新型コロナウイルス感染症だけでなく、インフルエンザや普通の風邪など色々な感染症防止に細心の対策を継続して、受験勉強の着実な前進に妨げが起きないように注意していきましょう。
さて、2022年度の大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)の出願期間は、10月7日(木)(消印有効)までです。高3生の皆さんは個人出願ではなく、学校の先生がまとめて出願するため、すでに必要書類は学校へ提出済みだと思いますが、既卒生等の皆さんは、個人出願となりますので、くれぐれも10月7日(木)の期限に遅れることのないように注意してください。
今月号では、まず共通テスト出願後と受験時の注意点について確認します。
共通テスト出願後の注意点
○確認はがき
○登録内容の訂正方法
共通テスト受験時の注意点
○試験時間以外の過ごし方
○マークミスをしない
受験番号のマーク忘れ、マークミスなどで大学入試センターに救済されている受験生が毎年相当数いることをご存知でしょうか。だからと言って安心してはいけません。受験番号と違い、選択科目のマークミスについての救済措置は行われません。全ての項目についてマークミスをしないよう、10月~12月にかけて実施されている共通テスト対策模試などを利用して、マークシートに慣れていくことも重要な対策になります。
特に、最近の受験生は筆圧が弱く、薄いマークが目立ちます。模試では受験生の学力測定という観点から、薄いマークでも読み取るような設定になっている場合もありますが、共通テスト本番では薄いマークは正解でも得点とならない場合があることを肝に銘じて、日頃の模試からしっかりと濃くマークすることを心がけてください。また、逆のケースとして、解答に誤りを発見して、正しくマークをやり直す場合には、誤ったマークをきちんと消すことを心掛けてください。これも模試では「性善説」に立って処理されることが多いのですが、共通テスト本番では1行に2つマークがあると見なされて、「×」という扱いになってしまいます。できるだけ、質の良い消しゴムを使って、きれいに消すことを模試の段階から心掛けてください。
○追試験の実施について
2021年度「第2回駿台atama+共通テスト模試」系統別志望動向

受験生にとって、最新の模試動向は気になるところだと思います。上記のグラフは、7月に実施した第2回駿台atama+共通テスト模試の系統別志望状況です。国公立大学は実施日程の第1志望の合計を私立大学は総志望を集計した人数を2ヶ年対比の指数で示したものです。全体の志望者指数は、国公立大学が102の微増、私立大学が122の大幅増加となっています。
前年度は、コロナ禍対策として全国で行なわれた学校一斉休校の措置の関係で、多くの学校で模試を積極的に受験しようという環境にありませんでした。特に、都市部での新型コロナウイルスの感染状況が厳しかったことから、都市部で多い私立大学専願者の受験者数が減少していました。その反動で、私立大学全体の志望者指数が大きく増加しています。決して、私立大学の人気自体が大きくアップしているわけではないので、注意してください。今回は志望動向の速報として見ていただき、11月号では前年度も学校再開後落ち着きを取り戻した9月に実施した模試について、2ヶ年対比の志望動向をお知らせできると思いますので、こちらもぜひ参考にしてください。
それでは、まず国公立大学を見ていくことにします。なお、以下の( )内の数字は、志望者の前年度対比指数を示します。文系では、国際関係(91)、経済・経営・商(96)は減少していますが、社会(119)、外国語(108)では増加が見られます。2021年度入試では、「文低理高」が顕著でしたが、その反動が見られます。理系では、農・水産(100)、工(100)、理(99)といずれも前年度並で、さらに人気が高まる傾向は見られません。もともと、理系は入試科目負担が重いというハードルがあるので、志望者数の増加には限界があります。メディカル系では、薬(115)と大幅増加しています。コロナ禍の中でのワクチンや治療薬の開発といった話題で注目を集めている影響が見られます。医(104)はやや増加、保健衛生(100)は前年度並と前年度の高い人気を維持しています。その中で、歯(81)は大幅減少で、医からの志望変更が少ないことに加えて、歯科医師を取り巻く環境への不安から志望者数減少が継続しています。文理両方から志望者がいる系統では、元々志望者数が少ないことから極端な指数が出やすいですが、芸術(180)、総合科学(117)、生活科学(116)といずれも大幅増加です。リモートワークやDXの拡大で注目を浴びるARやVRといった映像技術が含まれる芸術、データサイエンスが含まれる総合科学など最先端の分野が含まれる系統への人気の高まりが見られます。
次に、私立大学を見ていくことにします。私立大学は全体指数122を基準に見ていきます。文系では、全体指数を上回る増加は、人文科学(143)、国際関係(133)、社会(132)などで、外国語(119)を除くと全体指数を上回っており、国公立大学と同様に反動増が見られます。理系では、工(111)は全体指数を下回っていますが、理(122)は全体指数と同じ、農・水産(126)は全体指数を上回るなど、理系全体としての人気は堅調に推移しています。メディカル系は、薬(132)は国公立大学と同様に全体指数を上回っていますが、医(102)は全体指数を大きく下回っており、国公立大学の動向とは異なっています。医は学費や受験料も高額な系統であることから、コロナ禍での経済環境の悪化もあって慎重に志望校を絞り込もうとする傾向が見られます。文理両方から志望者がいる系統では、国公立大学でも触れた総合科学(148)、芸術(136)は全体指数以上に増加しています。また、生活科学(140)も全体指数以上の増加で、2021年度入試での女子大不人気への反動からこの系統の増加が見られます。教員養成・教育(150)も全体指数を大きく上回る増加です。待機児童問題など子育て支援強化の動きもあって、保育士や幼稚園教諭の資格取得系の人気の高まりが見られます。
秋は、気候も良く学習がはかどる季節です。しかし、冒頭でも触れましたが、体調を崩したりして後れを取ってしまうと取り返しのつかないことになってしまいます。しっかりとした学習計画を立てて、それを日々実践することが大事な時期です。常に、目標大学への距離感をつかみながら、着実に前進してください。皆さんのガンバリを心より応援しています。
(2021年10月1日掲載)