駿台入試ニュース 2023 VOL.6
- 2023年度国公私立大入学者選抜実施状況の概要
- 志願者数は国立大・私立大は減少、公立大は微増
○一般選抜:私立大は志願者数減少率が大きく、「年内入試」シフトへ
○総合型選抜:前年度に引き続き国公私立大すべてで入学者数増加
○学校推薦型選抜:入学者数は国公立大では増加するも全体では減少
2023年度国公私立大入学者選抜実施状況の概要
2023年度国公私立大入学者選抜実施状況の概要が、2023年11月29日に文部科学省より発表されました。
国立大・私立大は志願者数減少、公立大は微増
2023年度の志願者数は、国立大では3,547人(1.0%)、私立大では117,312人(3.0%)のいずれも減少、公立大では280人(0.2%)の増加でした。この結果、全体では120,579人(2.7%)の減少となりました。
一般選抜:私立大は志願者数減少率が大きく、「年内入試」シフトへ
2023年度の一般選抜の志願者数は、国立大は5,527人(1.7%)、公立大は452人(0.3%)のいずれも減少でした。国立大では後期を廃止したり前期募集人員を減らして、学校推薦型選抜や総合型選抜に振り替える大学もあり、募集人員は284人(0.4%)の微減でした。ただし、志願倍率には4.1倍→4.1倍と変化はありませんでした。一方で、公立大は周南公立大の公立化や既存大学での学部の新設等で募集人員は294人(1.3%)増加となり、志願倍率は5.8倍→5.7倍とダウンしました。
私立大は、志願者数は144,596人(4.5%)の減少で、国公立大より大きな減少率でした。合格者数も35,507人(3.1%)の減少で、実質倍率は2.7倍→2.6倍にダウンしました。私立大の志願者数減少の背景には、第一に中堅校を中心とした、総合型選抜や学校推薦型選抜といったいわゆる「年内入試」の広まりがあります。特に総合型選抜の志願者数は、アドミッション・オフィス(AO)入試と呼ばれていた2020年度対比では2023年度は45,965人(32.2%)の大幅な増加です。こうした「年内入試」を受験し一般選抜を受験しない受験生や私立大学全体の間口の拡大により一般選抜での併願校を減らした受験生が増えたことが一般選抜の受験者数に影響しました。また、共通テスト利用方式への敬遠傾向も理由として挙げられます。大学入試センターの発表によると私立大専願者に多い3科目以下での受験者数がセンター試験最終年度の2020年度対比で2023年度は22,431人(16.5%)減少しており、私立大専願者の共通テスト受験者数が減少していることがうかがえます。これにはセンター試験とは異なり、共通テストの特徴である長い問題文や複数のテクストや資料を読み解く問題など私立大のマーク式問題とは大きく異なる出題傾向が私立大専願者から敬遠されていることが影響しています。
一方、国公立大の志願者数減少が私立大の減少よりは小さかったのは、2023年度共通テストの平均点が前年度比較してアップしたことで、国公立大への出願を諦めなかった受験生が多かったことが理由として挙げられます。
総合型選抜:前年度に引き続き国公私立大で入学者数増加
2023年度の総合型選抜は、国立大64大学247学部、公立大40大学81学部、私立大558大学1,773学部で実施され、全体の実施大学数は8大学増加、実施学部数は74学部増加しました。入学者数は、前年度比で国立大では305人(5.6%)、公立大では151人(11.7%)、私立大では7,029人(9.0%)の増加で、全体では7,485人(8.8%)増加しました。前年度も国立大、公立大、私立大ともに入学者数は増加していましたが、全入学者に占める総合型選抜の入学者数の割合は14.8%と前年度よりさらに1.3ポイントアップしました。
学校推薦型選抜:入学者数は国公立大では増加するも全体では減少
2023年度の学校推薦型選抜は、国立大77大学285学部、公立大95大学205学部、私立大602大学1,939学部で実施され、全体の実施大学数は3大学増加、実施学部数は55学部増加しました。入学者数は、国立大では565人(4.9%)、公立大では260人(2.9%)増加、一方で私立大では3,809人(1.8%)減少し、全体では2,984人(1.3%)減少しました。全入学者数に占める学校推薦型選抜の入学者数の割合は35.9%で、前年度から0.3ポイントダウンしました。国公立では総合型選抜同様に入学者数が増えている一方、私立大の減少が大きかったことが影響しています。
(詳細は、別表を参照。そのほか、国公私立大入学者選抜実施状況の概要についての詳細は、下記リンク先の文部科学省ホームページ「令和5年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」をご参照ください。)