大学群について聞いたことがあると思います。大学群を知ることは、自分の学力に合った目標設定や、大学の特色を比較検討する上で非常に役立ちます。
特に、大学受験の情報収集を始めたばかりの方にとっては、膨大な大学の中から自分に合った大学を探す際におすすめです。
そこで、この記事では、最新の情報に基づき、関東・関西・東海・国公立・私立の主要な大学群を網羅的に紹介し、それぞれの特徴や注意点などを詳しく解説します。大学選びで後悔しないために、ぜひ参考にしてください。
大学群とは?
大学受験を考える上でよく耳にする「大学群」。
これは、偏差値や所在地、大学の成り立ちなどが近い大学をグループ化した呼び名です。有名な「早慶」や「MARCH」、「関関同立」などがその代表例です。
大学群を知ることで、志望校選びの目安になったり、大学の難易度や特色を大まかに掴むことができます。
【関東エリア】主要私立大学の大学群

日本で最も多くの大学が集まる関東エリア。ここでは、最難関から中堅まで、様々な大学群が存在します。
各グループの特徴を理解し、自分の希望に合った大学を見つける参考にしましょう。早慶上理から関東上流江戸桜まで、代表的な大学群を解説します。
早慶上理(早稲田・慶應義塾・上智・東京理科)
関東私立大学の頂点に立つのが「早慶上理」です。早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学の4大学で、いずれも全国トップクラスの難易度と知名度を誇ります。学術研究、就職実績ともに日本の私立大学をリードする存在です。
SMART(スマート:上智・明治・青山学院・立教・東京理科)
早慶に次ぐ難関大学と言われるのが「SMART」です。上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、東京理科大学の頭文字をとった比較的新しい大学群です。MARCHに代わる高難易度の私立大学群を指します。
MARCH(マーチ:明治・青山学院・立教・中央・法政)
関東の難関私立大学として最も有名なグループの一つが「MARCH」です。明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学の5大学で構成され、長い歴史と伝統を持ち、多くの卒業生が各界で活躍しています。
受験生からの人気も非常に高く、難関校として知られている大学群です。また、学習院大学を加えて「GMARCH」と言われる場合もあります。
成成明学(せいせいめいがく:成蹊・成城・明治学院)
MARCHと同じく難関大学と言われるのが「成成明学」です。成蹊大学、成城大学、明治学院大学の3大学を指します。比較的規模が小さく、落ち着いた学習環境や留学プログラムに定評があります。
獨協大学・國學院大學・武蔵大学を含めて「成成明学獨國武」と呼ばれることもあります。
女子大御三家(津田塾・東京女子・日本女子)
女子大学の中でも特に長い歴史と高い評価を持つのが「女子大御三家」です。津田塾大学、東京女子大学、日本女子大学の3大学を指します。リベラルアーツ教育を重視し、伝統的に高い就職率を誇り、多くの女性リーダーを輩出してきました。
日東駒専(にっとうこません:日本・東洋・駒澤・専修)
関東の中堅私立大学の代表格が「日東駒専」です。日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学の4大学で、いずれも100年以上の歴史を持つ大規模な総合大学です。多くの学部・学科を擁し、全国から受験生が集まる人気の高い大学群です。
四工大(よんこうだい:芝浦工業・東京都市・東京電機・工学院)
関東の理工系私立大学で評価の高い4大学をまとめたのが「四工大」です。芝浦工業大学、東京都市大学、東京電機大学、工学院大学を指します。専門分野における教育・研究レベルの高さと、良好な就職実績が特徴です。
大東亜帝国(だいとうあていこく:大東文化・東海・亜細亜・帝京・国士舘)
関東の中堅私立大学として広く認知されている大学群です。大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学の5大学で構成されています。いずれも学生数の多い総合大学で、スポーツ分野での活躍も目立ちます。
拓玉産大(たくぎょくさんだい:拓殖・玉川・産業能率・大正)
大東亜帝国と同程度に位置づけられることが多い大学群です。拓殖大学、玉川大学、産業能率大学、大正大学が含まれます。
関東中流(かんとうちゅうりゅう:関東学院・東京国際・中央学院・流通経済)
大東亜帝国に近い難易度と見なされることが多い大学群です。関東学院大学、東京国際大学、流通経済大学、中央学院大学が含まれます。スポーツに力を入れている大学が多いです。
文東立松産玉武(ぶんとうりっしょうさんたまぶ:文教・東京経済・立正・二松學舍・産業能率・玉川・武蔵野)
大東亜帝国と同程度の新しい大学群です。文教大学、東京経済大学、立正大学、二松學舍大学、玉川大学、武蔵野大学が含まれます。
中東和平成立(ちゅうとうわへいせいりつ:中央学院・東京国際・和光・平成国際大学・立正大学)
大東亜帝国と同等か、それに近い難易度と見なされることがある大学群です。中央学院大学、東京国際大学、和光大学、平成国際大学、立正大学の5大学を指します。比較的小規模ながら、個性的な学校が多いです。
聖清白フ(せいせいしらふ:聖心女子・清泉女子・白百合女子・フェリス女学院)
お嬢様系女子大として知られるのが「聖清白フ」です。聖心女子大学、清泉女子大学、白百合女子大学、フェリス女学院大学の4大学を指します。伝統的にカトリック系の大学が多く、語学教育や国際交流に力を入れている点が特徴です。
関東上流江戸桜(かんとうじょうりゅうえどざくら:関東学園・上武・流通経済・江戸川・桜美林)
大東亜帝国の同程度の難易度と見なされることがある大学群です。関東学園大学、上武大学、流通経済大学、江戸川大学、桜美林大学の5大学を指します。都心からは離れた場所にある大学が多く、特定の地域に根差した大学という特徴があります。
【関西エリア】主要私立大学の大学群

西日本の中心、関西エリアにも独自の歴史と個性を持つ大学群が存在します。関東のMARCHに対する「関関同立」を筆頭に、それに続く大学群まで、構成大学、難易度、そして関西ならではの雰囲気や特徴を紹介します。
関関同立(かんかんどうりつ:関西・関西学院・同志社・立命館)
関西地方のトップ私立大学群が「関関同立」です。関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4大学を指します。関東のMARCHと並び称される難関大学群であり、歴史と伝統、高い教育水準、そして関西経済界への強い影響力を持っています。
産近甲龍(さんきんこうりゅう:京都産業・近畿・甲南・龍谷)
関西の中堅上位私立大学群が「産近甲龍」です。京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学の4大学で構成されます。近年、特に近畿大学の躍進が目覚ましく、各大学が独自の強みを発揮しており、受験生からの人気も高いグループです。
摂神追桃(せっしんついとう:摂南・神戸学院・追手門学院・桃山学院)
「摂神追桃」も関西の私立大学群のひとつです。摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学の4大学で構成されます。就職や資格試験に力を入れたり、実践力を身に付けることを重視したりしています。
外外経工佛(がいがいけいこうぶつ:京都外国語・関西外国語・大阪経済・大阪工業・佛教)
関西の中堅私立大学の中でも、特定の分野に強みを持つ大学が集まったグループが「外外経工佛」です。京都外国語大学、関西外国語大学、大阪経済大学、大阪工業大学、佛教大学の5大学を指します。
神姫流兵(しんきりゅうへい:神戸国際・姫路獨協・流通科学・兵庫)
「神姫流兵」も関西の大学群のひとつです。神戸国際大学、姫路獨協大学、流通科学大学、兵庫大学が含まれます。各大学ともスポーツに力を入れています。
【東海エリア】主要私立大学の大学群

日本のものづくりを支える東海エリアにも、全国的に知られる大学や地域に根差した有力大学が集まっています。代表的な「南愛名中」を中心に、東海地方の主要な私立大学群とその特徴を見ていきましょう。
SSK(エスエスケイ:愛知淑徳・椙山女学園・金城学院)
東海地方の有力女子大学として知られてきたのが「SSK」です。愛知淑徳大学、椙山女学園大学、金城学院大学の3大学を指します。歴史と伝統があり、地域社会で活躍する卒業生を多数輩出しています。近年、愛知淑徳大学は共学化しました。
名名中日(めいめいちゅうにち:名古屋学院・名古屋学芸・中部・日本福祉)
東海地方の中堅大学を指す大学群が「名名中日」です。名古屋学院大学、名古屋学芸大学、中部大学、日本福祉大学の4大学が含まれます。
実学系の学部を持つ大学が多いのが特徴です。難易度としては、大東亜帝国~関東上流江戸桜と同じぐらいです。
南愛名中(なんあいめいちゅう:南山・愛知・名城・中京)
東海地方を代表する難関・中堅上位の私立大学群が「南愛名中」です。南山大学、愛知大学、名城大学、中京大学の4大学で構成されます。南山大学と中京大学の偏差値は高く、他の大学もそれぞれに強みと高い人気を持っています。
愛愛名中(あいあいめいちゅう:愛知・愛知学院・名城・中京)
「南愛名中」から南山大学を除き、愛知学院大学を加えた形で使われることがある呼称が「愛愛名中」です。愛知大学、愛知学院大学、名城大学、中京大学を指し、東海エリアの中堅上位大学グループとして広く認識されています。
【全国】主要国公立大学の大学群

学費の安さや研究環境の充実度から人気の高い国公立大学。旧帝国大学を筆頭に、全国には様々な特徴を持つ国公立大学群が存在します。最難関から地方の中核大学まで、代表的なグループを見ていきましょう。
旧六医大(きゅうろくいだい:千葉・新潟・金沢・岡山・長崎・熊本)
旧帝国大学に次ぐ歴史を持つ、かつての官立医科大学を前身とする6つの国立大学医学部を指すのが「旧六医大」です。千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学、熊本大学が含まれます。医学界において高い評価と長い伝統を誇ります。
東京一工(とうきょういっこう:東京・京都・一橋・東京工業(現東京科学))
日本の大学の最難関グループの一つが「東京一工」です。東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学(現東京科学大学)の4大学を指します。旧帝大の中でも特に難易度が高い東大・京大と、文系・理系の専門分野で最高峰とされる一橋大・東京科学大学で構成されています。
旧帝大(きゅうていだい:東京・京都・東北・九州・北海道・大阪・名古屋)
日本の最高学府として知られるのが「旧帝大」です。かつて帝国大学として設立された東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学の7つの国立大学を指します。
入試難易度は国内最難関であり、各分野で日本の学術研究をリードしている大学群です。また、旧帝大に一橋大・東京科学大・神戸大を加えて「難関国立10大学」という大学群で呼ばれることもあります。
旧三商大(きゅうさんしょうだい:一橋・神戸・大阪市立 ※現在は大阪公立大学)
戦前に設立された商科大学を前身とする一橋大学、神戸大学、大阪市立大学(現在は大阪公立大学に統合)の3大学を指すのが「旧三商大」です。商学・経済学分野において、日本のトップレベルの教育・研究機関として知られています。
TOCKY(トッキー:筑波・お茶の水女子・千葉・神戸・横浜国立)
首都圏および神戸の難関国立大学の頭文字を取った比較的新しい大学群が「TOCKY」です。筑波大学、お茶の水女子大学、千葉大学、神戸大学、横浜国立大学が含まれます。旧帝大と同様に難関大学で、研究力や国際性にも定評があります。
筑横千(つくよこち:筑波・横浜国立・千葉)
首都圏の難関国立大学である筑波大学、横浜国立大学、千葉大学の3大学を指す大学群が「筑横千」です。難易度も高く、高い研究力を持ち、受験生からの人気が高いグループです。TOCKYの一部でもあります。
金岡千広(かねおかちひろ:金沢・岡山・千葉・広島)
地方の難関国立大学である金沢大学、岡山大学、千葉大学、広島大学の4大学を指す大学群が「金岡千広」です。
難関大学群のひとつで、各地域の中核的な総合大学として高い研究力と教育実績を持っています。
旧二文理大(きゅうにぶんりだい:筑波・広島 ※前身の東京文理科大学・広島文理科大学)
戦前の高等師範学校の卒業生の進学先として設立された文理科大学の流れを汲む、筑波大学(旧東京文理科大学)と広島大学(旧広島文理科大学)を指す歴史的な呼称が「旧二文理大」です。
総合大学として、教育学分野をはじめ幅広い学問領域で高い評価を得ています。
電農名繊(でんのうめいせん:電気通信・東京農工・名古屋工業・京都工芸繊維)
理工系の難関国立大学である電気通信大学、東京農工大学、名古屋工業大学、京都工芸繊維大学の4大学を指すのが「電農名繊」です。それぞれの専門分野において高い研究力と技術力を持ち、産業界からの評価も非常に高い大学群です。
5S大学(ごエスだいがく:埼玉・信州・静岡・滋賀・新潟)
地方の国立大学群が「5S大学」です。埼玉大学、信州大学、静岡大学、滋賀大学、新潟大学の5大学を指します。各県を代表する中堅国立大学として、地域に根差した教育・研究活動を展開しています。
駅弁大学(えきべんだいがく:地方国立大学全般を指す俗称)
「駅弁大学」とは、特定の大学グループではなく、主に地方に設置されている国立大学を指す俗称です。
戦後に新制大学として多く設置された経緯があり、地域の高等教育を担う重要な存在です。
難易度は様々ですが、一般的には5S大学やSTARSなどが含まれるイメージで使われます。
STARS大学(スターズ:島根・鳥取・秋田・琉球・佐賀)
地方国公立大学の頭文字を取った大学群が「STARS」です。島根大学、鳥取大学、秋田大学、琉球大学、佐賀大学の5大学を指します。
それぞれの地域において、教育、研究、地域貢献の面で中心的な役割を果たしています。
北北秋琉室(ほくほくしゅうりゅうしつ:北見工業・北海道教育・秋田・琉球・室蘭工業)
北日本の北見工業大学、北海道教育大学、室蘭工業大学と、秋田大学、琉球大学をまとめた呼称とされることがあります。地理的に離れた大学が含まれ、偏差値帯も近いためグループ化されることがあり、その地域では有名な大学です。
大学群を知る上での注意点と賢い活用法

大学群は大学選びの便利な目安ですが、あくまで俗称であり、いくつかの注意点があります。序列や偏差値は変動しますし、大学群という括りだけでは測れない各大学の個性や魅力があるからです。
大学群のみの情報を鵜呑みにせず、自分に合った大学を見つけるために賢く活用する方法を解説します。
注意点1:大学群は「目安」であり絶対ではない
大学群は予備校などが便宜上作ったものが多く、公式な分類ではありません。時代によって序列や構成大学が変わることもあります。
また、同じ大学群内でも学部・学科によって難易度は大きく異なります。大学群のイメージだけで志望校を決めつけず、参考情報の一つとして捉えましょう。
大学群というフィルターだけでなく、個々の大学の教育内容や研究実績、アドミッションポリシー、キャンパスの雰囲気、立地条件などを多角的に調べることが、ミスマッチを防ぐために非常に重要です。
注意点2:偏差値や序列は変動する
大学の人気や難易度は、社会情勢や入試制度の変更などによって常に変動します。最新の情報を確認することが重要です。特定の年の偏差値ランキングや大学群の序列に固執せず、複数の情報源を比較検討しましょう
予備校が発表する偏差値は、あくまで前年度の入試結果に基づいた入試難易度の一つの指標であり、大学の教育力や研究力、ブランドイメージといった価値そのものを示すものではありません。
また、文系・理系、学部・学科、さらには一般選抜、共通テスト利用、総合型選抜といった入試方式によっても偏差値は異なります。
過去のデータだけでなく、最新の入試情報(募集要項、過去問など)や大学の動向(新学部設置、カリキュラム改革など)を継続的に注視しましょう。
活用法1:自分の学力に合った大学を探す
模試の成績などから自分の学力を把握し、それに対応する大学群を調べることで、効率的に志望校候補を見つけることができます。目標とする大学群と、実力相応の大学群、そして安全校としての大学群を意識すると良いでしょう。
活用法2:併願校選びの参考にする
第一志望の大学と同じ大学群や、一つ下の難易度の大学群から併願校を探すのは一般的な戦略です。
ただし、入試科目や配点、出題傾向は大学・学部によって異なるため、必ず個別の入試情報を確認しましょう。
大学群だけでなく、自分の得意・不得意科目に合った大学を選ぶことも重要です。
【参考コラム】
大学選びの基本 -情報収集をすすめよう-
大学受験 志望校の決め方 決められない人向け7つの選び方
まとめ:大学群はあくまで羅針盤。最後は自分の目で確かめよう!
この記事では、関東・関西・東海・国公立の主要な大学群を、難易度や特徴とともに網羅的に解説しました。
大学群は、広大な大学の海の中から自分の進むべき方向を探すための「羅針盤」のようなものです。
しかし、最終的にどの大学を目指すかは、あなた自身の目で確かめ、判断することが何よりも重要です。
大学群の知識を参考にしつつ、各大学のパンフレットを取り寄せたり、オープンキャンパスに参加したりして、自分が本当に学びたいこと、成長できる環境を見つけてください。