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高校生の受験勉強ルーティン 集中力、質が向上するその方法とは?

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執筆:八尾直輝

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長

受験勉強と一口にいっても、いつから、どのくらい、どのように進めればいいのか?迷う人も多いものです。学習は継続することが大切ですが、なかなか勉強を習慣化させるのは難しいもの。高校生活を充実させつつ、勉強を習慣化させるために、勉強をルーティンにしてしまいましょう。その具体的な方法をご紹介します。

目次

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なぜ、勉強をルーティン化すると良いのか? 

ルーティンは、スポーツの分野でよく使われる言葉ですが、学習においても非常に有効な考え方と言えます。まずは、ルーティンの概要と、学習にどのように応用できるのかについて見ていきましょう。

ルーティンとは?

routine(ルーティン)とは、「決まり切った仕事」「日常の仕事」、あるいは「日常の」「定期的な」といった意味を表します。そこから、何かしら目標達成に関することを考えるとき、ルーティンとは、日々同じような行動をコツコツと積み上げていくことを指します。例えば、毎日学校に行ったり、授業が終わった後に部活に行ったりすることもルーティンの一つです。さらに、授業が始まった瞬間にノートを開くことなども、ルーティンに含まれます。

ルーティンの特徴は、習慣化していて、本人がストレスを感じずに、何も考えずにできることです。ルーティンを突き詰めていくと、周りから見るとすごく努力しているように見えても、本人は苦に感じず遂行できるという理想的な状態になります。これは、努力を努力と思わずに積み上げられる状態とも言えます。

スポーツ選手のルーティンとして有名なのは、ラグビーの五郎丸選手のキックをする前の手を合わせるルーティンです。これは、キックをする前に自分の中のバランスやコンディション、メンタルを整えるために突き詰めた結果、出来上がったものです。ルーティンを確立することで、直前に余計なことを考えたり、不安になったりすることなく、目の前の課題に集中することができるのです。

勉強にルーティンを活用するメリット

勉強にルーティンを取り入れることには、大きく分けて2つのメリットがあります。

1つ目は、勉強に集中しやすくなるということです。机に向かったら何から勉強するのかを毎回考える必要がなくなるため、スムーズに勉強を開始できます。スマートフォンの通知などに気を取られることなく、決められたルーティンに沿って勉強を進めることができるのです。

2つ目は、学習方法の改善につながるということです。定期試験の結果が思わしくない場合、直前の勉強方法だけでなく、普段の学習ルーティンを見直すことが重要です。ルーティンを改善することで、本質的な学力向上につなげることができるのです。

勉強にルーティンを活用することは、日々の勉強の効率を高めるだけでなく、長期的な成績向上や受験に通用する学力を育成するためにも必要不可欠だと言えるでしょう。ルーティンを確立し、着実に学習を積み重ねていくことが、学力アップへの近道なのです。

学習ルーティンの立て方      

ルーティン成功のための
「マイルール」の極意

  1. やることを、具体化すること
  2. 行動の入り口を明確にすること

学習ルーティンを作る上で最も大切なことは、最初から完璧な形を目指すのではなく、徐々に改善を重ねながら自分に合ったルーティンを作り上げていくことです。いきなり理想的なルーティンを決めて実行しようとしても、なかなか続かずに挫折してしまうことが少なくありません。

大事なのは、決めたルーティンを実行する体力ややり抜く力を少しずつ伸ばしていくことです。最初から完成形を作るのではなく、現状に少しずつ新しい改善を加えていくプロセスの中で、自分なりのコツややり方を身につけていくことが必要不可欠です。

まずは自分の現状のルーティンを書き出すことから始めましょう。この表のように、現在のルーティンを見える化しておくことで、次に改善すべきポイントも明確になります。

学習ルーティンの例

現状が整理されたら、毎週小さな改善を1つ重ねていきます。この小さな改善のことを「マイルール」と呼びます。マイルールを用いた改善を継続するためには、コーチや先生といった存在に頼ることも大切でしょう。小さな改善といっても、それを継続するのは決して容易なことではありません。例えばコーチや先生と毎週面談の約束があれば、それがよい改善の機会になります。

マイルールを決める際には、2つのポイントを押さえることが重要です。

1つ目は具体化することです。具体化には、3W(Where・When・What)をしっかりと決めることが大切です。例えば、「理科の復習を毎日25分行う」というマイルールを設定する場合、「Where(どこで):自宅の自分の部屋の机で」「When(いつ):20時から」「What(何を):最初の5分で当日のノートを開いて読み直し、次の10分で該当する問題集の問題を2問解く」というように、具体的に決めることでより実行しやすくなります。

2つ目は、行動の入口を明確にすることです。行動の入口とは、実際にその行動を始めるときの最初の1〜2分程度の動きのことを指します。発射ボタンを押されたロケットが自動的に飛んでいくように、我々の行動は最初の動きが決まれば、あとは比較的苦なくできることも少なくありません。先ほどの例でいうと、「机に座ってノートを開いて読み始める」「問題集の該当箇所を開く」といった最初の小さな行動です。この最初の動きをしっかりとできれば、その後の行動もスムーズに進みやすくなります。

勉強のやり方と学習ルーティン        

勉強の種類ごとの
学習ルーティン

  1. 暗記主体のもの
    …アウトプットでテスト化効果を得る
  2. ページ数、問題数で区切れるもの
    …毎日の学習量を決め、コツコツ積み上げる
  3. 難問・チャレンジ問題
    …時間を決めてチャレンジする
  4. 得意科目と苦手科目
    …うまく組み合わせて進めるのがポイント

学習ルーティンは、何を学習するか、どのように学習するかによって、様々な工夫が可能です。この章では、勉強を多角的に分類し、それぞれどのようなルーティンの作り方や工夫の方法を紹介します。

暗記主体のもの

暗記学習のルーティンを考えるポイントは次の2つです。

1つ目はアウトプットを学習に取り入れることです。ただ見るだけ・読むだけのインプット学習では覚えることが難しく、自分で使ってみたり、ノートに再現してみたりするなど、自ら作り出す行為であるアウトプットを通して理解を深めていくことが重要です。

教育用語では「テスト効果」と言われます。インプット学習は短期的な記憶には残るものの、入試や模擬試験のような長期的な知識が問われる場面では、アウトプットをすることがインプットだけの学習と比べて大きな差を生み出すことが明らかになっています。暗記学習のルーティンは、しっかりとしたアウトプットの形を作ることを考えましょう。

さらに、アウトプットの回数を増やすことも重要なポイントです。様々な研究から、長時間の少ない回数の学習よりも、短時間の多くの回数の学習の方が長期的に効果的であることがわかっています。例えば60分の学習をする場合、まとめて行うのではなく、15分を4回に分けて一定の間隔を空けて行う方が、学習効果が高い可能性があります。復習のルーティンを考える際は、授業後に1分、帰宅後に15分、週末に15分など、小分けに復習することを意識してみましょう。

ページ数や問題数で区切れるもの

学習内容を定量化することは、効果的な学習ルーティンを作る上で重要です。教科書のページ数や問題集の問題数、単語数などで学習量を区切ることで、計画に組み込みやすくなります。一方、定量化が難しい課題は、ルーティンに組み込むのが困難な場合があります。

定量化されたものは、コツコツと日々積み上げる学習に適しています。例えば、数学の問題集なら一日二問解くといった具合です。

日々コツコツ取り組むルーティンの例

  • 数学2問
  • 英単語5個
  • 漢字1ページ

一方でその日の復習などは、学校や塾の進度に合わせて取り組む必要があります。毎日復習に充てる時間を決め、学習ルーティンに組み込むのがよいでしょう。

日々の復習のルーティンの例

  • 日本史の復習15分(ノートの見直し5分+白紙再現10分)
  • 化学の復習20分(ノートの見直し5分+問題集15分)
  • 英語の復習15分(長文の読み直し+不明単語・熟語の覚え直し)

大切なのは、やるべき課題を見定め、適切な定量化を行うことです。これにより、充実した学習ルーティンを作ることができます。自分に合った方法で、着実に学習を積み重ねていきましょう。

難問、チャレンジするもの

難問やチャレンジが必要な問題は、思考力を問われる問題とも言えます。そのような問題に普段から挑戦することは、自分の学力の上限を押し上げることにつながります。しかし一方で、難問は解くのにかかる時間が予測しづらいという特徴があり、際限なく時間を費やしてしまう可能性があります。

そのため、難問と普段の学習を両立させるのは意外と難しいのです。これに対処する方法は大きく二つあります。一つ目は、普段のルーティンで決まっている定量化できる課題を先に終わらせ、残り時間を全て難問に充てるというものです。これにより、普段の学習も充分にでき、時間を気にせず挑戦的な問題に取り組むことができます。

二つ目は、あえて時間制限を設けるというものです。入試問題などに挑戦する際は、問題の語数や難易度から時間制限を決め、入試を受けるような感覚で取り組むのです。入試で求められる思考能力は、常に時間制限付きで問われるものなので、このアプローチは有効だと言えます。

難問に挑戦する際は、普段のルーティンよりは長めに時間を設けつつも、制限時間内で自分の思考力を伸ばそうと努力することが大切なのです。

得意なもの、苦手なもの

学習における得意科目と苦手科目の違いは、学習への取り組みやすさに表れます。得意科目は没頭しやすい一方、苦手科目は学習を始める気が起きにくく、途中でつまずきやすいものです。この違いを踏まえ、特に苦手科目の学習ルーティンを確立することが、学習計画を進める上で重要なポイントになります。

苦手科目の学習ルーティン化のコツは大きく2つあります。

1つ目は、学習の入り口をなるべく簡単かつ具体的にしておくことです。例えば、教材を机に出すだけでなく、始めるべきページを開いて置き、最初に取り組むアクションを決めておきます。英単語なら声に出して読み上げる、数学なら問題文の式をノートに写すなど、具体的な動きのあるアクションを設定することで、学習の入り口を突破しやすくなります。

2つ目のコツは、得意科目と苦手科目をうまく組み合わせることです。得意科目は始めやすいため、まず得意科目から着手し、終了後すぐに苦手科目に移行するのです。例えば、数学が得意で英語が苦手な場合、数学の学習前に英語の学習範囲を開いて準備しておきます。数学が終われば、すぐに英語の学習を始められる状態を作っておくのです。

得意科目の学習意欲を活かし、苦手科目へのハードルを下げることが肝要です。学習の入り口を具体的にし、得意科目と苦手科目を組み合わせる工夫により、苦手科目も着実に学習ルーティンに組み込むことができるでしょう。自分なりのコツをつかみ、アレンジを加えていくことで、学習計画を着実に進めていきましょう。

科目・教科別勉強法については、こちらのコラムも参照してください。
駿台の必勝勉強法

平日、休日、夏休み 受験勉強時間の見つけ方、使い方

時間の使い方の極意

  1. 「毎日やること」に
    隙間時間活用のヒントがある
  2. 「生活の3点固定」が
    安定した学習習慣を支える
  3. 休暇や遊ぶ時間も計画に組み込む
  4. 予備日を用意しておく
  5. 睡眠時間は最優先で確保する

学習ルーティンと時間の使い方は密接に関連しています。学習内容を考えることも重要ですが、同時に時間の使い方を考えることも、学習ルーティンの質を向上させるために有効なアプローチです。この章では、様々な時間に着目しながら、自分の学習ルーティンを改善していく工夫について解説します。     

隙間時間を見つける

隙間時間を活用することは重要ですが、実際に隙間時間を見つけるのは簡単ではありません。そもそも隙間時間自体を見つけられなかったり、突発的にできた隙間時間で学習しようとしても適切な方法が見つからなかったりする人もいるでしょう。

学習に有効な隙間時間を見つけるためには、定期的に発生する隙間時間を特定することが大切です。隙間時間ができた時にすぐに学習できるよう、ある程度の準備が必要だからです。そのためには、日々のルーティンの中から、決まったリズムで発生する隙間時間を見つけ出すことが重要です。

例えば、通学時間や歯磨きの前後、お風呂の前後、食事の前後、寝る直前などは、毎日行う行動に付随する時間を見つけやすいでしょう。このように、自分のルーティンの中から細かい隙間時間を見つけることで、それに合わせた準備ができるようになります。

隙間時間を有効に活用するには、まずは自分の生活の中で定期的に発生する隙間時間を特定することから始めてみましょう。

通学時間も活用する

通学時間は毎日あるもので、この隙間時間を有効活用することで、普段の学習効率を上げ、学習ルーティンを安定させることができます。電車やバスでの移動中は、集中して学習に取り組むことができる貴重な時間だと言えるでしょう。

通学時間に適した教材としては、音声教材、映像教材などを活用したり、単語帳や一問一答用語集などのシンプルな暗記をしたりするのがおすすめです。例えば、毎日決まった数の英単語を覚えたり、映像授業を1本視聴するなどの学習が効果的です。例えば電車で学習する際は、移動中に単語を5個覚え、駅に停車している間にテストをし、また動き出したら5個覚える、といった具合に移動中の特性を学習のリズムに活用するなどの工夫ができます。

英語のリスニング学習は、自宅でももちろん可能ですが、他の学習課題が多いために後回しにされがちです。そこで、リスニング学習は通学時間に行うと決めてしまうのも一つの手です。通学時間を有効活用することで、リスニング学習を習慣化できるかもしれません。

ただし、通学時間を学習に活用する際は、学習をルーティン化させることが重要なポイントとなります。例えば、電車に乗ったらすぐに単語帳を開くというように、学習開始のタイミングを自分でコントロールする必要があります。スマホを使っていると、つい他のアプリに気を取られてしまい、学習が後回しになってしまうこともあるでしょう。学習を始めるタイミングを意識してルーティン化することが、通学時間を有効に活用するコツだと言えます。

学習教材の扱いにも工夫が必要です。例えば、単語帳は鞄の中で一番取り出しやすい場所に入れておく、電車を待っている間にあらかじめ取り出しておく、ポケットに入れておくなど、すぐに学習を始められる状態を作っておくことが大切です。

生活の3点を決める

学習習慣を確立するために細かいルーティンを決めても、常にそのとおりに守れるわけではありません。調子のいい日もあれば、悪い日もあるのが現実です。学習がうまくいく人とそうでない人の違いは、安定性です。長期的に結果を出すためには、安定性が重要であり、大きな崩れを避けることが鍵になるのです。

そのために「生活の三点固定」という考え方を紹介します。これは、起床時間、学習開始時間、就寝時間の3つの時刻を決めて、絶対に守るというものです。例えば、夜遅くまで起きていると、朝起きるのが遅くなり、睡眠不足のまま早起きすると、昼間に眠くなったり、集中力が低下したりします。そして、夜は眠くなって学習前に寝落ちしてしまうなど、生活全体が狂ってしまいます。このように、この3つのどれかが狂うと学習が大きく乱れるきっかけになるのです。

逆に、この3つの時間さえしっかり守れば、大きく崩れることはなく、日々の学習を継続できます。学習習慣を作ろうと考えている人は、まず自分の起床時間、就寝時間、自宅学習開始時間を決めてみてください。自宅学習開始時間は曜日によって異なる場合もあるので、曜日ごとに分けても構いません。一方、起床時間と就寝時間は、休日も含めて毎日一定に保ち、変化があっても30分以内に収めるのが理想的です。

生活の3点固定ができる人とできない人の差は受験生の冬休みに顕著に現れます。寒い時期は朝の起床が遅くなりがちなことに加え、時間管理が個々の受験生に任されるこの時期は、時間の使い方の差がつきやすいのです。残念ながら、生活の3点固定ができてない受験生は、受験の直前に失速するということが少なくありません。

休暇や友達と遊ぶ時間もとっておく

受験勉強は長期戦です。たくさん勉強することは大切ですが、息抜きをしながら自分のペースで進めることが何より重要です。マラソン選手のように、一定のリズムでコツコツと積み重ねていくことが学習ルーティンの真髄なのです。

そういう意味で、遊びを我慢しながら勉強するのは得策ではありません。我慢は長続きせず、どこかで糸が切れたように勉強が難しくなってしまうでしょう。だからこそ、自分に合った息抜きの方法を見つけ、遊びの時間を学習ルーティンの一部として取り入れることが大切なのです。

部活動や友達との時間をどれくらい確保するか、あらかじめ自分で決めておきましょう。その範囲内でしっかり遊んだら、決めた勉強は必ずやる。メリハリをつけることで、長期的に自分のペースを守り続けられるはずです。精神的に無理をせず、学習ルーティンの質を高めていく。それが受験勉強の鍵となります。

予備日を作っておく

学習ルーティンに予備日を組み込むことは非常に重要です。理想通りに計画が進められれば良いのですが、現実には学校の予定や部活動の試合などで、毎週のルーティンを進めることが難しい場合もあります。そんな時でも自分の学習が大きく狂わないように、予め計画に予備日を組み込んでおくという発想が大切なのです。

例えば、月曜日から土曜日までの学習計画を立て、消化できなかったものを日曜日にまとめて行うというのも一つの方法でしょう。日曜日丸一日が難しければ、午後や夜の時間をキャッチアップに当てるのも良いかもしれません。

自分のスケジュールに合わせて、まとまった予備時間を確保しておくことが、学習ルーティン全体の質を上げることにつながります。1週間のスケジュールを過密にするのではなく、どこかに予備日を作り、そこで溢れたものを取り戻す。そんな余裕を持った学習ルーティンを構築していきましょう。

睡眠時間は決めておく

睡眠時間は学習の質に直結するため、非常に重要です。いくら学習時間を増やしても、睡眠不足で集中力が上がらなければ、学力を伸ばすのは難しいでしょう。

必要な睡眠時間には個人差がありますが、文科省の調査によると、高校生に必要な睡眠時間は7時間から9時間とされています。しかし、日本の高校生は平均して1時間以上睡眠不足だと言われており、注意が必要です。

自分の体調や体質をよく考え、自分に合ったベストな睡眠時間を見つけましょう。学習ルーティンのすべてに対して、睡眠を最優先に決めるべきです。自分にあった睡眠時間を知り、それを基に起床時間と就寝時間を決め、生活の三点固定をより効果的なものにしていくことが大切です。

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みんながやっている?おすすめルーティン例

学習ルーティンは人それぞれ異なります。他人にとって有効だったことが、必ずしも自分に適しているとは限りませんが、他の人の方法を参考にすることで、自分に合ったものを見つけられる可能性があります。この章では、特に有効だと言われている学習ルーティンをピックアップして紹介します。まずは、興味のあるものからぜひ試してみてください!    

朝のルーティン モーニングルーティン

高校生にとって、朝の時間の使い方は非常に重要です。朝の学習や時間の作り方は、その日一日の流れを作り、学習効率を上げることに直結します。また、朝は頭がすっきりした状態で、学習効率も高いと言われています。朝の学習習慣を作ることで、密度の濃い学習時間を増やすことができるのです。

しかし、朝の時間の作り方は意識しないと難しい側面があります。寝坊したり、二度寝してしまったり、ギリギリで間に合わせればいいと思ってしまいがちです。そのため、朝の時間の作り方は自覚的に見直す必要があります。

まずは、朝食を必ず食べることを軸に考えましょう。個人差はありますが、何かを食べることを意識することが大切です。そして、朝食の前後にやるべきことを決めてルーティンを作ります。例えば、朝食前には起床後のベッドメイク、着替え、洗面、前日の復習、勉強時間の確保、ストレッチ、一日のスケジュール確認、持ち物の準備などがあげられます。朝食後は、洗面、歯磨き、着替え、荷物の準備、出発前の学習時間などが考えられます。

自分なりの習慣を作り、朝の学習時間を30分から1時間確保できれば、一日の学習効率を上げることができるでしょう。

”整う”ためのルーティン

学習効率を上げるためには、精神的な安定が欠かせません。長時間集中するためにも、自分に合ったリラックス方法を身につけることが重要です。人によって、コンディショニングの方法は異なるので、自分なりのやり方を見つけることが大切です。

体を動かすことは、精神的な安定を図る上で効果的です。例えば、5分間のストレッチや15分間の散歩を取り入れてみましょう。景色が変わることで気分転換ができ、再び集中力を高められます。短時間の筋トレを行うのも一つの方法です。

また、週に一回、自分のテンションやモチベーションが上がる時間を作ることも大切です。目安としては、1週間に1〜2時間程度です。好きなドラマを見たり、志望校について調べたりするのも良いでしょう。まとまった時間を定期的に取ることで、習慣全体の中で自分の気持ちを整理していくことができます。

自分に合ったリラックス方法を見つけ、日々のルーティンに取り入れることで、精神的な安定を保ち、学習効率を上げることができるでしょう。

学習場所ごとのルーティン

学習する場所は、自分の学習ルーティンを確立する上で非常に重要です。学習するための机があればどこでも勉強できるという考えも一理ありますが、実際には場所の選択が集中力に大きな影響を与えます。集中力を高めるための場所の選択は、学習効率を上げる上で欠かせない要素と言えるでしょう。

具体的な方法としては、曜日や時間帯によって学習場所を決めることが効果的です。例えば、部活がない日は、学校の授業が終わった後、学校の自習室に直行して数学の演習を行う。部活がある日は、帰宅後に自分の部屋でその日の復習をする。このように、ルーティン化することで、学習モードに自然と入ることができます。

場所を決める上で、以下の3つの観点もチェックするようにしてください。

  1. 環境の静かさ

学習場所は基本的に静かな環境が望ましいです。しかし、ある程度騒音がある場所の方が、集中力が上がるという研究結果もあります。自分にとって適切な場所を探すことを心がけてください。

  1. 照明と設備

適切な照明と設備も集中力に影響を与えます。明るすぎず暗すぎない適度な照明が必要で、自然光が入る場所が理想的です。さらに、快適な椅子と机、インターネット環境など、必要な設備が整っていることも重要です。

  1. アクセス

自宅や通学路からの距離も考慮しましょう。通いやすい場所を選ぶことで、学習の継続がしやすくなります。

このような条件を満たす場所として、学習塾の自習室や地元の図書館を利用することも考えられます。これらの場所は、同じ目的を持った人々が集まるため、強制力を感じやすく集中しやすい環境です。周囲の人が勉強している空気感の中では、自分だけがサボるわけにはいかないという気持ちになりやすいものです。このような環境の力を借りて、自己管理を強化することができます。

いつでも使える場所を確保するというのも重要な観点です。例えば、カフェでの学習も一つの方法ですが、曜日や時間帯によっては席が空いていなかったり、周囲が騒がしかったりする可能性があります。不確定要素によって学習計画が狂わないように、必ず空いていて、学習モードに入りやすい場所を確保しておくことが望ましいと言えます。

集中力を維持するためのルーティン

集中力を維持するためには、普段のルーティンを見直すことが大切です。特に学習面では、以下の3つの観点から自分に合ったルーティンを作ることをおすすめします。

1つ目は学習と休憩のバランスです。適切な休憩が学習効果を向上させるという研究結果もあります。自分の特性や学習内容に適したバランスを見つけルーティンに取り入れていきましょう。

例えば、25分学習して5分休憩するポモドーロテクニックといわれるやり方や、学校の授業のように50分学習して10分休憩するやり方は取り入れやすい方法です。自分に合ったリズムを見つけましょう。

2つ目は空腹と仮眠を活用することです。満腹や睡眠不足は集中力の敵です。食事のタイミングを調整し、満腹で眠くなるのを避けましょう。どうしても眠たい時は、20〜30分程度の仮眠をとるのも一つの手です。机で寝るなど、すぐに起き上がれる場所を選び、タイマーをかけるのを忘れないようにします。

3つ目は朝型学習への切り替えです。夜は疲れていて集中力が上がりづらいものです。うまくいかない人は、早めに寝て朝早く起きて学習するルーティンを取り入れてみましょう。朝の学習効果は高いと言われています。早起きはちょっと苦手…という人もいるかと思いますが、取り入れてみると上手くいく人も少なくないようです。ぜひ一度挑戦してみてください。

寝る前、夜のルーティンは

受験生の皆さん、勉強だけでなく、睡眠も合格への重要な要素です。特に、寝る前の過ごし方は学習効率に大きな影響を与えます。夜のルーティンを見直し、以下の3つのポイントを意識してみましょう。

まず、決められた就寝時間を守ることです。スマホの使用時間が延長しがちですが、それが睡眠不足や睡眠の質の低下を招き、学習のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。23時以降はスマホに触らない、リビングの充電器に繋ぐなどのルールを設けて、規則正しい生活リズムを保ちましょう。

次に、明日の学習準備を前日夜のうちに行うことです。特に朝学習に取り組む場合、当日の準備に時間がかかると、二度寝の原因にもなりかねません。教材や水を用意しておくなど、目覚めてすぐに始められる環境を整えておくと効果的です。

最後に、寝る前に暗記学習を取り入れることです。就寝前に覚えた内容は、睡眠中に記憶が整理され、知識が定着しやすいと言われています。例えば、その日の授業の復習を5分間行ったり、英単語を3つ覚えたりするなど、小さな積み重ねが大きな成果につながります。1日3つの英単語を覚えれば、年間で1000個以上になります。ぜひ取り入れてみてください。

実際に志望校合格を果たした人はどんな学習ルーティンを取り入れていたのか、こちらの記事も参考にしてみてください。
受験合格体験記

大切なのはふりかえり

ルーティンの定期
メンテナンスのポイント

  1. 振り返り改善しつつ、
    積極的に新しいルーティンを取り入れる
  2. やったこと、できたことを可視化する
  3. 成果の実感が、ルーティンを強固にする
  4. マンネリ化を防ぐ

ルーティンを長期間そのまま続けていると、徐々にマンネリ化し、質が低下することがよくあります。ルーティンを継続することと同時に、メンテナンスを行うことも非常に重要です。定期的にルーティンを振り返り、メンテナンスする際は、新しい要素を積極的に取り入れることが大切です。

ふりかえりもルーティンにする

学習ルーティンを確立することは重要ですが、同時に継続的な改善も忘れてはいけません。同じことを繰り返すだけでは、学習効率は向上しません。定期的にルーティンを見直し、必要な改善を取り入れることが大切です。週末に振り返りの時間を設けるなど、絶えず自分のルーティンを見直すようにしてください。

改善には二つの視点があります。一つは、うまくいかないルーティンを取り組みやすくするための工夫です。例えば、今日の社会の復習がうまくいかない場合、復習しやすい仕組みを考えたり、場所を変えてみたりすることです。これまでの自宅での一人での復習から、放課後に友達と問題を出し合って復習するといったやり方に変えるのも一つの方法です。

もう一つの視点は、新しいルーティンを取り入れることです。同じルーティンを続けることは大切ですが、マンネリ化やモチベーションの低下から、学習の質が下がることもあります。そんな時は、新しいルーティンを取り入れて心機一転、自分自身に喝を入れるようなイメージで取り組みましょう。例えば、朝学習を始めてみる、週末の朝の時間の使い方を見直す、友人と一緒に学習してみるなど、これまであまり試したことのない方法を取り入れてみるのも良いでしょう。

学習ルーティンの改善には、試行錯誤が付き物です。10個試してみて、定着するものが1、2個あればうまくいっている方です。積極的にいろいろなことに挑戦する中で、自分に合ったものを見つけていくことが重要です。一つ一つにこだわりすぎず、身につくものは身につけ、身につかないものは仕方ないと割り切る心持ちを持ちましょう。

やったこと、できたことを記録する

普段の学習ルーティンを続けていく上で、記録をつけることは思いのほか重要です。皆さんの日常に根付いている歯磨きやお風呂などは、記録をつけなくても自然に行えます。しかし、学習に関してはまだ完全に習慣化されていない場合が多く、新しいルーティンに挑戦する際には、うまく続かないこともあります。このようなときに習慣を定着させるためのコツが、記録をつけることなのです。

記録をつけることのメリットは二つあります。一つ目は、自分のやるべきことを整理できる点です。記録するためには、何をするのか具体化する必要があります。例えば「英語の勉強をする」という曖昧な目標ではなく、「歯を磨く前に英単語を10個覚え、歯磨き後にテストする」といった具体的な内容にすることで、達成状況を明確に記録できます。このように、目標を具体化し、完了定義を明確にすることで、日々の進捗をきちんと管理できるのです。

二つ目は、達成感を得ることでモチベーションを高める点です。完了を記録することは意外と嬉しく、達成感を積み重ねることで自然と習慣化されます。これをサポートするためには、アプリケーションやノートなど、自分が楽しく使えるツールを選ぶのがポイントです。例えば、スマホやスマートウォッチのアプリを使えば、日々のルーティンをチェックリスト形式で容易に管理でき、リマインドをしてもらうこともできますし、達成時に音が鳴るなどの演出も楽しめます。

小テストなどの結果で成長を確認する

普段の学習ルーティンを改善するためには、そのルーティンが本当に適切なのかを確認し続けることが大切です。その観点からすると、毎週行われる小テストは、ルーティンを振り返る良い機会になります。

例えば、金曜日の朝に英語の単語テストがあるとしましょう。そのテストに向けて、月曜日と水曜日に一回ずつ単語を覚え、木曜日の夜に最後の復習をするというルーティンを考えることができます。もし金曜日の小テストで点数が取れていないとしたら、学習回数が足りないのか、やり方が間違っているのかを検討し、ルーティンを見直す機会となるでしょう。

ただし、小テストで良い点数が取れていても、ルーティンの改善は必要なこともあります。なぜなら、小テストでの高得点が、模擬試験やその先にある入試での良い結果を保証するとは限らないからです。小テストは、直前の詰め込みである程度対応できますが、そのような学習方法では長期記憶につながりにくく、入試に通じる力をつけるという意味では不十分なのです。

また、学校で小テストが行われない場合でも、自分なりの小テストの方法を確立することは可能です。例えば、数学の練習を2週間ごとに行い、週末にランダムに選んだ2、3問を自分でテストしてみるなどの方法があります。このように、自分なりの理解の確認をすることが大切です。その時点で記憶が定着していれば、そのルーティンはまずまず機能していると判断できます。一方、週末に習った範囲の問題が解けないようであれば、ルーティンを見直す良いきっかけになるでしょう。

学校の小テストを受けるにせよ、自分でテストをするにせよ、主体的に自分のルーティンを確認する機会をつくる姿勢が重要なのです。

マンネリ化を防ぐコツ      

学習ルーティンは継続することで結果を出すことを目指すアプローチですが、同じことを続けるとマンネリ化からモチベーションが低下することがあります。正しいルーティンでもやる気がなければ、なかなか成果が出ません。そのため、自分に合ったルーティンを作りながらも、絶えず刺激を与えてモチベーションを向上させることが重要です。

対策を3つの観点から紹介します。

1つ目は新しい習慣を取り入れることです。何か新しいことに取り組んでみることで、マンネリ化を打破できます。いったん成果につながるかどうかは度外視し、ちょっとやってみたいと思ったことや、噂で聞いたことがあるようなやり方を取り入れて、自分で体感してみるのがおすすめです。例えば、朝型の生活を試してみたり、朝早く学校に行って実習してみたり、友人と一緒に学習して理解を確認し合ったりするのもいいでしょう。新しいことに挑戦することは、マンネリ化を打破する上で非常に意味があります。

2つ目は本やyoutubeなどを活用し、視野を広げることです。普段の学習に集中しすぎると、視野が狭くなったり、学習の意義がわからなくなったりすることがあります。そんなときは、本やYouTubeなどで自分の学んでいる分野の最先端の技術や応用例を見ることで、目の前の学習に対する影響を与えることができます。特に理科系の分野では、最先端の技術やその応用例を見ることで、今の学習に大きな影響を与えるでしょう。また、普段テキストで見ている二次元の情報を、動画などの三次元で見ることで、より生き生きと知識を吸収するきっかけになります。

3つ目は学習環境を変えてみることです。学習場所を変えたり、整理整頓して模様替えをしたりすることで、新たな気持ちで頑張ろうという気持ちになれます。見た目が変わるだけでも、もう一度頑張ろうという気持ちになるものです。抜本的に環境を変えるのも一つの手段ですし、モチベーションが上がらないときに利用できるお気に入りのカフェを探しておくなど、瞬間的にモチベーションを上げる方法も有効です。

学習モチベーションを維持するためには、自分に合ったルーティンを作りながらも、新しいことに挑戦し、刺激を与え続けることが大切です。マンネリ化してきたと感じたら、これらの方法を試してみてください。きっと、新たな発見やモチベーションの向上につながるはずです。自分なりの工夫を重ねながら、楽しく学習を続けていきましょう。

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一日8時間勉強する! も良いけれど        

ルーティンに関して理解を深めることができたでしょうか。長時間学習は、単なる根性論だけでは実現できません。それは、学習体力をつけることが必要不可欠だからです。マラソンを完走するためには、コツコツと練習を積み重ねて体力を付けていくことが大切なように、長時間学習を継続するためには、自分の学習ルーティンを日々改善していく必要があるのです。

一日だけなら長時間学習に耐えられるかもしれませんが、それを継続するのは容易ではありません。意気込んでやってみたものの、長続きしなかったという経験をした人も少なくないでしょう。しかし、変な根性論に頼るのではなく、毎日コツコツとルーティンを改善し、新しいことに挑戦することで、少しずつ自分を変えていくことができます。

この日々の積み重ねこそが、長時間学習できる自分を作り上げていくのです。ルーティンの改善を積み重ねることで、着実に学習体力を身につけ、長時間学習を可能にしていきましょう。

著者プロフィール

八尾直輝の写真 八尾直輝 株式会社プラスティー教育研究所

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。

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