理解に関する学習法② ー受験・学習コーチングのポイント

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執筆:八尾直輝

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長

目次

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一行ずらし見勉強法

やり方

「一行ずらし見勉強法」は模範解答を読む際に、解答を一行ずつ読むことで、自分の理解できていないポイントを明確にする方法です。数学の単元学習に適した学習法で、紙などで隠した解答を一行ずつ下にスライドさせることで、丁寧に解答を読み、理解すべきポイントを明確にすることができます。

◆「一行ずらし見勉強法」3つのステップ

1.自力で問題を解く
解答を紙で隠し、自力で問題を解きます。解けない場合は、問題集の方針やポイントを確認し、その方針に従って問題を解き進めます。

2.模範解答の方針を「ずらし見」で読む
躓いたところで解答を隠している紙を一行ずつずらし、躓いたポイントまで解答を読みます。途中で理解できた場合はそこで「ずらし見」を止め、再度続きを自力で解きます。

3.自力で解き切る
「ずらし見」と「自力で解く」を繰り返し最後まで解き切ります。解き終えた後で理解が曖昧だと感じる問題は、ずらし見で躓いた点を中心に質問をします。

より効果的な取り組みのためのワンポイントアドバイス

自分で解くことが学習の基本とはいえ、日々時間の制約があるなかで、じっくりと考え抜くのは現実的でないときもあります。「考えたいけど、時間がない」というときに、「一行ずらし見」を活用してみましょう。ポイントになる1行読むだけで、その後は自力で解答できることも少なくありません。

また模範解答をよく理解できていないときも「ずらし見」は有効です。1行ずつ自分の理解を確認しながら読むことで、理解できていない点が明確になります。たとえ自力で解決できなくとも、「この行がわかりません!」という風に、具体的な質問をしやすくなります。

記号問題対策・全文書き出し学習

やり方

「全文書き出し演習」は英文法や社会などの一問一答形式の学習で、本質的な理解を促進する学習法です。一問一答形式の問題集は空欄補充の選択式になっていることも多く、空欄の前後だけから解答を判断できることも少なくありません。しかしそのような学習では知識を定着させることが難しく、模試などの実戦に通用する力になりません。

◆「全文書き出し」3つのステップ

1.問題文の全文をノートに書く
「空欄のみ」「記号で」の問題も、全文を必ずノートに書くようにします。問題と問題の間にメモ用の行(目安:2行)をあけておくとよいでしょう

2.模範解答を見て、採点する
記号のみを読むのではなく、解説にも丁寧に目を通します。

3.解き直しをし、空所以外に学ぶことも含め、復習する
不明点は辞書・参考書で調べます。オレンジペンで暗記事項をメモし、時間を空けて誤答を解き直しましょう。

より効果的な取り組みのためのワンポイントアドバイス

文章全体を書き出すことで、空所以外の知識を学ぶことができます。やり方が簡単な割に学びが深まる実感も大きく、取り入れやすい学習法です。演習ノートが「記号のみ」になってしまっている人はぜひやってみましょう。

ただし、すべての問題で「全文書き出し」をするのは少し時間がかかりすぎると感じることもあります。慣れてきたら、学びが多いと感じる問題に絞って実施するのがおすすめです。

「理解力」を向上させるための習慣

習慣①:友達と勉強を教え合う

最後に理解力を向上させる習慣を2つ紹介します。1つ目は「友達と勉強を教え合う」です。自分がわからない問題を教えてもらうメリットはもちろん、先生役で解説することで、自分自身の理解が深まるという点がポイントです。自分では理解できている問題も、解説してみると「わかったつもり」だったことに気付くことも少なくありません。

また友人同士だからこそ気付くことができる「素朴な疑問」もあります。当たり前すぎて先生に質問するのは恥ずかしいと思うことは誰しもあるものです。そういう疑問こそ友人に聞いてみましょう。意外と友人も理解できておらず、貴重な学びのきっかけになることもあります。

習慣②:「解き直し時間」を週末につくる

2つ目は「解き直し時間」を週末につくることです。解き直しが重要なのは言うまでもありませんが、十分な時間を確保して深く考える時間を確保できていない人も多いのではないでしょうか。

ポイントは2つです。
1つ目は「しばらく時間を空けてから解き直しをする」ことです。1回目解いて答え合わせをした直後は、まだ答えを覚えているので、解き直しが作業的になりがちです。「週末」と解き直し時間を決めることで、適度に記憶が曖昧になった状態をつくることができます。
2つ目は「じっくりと時間をかけて考える」ことです。平日は学校など忙しく、時間の制約から解き直しが作業的になりがちです。「土曜日の17-20時は解き直し時間」など、まとまった時間を習慣的に確保することで、じっくりと考える時間を設けることができます。

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著者プロフィール

八尾直輝の写真 八尾直輝 株式会社プラスティー教育研究所

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供しています。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿もおこなっています。 講演会の開催や、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっております。

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