執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
古文を学ぶことは、日本文化や歴史への深い理解につながる貴重な機会です。身に着けた知識は教養としても高く評価され、話題の幅を広げ、社会的な交流でも役立つ場面が多くあります。一方受験科目としての古文は、基礎的な学習をきちんと押さえることで、安定した得点源にもなりえます。古文の効果的な対策法を詳しく解説します。
日本人の教養として、学んでおきたい古文ですが、大学受験、共通テストでの古文対策は、文系、理系問わず、国語全体の得点に大きく影響し、安定した得点源となるため、基礎的な学習を疎かにできません。計画的な学習で古文の力を伸ばし、合格を目指しましょう。
大学入試共通テストの国語は200点満点ですが、そのうち古文は45点を占め、約1/4の配点がされています。古文は対策の有無で差がつきやすく、特に難関大学を目指す受験生にとっては、安定して高得点を取るための対策が必要です。
古文の45点のうち、知識問題は約15点で、残りの30点は読解力が求められます。本文だけでなく、選択肢の文章量も多く、小手先のテクニックでは太刀打ちできません。また、和歌の解釈が頻繁に出題されるほか、本文の内容をもとに先生と生徒が議論している場面を理解して解く問題も毎年出題されます。
限られた時間の中で、これらの文章を正確に読み解く力が求められるため、短期間での成績向上は難しいと言えるでしょう。受験生は計画的な学習を心がけ、基礎から読解力をしっかりと鍛えておくことが重要です。
文系を志望する高校生にとって、古文は大学受験における重要科目です。共通テストや私立大学の個別試験、国公立大学の二次試験など、出題形式は多岐にわたりますが、ほぼすべての試験で古文が出題されます。文系志望者には古文を得意とする学生が多く、古文で差をつけることは難しい一方、準備不足だと大きな差がつく可能性があります。古文を苦手意識のある科目にしないためにも、早い段階からコツコツと取り組み、過去問や模試を活用して、出題傾向に沿った問題演習を行いましょう。
理系を志望する学生にとって、古文は受験科目としてあまり重要視されないことが多いです。実際に、東大や京大では二次試験で古文が出題されますが、その他の多くの大学では古文は共通テストの範囲にとどまります。そのため、古文を苦手とする理系受験生の中には、十分な対策をせずに放置してしまう人も少なくありません。
しかし、理系志望であっても、共通テストでの古文の点数は無視できません。なぜなら、共通テストの国語全体で高得点を取るためには古文の得点が大きく影響するからです。理系科目が得意でも、古文が足を引っ張ってしまえば総合得点に響きます。実際、共通テストの古文は基礎的な知識さえ押さえておけば、6割から7割程度の得点は十分に狙える科目です。この得点を確保できれば、理系科目の学習に集中できるため、全体のバランスが取れた受験対策が可能になります。
大学受験における古文の対策は、単語や文法の暗記だけに留まらず、読解力や古典常識の理解が重要です。特に、単語は文脈に応じて異なる意味を持つことが多いため、文章全体の流れを捉える力が求められます。また、助動詞や活用形の正しい理解も、文意を把握するための基本です。さらに、作品の背景や作者の人物像、当時の社会制度についての知識も、難関大学の問題では得点の鍵となります。
古文単語を覚える際、訳語を丸暗記するのではなく、実際の文章の中でその単語がどのように使われているかを確認しましょう。たとえば、「あはれなり」という単語は「趣深い」と覚えるだけでは不十分です。次の例文を見てみましょう。
「例の猫にはあらず、聞き知り顔にあはれなり。」 … 普通の猫とは違い、(人の言うことを)聞き分けるようでしみじみとかわいい。
「あはれなる人を見つるかな。」 … 美しい人を見たことだなあ。
「あはれなるもの。孝ある人の子。」 … 立派なもの。親孝行の心がある子。
このように、文脈によって「かわいい」「美しい」「立派だ」など、異なる意味を持つことがあり、それを正しく判断する力が求められます。
文法も同様に、活用や意味を暗記するだけでは不十分です。助動詞の意味や活用を文中で適切に判別できることが重要です。たとえば、文中に「る」が出てきたとき、それが尊敬の助動詞か完了の助動詞かを判断するためには、あとに続く単語の(接続の)知識も不可欠です。また、推量の助動詞「む」は6種類の意味があります。意味をすべて覚えた上で、文脈に応じて正しい意味を判断できる力が必要です。
単語や文法の理解は、古文読解の基盤です。暗記を超えて、実際の文章で活用できる実力を養いましょう。
古文の学習では、単語や文法を覚えたとしても、すぐに文章が読めるようになるとは限りません。その理由の一つが「古典常識」の不足です。古典常識とは、当時の人々にとっては当たり前だった風習や価値観のことを指します。しかし、現代に生きる私たちにはそれが当然とは言えません。だからこそ、古文の本文にはその背景が詳しく書かれず、読解が難しく感じるのです。
例えば、「スマホが、高校生の学習時間減少の大きな原因になっている」という文章を考えてみましょう。みなさんはすぐに理解できるかもしれませんが、昭和時代の人はすぐにイメージできません。スマホを通してSNSやゲームで時間を使ってしまうという現代の常識なしでは、この文の真意は理解できないのです。このように、その時代の風習や価値観を理解することは、正しい文章読解に不可欠と言えます。
難関大学の古文の問題では、リード文や注釈での説明が少なく、古典常識が理解を助ける大きなカギになります。
たとえば、『源氏物語』の有名な冒頭部分、
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」
を読む際、まず「御時」が天皇の治世を指し、「女御」「更衣」が天皇の妻であることを知っている必要があります。また、当時の一夫多妻制を理解しているかどうかでも、物語の読み方が大きく変わります。
このように、古典常識を身につけることで、古文の理解が深まり、問題解答への自信も増すでしょう。受験勉強では単語や文法だけでなく、古典常識の習得にも時間をかけてみてください。
古文の学習において、主要な作品とその作者を覚えることは、読解力を高める上で非常に重要です。特に大学受験では、これらの知識が前提となる問題が出されることも多く、難関大学では知識の有無が得点に大きく影響することもあります。そのため、作品の背景や作者の人物像を理解することが、解答の手がかりとなることがよくあります。
たとえば、『蜻蛉日記』は藤原道綱母によって書かれた日記文学です。この作品では、平安時代の通い婚という婚姻制度を背景に、作者である藤原道綱母が、夫である藤原兼家の訪れを待ちながら過ごす日常や感情が描かれています。この背景を知っていれば、兼家の不在を嘆く心情や、当時の女性の立場がより深く理解でき、文章の読解が一層容易になります。
また、『枕草子』は、清少納言が一条天皇の中宮である定子に仕えていた宮廷生活を描いた随筆です。清少納言の観察眼を通して描かれる四季折々の風景や宮廷での出来事は、彼女が宮中に深く関わっていたことを背景にすると、その描写の意図が一段と鮮明になります。特に、定子への忠誠や宮中での立場を知っていると、彼女の視点からの描写が一層生き生きと感じられるでしょう。
このように、単に作品を読むだけでなく、その作者がどのような人物で、どの時代に生きていたのかを知ることで、古文の理解がより深まり、試験問題への対応力も向上します。受験勉強の中で主要作品の内容と作者をしっかりと押さえることは、高得点への近道です。
古文の学習において、品詞分解は理解を深めるための基本的なステップです。品詞分解を行うことで、文法事項を正しく理解できるだけでなく、古文の文章をより正確に読解できるようになります。
例えば、「秋は来ぬ」という文を見たとき、どのように読みますか?
「秋は来(こ)ぬ」と読んで、「秋が来ない」と訳してしまう人もいるかもしれません。
しかし、正しくは「秋は来(き)ぬ」と読んで、「秋は来た」と訳すべきです。この違いに気づけるかどうかが、品詞分解の力です。
具体的には、文末の「ぬ」は終止形であることがポイントです。もしこの「ぬ」が打消の助動詞であれば、連体形になり、後ろに体言が続くか、もしくは係り結びが成立していることが必須になります。ただ、ここではどちらの要素もないため、完了の助動詞「ぬ」と判断し、「来た」という意味になります。
このように、助動詞や活用形を正しく見極める力が、古文の正確な読解に直結します。品詞分解を丁寧に行うことで、文法の理解だけでなく、文章の意味を深く掴むことができるようになります。
品詞分解は精読を行うために必要な作業ですが、古文を読むうえではそれだけでは不十分です。長文読解の演習を重ね、本文全体の主旨を素早く掴む訓練も必要となります。特に近年の共通テストや大学入試問題では、分量の多い文章を読み解く力が求められています。また、複数のテキストを比較・照合する問題も増えています。限られた時間の中で、登場人物の行動を整理し、心情を把握し、物語の概要を掴むことが重要です。
試験には時間制限があります。読み取りきれない箇所があっても、推測を重ねながら読み進めていくことが大切です。
普段の学習では推測を重ねながら読み進め、推測の内容が間違っていた場合は、単語・文法の基礎知識不足なのか、古典常識の理解不足なのか、解答・解説と照合したうえで、間違った理由を探りながら復習することが大切です。復習を繰り返すうちに推測の精度は向上し、早く、正確に内容を理解できるようになります。
大学受験で古文の力を伸ばすためには、過去問演習が欠かせません。それは、共通テスト、私立大学、国立大学でそれぞれ異なる出題形式や傾向に対応するためです。実際の試験問題を解くことで、どのような形式の問題が出され、どのような力が求められているのかを知ることができます。
共通テストでは、限られた時間の中で大量の文章を素早く読み解き、必要な情報を正確に抜き出すスキルが必要です。例えば、長文の中で重要な部分を見極め、設問に答える能力を身につけるためには、過去問で繰り返し練習することが効果的です。
私立大学では、読解力だけでなく、文法や文学史といった知識問題が多く出題されます。たとえば、動詞の活用や助動詞の意味を問う問題、あるいは平安時代の文学作品に関する問題が頻出です。過去問を解くことで、よく出る文法項目や文学史のポイントを押さえ、効率的に対策することができます。
国立大学の試験では、特に記述問題に力を入れる必要があります。具体的には、傍線部の内容の説明を求める問題や、傍線部の現代語訳を行う問題がよく出題されます。ここでは、表現力や論理的に文章を構成する力が問われるため、過去問で練習を重ねることで、書く力を養うことが重要です。
古文の学習において、効果的なノートの活用は成績向上の鍵を握ります。特に予習・授業の両方で活用できるノート術は、効率よく知識を定着させ、試験での得点力を高める重要な手段です。ここでは、古文を苦手とする受験生にも役立つ、具体的なノートの書き方を紹介します。
古文の学習において、効果的なノートの取り方は大変重要です。今回は、予習から授業中に活用できるオススメのノートレイアウトを紹介します。
古文の予習で行うべきポイントは3つです。
①本文をノートに書き写す
ボールペンで、古文の本文をノートに丁寧に写しましょう。これにより、古文の文章に対する集中力が高まり、文の構造を自然と把握しやすくなります。
②不明な単語をリストアップ
本文を読み進める中でわからない単語があれば、その都度古語辞典で調べ、リストにまとめます。これを繰り返すことで、語彙力が着実に向上します。
③現代語訳に挑戦
可能な限り自分で本文の現代語訳をしてみましょう。この作業は鉛筆を使い、後で訂正できるようにしておくとよいです。
授業中は以下のポイントを押さえてノートを活用しましょう。
④赤字で単語や文法の解説を追加
先生の説明を聞きながら、ノートの本文に赤字で単語や文法の解説を書き込みます。色を使うことで、復習時に見やすくなります。
⑤正しい現代語訳を書く
授業で教わった正しい現代語訳をノートにまとめ、自分の予習と比較しましょう。これで自分の訳の改善点が明確になります。
⑥板書をメモする
重要な情報やポイントは、先生の板書を見逃さずにメモしておきましょう。
このノートの取り方を実践すれば、古文の理解がぐっと深まるはずです。ぜひ、日々の学習に取り入れてみてください。
大学受験の古文対策は、単語・文法の基礎力とともに、古文常識や長文読解の力をバランスよく身につけることが重要です。ここでは、効率的な単語の覚え方や文法学習法、そして古文常識の理解を深めるための教材を紹介し、受験に直結する実践的なアドバイスを解説します。
大学受験において、古文の単語と文法の習得は合否を左右する重要なポイントです。単語を覚える際には、見出し語を覚えるのはもちろんのこと、派生語や多義語の複数の意味をおさえていくことが欠かせません。
『日々古文単語帳365』は、単語の意味を覚えるだけでなく、語源や単語が持つイメージを解説したり、イラストを用いて視覚的に理解を助ける工夫が施されています。さらに、実際の例文で単語の使い方を確認することで、古文独特の文脈での意味も身につけることが可能です。また、練習問題には入試問題を元にした実戦的な問題が収録されており、単語の知識を入試本番でどう活用するかを実感できます。
文法学習に関しては、自分の学習状況に合わせて教材を使い分け、丸暗記に走ることなく、演習を通じて理解を伴った学習を進めていくことが肝心です。
『古典文法10題ドリル』シリーズは、その点で使いやすい教材と言えます。
文法の基礎がまだ固まっていない場合には『古文基礎編』が最適です。この教材は、重要な文法事項を簡潔にまとめた上で、基本的な問題を解くことで文法を体系的に学べる構成になっています。
一方、すでに基礎がある程度固まっている受験生には、より難易度の高い『古文実戦編』がおすすめです。この実戦編では、応用力を試す問題が多数収録されており、入試で出題されるような実践的な文法問題に挑戦することができます。
これらの教材を活用することで、単語と文法を効率よく習得し、古文の理解が格段に深まります。しっかりと学び、自信を持って受験に挑みましょう。
古文を学ぶ際に、単語や文法を覚えることはもちろん重要ですが、それに加えて「古文常識」をしっかりと理解することが大切です。古文常識とは、当時の人々の生活習慣や文化、言葉の使い方、暦や時刻の数え方など、古典の世界で当たり前とされていた知識のことを指します。これらを知ることで、文章の背景や登場人物の行動が理解しやすくなり、古文の読解力が飛躍的に向上します。
特に、私立大学の入試ではこの「古文常識」に関する知識が直接問われることが多く、例えば「月の異名」や「十二支を使った時刻や方位の表示方法」などが頻出です。これらは一見細かな知識に思えるかもしれませんが、得点に直結する重要な要素です。
また、前述したように難関大学の試験では、古文常識があることが前提で問題が作られていることがあります。こうした状況では、古文常識を知っているかどうかで解答の精度が大きく変わります。
そのため、古文常識の学習では、単なる知識として覚えていくのではなく、実際の文章の中でどのように知識を活用する必要があるのか、といったことを理解することが重要です。
『日々古文常識 入試問題を解くための27テーマ』は、実際の入試問題での出題を紹介した上で古文常識の理解を深めることができるので、受験生にはおすすめの参考書です。このような書籍で頻出テーマを効率的に学び、確実に知識を身に着けていくことで、古文の理解が深まり、受験での大きな武器になるはずです。
単語や文法などの基礎知識を習得した後に取り組むべきなのは、長文読解です。長文読解をこなすには、まず「読解の基礎」を意識しながら文章に取り組むことが重要です。
例えば、文章の流れを把握するために段落ごとの要点をまとめたり、筆者の意図や主張を正確に読み取る訓練が必要です。また、本文中に登場するキーワードや古文特有の表現をしっかりと押さえ、その意味を文脈の中で理解することもポイントです。
具体的な教材として『国公立標準問題集 CanPass 古典』を挙げておきます。この問題集は、国公立大学の過去問を中心に標準的なレベルの問題が収録されています。難易度も極端に高くないため、まずは入試レベルの問題に触れたいという人にぴったりです。さらに、詳しい解説がついているので、自分で答えを導き出しながら進めることができます。特に、初めて国公立レベルの問題に挑戦する人におすすめです。
長文読解の力をつけるためには、ただ問題を解くだけでなく、解説を読み込んで自分の弱点を把握し、次の問題に生かしていくことが重要です。地道な訓練の積み重ねが、確実に実力向上につながります。
大学受験における古文対策は、定期試験の勉強から始まります。単語や文法を正確に理解し、品詞分解を通じて文章を読み解く力を養うことが、受験での成功に直結します。また、現代語訳を通じて古文の自然な表現に慣れることや、アウトプットを重視した学習で弱点を補強することも重要です。
定期試験に向けた勉強では、試験範囲に含まれる単語や文法をしっかりとマスターすることが重要です。
定期試験の多くは、授業で学んだ文章やその内容をもとに出題されるため、「文章の内容を覚えていれば大丈夫」と考えがちです。確かに文章の内容を理解していれば解ける問題も多いですが、それに頼りすぎると単語や文法の習得が疎かになり、結果として基礎力が不足してしまうことがあります。
定期試験に向けた学習は、単語や文法の知識を深める絶好の機会です。例えば、文章中で出てくる単語を単にリストアップして覚えるのではなく、実際の文章の中でどう使われているかを意識しながら学ぶことで、単語の使い方やニュアンスがより深く理解できます。また、文法についても、ただ規則を暗記するのではなく、文章の中でどのように使われているかを理解することで、実践的な力が身につきます。
さらに、授業で先生が教えてくれる背景知識や補足的な情報も有効活用しましょう。例えば、歴史や文化に関連する背景を知ることで、文章全体が理解しやすくなり、単語や文法もより記憶に残りやすくなります。こうした知識のつながりが、試験での思い出しやすさにもつながります。
定期試験の勉強は単なるテスト対策ではなく、古文の力そのものを高める絶好のチャンスです。この機会を活かして、単語や文法の知識を確実に身につけましょう。それが大学受験にも大きく役立つ基礎力となります。
大学受験を目指す皆さんにとって、品詞分解は文章を正確に理解するための基礎的なスキルです。特に、定期試験の勉強では、教科書に載っている文章をしっかりと品詞分解することが重要です。これにより、単語が文中でどのような役割を果たしているのかが明確になり、文法の知識を定着させることができます。
学校の授業では、先生が文章を一文一文丁寧に品詞分解してくれることがあります。助動詞や助詞、用言といった要素をどのように見つけ出し、意味をつなげていくかの手本を間近で見ることができるのは、とても貴重な機会です。実際、市販の参考書や問題集では、品詞分解の見本が十分に載っているものは少なく、詳しい解説がない場合も多いので、授業での説明をしっかり活用しましょう。
また、現代語訳や背景知識についての解説を授業で受けた後に、その内容をふまえて復習として品詞分解を行うと、本文の理解がより深まります。このプロセスを丁寧に行うことで、文章を読み解く力が大幅に向上します。こうした機会を無駄にせず、しっかりと品詞分解を身につけ、入試に向けた準備を進めていきましょう。
定期試験の対策として、テスト範囲の古典作品の現代語訳を覚えることは非常に有効です。多くの人は試験対策のために現代語訳を覚えているかと思いますが、現代語訳を覚えることには、試験対策以上の大きなメリットがあるのです。
まず、教科書に載っている古典作品は、多くの場合、文学史上有名なものです。これらの作品は後世の作家たちにも影響を与え、様々な作品に引用されています。例えば、『源氏物語』は、後世の作品に多く引用されているため、『源氏物語』の有名な場面の現代語訳を理解しておくことが、こうした引用やモチーフを含む作品の内容をより深く理解することにつながります。
また、古文の文体は現代語とは異なり、直訳では不自然になることが多いです。そこで、先生が教えてくれる流暢な現代語訳を身につけることで、古文の文章を自然な日本語に変換する感覚が養われます。この練習を重ねていけば、自力でより正確で自然な現代語訳ができるようになるでしょう。
古文の定期試験対策として、ワークや問題集に取り組むことは非常に重要です。多くの生徒が、授業ノートを見返すだけで勉強を済ませがちですが、それだけでは不十分です。
効果的な対策を行うためには、ノートを見返すといったインプット学習に加え、問題を解くというアウトプット学習が不可欠です。なぜならインプット学習だけでは「わかったつもり」になってしまい、自分が理解できていない点を見逃してしまうからです。特に、助動詞の活用形や意味の判断は、問題を解いてみて初めて「あれ、ここは分かっていなかった」と気づくことが多々あります。ただ、弱点を発見するためのこの学習は、なるべく早めに済ませておくことが重要です。遅くとも試験2週間前までには取り組むようにしましょう。
その後、見つかった弱点や不足を授業ノートや参考書で補うことで、効率的に再度インプットができます。この作業は、試験1週間前までに終わらせておけると、余裕を持って試験に臨むことができます。そしてもう一度問題を解くことで、理解がより深まり、知識が確実に定着します。このサイクルを繰り返すことで、単なる暗記にとどまらない、実践的な力を身につけることができるのです。
古文の定期試験で良い結果を出すためには、インプットとアウトプットのバランスが何より重要です。授業ノートだけで満足せず、積極的にワークや問題集を活用して、しっかりとアウトプットを行いましょう。
定期試験直前、一夜漬けで何とかしようと考える人も多いかもしれません。特に古文の試験勉強は暗記要素が強いので、一夜漬けで何とか対処できるかもしれません。しかし、古文の助動詞や助詞などの文法事項は、演習を通して活用する訓練が必要なので、一夜漬けでは習得が難しいのが現実です。
どうしても古文の学習に時間を割くのが難しく、一夜漬けになってしまうこともあるかと思います。その場合には、本文の現代語訳を覚えることを優先するようにしましょう。本来であれば、現代語訳はしっかりと古文単語の意味や古文常識をふまえたうえで、理解を伴った状態で覚えていくのがベストです。しかし、どうしても時間が限られている場合、本文の現代語訳を覚えることは、決して無駄にはなりません。試験の得点に直結しやすいのはもちろん、覚えた現代語訳が他の作品の解釈に活きることもあります。
一方で、文法事項の理解については、日々コツコツとワークや問題集を使って、インプットとアウトプットを繰り返すことで定着を図らなければ、実際の文章の中での知識の活用は難しいところです。文法事項については、一夜漬けで目の前の試験を乗り切るのではなく、計画的な学習を心がけましょう。
大学受験において、古文の対策は早い段階からの基礎固めと計画的な実践が重要です。ここでは、高校1・2年での基礎知識の習得と高校3年での共通テストや志望校対策に焦点を当てて解説します。古文単語や文法の暗記を着実に進め、高3からは過去問を活用した実践的な学習へとシフトすることが合格への鍵です。
大学受験に向けて、古文の基礎を高校1年、2年のうちにしっかりと固めることは非常に重要です。一般的な高校のカリキュラムでは、この期間で古典の基礎知識を習得することが求められます。この段階で、基礎知識をしっかりと習得しておくことで、高校3年生になった際に、実践的な演習や志望校対策に時間を充てることができるのです。
高校1年、2年のうちから、何か特別なことをする必要はありません。定期試験の範囲で出される古文単語の暗記や古文文法の理解、授業で扱った本文の内容把握を、着実にこなすだけで十分です。副教材として古文単語帳や文法問題集などが課されていれば、それらの教材も手を抜かずに着実に解いておくことが不可欠です。
高1のうちに身につけておきたい内容は、古文単語の見出し語の暗記と、助動詞の活用・接続・意味の習得です。まずは古文の学習の基礎となる知識を身につけましょう。そして高2のうちに、古文単語の見出し語以外の単語(派生語・類義語など)の暗記と、助詞・敬語の用法を習得しておきましょう。これができていれば、高3になった時に、問題なく志望校の対策を行うことができます。
特に理系志望の場合、高校3年生になってからは、理系科目に多くの時間を割くことができるように、古文の基礎を早めに固めておけば安心です。
高校3年生になったら、共通テスト対策と志望校の過去問演習に本格的に取り組む必要があります。過去問演習を通して、志望校の出題形式や出題傾向に早く慣れることが合格への近道です。
まず、高3になったらすぐに共通テストや志望校の過去問に挑戦してみましょう。
私立大学や国公立二次試験では、出題傾向が異なるため、それぞれの大学に特化した対策が求められます。特に記述問題のある国公立大学では、古文の内容を正確に理解し、自分の言葉で表現する力も必要です。
最初は時間制限を無視しても構いません。また、点数を気にする必要もありません。この時点で大切なのは、出題される形式やパターンを知ることです。例えば、志望校の古文では現代語訳を問われることが多いのか、文法問題が出やすいのかなど、問題の傾向を掴むことを優先します。
次に、夏休みには再度過去問を解いてみます。春に解いたときよりも、スムーズに解ける問題が増えているはずです。この時期の演習では、夏以降の学習計画を立てるために、自分がまだ苦手としている分野を洗い出すことが目標です。
本格的に過去問を解き始めるのは10月以降です。この段階では、時間を測りながら解き、入試本番を想定した練習をします。また、得点にもこだわり、目標点に届くためには何が足りないかを分析することが重要です。例えば、和歌に関する問題で失点が多ければ、和歌の修辞法を再度確認するなど、点数アップに向けた対策を強化していきます。
このように、古文の学習は計画的に進めることが大切です。早めに過去問に触れ、実践を重ねることで、本番でもしっかりと得点できる力を身につけましょう。
大学受験の古文は、特に共通テストにおいて、高得点を狙う上で重要な科目の一つです。限られた時間内で多くの問題を解く必要があるため、速読力と精読力の両方が求められます。古文単語や文法、古文常識といった基礎力の重要性をはじめ、速読力を鍛え効率的に本文を理解する方法、さらに選択肢を慎重に分析し誤答を避けるための精読力を高める実践的なテクニックを解説します。
共通テストの古文で9割以上を取るためには、速読と精読の両方の力をバランスよく身につけることが不可欠です。
まず、共通テストの古文は文章量が多く、時間制限が厳しいため、速読力が必須です。速読力を養うためには、古文の単語・文法の知識が基盤となります。古文単語では文脈に応じて適切に訳語を判断する力が必須です。文法については、助動詞や助詞の用法を適切に理解し、本文中での意味を読み取る力が求められます。さらに、当時の風習や文化に関する古文常識がわかっていれば、文中で明記されていない背景情報を迅速に補えるようになります。これにより、読み返す時間を減らし、効率的に文章を理解できるようになるでしょう。
一方、9割を取るためには、単なる速読だけでは不十分です。選択肢を慎重に照合し、誤答を避けるための精読力も重要です。選択肢は意図的に紛らわしい表現が多用され、感覚的に選ぶと引っかかるように作られています。そこで、古文単語の意味を正確に把握し、助動詞や敬語の文法的役割を理解したうえで、本文と選択肢を丁寧に比較する習慣をつけましょう。速読と精読を場面に応じて適切に使い分け、確実に正解を導く練習を積めば、共通テストの古文で9割を達成することができるはずです。
大学受験における古文対策は、志望校ごとの出題傾向を踏まえた効率的な学習が鍵となります。ここでは、東大、京大、早稲田大、そしてGMARCHといった主要大学の古文問題の特徴を解説し、各校の対策ポイントを明らかにします。受験生一人ひとりが、自分の志望校の傾向に合った学習計画を立てることで、得点力を最大限に引き上げることが可能です。ぜひ、これらのポイントを参考に、効率的かつ実践的な古文対策を進めていきましょう。
東大の古文は、本文そのものの難易度がそれほど高くないことが特徴です。リード文や注釈が充実しているため、文脈を理解するためのヒントが豊富に与えられ、本文の内容を正確に読み取ることは比較的容易です。しかし、設問に正しく答えるためには、単語、文法、古文常識の全てにおいて高度な知識が求められます。
まず、単語は多義語の解釈がポイントです。単に訳語を知っているだけでは不十分で、文脈に応じて正しい意味を選び取る力が必要です。文法に関しては、直接的な文法問題こそ出題されませんが、助動詞や助詞の意味を理解し、敬語の使い方を踏まえた上で、正確な現代語訳を作成する能力が必要です。
さらに、古文常識も重要な要素です。東大の古文では、特に仏教関連の知識が頻出で、出家や極楽往生に関する知識を持っていることが、本文理解や設問解答に大きく影響します。
加えて、近年は和歌の解釈が頻出です。和歌一首を丸ごと解釈する設問が出題されるため、文理問わず、和歌に対する理解力が問われます。和歌の修辞や表現技法を踏まえた上で、和歌が表現する感情や情景を正確に読み取る訓練が必要です。
実際に2024年度の東大古文では、「乾くまもなき墨染めの袂かなあはれ昔のかたみと思ふに」という和歌の大意を説明せよ、という設問が文系・理系ともに出題されています。この和歌では、「乾くまもなき」が、涙が止まらない様子を表し、「墨染め」がここでは喪服を表すことをふまえて、和歌の大意を説明することが求められています。
以上のように、東大の古文では、本文の読み取りが比較的容易である一方で、設問に答えるためには総合的な古文の知識と高い読解力が要求されます。単語、文法、古文常識、そして和歌の対策をしっかりと行い、万全の準備を整えましょう。
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「東京大学合格への道」
京都大学の古文は、他大学とは異なる独特な出題傾向があります。
まず、すべての問題が記述式で、現代語訳や内容説明が中心ですが、ただ本文を訳すだけでは高得点は狙えません。本文の前後の文脈を把握し、そこに含まれる古典常識や背景を理解したうえでの説明が求められます。この点は他の大学にはあまり見られない特徴で、しっかりと対策を立てておく必要があります。
本文自体の分量はそれほど多くありませんが、解答の記述量は文系・理系ともに1問につき2行から5行と多めです。文系では物語や日記が多く出題される一方で、理系では近世の文章や歌論など、通常の入試問題ではあまり出題されないジャンルが問われます。特に理系は、古文の演習量をあまり積んでいない受験生が多いため、この独特な文章に慣れておくことが重要です。
加えて、京都大学の古文試験では時間配分の厳しさも大きな課題です。記述量が多い割に制限時間は厳しく、素早く本文の要点をつかみ、的確に説明するスキルが求められます。過去問を活用して、実践的な訓練を積むことで、時間内に効率よく解答できる力を養いましょう。
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「京都大学合格への道」
早稲田大の古文は、他大学と比べて非常に難易度が高いことが特徴です。まず、出題される文章の分量が多く、ジャンルが多岐にわたるため、受験生が普段馴染みのない作品に出会うこともしばしばです。例えば、説話集や日記文学、あるいは近世の文章などが出題されることもあり、幅広いジャンルに対する準備が必要です。
さらに、『源氏物語』のような有名な作品が出題される場合、リード文や注釈による補足情報が限られているため、古典常識や背景知識をしっかり理解していることが前提となります。また、漢文との融合問題も早稲田大特有の難しさです。古文の本文中で引用されている漢詩や漢文の一節が出題され、それを古文と照らし合わせながら読み解く力が必要です。
文法問題も細かく問われるのが特徴です。助動詞や助詞については、基本的な意味だけでなく、文脈に応じた解釈や、似た語の識別まで求められる設問が頻出です。加えて、早稲田大はほとんどが選択肢問題ですが、選択肢を丁寧に吟味する力が求められます。選択肢には細かい違いが含まれているため、本文との照合をしっかり行わなければ、見分けにくい選択肢に引っかかってしまいます。早稲田大の古文を攻略するには、広範な文法知識と古典常識、そして細部まで注意深く読む力が求められます。
早稲田大と並んで評される慶應義塾大は、国語の代わりに小論文での入試となるため、古文、漢文が入試科目にありません。
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「早稲田大学合格への道」
「慶應義塾大学合格への道」
GMARCHの古文は、全体的に基本的な問題が多く、確実に得点することが合格の鍵となります。問題形式としては、選択肢問題がほとんどを占めており、記述問題は字数の少ないものが一部出題される程度です。そのため、難解な文章や複雑な解釈を要求されることは少なく、傍線部やその付近の内容をしっかり読み取ることで、正答にたどり着ける問題が多いのが特徴です。
また、古文単語の知識や文法理解が問われる問題がよく出題されます。さらに、古文常識や奈良時代~江戸時代の文学史など、習得した知識が得点に直結する設問の出題が多い傾向にあります。こうした背景から、学習量がそのまま得点に反映されやすく、授業や参考書を通じてしっかりと基礎を固めていくことが重要です。
なお、GMARCHの古文は比較的解きやすい問題が多い分、合格最低点が高い傾向にあります。
つまり、ちょっとしたミスや不注意による失点が命取りになることがあるため、基礎を固め、ケアレスミスを防ぐ力をつけることが、合格への確実なステップとなります。古文単語や文法などの基礎知識を確実に習得し、過去問演習を繰り返すことで対応力を磨いていきましょう。
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古文を読む力を身につけることは、日本の文化や歴史を直接理解するための大きな一歩です。たとえば『源氏物語』や『枕草子』、『平家物語』などの作品は、現代語訳を読んでももちろん楽しむことはできますが、原文で読むことで当時の人々の思想や感情をより深く味わえ、時代背景を理解する助けになります。また、これらの古典には、美しい表現や繊細な感情描写が多く含まれており、言葉の豊かさや感受性を育てる大きな力となるでしょう。
さらに、古文は現代日本語とのつながりが深く、古典から派生した語彙や表現は多くあります。古文を学ぶことで、現代の日本語の成り立ちや言葉の背景を理解でき、語彙力や表現力の向上にもつながります。古文の有名作品の言い回しを当意即妙に引用することができれば、一目置かれるに違いありません。
加えて、古典文学を読める力は、単なる試験対策にとどまらず、教養としても高く評価されます。古文を読解できることは、知識や話題の幅を広げ、日本文化に対する理解を深めるだけにとどまりません。『源氏物語』などの有名作品は諸外国にも広く知られているので、その知識は他国の文化人との交流においても役立つでしょう。古典に触れることで、受験勉強の枠を超えた豊かな学びが得られます。
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「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。
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