英語の学習の分析と改善② ー受験・学習コーチングのポイント

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執筆:八尾直輝

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長

目次

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英語の復習・テストでやるべきこと

結果を出すことで、「予習・授業」へのモチベーションを強化する

「学習サイクル」を解説するコラムでも解説した通り、学習は「予習→授業→復習→テスト」のサイクルで考えることができます。重要なのは「サイクル」として有機的に機能することです。それぞれ4つのフェーズを個別に考えるのではなく、それぞれが強固に連結した状態を目指す必要があります。

ここで重要なポイントの1つが「テスト」を次の「予習」につなげることです。当たり前ですが、悪い結果が続くと人のモチベーションは低下していきます。「テストの後に、さらに学習をしたくなる」状態をつくるためには、テストで結果を出す必要があるのです。つまり「復習・テスト」は「良い結果」を出すために必要なことから逆算して考えることになります。そのために、意識すべきは「アウトプット型の学習を取り入れる」ことです。

アウトプット型の学習を取り入れる

英語学習のアウトプットとは、書く・発音することなどが該当します。英語の復習やテストでは、特にアウトプットが重要です。なぜなら英語学習では「分かる」と「使える」の間に大きな隔たりがあることが多いからです。英単語の意味は調べればその場では「分かる」かもしれませんが、その英単語を文中で読めたり、英作文で活用したりするわけではありません。長文の解説授業を聞けば、その場では「分かる」こともありますが、実際に初見でその文章を読む力が身についたわけではないのです。

「予習・授業」ではインプットがメインです。そこで学んだ知識を定着させるために、「復習・テスト」ではアウトプットに重点を置く必要があります。このコラムでは「復習・テスト」で陥りがちな落とし穴と、その対策を解説します。

英語の復習のチェックポイント

文法・語彙の学習の注意点

文法の学習や語彙に関する学習は、「わかったつもり」にならないように、アウトプット型の学習を取り入れます。文法学習は、問題集の授業に該当する範囲を必ず解くようにします。授業で特に指示がない場合も、網羅的な文法問題集を自分で購入するようにします。また授業中に出てきた不明語の復習も重要です。授業中に残したメモを「マイ単語リスト」に書き、「授業日・週末・試験前」の3回復習するようにします。

毎単語リストの作成例

文法は自分の理解を確かめるために、「白紙再現」まで取り組めるとベストです。友人同士で解説授業をし合うのもいいでしょう。自分でノートを再現したり、解説したりすることで、理解が曖昧な点が浮き彫りになり、復習すべきポイントが明確になります。

音読を取り入れる

長文の復習には必ず音読を取り入れましょう。スムーズに音読できないところは、理解が不足しているところです。復習した長文がスムーズに読めないとしたら、要注意です。一通り復習して、「この長文が理解できた」と思ったら、最初から音読をして自分の理解を確認するのがいいでしょう。

音声教材があれば積極的に活用しましょう。音読のやり方は3つあります。順に難易度が上がりますので、いろいろと試しながら自分に合うものを取り入れてみましょう。

<リピーティング>
音源を1文ごとに一時停止し、音声に倣って音読をすることです。1回目はテキストを見ながら1文ごとに音読します。正しい発音とリズムを身につけることが目的です。2回目以降はテキストを見ずに取り組めるとよいでしょう。

<オーバーラッピング>
テキストを見ながら、音源と同じタイミングで音読をすることです。難しい場合には、まずリピーティングに取り組み、その後オーバーラッピングに取り組むとよいでしょう。

<シャドーイング>
テキストを見ずに、音源が流れたら、そのすぐ後に続いて音読をすることです。英文を聞くことと英文を話すことの両面に集中する必要があるため、英語を聞きながら情報を整理する必要があるリスニング力や、話しながら次に話す英文を組み立てるスピーキング力を高めることができます。

英語のテストのチェックポイント

「解説を読んだらわかった」では不十分

テストは理解を試すものですが、それだけではありません。勉強のやり方そのものを見直し、これからの学習のやり方を改善することが重要です。
そういう意味で、テストの振り返りを「解説を読んだらわかった」で終わらせるのでは不十分です。むしろ、「解説を読むだけでわかる」内容が、普段の学習で定着していないことを問題としてとらえ、今後の学習を改善していく必要があります。

特に英語の長文は解説や全文和訳を読むことで、理解したつもりになりがちです。解説を読めばわかる内容がなぜ試験本番で得点できなかったのか、原因を考え、普段の学習の改善に落とし込みましょう。

改善例1)覚えているはずの英単語を忘れていた場合。
普段の覚え方を変えるチャンスです。単語の復習の頻度を上げる、単語の覚え方を変えるなど、覚え方そのものを改善します。

改善例2)既習の文法事項を忘れていた場合。
該当する文法項目を一気に復習します。試験後1週間を目安に、1時間程度でできる範囲で復習しましょう。その上で、普段の文法学習のやり方に改善点が見つかれば、勉強のやり方から変えていきましょう。

「時間不足」は「実力不足」

最後はやや精神論的なお話です。
試験後の生徒がよく口にする言葉の1つに「時間が足りなかった」というものがあります。これは言外に「時間があればできた」という考えが見え隠れする、とても危険な言葉です。極端に言うと、「本来正解できるはずなのだけど、今回はたまたま運が悪かった」程度に生徒が認識している可能性があり、本質的な改善に向き合うことができなくなる考え方だからです。

そもそも試験作成者の立場から言うと、生徒の「時間不足」は織り込み済みです。作成者は「正解できるかどうか」ではなく、「時間内に正解できるかどうか」を測定するために問題を作成しています。つまり、「時間不足」は「実力不足」であり、普段から「時間内に正解できる」実力をつける学習をする必要があるということです。

特に英語の試験では語数の多い長文を出題し、「速く正確に読む力」を問うのが常套手段です。「時間があればできた」という発言は要注意。普段から、試験本番に通用する力をつけるための学習を心がけましょう。

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著者プロフィール

八尾直輝の写真 八尾直輝 株式会社プラスティー教育研究所

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供しています。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿もおこなっています。 講演会の開催や、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっております。

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